● 新たな販売方法にトライを始めた自然派系のオーストリアワインをご紹介させていただきます。その名も、
「Wabi-Sabi」(詫び寂び)
日本的な命名ですね。どうやらワイナート誌の主幹だったTさんが絡んでいるようですが詳しくは良く判りません。
何事もマーケットに乗せ回転させると言うのは中々に大変なことです。noisy もそのほんの僅かな部分を担ってはいる訳ですが、そんな量でもいつも大変です。
ましてや、ワインの造り手さんとすれば・・畑もやらなければならないし、収穫も、醸造も、そして販売も雑務も・・となると、物凄いことになってしまいます。
それでも引く手数多の人気ワインだったり、フランスやイタリアの人気の造り手で有れば、そこまではグチャグチャにはなならいかもしれませんが、オーストリアとなると・・どうなんでしょう。
インターネットの普及でボーダーレスの時代、新たな販路を求めて、造り手自身が切り開いてゆく・・と言うこれまでのスタイルでは無く、そこにネゴシエーターたる存在・・・いや、今までもいらっしゃいましたけどね・・、造り手のエチケットでは無く、ネゴシエーターさんのクレジットで販売する自然派ワイン・・と言うことかと思います。
テイスティングしてみましたけど、ちゃんと綺麗に出来ていました・・し、15~20年前のオーストリアワインの弱~い、淡~いイメージは皆無でした。

「ワビ・サビ」は、フランツ・ホフシュテターが運営するオーストリアのワイン商「TOA」が主催する、特別プロジェクト作品です。
ヴァッハウ出身のフランツは、オーストリアやニューヨークでソムリエとしての経験を積んだ後の2002年、オーストリア各ワイン産地のトップワイナリーと海外のマーケットを結び付けるプラットフォームを確立することを目的として、「TOA(Tastes of Austria)」を設立しました。今日では、オーストリアを代表するワイナリー約20社の輸出総代理店を務めると同時に、ブルゴーニュ型のクルティエ機能も担うハイブリッド型のワイン商として活躍し、その顧客には日本の錚々たるワインインポーターも名を連ねています。
「ワビ・サビ」は、「TOA」のパートナーワイナリー各社の協力のもと、2015年にスタートしたプロジェクトで、ビオロジー栽培のぶどうから造られたオーストリアの自然派ワインを、広く世界に紹介することを目的としています。統一されたコンセプトのもと、ワイナリー名や産地などは非公開となっています。
「ワビ・サビは、美が不完全なものによって定義される世界を表しています。不完全であるがゆえに、美しい。現代のワイン造りにおいて、ワインはしばしば、工学的に完全に設計された製品となっています。醸造家は、ワインの成分や製造工程を完全に管理し、完全なワインを造ることが求められます。しかし私たちは、完全なワインが飲み手を魅了するとは限らないと思います。「ワビ・サビ」プロジェクトでは、生きている、あるがままの姿こそがワインの「品質」であると考えます。個性は、完全なものよりもはるかに美しいと私は思います」。
ラベルのアートワークは、オーストリアの写真家ダヴィッド・クルツが手がけました。
「この幾何学的模様は、印画紙への滴下といったダヴィッドのアナログ的な手業によって生まれたもので、再現できず、定義することもできません。この「不完全な」模様から、ワインの個性を、直感的に想像してください。」
「パートナーの造り手たちの目標は、個性と深みのあるワインを造ることです。彼らは自然と対立せず、共生しています。無農薬で栽培されたぶどう畑は、植物、動物、そして人間に理想的な調和をもたらし、そのワインは人生に喜びを与えてくれます。「ワビ・サビ」のワインと対話する時、あなたは、そのワインにかけられた魔法 -造り手の魂- を感じることができるでしょう」
(以上フランツ・ホフシュテター)。
今日「ワビ・サビ」は、EU各国、アメリカ、カナダ、シンガポールで展開されており、特にニューヨークをはじめとしてアメリカでは、自然派オーストリアワインの大ベストセラーとなっています。2019年7月、いよいよ日本にお目見えします。
【「詫び寂び」と言う言葉の日本人的な理解とは少し違う気もしますが、エレガント系のちょっぴりシミジミもする、明るく綺麗な味わいです!】

今回は赤白、届いていますので、まずは赤のツヴァイゲルト100%から行きましょう。
15年ほど前までのオーストリアの赤ワインとは思えないほど、しっかりした色合いをしていますね。香りにスピードが有り、自然派系の造りで有ることが感じられます。
ツヴァイゲルト種ツヴァイゲルトレーベとも言われ、サン・ローラン種とブラウフレンキッシュ種の交配で生まれたと言うことで、サン・ローラン種がピノ・ノワール系統ですから、ピノっぽいニュアンスも感じられますし、タンニンのしっかりした品種であるブラウフレンキッシュ種との交配で、
「ピノ・ノワールとカベルネ系のブレンド的ニュアンス?」
かな?・・などと感じています。noisy 的にはちょっぴりカチッと硬質感の在るピノ・ノワール・・・みたいな感じに捉えています。
仕上がりは非常に綺麗で、チャーミングさのあるエレガント系です。とてもドライですが、瑞々しく、伸びやかです。明るいし新鮮だし、飲んでいて楽しいワインです。
だから・・詫び寂び・・までは感覚が付いて行かない可能性も有ります。「明るい」ですから・・ね~・・詫び寂びって、どこか、
「水墨画的」だったり、「ちょっと暗いとか、陰を生かしたお茶室」みたいなイメージを・・いや、あくまで noisy的にはですけどね、持っちゃってますんで、
「詫び寂び言うてますが・・実はちゃんとしてます!」
と言う感じです。リーズナブルで美味しいです。スクリューキャップです。

こちらはもうお馴染みになってきました、グリューナーです。見るからにしっかりしていますよね。
決して重くは無いですが、軽くは無いです。結構にしっかりしています。僅かに残糖が感じられますが、そこに寄り掛かった構成にはなっておらず、ミネラリティの下支えと酸の構成バランスに長け、果実感もしっかりしています。
So2は少ないようですが、アヴァンギャルド系に良くある揮発酸の要素は全く感じられません。色合いがやや暗く感じられるかもしれませんが、そのようなネガティヴさは無いです。
むしろ、高級シャルドネとか、グリューナーでももっと凄く凝縮していて高価なものだと、やや高めの温度帯で飲まないと「酸っぱい」ことになってしまいがちなので、
「白ワインをやや冷やし目で飲みたい!」
とか、
「今日はお刺身・・ワインは何にしようか・・」
などと言うシュチュエーションにピッタリかと思います。11度位で飲んでも香りも味わいも沈まないです。
オーストリアのワビ=サビをご紹介させていただきました。まあ、上記のようにワビ=サビの理解は異なっても、日本食にも合いそうなことは間違いないクリアで明るく、結構にナチュラルだが安定した味わいが受けると感じます。是非飲んでみてください。お勧めします!