● ジュヴレの新人をご紹介させていただきます。期待は大きいです!2019年がファースト・ヴィンテージで日本にも入って来ていましたが、Noisy wine では2020年ものが初めての扱いになります。
ジュヴレの「アン・シャン」(だと思います)と言う村名の樹齢の高い畑から、どうやら1アイテムだけ造っているようです。ここはブロション村と接するジュヴレの北の端に位置しており、1級畑の「シャンポー」の真下ですので標高も高く傾斜も有って冷やかで美しい酸を描ける畑だと思います。
今回、非常に少ないですが何とかお分けいただき、しっかり休めてテイスティングさせていただきました。2018年までドメーヌ・ジャンテ・パンシオにフェルマージュしていた畑だそうですが、パンシオのような抑揚を抑えた感じのディテールとは異なる美しい酸の抑揚が有り、その上で滑らかでナチュラル感もしっとりと伝わって来ます。派手さは無いが、むしろ現在のクロード・デュガが目指していそうな理想と程近いようなニュアンスを受けました。
今後はどうなるのか・・新たな畑の展開とかが気になりますが、シャルル・マニャンが言うように、
「凄い生産者になる!」
可能性を秘めたドメーヌだと思っています。是非一度ご検討くださいませ。

ジュヴレ・シャンベルタン村の「ドメーヌ・アンリ・マニャン」の当主で、同村の栽培者組合長兼アペラシオン保護管理委員会のプレジデントを務めるシャルル・マニャンが、「間違いなく凄い生産者になるから」と熱烈にお薦めしてくれた新星ドメーヌです。
ル・ゲレック家は、ジュヴレ・シャンベルタン村に北接するブロション村に1910年より続くぶどう栽培家の家系です。1991年の2代目翁の引退に伴って、畑をジュヴレ・シャンベルタン村の「ドメーヌ・ジャンテ・パンジオ」にフェルマージュ賃貸していましたが、2018年の契約期間満了を機に、フランス国立衛生安全局の農業技師として植物保護の研究に従事していた4代目ミカエル・ル・ゲレックが継承することになりました。醸造家としての新しい人生を歩むことを決断した彼は、上記「アンリ・マニャン」のシャルルの下で修行した後「ドメーヌ・ピエール・アミオ」で栽培に従事していた元義兄のアルノー・デュクエとともに、「ドメーヌ・ル・ゲレック・デュクエ」を設立し、2019年より自身のワイン造りを開始しました。
植物保護や環境保全の必要性を誰よりも理解しているミカエル、そして自然をこよなく愛するアルノーは、継承直後から実質ビオロジックの厳格なリュット・レゾネ栽培を開始。翌2019年には、畑に限らずドメーヌ運営のあらゆる点において高度なサステナビリティが求められる「Haute Valeur Environnementale(高い環境価値)」の最高段階「レベル3」の認証を取得しました。

「私の下での修行を希望する、無数の醸造家の卵たちを受け入れてきましたが、その後友人と呼べるまでになったのはアルノーだけでした。畑では、まるでぶどう樹を慈しむかのように心のこもった仕事をしてくれました。醸造所では、誰もやりたがらないような面倒な仕事にこそ進んで取り組み、かつ、すべてが正確でした。私が出張などで一定期間ドメーヌを留守にする間、鍵を預けられたのは、彼だけでした。アルノーとミカエルの独立後、ファーストヴィンテージのジュヴレ・シャンベルタン2019を樽から試飲させてもらったのですが、シルクの衣のように上品な口当たりに衝撃を受けると同時に、まるで彼らの人柄が表れているかのような、優しさに溢れたナチュラルな味わいに心を打たれ、ちょっと泣いてしまいました」
(シャルル・マニャン)。
総面積わずか3.5ヘクタールのミクロドメーヌだからこそ、造り手の目が、手が、心が、あらゆる細部まで行き届く。
「栽培も醸造も、すべての仕事を私たち自身の手で、私たちが納得できるまで行います。樹齢90年のぶどう樹たちが命を燃やすようにして結実させてくれるぶどうの、凝集されているがゆえの純度の高さ、1000の香り、そして深海の玄奥をたたえる滋味を体感することができ、幸福感を感じていただけるようなワインを造ることが、ぶどう樹たちへの恩返しになると考えています」(ミカエル・ル・ゲレック&アルノー・デュクエ)。