● ご紹介は初めてになりかもしれません。ガンベッラーラの自然派で、非常にピュアで非常にナチュラルです。おそらく酢酸系の香りを出すのは大嫌いな生産者だと思います。
一応、ビオロジックと言うことになっているようですが、noisy 的な理解では、「ビオディナミの調剤を使用する=ビオディナミ」 なので、もしかすると、ビオディナミの調剤がビオディナミで造られていない?・・のかもしれませんが・・そこまでは判りません。
ただし、そのあたりは余り意識しないで大丈夫だと思いますよ。品質管理には気を使っていただきたいですが、飲む時はイージーに飲んでください。そして、
「いや~・・意外にも・・深い味わいをしてるかも・・」
などと気付いていただけましたら幸いです。
■エージェント情報

【ドメーヌについて】
ジョヴァンニ・メンティは、19世紀末に設立された家族規模のワイナリー。創業者のジョヴァンニ・メンティ氏は、現在のオウナー(名前は同じくジョヴァンニ)の祖父にあたり、もともと自分たち家族で消費するために造っていたワインの販売をはじめた。
現在ワイナリーは、ガンベッラーラの歴史的な地区にある7.5haのブドウ畑を管理している。栽培されているブドウ品種は、ガルガーネガとドゥレッラ。これらのブドウから、辛口の白ワインと、陰干ししたブドウから得られる甘口の白ワインが造られている。畑の管理からボトリング、さらには発泡性ワインの醸造にいたるまでの作業はすべて、自分たちのチームで直接行われている。 自然と地域の伝統に対して最大限の敬意を払ったうえで造られるワインは、最高のクオリティを求めたコルク栓で封をされ、エレガントに外装を整えられる。
2007のこと、ワイナリーはISO 9001:2000の認証をうけた。これは、品質を高めていくうえで、新たな一歩を踏み出したことになる。
長年にわたり、このワイナリーのワインはイタリアを代表するワインガイドに掲載されている。重要なイタリア国内のレストランに加え、ヨーロッパのみでなく、アメリカやアジアのインポーターや、個人顧客に購入されている。
作業はすべて、手作業で、自分たちで行っている。冬の剪定はステーファノとその父がすべて行い、それ以外の誰の手も借りない。ステーファノ父子は、それぞれの畑を知っていて、土壌の構成によって左右される樹勢の強弱や、それぞれの樹の樹齢、斜面の向きにあわせて、どのように剪定を行うのかを決めている。剪定を行った古い樹には、その後の植樹のため、1年経った若い樹を接ぎ木する。若木からなる小さな畑の数々は、ガンベッラーラの地で最も典型的な畑なのだ。
剪定にくわえ、冬の間には、緑肥を行う。オーガニック農法によって得られた数種の植物の種を蒔き、春の草刈期には、水分や様々な物質を土壌に残す。数年をかけ、それらの様々な物資が、土壌やブドウの樹々に有益だと認識することができた。また、ビオディナミのプレパラート500番である雌牛の糞をつめた雌牛の角と、501番(補足:牛の角に水晶の粉をつめたもの)も冬の間に準備を行う。
冬の終わりには、legagioneを行い、土壌が十分に水分を含んでいれば、より生きた土壌にするため、1度か2度、プレパラート501番の処置を施す。
ベト病からブドウ畑を守るため、銅と、含有アルコールの蜜蝋を用いる。オイディウム対策としては、鉱山性の硫黄を、蛾にはバチルス・チューリンゲンシスを用いる。天気予報を注意深く確認し、処置がなるべく少なくて済むようにしている。
もし春に雨が多く降れば、プレパラート501番である水晶をつめた牛の角の処置を必要な回数だけ施す。そうすれば、ブドウの葉はより軽くなり、大気中の日光との伝達がよくなるのだ。
出会い:
3月初旬にヴェネツィアのレストランで出会ったとあるワインに惹かれ、ヴェローナ近郊の造り手をヴィニタリー直前に訪ねました。17世紀の農家の作業場めいた醸造所は、冷んやりとした澄んだ空気に満たされ、建物が呼吸していることが感じられました。森の側にある畑は冷涼で、もちろん灌漑もしていません。年若き生産者が、2001年に父親と仕事をするようになってからビオロジックに転換したためか、鷹・鷲・雉・うさぎなど様々な生物がいて理想的な環境が整っています。
「何故、今まで、どの試飲会にも参加しなかったのですか」
と尋ねたら、
「ヴィ・ナチュールの人たちとは考えがあわず、ヴィニ・ヴェーリは新しいエントリーを受け付けていなく、ヴィニタリーは参加費が高すぎて縁がなかった。けれども、今年VI VI Tが設けられ、しかも出展料が安いので、初めてヴィニタリーに参加することができた」
という答えが返ってきました。
若さに似ず、しっかりとした考え方と理論がみごとに栽培・醸造を貫いており、それに基づいて造られる自然な醸造のワインには、優しさと芯のある確かな味わいが満ち溢れています。陽のしずむ夕方の訪問時、教会のカリオンが響く美しい村に春の訪れを感じ、幸せな思いでいっぱいになりました。イタリアの自然派ワイン界は、メンティの登場で面目を一新したといっても過言ではありません。ソアーヴェ地区の東に隣接する畑から、かくも理にかなった各種のワインを、抑えられた情熱をもって秘かに育て上げてきた、造り手ステーファノ・メンティ氏に、満腔の拍手を贈りたいと思います。
(2012年4月発行 『ラシーヌ便り』No.78 合田泰子)
【畑について】
土壌:粘土質の沖積土壌、火山性土壌
【醸造について】
醗酵:ステンレスタンク、バリック(古樽)
熟成:ステンレスタンク、バリック(古樽)