● しばらくご案内出来なかったドメーヌ・ド・ラ・ノブレのシノンをご紹介させていただきます。今回は Noisy wine のセラーで6年弱保存したものを中心にお届けいたします。
赤はカベルネ・フランのシノンですから、若いうちの華やかさにビター感を楽しむ・・と言うのも良いのですが、5年ほど熟成させて丸くなり、バランスが良くなった状態がベストのはず・・みたいに思っています。
まぁ・・決して意図的にそうした訳でも無く、余りの忙しさにかまけてしまった結果では有りますが、ロワール中流のトゥーレーヌ地区のスター、シノンを美味しく楽しんでいただけましたら幸いです。
-----
初めて扱わせていただくことになった生産者をご紹介します。ロワールはシノン地区のドメーヌ・ド・ラ・ノブレです。
ご当主は何とあのシャトー・ペトリュスで修行されたとのことで、メルロとカベルネ・フランの扱いには長けているんじゃないかと想像しています。
実際今回ご紹介させていただく4アイテム全てをテイスティングさせていただきましたが、そのどのキュヴェもミネラリティに富み、美しいスタイルを見せ、それぞれに特徴有る見事な味わいを見せているのには驚きました。
またさらに驚くことには、物凄く「リーズナブル」なんですよ。フィネスさんの扱いのワインは結構・・高価になってしまう場合が多いんですが、ほとんどデイリープライスで行けちゃいます。
しかも、シノンの赤はカベルネ・フランですから、その若い時の特徴として、やや青っぽいニュアンスが出やすいのに、例えば「シヤン・シアン」などは全くそのようなニュアンスが支配的になることなく、僅かにスパイシーなニュアンスとして感じられるなど、見事な仕上げになっています。
是非この機会に、
「美味しいシノン」
を飲んでみていただけたらと思います。ご検討くださいませ。

DOMAINE DE LA NOBLAIE
ドメーヌ ド ラ ノブレ
地所:ロワール地方 シノン地区
http://www.europeancellars.com/producer/domaine-de-la-noblaie/
シノン城から車で15分ほどのところに居を構える当ドメーヌは数百年前から葡萄栽培を含む農業を営んでおり、1953年に初めて自社瓶詰をしました。1968年、ボルドーの国立農業専門学校を卒業したフランソワ ビヤール氏がドメーヌを引き継いで畑を少しずつ増やしていきました。フランソワ氏は地元の醸造学校で醸造学の講師としてロワールの若い生産者を何人も育ててロワールワインの発展にも貢献。2003年、彼の息子でありポムロールのペトリュスなどで修業を積んだ現当主ジェロム ビヤール氏がドメーヌを引き継いで、常に品質の向上、テロワールとヴィンテージのキャラクターを尊重するワイン造りを心掛けています。
ドメーヌが所有する畑のほとんどは醸造所に隣接していてその周りには葡萄畑を守るように樹木が生い茂っています。ドメーヌの畑は南東向きの盆地の頂上に程近い場所にあるので周囲の天候から隔離されてミクロクリマを形成しています。土壌は「テュフォ」と呼ばれる炭酸塩堆積物(石灰岩の一種)が主でその上に粘土質などが堆積しており、ワインに豊かさと骨格、熟成できるポテンシャルを与えています。
合計2300haあるシノンの畑の約98%がカベルネ フラン種でシュナン ブラン種の畑は50ha弱しかありませんが、歴史の長い当ドメーヌは貴重なシュナン ブラン種の畑を5ha、カベルネ フラン種の畑を19ha所有しています。ほとんどの区画がドメーヌに隣接しているので常に畑の状態を観察し、細かな気配りや迅速な対応が可能なのでビオロジック農法に適した条件が整っています。
また、ワインのクオリティを上げるには収穫量を制限するしかないという哲学で摘芽や摘房を厳しく行い、収穫は全て手摘みですべてを1度に収穫せずそれぞれの成熟具合を見ながら行います。カベルネ フランについては成熟が遅い区画と早熟な区画で2~3回に分けて行います。シュナン ブランは成熟具合が不均一になりやすい品種なので房ごとに吟味しながら4回に分けて収穫します。

左の写真は5世紀に造られた石灰岩タンク
●CHINON ROUGE PIERRE DE TUF
カベルネ フラン種100%。1943年植樹のドメーヌで1番古い粘土質区画の葡萄を使用。他のキュヴェとは違い、15世紀に造られた石灰岩タンクで醸造、12ヵ月樽熟させます。ピジャージュをじっくり行うことで種や果皮のアロマを引き出し、リッチで凝縮した旨味と複雑味、余韻の長さがあるポテンシャルを感じさせる味わいに仕上げています。
●CHINON ROUGE LES CHIENS CHIENS
カベルネ フラン種100%。ドメーヌの裏にある粘土質土壌の樹齢約35~55年の葡萄を使用。ステンレスタンクで醗酵、樫樽で14~16ヵ月間熟成させます。他のキュヴェよりアルコール醗酵を長くさせることでスパイシーなアロマを表現、パワフルで肉厚な旨味と余韻にしっかりとした渋味を感じる飲み応えのある味わいになっています。
左の写真は Les Chiens Chiensの区画
●CHINON ROUGE LES BLANCS MANTEAUX
カベルネ フラン種100%。当ドメーヌ唯一の石灰質土壌区画のカベルネ フランのみを使用。樹齢は60年を超え、葡萄の粒がとても小さいのが特徴。ステンレスタンクで醗酵、そのまま12~14ヵ月間熟成させます。口当たり柔らかで酸味も丸く、繊細でエレガントな味わい。カベルネ フランの青い特徴をあまり感じさせない飲みやすい造りになっています。
〇CHINON BLANC LA GRANDE OURSE
シュナン ブラン種100%。石灰質土壌の樹齢50年の葡萄をステンレスタンクで醸造、澱上で4ヵ月熟成させます。マロラクティック醗酵はヴィンテージによります。とてもフルーティでたっぷりとしたアロマ、酸味も豊か。樽を使っていないので重い印象はなくフレッシュでバランス良く飲みやすい味わいになっています。ボトリティス菌が付く前に収穫した葡萄のみ使用しています。

丘の斜面を掘ったトンネルカーヴと畑で見つかった白亜紀のアンモナイトの化石