
■エルヴェ・ジェスタンについて
1982年以来デュヴァル・ルロワで20年以上にわたり醸造長を務め、若くして名声を博した後、栽培醸造コンサルタントとして国際的に活躍。マルゲやフルーリーなどのメゾンの品質向上に大きく寄与し、カリスマ視されることも多い大御所醸造家です。
2006年から自らの名を冠したシャンパーニュをリリースしたが、その中身は2010年までマルゲのサピエンスと同一である。長年にわたるビオディナミの研究成果と、ホメオパシーの思想を栽培だけでなく醸造にも応用。「ワインにある種の生命、知識と意識を宿させることが、私が長年取り組んだワイン造りの核心」だと語り、試飲では「惑星のエネルギーを感じて下さい」とのヴィジョンも口にする。シャンパーニュは全て、単一年生産でヴィンテージを明記。
年により、瓶内二次発酵後のシュール・リー熟成を120ヶ月以上行う。2009年、キュミエール村に長年有機栽培だった0.5haの畑(クロ・ド・キュミエール)を購入し、栽培、醸造を一貫して自ら手がけるシャンパーニュの製造を開始した。
■ヴァレ・ド・ラ・マルヌについて
マルヌ渓谷という名の通り、シャンパーニュ地方を横切るように東西に流れるマルヌ川沿いに、東西約80kmに渡って続く広大なエリア。主要な畑は川の北岸斜面、つまり南向きとなるが、川の南岸・北向き斜面にもブドウは栽培されている。
土壌は石灰岩以外に、粘土質や砂質なども多様な土壌が現れる。川の主流およびその支流がかたち作る谷の地形によって、湿度が高く、また霜害も受けやすい。そのため、開花が遅く収穫が早く、病害に強いピノ・ムニエが作付けの8割近くを占める。
グラン・クリュは、トゥール・シュル・マルヌ村と、南向きの急斜面を多く持ち優れたピノ・ノワールを生むアイ村の2ヶ所。

■シャンパーニュについて
パリの北東約150km、北緯49~50度で、近年のイギリスなどの例外的な地域を除くブドウ栽培の北限とされる寒冷な地方。年間平均気温約10.5℃。約32.900haにおよぶAOC圏は319の村、240.000の区画にまたがり、栽培農家は約19.000軒。自社瓶詰め生産者も約2.000に達するが、全生産量の約3/4は、モエ・エ・シャンドンなど大手6社が占める。
地質的には中生代白亜紀後期の白亜質石灰、およびジュラ紀キメリジアン階の泥灰岩、石灰岩が中心となる。1600年代末までは非発泡ワインの産地で、現在の瓶内二次発酵、およびデゴルジュマンを経る通称“シャンパン方式”での製法を発見・定着させたのは19世紀、ヴーヴ・クリコの功績である。
よく俗説に出るドン・ペリニオンは、実際は存命時の17世紀には邪魔ものとされた泡を、いかに抑制するかに腐心したとされている。またこの地は、寒冷地ながら、ブルゴーニュよりさらに多い10.4t/haもの法定上限収量が認められている。