● エペルネイに本拠を置く最も小さく最も優秀なグラン・メゾンと言われるネゴシアン・マニピュラン、ゴッセをご紹介させていただきます。
スタイルとしましてはシャンパーニュ各地の秀逸な村からの葡萄を購入、サロンやルイ・ロデレールのようにマロラクティック(二次発酵)を回避、活き活きとした酸とフレーヴァーを感じさせる味わいを基本としています。
多くのファンを持つ勇逸なNMです。今回は特に・・
「特売!」
と言うことでご案内させていただきますが・・味わいも中々に素晴らしいものが有りました。どうぞよろしくお願いいたします。
◇ ノン・マロラクティック+長期熟成
シャンパーニュで最も古い歴史を持つメゾン。創設当初からマロラクティック発酵を行わないスタイルは現在まで引き継がれている。葡萄が本来持っているリンゴ酸が長期瓶内熟成を可能にさせる。

◇ マロラクティック発酵はしない
「ゴッセ」はマロラクティック発酵を行わない。
『リンゴ酸は葡萄本来が持つ自然な酸。この酸は熟成させることで長い余韻と深みを与えてくれる』
通常葡萄に含まれるリンゴ酸は3~5g/l。マロラクティック発酵を行う事でリンゴ酸は1g/l以下にまで減少してしまう。
『マロラクティック発酵はワインを温め、培養乳酸菌を加える必要がある。更に発酵後にはスーティラージュも必要。これによって葡萄本来のピュアな味わいは失われる』
「ゴッセ」では1次発酵後、ワインを10度以下に冷却する事でマロラクティック発酵を抑えている。デゴルジュマン時の総酸量は6g/l(通常のシャンパーニュは3~4g/l)。
モンターニュ・ド・ランスとコート・デ・ブランが中心。70の村、200軒以上の栽培家から購入しており、若手注目株の造り手「クレモン・ペルスヴァル」も「ゴッセ」の仕事を認めていて葡萄を売っている。本拠地アイ村から30km圏内のグラン・クリュやプルミエ・クリュが主体だが「コート・デ・セザンヌ」や「ヴィトリィ・ル・フランソワ」のシャルドネも注目している。
『コート・デ・ブランをベースに2つの他地域のシャルドネを加える。コート・デ・セザンヌのシャルドネは骨格と厚みを、ヴィトリィ・ル・フランソワのシャルドネはしなやかさを与えてくれる』

ピノ・ムニエはエペルネに近いオーヴィレ村などマルヌ河右岸の村を選んでいる。
『チョーク質のムニエは粘土質のムニエと比べて骨格がある。モンターニュ・ド・ランス北部のシャムリィ村などの砂地で育つ軽やかなムニエと合わせて使用することでバランスする』
マルヌ川に沿って西へ行くほど葡萄の価格は下がるが、葡萄の酸が減り凝縮度に欠けたものになる。その為「ゴッセ」ではシャティヨン・レ・バスティーユより東側の葡萄のみ使用する。
2016年より醸造責任者を務めるのは「オディロン・ド・ヴァリーヌ」。前醸造責任者「ジャン・ピエール・マレネ」と10年以上共にワインを造り、彼の理念をそのまま引き継いでいる。

『我々のシャンパーニュは長期瓶内熟成が必要。シャープで質の高いリンゴ酸は若い内はやや攻撃的だが、瓶内熟成させると次第に旨みに変化する』
長期間の瓶内熟成が、彼等のシャンパーニュに独自の旨みをもたらす。一般的なシャンパーニュは15ヶ月の瓶内熟成後直ぐにリリースされるが、「ゴッセ」ではベーシックな「グラン・ド・レゼルヴ」でも最低48ヶ月。平均60ヶ月以上の長期瓶内熟成を行っている。2016年には180ヶ月以上瓶内熟成させたノン・ヴィンテージシャンパーニュをリリースした。
『NVシャンパーニュが熟成しないと考えるのは間違いだ。良質の酸を残した原酒を使えば、NVでも熟成により偉大なシャンパーニュになる』
「ノン・マロラクティック発酵」というスタイルは決して変えない。しかし常に新しい事へも挑戦していく。