● ドイツはバーデンのシュペート・ブルグンダー、つまりピノ・ノワールですね・・の新規生産者をご紹介させていただきます。noisy のところでは初めての扱いになります。
先だってはヴァーゼンハウスと言う凄いバーデンの造り手をご紹介させていただきました。noisy 的にも「目から鱗」と言うか、いきなり30年近く昔に身体も心も持っていかれた・・ような感覚を覚えたワインでした。それがドイツ・バーデンのピノ・ノワールだったと言うことで、現在の状況を再確認することになった訳です。
まぁ、比較するのも何では有りますが、今回ご紹介させていただくエンデルレ・ウント・モルもヴァーゼンハウス同様に「二人組」なんですね・・なんとなく因果を感じます。
しかしながらその味わいは・・
「全く違う!」
と言わざるを得ません。
目指している方向性は・・おそらく一緒なんだと思います。しかし仕上がったワインは全く違う・・んです。
仮にブルゴーニュだとして、さらには大きく言ってしまえば、ヴァーゼンハウスは「ブルゴーニュの王道」を知った上で、最上のシュペートブルグンダーを造りたい・・と言う意思の発露が感じられます。事実、ブルゴーニュワインに比較しても劣らないポテンシャルが有ります。
エンデルレ・ウント・モルは、そこは見ていないでしょう。ナチュラルが基本です。当然ながら収穫量もさしては制限しない感じが見て取れます。ヴァーゼンハウスは・・そこはしっかりするでしょう。その部分が大きく違うと思うんですね。
ナチュールワインとしては、収穫量を人的に制限することさえ・・避けたいと考える場合も有ります。あの大御所、ジャック・セイスのデュジャックは、色合いの淡い、でも素晴らしいピノ・ノワールのグラン・クリュをリリースしていました。多くの人々が、
「彼は相当に収穫制限をしているに違いない」
と考えたそうですが、実は、ほとんど制限をしておらず、特に上級キュヴェは制限ギリギリ(単位収穫量の制限が有るので)だったと言われています。つまり、
「畑に任せる」
「葡萄がなりたいようにさせる」
と言う基本を持っていたんだと思われます。・・あ、今のデュジャックは全然違いますんで・・はい。
まぁ、その辺は考え方だと思います。コート・ド・ニュイの偉大な畑を多く持っていたとすれば、畑に任せても大丈夫な面も有るから・・です。別に収穫制限を厳しくしなくても、畑が、葡萄の樹が、ちゃんと落としてくれるんですね。しかし、さほどでは無い畑では人的関与が必要な場合が有ります。それは、「より良いワインを造るには・・」と言う人の考えが有るからです。
ヴァーゼンハウスは当然ながら、畑に完全に任せると言う造りでは無いと思います。そしてそこからブルゴーニュワインもビックリ品質に仕上げます。
エンデルレ・ウント・モルは、かなりのパーセンテージで畑に任せていると感じます。最低限の関与・・と言うことかと・・しかし、畑を観察し、良い方向へ向かうように、いつも気を張っていると感じます。
仕上がったワインはピュアさをかなり押さえつけた上で成り立つ「ナチュラルさ」を大きく感じる「超繊細」な味わいです。柔らかなテクスチュアと大きく無い味わいの起伏の穏やかな味わいなんです。
そのワインがピュアだと感じる感覚は、時にナチュラルさをかなり削ったワインでも有ります。むしろ、日本の自然派ワインの味わいの延長上にも有る・・と感じられますので、
「日本のワインが大好きな方には、最高の選択になる」
と思いますし、ナチュラルワインが大好きな方にも大きく受け入れられるでしょう。
じゃぁ、ブルゴーニュ・ピノ・ノワール大好きな方はどうか・・と言うと、少し微妙になってくると思います。ナチュラルさが勝ったピュアさですし、「起承転結の展開が非常に穏やか」なんですね。それでも、大昔のデュジャックやトルショーのような瑞々しいブルゴーニュワインが大好きな方もおられますので、そのようなお好みですと「ピッタリ!」となる可能性が高いです。
いずれにしましても、
「超繊細、瑞々しくも穏やかな展開を見せる滅茶ナチュラルな味わい」
をしています。是非一度お試しくださいませ。
■エージェント情報

【ドメーヌについて】
2007年にスヴェン・エンデルレとフロリアン・モルの2人が設立。2人が知り合ったのは2003年から2005年までカイザーシュトゥールの醸造学校に通っていた時のことだった。スヴェンがオバーロットヴァイルのベルヒャー・シュミット醸造所で研修している間、フロリアンはベッツィンゲンのヘッフリン醸造所で研修をしている(どちらもカイザーシュトゥールの生産者)。
醸造学校を卒業後、スヴェンはケンツィンゲン・ボンバッハにあるビオの醸造所Dr.ベンツに就職し、畑での仕事を任された。一方フロリアンは、2005年の秋に南フランスのシャトー・ドゥヴィヴィエで醸造に携わる。この時期にお互い偶然にビオディナミを用いたブドウ栽培を知る。2006年にはスヴェンがミュンヒヴァイアーの上手にある小さな手入れの行き届いたブドウ畑を借りる機会を得、それが今日まで続くエンデルレウントモル醸造所の出発点となった。そして1年間考えた後に、2人は2007年の始めに冒険に挑むこと、つまり自分達の小さな醸造所を設立することを決意した。2009年には、2008年の11月末に手作業で瓶詰した初リリースとなる『ピノ・ノワール2007』が初めて発売され、続いてスパークリングのセッコ2008(注:ワインに炭酸を添加した手軽な発泡性ワインをドイツでは『セッコ』と呼ぶ)とミュラートゥルガウ2008が続いた。現在畑面積は2haほどに増え、今後は6haほどまでに徐々に増やしていく予定。
2人が目指すワインは没個性的な、量産型のワインではなく、それぞれの畑とそれぞれの土壌の特性を生かすことで、個性に満ちた『自分達の』ワインを造るということ。例えば赤ワインは、醸造過程で清澄や、フィルター濾過、ポンプの使用を行わず、中古のバリック樽で12~15ヵ月間熟成している間も、澱引きしたり移し替えたりしないことにしている。こうすることで、それぞれのブドウ畑の異なった気候条件を含む立地条件を、できるかぎり直接的にワインの中に表現することを目指している。
【畑について】
栽培:ビオロジック
土壌:雑色砂岩土壌、石灰岩土壌
堆肥:ロバの糞から自分達で作ったものと、天然原料のビオロジックに基づき作られた既成肥料を併用(化学肥料、合成肥料は使用していない)。
【醸造について】
圧搾:垂直型プレス
醗酵:プラスティック容器(200~1.500L)
熟成:ステンレスタンク、木樽
【素晴らしいバランス!穏やかな起伏の中にも微細な表情、そこからのさらなる発展のある見事な味わいです。】

え~・・ここは写真には写って無いかな・・判り辛いと思いますが、写真を撮っている本人には判るんですね。と言うか、比較してみれば一目瞭然なんです。
「顔が実に良い!・・美しい!」
んですね。
グラスに入ったワインの見た目が実に端正なんです。他のキュヴェと比較しても・・です。何しろ、このように数アイテムのテイスティングをする時は数日に渡り、1~2本、時には3本一緒に開けます。
すると、グラスに入ったワインがいくつか出来ますよね?・・で、そうなってグラスだけになった時、
「・・あれ?・・どれが・・どのワインだっけ?」
となってしまう可能性が有りますよね?
でも、この「ピノ・ノワール・ブントザントシュタイン」は、隣にリアゾンが在ろうが・・判っちゃいます。簡単ですよ。素晴らしい顔をしていますから・・物凄く端正で美しいんです。
このエンデルレ・ウント・モルらしい、瑞々しさや一体感、優しさはどのキュヴェも同一です。しかし、この「ブントザントシュタイン」は・・品格とか質感とかが異なるんですね。しこはしっかり自己主張します。
超エレガント系のピノ・ノワールの中でも超エレガントで美しく、芯を強く主張しないのに芯が強い・・んです。
これは飲んでもらわないと伝わらないかな・・。まぁ、リアゾンを村名としますとこちらは1級格以上・・と思っていただけましたら判るかと思います。
ジェラール・シュレールのシャン・デ・ゾワゾー的、香水的アロマもほんのり有りますし、似通った部分も感じられますが、デ・ゾワゾーのような強さ、硬さは皆無です。是非淡く美しく香る超繊細系ピノ・ノワール・・是非ご堪能ください。言っておきますが・・ブルゴーニュワイン的では無いものの、エンデルレ・ウント・モルのキュヴェの中では最もブルゴーニュワインに近いと言えると思います。ご検討くださいませ。
【このムッシェルカルクはチョーク質がやや強め?・・起伏もリアゾンよりやや大きいです。】

超繊細系ピノ・ノワールです。こちらがムッシェルカルクと名付けられたキュヴェです。なるほど・・リアゾンとは少し違う性格です。
リアゾンは非常に柔らかでフィルムのように感じる透明なミネラリティなんですが、こちらはもっと白くてややカッチリと硬さを感じるミネラリティです。そこに黒とか赤とかの色を感じるミネラリティ・・鉄が多いのかな?・・鉄っぽさ、金属っぽさの入った感じがします。
リアゾンよりも起伏の大きさは有り、ダイナミックでは有りますが、それでもエンデルレ・ウント・モルらしい瑞々しさ、柔らかさ、繊細さは同一です。
まあ、よりジュヴレっぽいのがこちら、まとまりの良いしなやかなヴォーヌ=ロマネっぽいのがリアゾンでしょうか。勘違いされると困りますが、あくまで例えで有って、
「このムッシェルカルクがジュヴレ=シャンベルタンそっくり!」
と言うことでは有りません。二つのキュヴェの違いを端的に現わしただけです。
それにしても穏やかです。そして非常にスムーズ・・優しい味わいです。でも冷やしすぎるとこの手のワインは表情が沈んでしまいますんで、10度ほどで飲もうなどとは考えないでくださいね。リアゾンとの比較も面白いかと思います。ご検討くださいませ。
【バーデンの超繊細系ピノ・ノワール、是非飲んでみてください。売れ筋だと思います!】

「リアゾン」と名付けられたキュヴェです。今回は2016年と2017年ものの2アイテム有ります。
リエゾンって・・ご存じでしょうか。フランス語の場合が有名でして、「連音」などと訳されます。通常は発音されない語尾の子音字が次に続く語の語頭母音と結合して発音される現象のことを言います。まぁ、日本では結構安易に「略」されてしまっていますので、余りご存じないかもしれませんが、判りやすいところだと・・
「レ・ザムルーズ」
ですよね。
これは、les + Amoureuses です。別々に発音すると、「レ + アムルーズ」ですが、フランス語的な発音では無いとしても、「レ・ザムルーズ」となります。les の語尾の子音の 「s」 と Amoureuses の「A」が加わって「ザ」と発音するんですね・・判ってるよって?・・すみません。
なので、テクニカルが無いのでハッキリは言えませんが、おそらく二つか二つ以上の畑の葡萄を相乗効果を狙ってセパージュしているキュヴェなのかな?・・と想像しています。
ベーシックのリーズナブルなキュヴェ、「バーズィス」には僅かに揮発酸由来のアロマや味わいが感じられましたが、こちらはほぼ皆無。ですが非常にナチュラルで、ピュアさも生きています。

味わいの傾向は「バーズィス」同様に起伏の穏やかな表情、起承転結の繋がり方、繋ぎ部分が滑らかです。
新鮮なベリーなニュアンスに非常に柔らかなフィルムのようなミネラリティが心地良いです。「ジューシー」などとは決して言えない濃度ですが、エキスはキッチリ出ているのが感じられます。
特にそれは2016年ものと2017年ものの比較で判ります。2017年ものだけを飲んでいると寿命が見え辛いですが、2016年ものを飲んでみると、意外や意外・・結構に「芯の強さ」を感じさせてくれるんですね。
大昔のデュジャックの下の方のキュヴェはこんな感じだったように思います。上のキュヴェになるに従い、その起伏は振幅を大きくして感じさせてくれました。まぁ、その頃は自然派ワインなんて言葉は無いし、デュジャック=ナチュラルワインなんて意識もゼロでしたけどね。
だけれど、
「デュジャック香(こう)」
と言う言葉が有った位ですから・・お若い方々は知らないと思いますが、そんなですから、ブラインドのワイン会でデュジャックが出ても外したことは有りません。(・・覚えてないだけかもしれませんが・・)
そして、その非常に淡い色合いと(熟が入っているとエッジのオレンジも非常に淡い・・)独特のハーブや花やスパイスのアロマを嗅ぎ、またもしくは僅かな揮発酸由来のアロマを受け取り、もしくは若ければ僅かな還元のニュアンスを受け取り、
「デュジャック!・・x年のxx・・かな?」
などと言っていたのでしょう。
noisy にとってもなつかしさを感じさせるしなやかなワインでした。是非飲んでみてください。こちらはブルゴーニュワインファンにも行けると思います。
【超繊細系ピノ・ノワールのヴァン・ナチュールです!日本のワインが大好きな方にはツボに入るに違いありません。】

ラシーヌさんには少し前から入っていたようなんですが、初めての扱いです。ですので出来る限りテイスティングしてみました。で・・結論、
「超繊細系シュペートブルグンダー!瑞々しく優しく滑らか!」
と言う味わいでした。
また、ピュアさも無くは無いですが、このベーシックなキュヴェは「ナチュラルさ」がピュアさを覆い隠します。僅かに存在する揮発酸由来のアロマがノーズに、余韻の最後にその味わいが感じられます。
しかし、それは増長はせず止まっています。これだとその存在に気付かない方も多いレベルです。
色合いも淡く、アルコール度も12度台ですので穏やかです。その表情の起伏と言うか、起承転結のような移り変わりも実に穏やかで、ある意味、料理の邪魔をしないと言えますし、繊細なだけに微細に伝わってくる、ある一面の表情が、そのお料理を引き立ててくれる・・そんな感じですね。
ヴァーゼンハウスはもっと、ブルゴーニュブルゴーニュしてました。ただしその反面、ナチュラルさは削られていました。どっちが良いかはその方の好み・・と言う部分に大きく左右されるでしょう。
ビオロジックとのことですが、かなりのビオ寄りのキュヴェです。
「この優しい包容力に全てを委ねられたらな・・」
と、慰めて欲しい方にはピッタリでしょう。でも、ブルゴーニュのピノ・ノワール命の堅物さんには合わないと思います。是非ご検討くださいませ。