● それなりに長くこの世界にいる noisy も、まだまだ知らないことが多いようです。・・と言うか、有望な若い方々がどんどん出て来ているんですね~・・。ヴァーゼンハウスしかり、このテッレ・ヴィヴェ・マトゥネイも・・です。
数アイテム届いているんですが、テイスティングが進まず少し遅れてしまいました。ようやっと飲んでみると・・
「・・こりゃぁ・・只者では無いな・・」
と言う感覚で迎えることになりました。相当に美味しいですよ。
余り濃いのは得意では無い noisy では有りますが、それでもこういうのは大好きです。是非飲んでみてください!

■自然と田舎の風土を愛する夫妻の新たな挑戦
マトゥネイは2015 年に誕生した小さなファーム(農園)です。アルベルト・ブリニョーロと妻のカルラは、四季の移ろいの中で仕事と人間が密接に絡み合っていた古来の仕事を通して、現代人が忘れてしまった人生の瞬間を取り戻しながら、持続可能な農業の新しい形態を再発見したいという想いから、それまでしていた仕事を辞めて、人口100 人に満たない小さな村アルフィアーノ・ナッタに移住し、カルドナの丘の耕作放棄地と古いブドウ畑を引き継いで農業を始めました。
■コスパの高いピエモンテのナチュラルワイン
二人が暮らす地方では、30 年前にランゲ地方で起こったような新しい世代のブドウ栽培家によって変革が起こっています。地元のナチュラルワインの造り手達に触発されて、二人も地場のローカル品種を栽培して、ナチュラルワインを造り始めました。栽培はビオディナミの手法も取り入れたビオロジックで、醸造面でも添加物は一切使わずに、野生酵⺟で発酵を行っています。私達も二人のワインを試飲しましたが、まだ初ヴィンテージから数年にも関わらず、非常にコストパフォーマンスが高く、クリーンなナチュラルワインで、感銘を受けました。
彼は化学薬品は一切使わず、地場の⾃然の⽣態系を守り、何よりもブドウの質を最重要視して、農作業を尊重しながら働いていました。良質なワイン造るためにはブドウの質が最も⼤切なことは明⽩です。しかし、イタリアでも買い取りブドウの価格は⽣産コストに対して十分なものでありません。このため、多くのブドウ栽培農家が低品質のブドウを⼤量に売却しています。これらのブドウは、質の低さを補うために⼤量の化学薬品を添加して醸造されています。貧しい農業政策による悪循環と⾔えます。とても残念なことです。
しかし、夫妻はこの隣人を通して、地元の他のナチュラルワイン造り⼿達とも知り合い、彼らから多くのことを学びました。そして、このモンフェッラート地⽅では、30 年前にランゲ地⽅で起こったような新しい世代のブドウ栽培家が物事を変え始め、⾃分でワインを造り、畑のテロワールを表現するワイン造りをしていること。素晴らしいワインが⽣まれ、忘れられていたブドウ品種が再発⾒されていることを知ったのです。ブドウとワイン、そしてその伝統には真の可能性があること。ワインとは、地元のテロワールと文化、そして地元の人々について、世界中の人とコミュニケーションする最良の⼿段の1 つであることを認識したのです。
そこからは、勉強と情熱が一緒になりました。ゼロからブドウ栽培とナチュラルワイン造りを始めることは非常に厳しいものでしたが、アルベルトとカルラは、偏⾒は持たず、好奇⼼に満ち溢れた「純粋な⼦供の目」でワインの世界に飛び込みました。そして、ナチュラルワインを造る地元の友人達から学びながら、ナチュラルワイン造りをしています。
■畑と栽培について
マトゥネイのブドウ畑は、アルフィアーノ・ナッタ村にあります。栽培面積は約3ha で地質は粘⼟石灰岩。5 つの異なる区画に分かれています。地場品種のグリニョリーノとフレイザ、バルベーラ、ネッビオーロを栽培しています。栽培はビオロジックで合成化学物質や除草剤などは一切使⽤しません。ビオディナミの⼿法も既に取り入れており、将来的にはビオディナミへの移⾏する計画です。畑作業は全て⼿作業で、四季と⾃然のリズムに応じて⾏われています。醸造は、添加物は一切使わずに野⽣酵⺟で発酵を⾏います。
マトゥネイのワインは、畑と醸造所における細⼼の注意を払った仕事と、ワイン造りへの情熱の結晶です。それぞれのワインについて、ストーリーを伝えることができる名前を付け、エチケットのデザインは、アーティストによるものです。マトゥネイの畑とワインは、Suolo e Salute「⼟と健康」を意味する、農産物加⼯と環境保護の管理運営及び認定を⾏うイタリアの組織によってビオの認証を受けています。
また、マトゥネイでは2016 年から考えを同じくする同じ村の造り⼿クレアルトとともに、協同組合「Terre Vive テッレ・ヴィヴェ」を創設しました。共同プロジェクトとして、昔の仕事や地場のロ-カル品種、テロワールなどについて学び、地元の古い⼯芸品や領地、⼟地固有のブドウを広く伝える活動をしています。そして、それぞれの畑で栽培されたブドウの一部を持ち寄って、マトゥネイのワインとは別に共同組合「ヴィノ・ディ・トゥッティ」のブランド名でワインを醸造して販売しています。
【軽やかさの中に深みを持った、ネッビオーロの近種フレイザ!・・ナチュールながらもマトゥネイらしい、美しい味わいです。】

店頭でポツポツと売れてしまっていまして、いい加減にご紹介しないと・・・などと思っていましても、中々になんだかんだと時間を取られることが多く、1年近く経過してしまいました。
軽やかでちょっとふんわり、イチゴやほんのりラズベリーっぽく、甘ったるさが無いながらもエキスの充実した味わいが滅茶心地良いロゼです。
フレイザ種と言ってますが、これも2種以上あるようで・・赤でリリースされているものを飲むと、
「ちょっとドシッとした感じの大きさを感じるネッビオーロ?」
みたいなものと、
「やや軽めのクイクイ飲める感じのポピュラーなフレイザ」
みたいなものが有り、こちらはその中間・・でしょうか。どちらかと言えば・・ロゼなので軽めなんですが、それにしてはエキスの味わいが美しく、リーズナブルではあるけれど、葡萄の質にこだわっているタイプだと感じました。

色彩も、綺麗な赤と言うよりは・・
「ん?・・まさにオレンジっぽい?」
ですよね。
これは黒い葡萄を漬け込んでいるので、その時に出た色素を得た上で圧搾していますから、
「黒葡萄を白葡萄的に醸造したロゼ」
です。
なので、言ってしまえば・・
「黒葡萄のオレンジワイン??」
と思っていただいても良いのかな・・と。もっとも noisy はオレンジワインの定義を良く知りませんので・・基本はピノ・グリを漬け込んだもの?・・位です。
あっけらかんとして飲みやすく、エキスの美味しさが身体に染み入るニュアンスです。
あ、また・・これは1年ほど前に入っていますので、今よりも相当ユーロが安かった時期です。なので、
「最新作は500円近く上がる?」
と考えていただいて結構です。旨いのでどうぞよろしくお願いいたします。
【淡く美しい色彩から、比較的大きなパレットを描く本格派の赤!・・渋みの質感の良さがマリアージュに生きます!】

グリニョリーノです。強い抽出をすると苦みや渋みが出やすいかな・・と感じています。
ですがこちらは・・色彩をご覧になられてもそう見えるかと思いますが、淡いですよね・・ピノ・ノワールの方がむしろ濃いかと・・。もしくはブルゴーニュのピノ・ノワールとほぼ同様な感じの淡さです。
ベリー系の果実のニュアンスに、ほんのりスパイス、少しワイルドなアロマが有ります。非常にドライでピュアです。甘みは全くと言って良いほど有りませんで、めちゃエキス系です。
それに加え、ふんわりとしたナチュールな感覚、しかしアヴァンギャルドではない・・危険性の無い美しさが有ります。
アルフィアーノ・ナッタと言う村は、アスティから直線で真北に16キロほど行った場所に有り、人口が・・
「たったの700人!」
と言う村のようですので、そんなところから・・
「グーサン」
なんですね・・noisy はグリニョリーノだからグーサンさんなのかと思っていましたが、貧しい時代に生きる農民絡みのお話しから付けたようです。

今は温暖化で、むしろ今まで陽当たりに少々の問題が有った地区の葡萄が、むしろ脚光を浴びる要素が高まっているようにも感じます。
このグリニョリーノによる赤ワインも、本来ですと・・もう少し南の地区で造れたら、もっと良いワインになるだろうと・・感じていました。しかしながら、
「ネッビオーロ」
と言う高貴種の存在が・・それを許さないのでしょう。
しかし・・ネッビオーロにしても、その種の大きさ由来のタンニンの多さを克服しての・・バローロやバルバレスコ、ランゲなんですね。
ここはモンフェッラートでしょうから・・
「やや影の有る感じ」
がむしろ特徴で、その冷ややかさが生む冷涼な特徴こそ、この地区のワインの美味しさだと感じます。飲んでみてください。こちらも・・おそらく最新作はもっとずっと高く、3千円ほどになってしまうんじゃないかと思います。お薦めです!・・やや高めに引っ張って飲まれると甘みが増すと思います。