【ちょうど4年前にご案内させていただいた2014年のプルミエ・ポンが再入荷!・・4年の歳月が美しく磨き上げた「超自然派のブルゴーニュ・ピノ・ノワール」の変化を是非ご堪能下さい!】

こういうのは・・良いですよね。昔ご案内させていただいたワインのリバイバル・レヴューとでも言うのでしょうか・・違うかな・・同じワインを時を経て再び再レヴューする・・
まぁ・・あの時はあんな書き方をしたけれど、4年の月日を経たらこうなった・・と書く訳ですから、
「ん~・・しまった!・・間違ってたか・・?」
と言うような気持ちにもなるかもしれないし、
「いや・・良いよね・・やっぱり。言ったことに違いは無い・・かな?」
みたいな、少し自己肯定の満足感を感じることになるかもしれないし・・
しかしながら、お客様も常に同様なシュチュエーションに出会う可能性が有る訳ですから、ワイン屋もリリース時だけ、ちょこっと舐めるだけに終わらず、スキルを高めるべきだろうと・・ちょっと・・・いや、かなりか・・偉そうに思ったりもしているんですね。
で、第一印象ですが・・めちゃ肯定的でした!・・やはりプルミエ・ポンは、ヤン・ドゥリューのラインナップに在っては、
「比較的リーズナブルながら高質で、ヤン・ドゥリューの頭の中が少し透けて見えるような味わい!」
であると・・思うんですね。
「頭の中が判るって・・どういうこと?」
と思われるかもしれませんが、おそらくヤン・ドゥリューがどんな考え方をしているか・・とか、このキュヴェをプルミエ・ポンに選択した理由とか・・をテイスティング結果と合わせてみると、それなりの結果が導き出せそうな感覚が浮かぶ・・そんな感じです。

彼はそもそもSo2を使いませんから、それに頼った結果にはならない訳ですね。
ですから、揮発酸の生成には相当気をつけているはずですが、少々の生成に関しては許容する・・と言うスタンスです。So2が生むコア感・・は必要無く、流れるような味わいの中に瑞々しい味わいと華やかなノーズがテロワールを含んだものであれば良い・・と言うものでしょう。
このワインは2014年収穫ですからすでに11年目を迎えたピノ・ノワールですが、海外メディアが平気で言うような、
「収穫年から6~8年の間が飲み頃(もしくは6~8年以内に飲むべき)」
みたいな言葉は、まったくの間違いであることは明瞭に判ります。
前回のリリース時にはややストレートに上がって来た揮発酸のアロマは、ほぼ溶け込んで目立たなくなり・・と言いますか、他の要素が時に育まれたお陰でその表情はやや飲み込まれた・・とも言えるかもしれません。
非常に丸くなってエレガンスが前面に出始め、コア感も熟成により感じられるようになっています。瑞々しい余韻が有り、そこからのノーズへの再帰には、若々しいチェリーでは無く、滑らかで熟したチェリーが感じられます。
二枚目の写真は、2014年もののご紹介の時とほぼ同画角になるようにしてみましたので、色彩から若々しさが後退し熟成感が出て来ているのが判り易いと思います。
やはり、プルミエ・ポンを飲んでしまいますと同時にテイスティングさせていただいたPTGとかラ・グゾットなどの2021年ものは・・
「美味しいけれど・・まだ若造なんだなぁ・・」
と思ってしまい、プルミエ・ポン2014の素晴らしくバランスの取れた味わいのグラスばかりを持ってしまいそうになります・・いや、他のキュヴェをダメだと言っている訳ではなくて・・
「ワインの味わいは時が磨く!」
と言うワインの性質を再認識せざるを得なくなる訳ですね。
是非飲んでみてください。心地良い酔い、酔い覚めが約束された超自然派のSo2無添加ピノ・ノワールで、是非ヤン・ドゥリュ―の頭の中を覗いてみてください。お薦めします。
以下はこの2014年プルミエ・ポンの、2021年初頭当時のレヴューです。
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【ここから始まるブルゴーニュ・ピノ・ノワール新時代!】
判る人にはきっと判るでしょう。サン=ヴィヴァン修道院がどのような存在で有るか・・そして、あのD.R.C.もそこで「白ワイン」を生産し、ビオ系のショップに卸していたことも・・。
そして、このグラスのピノ・ノワールの色合いを一瞥されても、きっと判るはずです。そのエッジには、酢酸生成がなされた証拠が見えることを・・。
非常に伸びやかな、美しいピノ・ノワールです。もしあなたが酢酸、揮発酸にある程度の許容を持っていらっしゃるのでしたら、全く問題の無いレベルの生成がされ、ワイン内に存在しています。ですので、もしあなたが酢酸、揮発酸に拒絶反応を占める方であるなら、そしてそれを修正しようとは思わないようでしたら、全くこのワインは有り得ないので買うのは止めてくださいね。
それでも、これから、ここから始まっているブルゴーニュ・ピノ・ノワール新時代を覗いてみたい・・・付き合っていきたい気持ちがあるようでしたら、是非、時間を掛けて、この1本とお付き合いください。一嗅ぎだけして安易な判断をせず、一口すすって諦めず・・が重要です。
そこまで拒絶反応の無い方でしたら、何も気にすることは有りません。この「レ・プルミエ・ポン」が話しかけてくるのをただ待っていれば良いんです。きっと、饒舌に話してくれると思いますよ。
開けたては少し閉じ気味です。僅かに揮発酸のニュアンスがノーズにも有ります。色彩にもそれは有りますが、余韻の全てまで浸食し、ワインを台無しにしてしまうようなレベルのものでは有りません。それはすでに止まっていて、要素の一部分に関与しているだけです。
15分ほどしますと、相当に「伸びやか」になってきます。やや閉じていた時のネガティヴさ(僅かですが)は消え、さらに膨らみとテクスチュアの滑らかさを増して来ます。それはまた見事に一体化した味わいですが、そこから驚くことにピュアなフレーヴァーが出てくるんですね。
言ってみれば、最近は滅茶苦茶高くてビックリの、「ドメーヌ・ビゾ」にも似ています。プリューレ・ロックに居たのだからロック似では?・・と思いがちですが、彼にとっては
「ロックは通過点だった」
と・・申しているようです。そこからすでにかなりの時が流れていると。
そして、やがて飲み手さえも一体化に取り込んだかのような、不思議な印象を受けます。
「このワイン・・このピノ・ノワールは、どのように評価すれば良いんだろう?」
きっとそう思われるに違いないんです。
このフィルムのように「くにゃくにゃ」に柔らかいテクスチュアとフレーヴァー、鈍角で入って来るのになんの痛みも無く、身体に馴染んで行くニュアンス、本来は余り好きではない・・中盤から余韻に掛けての揮発酸のニュアンスさえ、全て「一緒くた」にした上で、
「ん?・・じゃぁ、ブルゴーニュ・ピノ・ノワールって・・どんな姿が正解なの?」
と問いかけてくるようでも有ります。
そしていつの間にか、「肯定派」に属している自分に気付くと思うんですね・・いや、そこだけはご自身でお確かめください。すぐ開けても良いが・・決して・・
「短い時間で飲み終えないで・・」
とお願いしたいと思います。何故って・・
「飲めるけれど、まだ完熟していないから・・」
です。
何か、ちょっと禅問答みたい?な感じになってしまいましたがお許しください。気になる方にお勧めしたいと思います。