ドメーヌ・デ・クロワ
デ・クロワ
フランス Domaine des Croix ブルゴーニュ
● 元々は、ドメ ーヌ・デュシェをそっくり購入したようですね。デュシェの、ほのぼのとした土っぽいボーヌのワインとは雲泥の差を感じてしまいます。
また、昨今は、このデ・クロワの評判が鰻登りになっていまして、お問い合わせの非常に多いワインです。
今回は、一番の売れ筋のボーヌ・ルージュをご紹介しますが、次回、僅かな量のACブル、ボーヌ1級などを限定でご案内する予定です。
●2009 Corton Grand Cru la Vigne au Saint
コルトン・グラン・クリュ・ラ・ヴィーニュ・オ・サン
【ボーヌの多様な姿を、とても美味しく堪能できます!超お奨めです!】
■2009年ドメーヌ・デ・クロワ(不)完全ガイド
リアルワインガイドでも高い評価を得て、巷でも騒がれ始めているデ・クロワの2009年をご紹介します。なかなかに素晴らしい仕上がりです。
デ・クロワのダヴィッド・クロワは、noisy が思うには、「葡萄主義」なのかな?・・・と思っています。ネゴス出身だとどうしても「材料を得てから思慮する」クセがあるんじゃないかと思ってます。2008年のデ・クロワは、しっとりとした、実に優しく膨らむ果実が美味しいワインでした。2007年は少し硬めの仕上がりでしたが、赤黒果実が凝縮していて、村名ボーヌなど、滅茶苦茶安くて旨かったですよね。で、2009年のデ・クロワですが、実にしっかり出来ています。・・・と云うよりも、しっかり過ぎるほど、素晴らしい「作品」を造ってしまった・・ようにも思えます。
「ん?・・どこが違うのよ・・?」
と思われるかもしれませんね・・はい、聞こえますよ~。そうですよね。それに答えないとね。・・まあ、作品を創る芸術家のように・・ですね。そこに観客はいるんですが、造り手と観客はいるけど・・飲み手はどこにいるの?みたいに感じるほど、凄い作品なんですよね。
おいおい説明しますが、どのワインも素晴らしいです。でも、すぐ飲んでおいしかった2008年や2009年に比べると、熟成に時間が掛かりそうなんですね。下のクラスはそれほど顕著では無いので、すぐ飲んで大丈夫ですが、いずれにせよ、2006、2007年に比べれば、熟成に時間が掛かると覚えておいてください。その代わり、その少し増えた時間を超えさえすれば、その偉大な作品を手にとって良く見る、愉しむ事が可能です。上級のコルトン・グラン・クリュに至っては、
「30年間充分持つだろう」
と予想しました。まあ、凄いワインです。有る意味呆れましたが・・!是非飲んで、その意味をお確かめいただきたいと思います。
●ブルゴーニュ・ピノ・ノワール
昨日まで飲んでましたんで・・印象深いですよ。赤い果実に石灰系ミネラル、エキスの甘み。しっかり出たアルコール分がボディを形成、適度な膨らみを持ち、余韻も長い。アルコール分が練れてない感じがまだ有るが、いずれ溶け込んでくるはず。通常のボーヌの村名以上のクオリティが有る。
少し若いですが、実に美味しく飲めます。実はこのワイン、とても数が少なくて・・レアでも有ります。
●ボーヌ・ヌージュ
綺麗な赤い果実。素直な甘いエキス。エレガントで適度な膨らみが実に良いニュアンスで取れる。しっとりしていて美味しい。
こちらも少しアルコール感が有りますが、徐々に解消されてきているところです。届いた直後は荒れていますし、それも有るのでしょうが、2009年は糖度がしっかり上がったのでしょう。キッチリ発酵させるとこのようにエキスの旨みは出てきますが、アル分が高くなり、少し休ませる必要が有ります。上級クラスになればなるほど、その期間は長くなりますが、このクラスはちょっと休ませる程度で済みでしょう。お奨めします!
●アロース=コルトン・レ・ボティエール
ふっくらとしたボーヌとは対照的に、ややカッチリとスタイリッシュないでたち。赤い果実で綺麗でスムーズな味わい。なかなか良い。端麗な美しい旨みが涼やかに拡がる。
バランスが良いですね。アルコール感は強くないです。コルトン系は石灰感が強く、ややカッチリした仕上がりになりますが、どこかシャンボール的な要素にも繋がっています。お勧めです。
●ボーヌ・プルミエ・クリュ・レ・サン・ヴィーニュ
しっとりとした美しい赤いアロマ。甘くエキスの美しい味わい。石灰系ミネラルの絹ごしのテクスチュア。適度な膨らみで美味しい。後の旨みの質感が高い。
2008年より2009年が旨いです。土っぽいニュアンスが昇華して果実に変化しているような感じです。実際には冬を越えて暖かくなる前辺りに一段と味わいが載ってくるのでは?と思います。
●ボーヌ・プルミエ・クリュ・レ・ペルテュイゾ
少し硬め、深い紫のアロマ、少しタンニンが有るが甘いエキスの味わいに見え隠れする程度。スパイス、綺麗だが少し乾いた余韻。黒味の入った果実も出てくる。そしてなめし皮・・妖艶だ。凝縮していて高級なリキュールの様。かなり旨い。
エキスがふっくらして甘いので、高質なカシスリキュールのようなニュアンスも感じます。美味しいです。
●ボーヌ・プルミエ・クリュ・レ・ブレッサンド
一面の粒を持った紫。軽やかで伸びが有る。でも出しゃばらないスパイス、甘いエキス、適度な膨らみでとても美味しい。やっぱりピカイチ。味幅もしっかり有って実にジューシー。きれいなネットリさも有る。
さすがのレ・ブレッサンドでした。紫の絨毯に包まれたような・・・それでいて強さも感じます。とても大きい造りです。少なくとも20年・・行けるでしょう。
●ボーヌ・プルミエ・クリュ・レ・グレーヴ
このワインだけは昨年も少なくて・・・今年も6本です。これだけは飲めませんでした。レ・ブレッサンドをいつも超えると思われるレ・グレーヴです。実はレ・ブレッサンドと隣り合わせなんですが、それでも違ってきちゃうのがブルゴーニュなんですね。お早目にどうぞ。
グラン・クリュ
●コルトン・グラン・クリュ・ラ・ヴィーニュ・オ・サン
来い紫。綺麗なアルコール感。昇華したエキス。とても綺麗だがとても強い・・が甘みが素晴らしい。ジューシーで、動物的、ボリューム感たっぷり。ポテンシャルの高さを感じる。
●コルトン・グラン・クリュ・レ・グレーヴ
しっとり感。意思、岩、石灰、紫の果実。リキュール・エキス感が凄い。でも硬い。・・・見事に硬い。要素の全てが甘く、そして濃度が凄い!
まあまあ・・どうしましょ・・というようなコルトン・グラン・クリュです。超大作です。まるでハリウッドの映画のようです。本物の古い蒸気機関車を持ち込み、実際に線路を引いて、西部劇をやっているような感じです。でもアルコール感は強いです。でも、その部分で長い熟成は約束されたでしょう。早く飲みたい方には凶報、熟成させたい方には吉報です。是非、この大作に挑戦してみてください。
まとめ:
2009年のデ・クロワは、大なり小なり、良かれ悪しかれ、しっかりとしたエキスのボリューム感が有ります。それはやはりたっぷりなアルコール分に由来するものです。さっさと飲むことを考えると、上級キュヴェほど厳しいです。まあ、ACブル~1級クラスではそれほどでもないですが・・。ちょっとだけ休ませてあげてください。「グググっ」と味わいが載ってくるでしょう。要注目の造り手です。是非ルーミエ・フーリエクラスまで成長してほしいと心より願っています。以下は以前のコメントより転載しています。
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【ボーヌの多様な姿を、とても美味しく堪能できます!超お奨めです!】
たった4本しか入ってこなかったレ・グレーヴを除き、他をテイスティングしましたが・・・やっぱりデ・クロワは美味しいですね。決して濃くない・・エレガントながらも、しっかり・・充分に凝縮しているんです。そして、決して抽出が強くない!・・・それがこのエレガンスを生んでいるものと思います。
飲んでないボーヌ・レ・グレーヴは、レ・ブレッサンドの南に接する畑で、どちらもボーヌでトップクラスの実力です。
ボーヌでトップクラスとは言っても、並の生産者がほとんどのボーヌに有っては、生産者を選ばないと全く当たらないことになってしまいますのでご注意くださいね。ここは、デ・クロワだからOKだと・・思ってください。
で、レ・グレーヴは飲んでいませんが、滅茶苦茶旨い、後述のレ・ブレッサンドよりも価格が高いことから、より条件が良い畑なんだろうと推測しています。ドメーヌ・デュシェの時代でも、レ・ブレッサンドとレ・グレーヴは抜きんでていたように思います。
まずレ・サン・ヴィーニュは、例えてみれば、ボーヌの中に有る「クロ=ヴージョ」です。アーシーで、美しい土のニュアンスが前面に出ています。熟すにつれ、ボディの膨らみが増え、厚みを増し、獣っぽく、スパイシーに、力強く芳醇な味わいになって行くものと思います。現在はしっとりしていて、とても大人の味わいで、とても良い感じです。畑の場所はレ・ブレッサンドと接していますが東側で、標高が少し低い部分です。
レ・ペルテュイゾ は、ボーヌの中心からはかなり南にずれた、クロ・デ・ムーシュに近い部分に有ります。こちらは幾分ポマールっぽい感じですが、現状は赤い、とても綺麗な小果実が沢山感じられ、スタイリッシュで実にエレガントです。ポマールっぽい鉄っぽさとスパイシーなニュアンスを含み、徐々に大柄に成長して行くでしょう。何度も言いますが現状はまだ赤く、徐々に赤さも深まり、ダークな赤みのチェリーっぽいニュアンスに溢れた味わいと、ポマールっぽい鉄っぽさが増したものになって行くはずです。これも現状でも充分に美味しいですが、先行きも実に楽しみです。
レ・ブレッサンドは現在絶好調です!このワインは、ボーヌの中のシャンボール=ミュジニー・プルミエ・クリュとも言える様な味わいで、チェリーやベリーが薫り高く、シルキーなテクスチュアで飲む者を歓待してくれます。チェリッシュなジュースが、クリスタルでコーティングされているような、透明なミネラル感があり、滅茶苦茶美味しいですね!むしろ、シャンボール・プルミエのような「押し付け感」・・・これから20年後に美味しいよ・・・それだけ凄いワインなんだよ・・みたいなリキミが余り無く、それでも高質なトーンが伝わってくるんですね。素晴らしい出来だと思います。畑はボーヌの北西部の標高の高いところに有ります。これよりも西に行くと、コート・ド・ボーヌのシャルドネが多く植わっている畑になります。つまり、石灰系のミネラルがタップリ存在しつつ、しかも表土が薄い・・それでもピノ・ノワールが育つべくの赤い土が混じっている、素晴らしい組成の畑なんですね。
どのワインも素晴らしいと思います。飲んでないレ・グレーヴは取り合えず置き、現在の時点で一番大柄なのはやはり、レ・ブレッサンドです。しかも果実感が中心です。次いでは、レ・ペルテュイゾとレ・サン・ヴィーニュが同率ですが、さくらんぼチックなレ・ペルテュイゾに対し、アーシー、スパイシーなレ・サン・ヴィーニュということになります。しかし、後者2者は、どんどん成長、変化して行きますので、とても楽しみな存在です。
2008年は、ネガティブなイメージがつきまといますが、このデ・クロワも滅茶苦茶旨いし、前頁でご紹介させていただいた、イヴ・ボワイエ=マルトノなど、さらにいつもよりも良いんじゃ無いかとさえ思えてしまいます。やはり生産者を選ぶべきなのでしょうね。
今回のデ・クロワは、ある種マイナーと思われているボーヌの1級のテロワールを、物の見事に美しく、美味しく教えてくれる存在です。価格もリーズナブルなものです。是非、この機会にご検討ください。数は余りありません。超お奨めします!
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