JPボニーさんの2005年ものはnoisyはすっ飛ばしてしまいましたが、やっぱり自身で確かめていないものに関しては、中々扱えないですから、今回の2006年、きっちりテイスティングしてお届け致します。皆さんも、気にはなっていたものの、新しい造り手は手を出し辛い面がありますよね。
リアルでのファビエンヌさんの写真はなかなかの別嬪さんで、2人もお子さんがいらっしゃるようには見えませんし、ドメーヌを切り盛りするような、土の臭いなどは漂っては来ませんでした。しかしながら、JPボニーのワインを飲んでみると、実に土臭く、人の手を充分に掛けた強さを感じるものでした。
女性が造るワインだから・・・という面と、堀晶代さんの本に書かれたファビエンヌさんのコメントを読んでみると、
「きっとエレガントなスタイルのピノなんだろうなぁ・・楽しみだなぁ・・」
と思っていましたが・・・しっかり裏切られました・・・。
「・・・男っぽい・・・」
・・・まあ、人間は概観からだけでは判らないものです。でも造っているワインを飲んじゃうと結構性格まで正確に判るんじゃないかと昨今は感じています。ワイン屋を止めてワイン相談屋にでもなろうかと・・・でも何をどうやったら良いのかは未定です。
結構、芯の強い方なのでしょうね。そして仕上がったワインはクラシックなスタイルです。一見「武骨」なようにも思える味わいです。
しかし、彼女の美しい部分は「タンニン」に出ていました。とても強いがしなやかで甘い上質なタンニン・・・。それが彼女のニュイ・ワインの真骨頂でしょう。このJPボニーのテイスティングと同時に、あるブルゴーニュ生産者の痛んだワインも飲みましたが、圧倒的なタンニンの美しさにある種の感動さえ覚えたものです。
で、このタンニンに甘い果実味が乗っていると、一昔前に流行った濃厚系ぽっちゃりワインになってしまうんですが、ドライな味わいが全体を引き締めていました。
確かにこのようなクラシックな造りでは、
「すぐ飲んで滅茶苦茶旨い!」
とは成りません。畑の格による若干の熟成を必要とします。
●2006 ブルゴーニュ・ピノ・ノアール やや武骨ながら、美しいタンニンが将来を約束している味わい。甘さはまるっきり無いので最初は「おや?」と思うかもしれないが、飲むにつれ僅かな果実の存在が徐々に大きくなってくる。タンニンが溶け込んだときが最高の飲み頃と言え、3年後からがベスト。今からも飲めないことは無い。
エージェント情報
2.03ha。平均樹齢30年。粘土石灰質。12~15ヶ月間樽熟成(新樽は使用しない)。畑はニュイ・サン・ジョルジュ村の国道の東側にあります。ごく一部、ニュイ・サン・ジョルジュ・レ・ダモードに南接するアン・ラ・ペリエール・ノブロのぶどうをブレンドしています。
●2006 ニュイ・サン=ジョルジュ・レ・ダモード ヴォーヌ=ロマネに接する畑。1級格の畑も有るが、こちらはさらに上部の村名格。しかし、レ・ダモードらしいパワフルな側面と、甘さに逃げない完全発酵が良い結果をもたらしている。やや渋いが徐々に旨味に変わってくる。時間を掛けて飲むべき。最高の飲み頃は5年後から。3年後からはかなりソフトで複雑性も増すはず。
エージェント情報
0.85ha。平均樹齢40年のVV。粘土石灰質土壌。新樽(30%)やレシュノーの1回使用樽で15ヶ月間の熟成。レ・ダモードはヴォーヌ・ロマネ村に接し丘の中腹にある優良畑。看板商品です。
タンニンがまず最初に感じられることから、どうしても感覚が渋みに偏ってしまうのがクラシックな造りのブルゴーニュ・ワインの欠点だが、飲むにつれ、他の味わいを感じるので、結局は「結構大きな体格のワイン」で、「男っぽいぜ!」みたいな美味しさを感じさせてくれるわけです。これで、後口が苦かったり、妙な酸味やエッジを感じたりしてしまうと、飲みたくもなくなってしまいますが、段々とJPボニーのワインに引き込まれて行く感じです。
将来が楽しみな女流の造り手・・・ということで、是非一度はお試しください。お奨めします。
堀晶代さんの本を読んで「美しい人がつくる、美しいニュイ・サン・ジョルジュ」が気になっていた方、ボニーは今回発売の2005年Vより、私たちがお届けいたします。(また美人醸造家が増えてしまいました・・・!)。2000年にドメーヌを継いだファビエンヌ・ボニー。創業当初から「土を感じるとか、力強いとかではなく、それこそシャンボールのようにピュアで女性的なニュイ・サン・ジョルジュを造りたいのです」と明確な意思を表明していた彼女は、幼い娘さんを2人抱えながら、この難題に4年間挑戦し続けてきました。そして、「当たり年だからこそ、生産量をあえて減らして質の追求に没頭した」2005年、ついに、ついに完成した「私の飲みたかったワイン」。それは、ただひたすらに艶やかで美しい、前代未聞のニュイ・サン・ジョルジュでした。彼女は本当によく頑張りました。

所在村Nuits-St.-Georges
所有畑面積6ha
醸造家Fabienne Bony(31歳)
(ドメーヌ継承年)2002年
栽培における特記事項 厳格なリュット・レゾネ。化学肥料、除草剤、殺虫剤等は一切使用しない。土を頻繁に耕し土壌を活性化
醸造における特記事項 選果台での厳しい選果。除梗100%。天然酵母のみを使用
販売先 フランス国内80%(400人以上のリピーター個人客、地元ブルゴーニュのワインショップ)、輸出20%
掲載実績のある海外メディア Guide Fleurus
参照できる日本のメディア 「リアルワインガイド ブルゴーニュ」(堀晶代著)P43