【4千円そこそこのワインがこんなに旨いなら、もうこれからはこれで良い!・・なんて思われると困っちゃいますが、2017年のエロくエレガントなアロマとはまた微妙に異なるソソラレ方を持っている見事な2018年ものです!】

2017年ものが持つ、やや枯れた感じを伝えながらも凛としていて、艶っぽさからの官能感と、まさにブルゴーニュ!・・と思わせてくれるエレガンスに・・やられちゃった方も多いんじゃないかと思うんですね。
むしろ2017年と言う、ある種特殊な部分を持つヴィンテージだったからこそ、そのエレガンスが助長されたとも言えます。・・特殊と言うのは・・まぁ、葡萄の樹と言うのは非常に人間的でも有って、前年に余り実を付けなかった翌年は、一生懸命に実を生らしたがる・・んです。グリーン・ハーヴェストを余りやりたがらない生産者も多いので・・健康な葡萄が結構な量、採れた可能性の有る2017年ものは、反面的に濃い造り手と、普通に淡い造り手がいたんですね。
ドラルシェの2017年は包括的にすべてエレガントだ・・とは言えませんが、このレ・ブティエールは実にエレガントで美しいエキスが熟で昇華した見事な味わいでした。
2018年のドラルシェのレ・ブティエールは・・まずはグラスの写真を見ていただきましょうか・・。
「・・おっ?・・」
と思わず声が出ちゃうほど・・違いますよね~。
濃いと言うほどじゃないですが、2017年よりは明らかに・・濃いです。
で、味わいはですね・・これが何とも心をくすぐってくれるんですよ。
ブルゴーニュワインとしますと、色彩はちょうどレベルな濃度・・です。アルコール分も13パーセントと絶好の濃度・・。2017年ものはやはり幾分淡いですから、2018年ものは幾分に濃いと言うことになります。

ですが、ブルゴーニュワインとして濃い・・と言うんじゃないんですね。エレガンスはしっかり、濃度もそれなり、密度は2017年ものより少し濃い・・です。
その分、2017年ものにはさほど無かった「果実感」がちゃんと有って、しかしリリースされたばかりの若いワイン...例えば2020年ものが見せるような「ピチピチした若い弾力を感じさせる果実感」とは全く異なるんですね。
適度に丸さや柔らかさが有ります。その果実感がビターながら何とも心地良い訳ですよ。グラスを振って行くと・・
「おっ!?・・これは2017年ものが見せた色っぽさが先に見えるぞ!」
と言うような感覚になり、ベルベットなテクスチュアから漏れてくる表情が若さと熟成の狭間で、時間を引き戻したり進めたりしてくれます。
いや・・このタイミングでも滅茶美味しいんじゃないか?・・などと考えていたら、
「・・あ・・そうだ・・どこかにパカレの古いペルナン=ヴェルジュレス、無かったっけ?」
と思い立ったら・・もう見つけないと気持ちが収まらなくなりまして・・見つけてしまいました!
なので、この下の方に1本だけ2004年のパカレ、ペルナン=ヴェルジュレスが有ります。ついでに2003年のポマールも出て来たので・・それも出しました。
そちらの色合いは、ま~・・エッジのオレンジが広いこと!・・輝いていて、まるで夕焼けのようですよ・・。もしご興味が有りましたらお早めにどうぞ。もう手に入らないでしょう・・18年もののペルナンと19年もののポマール、どちらも村名です。
と言う訳で、4千円そこそこでこれほど美味しい村名は早々無いと思います。エチェンヌ・ドラルシェ、これからも見守っていきたいと思います。是非飲んでみてください。超お勧めです!
以下は以前のレヴューです。
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【最高です!エキス系の薄旨ながら激エレガントで滅茶官能的!ブルゴーニュ・ピノ・ノワールの理想形のひとつがまるでオート=コート並みにリーズナブルです!誰も注目してないのがラッキー!必飲です!】

ブルゴーニュ・ピノ・ノワールファンなら、これはもう買うっきゃ無いです!・・下手すればA.C.ブルも買えないほどリーズナブルな村名です。
しかも・・あ、地理的な部分が不明ですよね?・・そもそも・・ニュイ=サン=ジョルジュとペルナン=ヴェルジュレスは、さほど離れていないですので・・はい。
で、北を向いて顔をちょっと上げればすぐそこにコルトン=シャルルマーニュの畑が拡がります。このレ・ブティエールの辺りは、アロース=コルトンとサヴィニー=レ=ボーヌ、そしてペルナン=ヴェルジュレスの接点です。レ・ブティエールの真上(西側)が、ペルナン最高の畑と目される「1級ヴェルジュレス」です。
ちょうどコルトンの丘(森)=Bois de Corton のシャルルマーニュを挟んだ南西のクリスマスの丘(森)=Bois de Noel の間に有るのがこの村名のブティエールなんですが、旨い具合にシャルルマーニュ的な白さを強調するようなミネラリティと、コルトン=ルナルド的な動物香(狐の脇腹と言われます)が合わさった感じでして、
「何とも妖艶でエレガント・・薄旨系で今から飲み始めてちょうど良い熟の具合」
じゃないかと思うんですね。
まぁ、シャルルマーニュ的なミネラリティがそれなりに有るのが影響してか、決して濃く無い色彩です。そして、マリウス・ドラルシェと言えばコルトン=ルナルドが素晴らしいんですが、ルナルドはル・コルトンの真下にありながら・・ル・コルトンの精緻で真っすぐに美しいスタイルとは結構に違って、滅茶妖艶なブケを出してくれます。
細かいことを言いますとル・コルトンも僅かにその傾向は有るんですが、そこはルナルドならでは・・の凄く卑猥なブケです。で、このブティエールは何と・・
「それに近いブケが何とも官能的で素晴らしい!」
んですね・・。

もう、抜栓直後からその妖艶さは感動的に香ります。液体の方は抜栓直後は少し締まっていますがエキスがきれいに出ているので、2~3発スワリングするだけで・・徐々に解れて来て・・それからが滅茶苦茶旨いんですね。
これは飲むしかない・・と思います。悩殺されちゃいます。まぁ・・重厚な味わいでは無く、やや軽めでは有りますが、
「やはりワインはバランスが命!」
でして、これで重厚だと・・もっと時間を必要としてしまいます。同じヴィンテージのコルトン=ルナルドもご紹介させていただいていますが、質感の高さ、素晴らしく分厚い獣香は漂うんですが、出来が良いだけにまだ時間を必要としてしまいます。・・いや、ルナルド2017も今でも美味しく飲めるんですが、ちょっと勿体無いです。
そして価格はA.C.ブル並み!・・しかも良い熟が入って来ているタイミングです!是非飲んでみて下さい。
「ペルナン=ヴェルジュレス?・・そんなの、美味しいことなんて無いしょ!」
などと言っていると美味しいものには当たりません。ペルナンが少し判ってくると、コルトンも・・そしてグラン・クリュのロニェ・エ・コルトンを産するラドワも、サヴィニー=レ=ボーヌも・・それらの美味しさも何となく判るようになるかもしれません。何故って・・
「このアロース=コルトンの畑はペルナン=ヴェルジュレス・レ・ブティエールに道を挟んで接している」
んですね。でも全く違う性格・・面白いですよ。A.C.ブルを購入するつもりで良いので是非飲んでみて下さい!超お勧めします!
注:エチケットに Vieilles Vignes の記載は有りません。