
まぁ、あのオリヴィエ・バーンスタインの2010年ジュヴレ=シャンベルタンを飲まれていたら、
「げげげ・・ジュヴレ=シャンベルタンってこんなに素晴らしいの?」
と思うに違い有りませんが、まぁそれには「飲むタイミング」がセットになってますんで、そんなタイミングなどを気にしないで飲みたい方は、バーンスタインのすんばらしいジュヴレをお求め下さい。きっと・・ビツクリしちゃうはずです。
でも、そんなパーフェクトだと思えるような、素晴らしいジュヴレを飲みつつも、
「・・今日はちょっと違う風情を楽しみたいぞ・・」
と思ってしまうのが人間・・なんですね。なんて贅沢なんでしょうね~。
で、このロシニョール・トラペのジュヴレV.V.です。トラペ家がど~だこ~だと言うのはこの際、省きますが、元ジャン=ルイ、ロシニョールとも、ビオに転向し似たニュアンスはあるとは言え、やはりロシニョールはロシニョール・・です。
まず、ビオだからと言って、アヴァンギャルド系では有りません。So2は適度な使用をします。香りのスピードもそこそこ速めでピュアです。ナチュラルさを前面に出したタイプでは有りません。 そして、「甘さ、残糖はまず無い」です。非常にドライです。なので、残糖に頼っていない分、人を寄せ付けないように感じられる時期も存在します。
色合いは淡いですが、要素はたっぷり・・そして、その淡い色からは想像し難いほどの「厚み」「ボリューム感」のある味わいがします。現状のこのワインはベリー系果実がややスパイシーに感じられます。柔らかくなってくる直前状態と言え、オリヴィエ・バーンスタイン2010年のような、バイオリズムの頂点に有る時期には入ってはいません。そのウェーブの昇り坂の入り口にいる状態です。
何よりもしなやかさが有り、媚びないおしとやかさが有ります。侘び寂びを心得た日本人には、自然に受け入れられてしまうような優しさになって感じられるかもしれません。
個人的にはとっても好きなロシニョールです。大受けはしないんですが、確実性が高いのと、真っ直ぐな感性を感じています。
くれぐれも言っておきたいのは、たとえば新世界ワインのような、「エヴリバディ・カモン!」みたいな・・ノリが良く、外受けの良いものでは有りません。しかし、これ・・もうちょっとしたら・・
「めっちゃ美味しくなるのが見えてる」
状況なんですよね・・今。
なので、ブルゴーニュ好きなら今飲んでもOKですが、半年・・と言うか、品温を上げられる状況になってきた頃から、どんどん美味しくなるはずです。
2013年の、昔分かれたジャン=ルイ・トラペの評価が物凄いことになっています。まぁ、価格も物凄いですけど・・そんな中で、このロシニョール・トラペのジュヴレV.V.の特価です。ぜひご検討ください。非常にリーズナブル・・BBR社の輸入です。
以下は以前書いた2006年ジュヴレ(VV表記無し)他のレヴューです。
━━━━━
【旨い!そして実に優しい・・ちょっと涙目になっちゃいますよ、きっと!】 自分の歩いている姿を見たことが有るでしょうか。
「そうりゃあ・・ねぇ・・。キャンプに行ったとき、友達がビデオ撮ってたから、帰ってから見たよ。」
でもねぇ・・歩き方なんて、誰にも教わってはいないんですよね。だから、あるときふと、
「あれ?・・・歩くのって・・これでいいんだっけか?」
と不安になったりする訳です・・・(ならねえよ!・・と聞こえましたが・・空耳か?)
じゃあ、息の吸い方なんてのはどうでしょう。誰にも教わらずに生まれてきましたが、しっかりやってますよね・・でも、実は物凄く難しいことなんですよね。胸式だ複式だとか、そういったことよりも、息をする意味さえも良くは理解してないでしょ?
「そんなこと言ったって、息をしなけりゃ死んじゃうだろ?」
そうなんです・・でも死んじゃうから息をしてる訳じゃ無いですよね。本能的に身体が勝手に動いている訳です。ですので、普段から何も考えてみない生活をしていれば、なにかの拍子に、
「あれ?・・息をするのって、どんなのが正解なの?」
とさえ思うことが有ると・・思いますよ。
「ああもういい!そんな下らないことは考えたくない!」
と思われるのが普通の感性でしょうね。でも、ビオの造り手になると、そうじゃ無い方もきっと大勢いらっしゃると思いますよ。
勝手な想像ですが、このロシニョール・トラペも、ビオの大家のニコラ・ジョリーのように、様々な物を観察し、それを造りに取り入れていると思います。だってね・・・滅茶苦茶優しいんですよ・・このワインたち。美味しいのは間違い無いんですが、出しゃばらず、まるで忍者のように、「すっ」と身体の中に染み入ってきて、いつの間にか癒してくれるんですよね。だから、きっと歩く時の足の出し方、着き方から、息の仕方まで・・位は、充分に認識しているんじゃないかと妄想しています。
2006年のジュヴレを飲みました。ほかは少ないのでまだ飲んでませんが、実に素晴らしい!癒されます。飲むならこんなワインが好きですね。じんわり、そしてほっくりしてきます。
プティ・シャペルはシャペル=シャンベルタン直下の1級です。グリオットの野性味とは正反対に清楚で少しカッチリしている味わい・・ですが、ロシニョール・トラペの場合はそれでも少し柔らかいです。5千円ですから・・・安いです。
ラトリシエールはシャンベルタンの真南、マゾワイエールの上部に有る特級畑です。繊細さに特化したシャンベルタン・・みたいな感じですね。飲みたいです・・が残ったらにしておきます。実はもう結構店頭で売れちゃってます。8千円もしないので・・まあ売れちゃうでしょう。
因みに日本の正規では有りませんがイギリスの正規です。品物はしっかりしてます。大丈夫・・ご安心ください。