ブルゴーニュでもロマネ・コンティやクロード・デュガらの名前を引き合いに出すまでもなく、畑を馬で耕作する、という手法はもはやマイナーとは言えなくなってきています。オロンシオはエキヴィヌムという馬具耕作器具と耕作請負業の会社を立ち上げました。優れた畑耕作を請け負う代わりに優れた区画の葡萄を手に入れる。わかりやすいと言えばあまりにわかりやすく、大胆なワイン造りを始めたのです。 オロンシオを立ち上げたオロンス・ド・ベレールは、馬による畑の耕作を請け負い、それを仕事としています。クロ・デ・ランブレイ、ティボー・リジェ=ベレール、ドメ ーヌ・デ・ゼプノー(コント・アルマン)、コント・ラフォンなど…いくつもの名門ドメ ーヌが彼の顧客です。 彼はボーヌで勉強して、ワイナリー経営と醸造学のディプロマを取得しました。そしてポマールのコント・アルマン、コルトンのシャンドン・デ・ブリアイユ、ルーションのドメ ーヌ・ゴビーでワイン造りを学びました。彼がこれらのドメ ーヌを選んだ理由は、伝統的なワイン造りの技術と最新の醸造学を学ぶためでした。これらのドメ ーヌではビオディナミ栽培を採用しています。そして、このことは彼が馬で畑を耕作するために極めて重要なことなのです。 2005年、彼は愛車であったハーレー・ダヴィッドソンを売却し、愛すべき彼の馬、『プロスペール』を迎え入れたのです。彼は愛馬『プロスペール』のブリーダー、モルヴァンと呼ばれる馬師と共に数カ月を暮らし、馬について学びました。 今日では、彼はブルゴーニュのみならず、世界各国(ボルドー、シャンパーニュ、アメリカ、カナダなど)のワイナリーに対して、馬を用いた畑耕作のアドバイザーとしても活躍しています。 彼はネゴシアンとして自分自身のワインを造りはじめることにしたのです。彼は耕作請負人として様々な生産者と仕事をしているため、優れた区画から葡萄を分けてもらえるのです。 『自然派ワイン』という形容が彼のワインに相応しいかどうかは別にして彼の手がけるワインは、自然に忠実に栽培された葡萄を用いています。自然に栽培された区画だからこそ、彼の馬での耕作が生きるのです。 |