
とてもリーズナブルなサンテミリオンG.C.です。このアペラシオンは、その昔は随分と頭を傾げてしまうような代物が多かったんですが、良く考えてみれば、現在とは違って輸入の仕方も問題が有ったのでしょうし、アペラシオンの格付けが見直されるきっかけになるほど、INAOとなぁなぁ、ずるずる・・な関係にも有ったのかと思います。今はもう随分と整理され、G.C.C.じゃなくても・・・つまりG.C.でも、名乗りを信用できる時代になったと理解しています。勿論ですが、コンディションは別の話しですが。
収穫から20年にもなろうかというワインですが、早速飲んでみました。メルロの図太い・・厚みのある見事な黒、茶、赤の果実やミネラルの集合体を思わせる味わい・・・奥にはエキス由来の赤い果実がたっぷりと居座っています。トップノーズは黒や茶が多く、パワーを感じさせますが、奥の赤い果実がじっくりと味わいを拡げてくれます。フランはどちらかと言うと複雑性を出すような役割を担っていて、メルロの美味しさが全面に出ている感じがします。タンニンもしっかり有るんですがとても滑らかでまろやか、ギシギシとしたものでは無く、グラスを伝わる「遅い脚」を見つつ・・思わずニヤニヤしちゃいます。熟成香はどんどん変化して行きますので、ブルネロっぽかったりバローロっぽかったりもします。非常に飽きさせないワインです。じっくり落ち着かせて飲んでいただけると、このワインが持つ「美しい果実の風味」にうっとりされることと思います。
1985年以前は、新樽を使用しない造りで、熟成するまでかなりの時間が掛かった訳です。以降はバリックの使用により、緩やかな酸化をさせて、早くから美味しく飲めるようになっていますが・・・これも時代の流れですよね。
「直近・・目の前の利益を出さないと続けられない」
のでしょう。フランスだけでは無く、世界的に・・・商業主義の悪い面なのかもしれません。昔のクロ・ド・サルプが懐かしいですが、それでも1996年でこんなプライスですから、納得していただけるでしょう!是非飲んでいただきたいと思います。しなやかで大柄なしっかりメルロ!お奨めです!