
上の写真が2011年のマルコネ1級、下が2013年ものです。比べると・・判りますよね。良く熟した葡萄の温かみのある色合いが2011年、やや涼し気な2013年です。
ボーヌ・レ・マルコネは、ボーヌの最北に位置する1級畑です。同じくボーヌ・トップクラスのクロ・デュ・ロワ1級の西に接しています。
面白いのはボーヌの村の北は、ご存じサヴィニー・レ・ボーヌですが、ボーヌのマルコネ畑の北はサヴィニー・レ・ボーヌの「マルコネ1級」なんですね。正確には「レ・ゾー・マルコネ」と「バ・マルコネ」ですが、どちらも1級畑でして、高速道路がその村の境に通っています。
と言うか、サヴィニー・レ・ボーヌのマルコネを削って高速道路を通したんです。1971年までにその高速6号線は開通していますが、
「当初はモンラッシェの丘を通すルート」
が想定されており、フランスでは大問題になったそうです。
まぁ、戦時中はドイツ軍の侵攻で、フランスも戦場になったのでしょうが、樽にするために製材していると、今でもその頃の弾丸が出てくるそうですよ。
それで、流石にモンラッシェ削って通すルートは大きく北に迂回することになり、サヴィニー・レ・ボーヌのマルコネの一部が犠牲になったようです。どうでも良い話しでは有りますが、google earth などでしっかり見えちゃいますから・・。技術の進歩は恐ろしいスピードですよね。

で、このマルコネですが・・めっちゃ美味しいです!流石に評判の良い1級畑です。ドライなのに中心がこんもりと盛り上がりつつ、外周は冷ややかで透明感のあるパレットをしっかり描いてくれます。印象は「円盤型UFO」を思い描いていただけますと・・簡単ですよね。
チェリーやベリーの赤黒極小果実が嫌味無く、高貴に感じられます。ミネラリティはシンプルでは無く、非常に複雑に入り組んでいます。サヴィニー側のマルコネも良い畑ですし、その北はこれまた良く知られた「レ・ジャロン」「オー・ジャロン」「レ・ナルバントン」の1級畑が連なります。サヴィニー側に行くとやや野性味の増した香りが増えるような気がします。ボーヌ側の方が気品が出るかな?・・一般的にはそんな感じです。
石灰も単純に白い感じでは無く、レンガ色っぽさを連想させる強さが感じられ、旨味成分が多いです。
また、ボーヌ村はほとんどが1級畑ですが、それに加え、多くのネゴシアンが集まる村ですので、
「並みの出来」
のワインが多く産出されています。適当に造っても最後は結局売れてしまう・・からのようです。
ですが我々はそんなワインには絶対手を出さないので・・だって、写真を見れば美味そうなのは判りますよね?・・見るからに香って来そうじゃないですか!
2011年はもう・・今最高に旨いです。この状態は少しずつまた上昇して行くでしょう。これからの10年ほどがピーク。でもそれ以降もバランスを変化させつつ、また異なる姿で美味しくいただける期間が最低で10年以上有ります。そして、もう・・要素がワイン中に溶け込んでいることが出来なくなり、真っ白になってしまうまではそこから50年位は掛かるでしょう。そうなると当初、澱は物凄い量、発生します。ボトルの約半分ほどが大きめの澱で占められてしまいます・・が、そこからまたしばらく経つと、その澱はボトルの下に下がって行き、澱は縮小されたように見えます。重力で下がりますので、ボトルが横になっていれば・・その下部にへばりつく形になります。その状態で上澄みだけ飲むと・・以前のような官能を揺さぶるような美味しさでは有りませんが、結構「オツ」な味わいです。
2013年はエレガント系です。高貴さも有ります。2011年ものよりも白い石灰が多いように感じます。なのでより冷ややかなんですが、組成は同じ畑ですので、非常に良く似ています。こんなエレガント系のマルコネも非常に良いです。どちらかと言うと、皆さんが2012年のワインに持つ健康的なイメージに近いでしょうか。透明度の高い味わい・・と言って良いかと思います。
ベルトラン・ダルヴィオの蔵に残されていた最後のワインです。是非ご検討くださいませ。お勧めします!