
残念ですね・・リーズナブルで美味しいので、ようやくファンも付いてきたところだったんですが・・。仕方ないですね。もっと古いヴィンテージが有るらしいので、期待したいところです。
今回のボーヌ・ルージュ・ヴィエイユ・ヴィーニュ・ド・サン・デジレは4つのバック・ヴィンテージが入荷してきました。2012年ものだけはマグナムですのでお間違い無きよう・・って価格は倍以上しますので間違いようが無いですけどね。
2011年ブティーユ
2012年マグナム
2013年ブティーユ
2014年ブティーユ
の4アイテムですが、数などの関係で飲めたのは2011年と2014年です。2014年ものはまだピチピチのギャルさを残した面影が、中々に好印象です。このバランスを美味しいとおっしゃる方はそれなりに多いかと思います。
2011年ものは正に飲み頃に入った感の在る、実に良い感じです。果実は滑らかでまろやかさに長け、ブケが成長してきており、旨味がしっかり乗って来ています。2011年も2014年も良い年ですから、細かな部分での印象は異なるものの、
「4年違うとここまで成長する」
ことが良く判ると思います。
全然違う話ですが、アドヴォケイトが2011年のマルセル・ダイスのG.C.マンブールに対し、88ポイントの評点で飲み頃を2014~2016年としていました。担当さんは、「樽の影響で果実が失せている。後で再考しようと思うが・・」としていました。
まぁ気持ちは判りますが、そんな酷い評価をするなら「再度テイスティングして再考してから」評価すべきですよね。確信無しで評価された方は堪ったもんじゃありません。それに、2011年のワインが2014年~2016年が飲み頃だなんて・・デイリーだってまともなワインはもっと持ちます。

上の写真は2011年です。エッジにオレンジ色が・・と言うよりは、全体的に「鮮烈な赤」がくすんで来ている感じで、完熟までにはまだ時間が掛かりそうですが、このバランスは非常に良いです。
2014年ものはまだ若さを保ったまま、「ほんのりと熟が入って来た段階」で、尖って感じられていた表現が角を落としつつ有り、それでもフレッシュな美味しさを持っているので、非常に飲みやすいです。2011年ものの深みが無いのは、やはり「時間」でしょうね。時間が育んだ美味しさは何ものにも代えがたいものです。
どちらも同じ畑で有り、ヴィンテージ的要素もそんなには変わらないので、そのまま時間の差の味わいと見ていただいてよいかと思います。
ボーヌ南西の丘のふもと近くの畑で、クロ・デ・ムーシュの西に接しています。やはり、
「石灰がちょっと多い感じのポマール」
と言った風情で、2011年の方はポマール・レ・ゼプノのようなニュアンスに取れます。比較すれば少し小さいかもしれませんが、熟度でその辺はある程度カバーされる感じも有ります。石灰系=白い と言う感じも有りますが、ワインの色合いにはあまり出てこず、美しい土のニュアンスを多く含むやや構造的大きさの在るワインです。
そして味わいは非常にドライです。これが良いんですよね・・そうじゃないと!・・滅茶ドライなピノ・ノワールだからこそエキスの味わいがクリアに感じられる訳です。この辺はベルトラン・ダルヴィオのピノの素晴らしいところです。
その他のヴィンテージは、2012年は非常に健康的に美しかった年、2013年はやや涼しくエレガントに仕上がった年です。2012年のマグナムは、この先20年・・OKです。アドヴォケイトは信じないで大丈夫・・(^^;; 4~5年で朽ちてしまうような貧弱なワインじゃありません。
リーズナブルですので是非・・この機会にお求めください。10~20年後、
「シャトー・ド・ラヴェル?・・あ~・・あの大統領府御用達だったワイン・・懐かしいね~!」
と感じられるんじゃないかと思います。
以下は2015年サン・デジレのレヴューです。
━━━━━
【滅茶美味しいです!!フカフカとした美しい土、柔らかい石灰・・そしてこのリーズナブル・プライス!ベルトラン最後のヴィンテージは正に集大成の出来です!】
●ボーヌ・ルージュ・ヴィエイユ・ヴィーニュ・ド・サン・デジレ
この柔らかで美しい、赤くも白っぽさをふっかふかに感じさせる見事な味わい、チェリーやベリーの群生を見るようなアロマティックさ、驚くべき完成度の高さを感じさせてくれるこのワインを飲んで、
「A.C.ボーヌのワインだね!」
と言える人はおそらく誰もいないだろうと思います。
見事に円形のパレットを描き、それが口内からノーズへ向かう時、柔らかな触感の球体を脳裏に浮かび上がらせてくれます。
この畑はボーヌの最も著名なプルミエ・クリュと言える「クロ・デ・ムーシュ」の西に接する、南に向いた村名の区画です。
ボーヌの村名や1級は、ややもすると平板でエッジが立ち綺麗なパレットを描かず、苦みや渋み、どこか首を傾げたくなるような酸バランスを感じさせるものが多いですよね。
「ボーヌ村名に旨いもの無し。せめて1級にすべし。」
は、皆さんも心のどこかに持っているんじゃないかと思います。
クロ・デ・ムーシュに接していますが、むしろその豊かなニュアンスは強くは感じず、むせるような土のニュアンスも有りません。
しかし、やはりポマールとの境界に近いですから、ボーヌと言うよりはポマール的で、ポマール・レ・ゼプノのような非常に美しい土のニュアンスが有ります。
また、ボーヌ西側の丘特有の「強い石灰」のニュアンスが多く有り、それがまたフカフカとした柔らかさ、厚みを持って感じられるかのようですので、
「赤くて白くて柔らかくて厚み有る見事な酸バランスのピノ・ノワール」
と感じられちゃうんですね。
これ、かなりのものです。しかも価格も非常にリーズナブル・・ですよね?ちょっとあり得ないかな・・と思えるレベルに仕上がっています。
そして初耳でしたがベルトランさん、最後のお仕事だったそうで彼のラスト・ヴィンテージですよ。滅茶苦茶ドライながらもこの旨味バッチリなエキスの味わいは心に残ります。是非とも飲んでみてほしいと思います。
●ポマール・レ・シャンラン
この畑は皆さんもご存じですよね。フィリップ・パカレやド・ラ・コンブ等の自然派の造り手たちがこぞってリリースしていました。
レ・シャンランは上部のレ・シャンラン・オー(村名)と、下部のレ・シャンラン・バ(1級・村名)が有りまして、ベルトランはおそらく下部のレ・シャンラン・バを所有されているのでしょう。
1級と村名の葡萄をそれぞれに醸造し、ボトル詰め前にブレンドしているそうですんで、
「半分ほどは1級の葡萄」
で仕込まれていると想像できます。
価格の方も素晴らしいボーヌ・サン・デジレの約1.5倍ですので、より洗練され、質感も高いのでしょう。すみません・・こちらは割り当てでして、6本しか無いのでテイスティングは保留中です。
でもボーヌ村名を飲んだら・・飲みたくなってしまいました。見事な色でした・・写真をご覧いただければ、判る方には判るはずです。
ラスト・ヴィンテージになったベルトラン・ダルヴィオさんのピノ・ノワールです。シャルドネも絶品!・・でしたが、何より、こんな若いうちから見事に旨いのは、完成度の高さを物語っています。ぜひご検討くださいませ。追加は出来そうにありませんのでお早めに!