
さぁ・・どうでしょう?・・ぜひこの存在感ありありの色合いを良~くご覧ください。どのように写るでしょうか。
ミシェル・ロランさんのワインと言っても、その土壌やセパージュされる品種によって、またヴィンテージにもより、大きく分けて2タイプ有ると考えてよいかと思います。
大雑把に言えば、コッテリ、ジューシー、果実味爆弾なやや甘味を持った黒味の強いサンテミリオンタイプと、むしろ左岸的な仕上がりのオーソドックスなタイプ・・・濃く仕上がらないポムロールタイプですね。ドライで甘くない・・と言った方がわかりやすいかもしれません。
時折悪く言われるのはやや甘い仕上がりのケーキのようなサンテミリオンタイプでしょう。チョコとかモカとか・・表現されます。
しかしながら、それは実は若い時の印象でして・・20年も経っちゃいますと決してそんなフレーヴァーは無いはずなんですよ。よほど低い温度で保存しないとそうはなりません。
また、ポムロールでも時折はありますが、やや甘く、果実の風味が立ったワイン・・これも、ミシェル・ロランタイプと言われるかもしれません。
ところがですね・・少なくともこの1997年のル・ボン・パストゥールには、そのようなサンテミリオンタイプの味わいはしません。大柄では在りますが、むしろ左岸の格付けシャトー風の仕上がりであって、少しずつその風格を見せつけるような感じになってきたところです。
ご存知のように1997年は決してすごく良いヴィンテージでは無いです。しかしながら当初言われたように、全然ダメなヴィンテージでも無く、数年前にはレストランさんでは、
「1997年のボルドーがリーズナブルに出てきたら速攻で仕入れる」
みたいな風潮が合ったくらいです。
アロマはやや熟してきたかな?・・と言うか、熟成香が混じり始めたくらいで、今飲んでもよい感じですがまだまだ・・これから、まだヒヨッコですね。トロットロにはなっていません。
温度が低かった性もあり、やや酸のエッジを感じますが、17~18度まで上がれば程よい感じになるでしょう。テイスティング時にメルロがまだ開かない感じで、カベルネ・フランが頑張っている感じなので、
「妖艶さはやや奥に引っ込み気味」
なものの、とても大柄でダイナミックな味わいを感じさせてくれました。
まぁ、あのル・パンを造っていた人ですからね・・。ル・パンは甘いか?・・と聞かれれば、
「そういうレベルの話ではない」
と一蹴されてしまうでしょう。

それと同じレベルで、ル・ボン・パストゥールを感じていただければ良いかと思いますが・・
因みにアドヴォケイトは88Pointsと評価しつつ、言葉では大きく持ち上げつつも、2007年までに飲め・・と言っていました。それを信じるならば、それから10年も経過した現在は飲み頃を過ぎた・・
「抜け殻」
なのでしょうね。
しかしながら、写真の色合いを見て判る通り、決して抜け殻になった色合いでは無い・・と思います。まだまだこれからであって、今もその成長を確かめられる味わいです。
スパイシーで香しく、大きく拡がり、口蓋を優しく刺激しつつ長い余韻をもたらしてくれる、雄大なボルドー感を見せます。ボルドーらしいボルドーだと感じました。
欲を言えば、もう少しトロットロになるまで置いておきたいな・・という希望が生まれてきます。ポムロールのワインには完熟した時のメルロの芳香に「クラッ」とさせられますからね。そのような経験をされた方も多くいらっしゃるかと思います。やや立ち気味のエッジがまん丸になり、しなやかなテクスチュアからの官能感!・・もう少しの辛抱かなと思います。
また20年という節目のヴィンテージですから、来年成人される方がいらっしゃるなら、今のうちにご用意されるのも良し、または、いずれ成人のお祝いにとご用意されているワインがある方も、
「20年目のワインがどう成長しているのか?」
を確かめるのにはちょうど良いかもしれません。これを1級シャトーでやるには、結構な経費が掛かっちゃいますから・・。ぜひご検討くださいませ。お勧めします!