
え~・・上から2015年、2012年、2009年と、ものの見事に・・
「3年間隔」
で揃えたクロ・フロリデーヌ・ブランです。造り手は申し分無いボルドー白のトップ、ドゥニ・デュブルデューです。
何せ、イケムも、パヴィヨン・ブランも彼がコンサルしてましたんで・・勿論ですが、レクストラヴァガンも、ドワジ=ディーヌも・・です。しかもそれぞれのヴィンテージ、評価はほぼ同じ、92ポイント位です。2015年ものはようやくリリースされたばかり。先だってようやく到着しました。
セパージュも微妙に違うと思います。ソーヴィニヨンが多かったり少なかったりで、結構にグラマラス度が変るとおもいます。
で・・色々と書く前に、是非とも色合いをチェックしていただきたいんですね。出来るだけ照度は揃えるように少しだけ加工しました。あまりやり過ぎると変な感じになっちゃいますんで・・。それでも2015年は少し赤が多過ぎたかな・・と反省しています。中々難しいんですね・・結局Red Green Blueだけの調整ですんで・・。さぁ、どうでしょう?
ワインの味わいとしますと、基本的には「滅茶苦茶ドライで残糖感ゼロ」です。noisy はモロに好みです。他を寄せ付けないほどにドライです。

今、絶好の飲み頃は・・何と2012年ものです。いや~・・とても美味しいです。やや硬めな感じからスタートしますが、すぐに柑橘が多種香り、ミネラリティも素晴らしい・・ちょっとパヴィヨン・ブランを思い出しますが、こちらの方が石灰が強いかな・・と思います。蜜っぽく、柑橘の様々な果実が交錯しているようです。
色合いはどうでしょう?・・2015年の「白さ」が若さを見せていますが、これは硬いのが目に見えるようですよね。2009年は色は濃く、やや曇った感じで照りが今一つ無いですね。2012年はとても照りが有って輝いています。
余韻も良いですね~・・甘く無いのに甘い・・です。そこからまたノーズに再帰して来ます!・・これは非常にリーズナブルだと思いますね。
ワインの照りって・・結構に変わるんですよね・・。当初は曇っていても、いつの間にか輝き出すことが有りますが、そんな時は非常に香ってると思いますよ。
2015年ものは開けたてはとても硬いです。少し煙っぽく、ハードなミネラリティを感じますが・・
「ん~・・ちっとな~・・」
と思うはずです。早まったかな・・と。でもご安心ください・・15~30分ほどで、だいぶ膨らんできます。そして、かなりの複雑なニュアンスになって来ます。
1時間弱で結構膨らんでくれました。これなら決して飲めなくは無いか・・と思いますが、美味しく飲むことだけを考えるなら早めに抜栓しておくと良いかな?・・と思います。

2009年は、香りこそ蜜っぽさやドライフルーツっぽい感じが有りますが、中々膨らんできませんね。おそらくこの中では一番評価が高いヴィンテージかと思います。1時間弱だと・・
「おっ!・・ようやく僅かに膨らんできたか・・」
と言う感じです。
最近は3人で飲んでいるもので・・翌日までは中々残らないんですよね~・・。おそらくこの感じだと大半の方は、
「ん?・・飲み頃過ぎてるんじゃん?」
と思うに違い無いと思います。
でも・・違うんですね・・。高質なボルドーの白も、同じくブルゴーニュのシャルドネも、このように「固く閉ざした時期」を持ってます。ポテンシャルの無いのは厳しいですけどね。この時期を乗り越えると、
「第二次開花期」
を迎えるんですね。
若いフレーヴァーを楽しめる第一次の開花期が有って、その後閉じてしまって・・その後にまた第二次開花期が有ります・・と言うか、有るのは高級ワインだけです。ポテンシャルが非常に高いと、その「開花期」の期間も長く、閉じる期間も長く、開花期は何度かやってきます。
どんなに少なくともこのクロ・フロリデーヌ・ブランは2回は・・有ると言えます。それは保証出来ますよ。理由は・・教えない!ご自分で考えてみてください。
まぁ、そんなこんなで非常に楽しいテイスティングでした・・。2009年がもう一度膨らむのを確かめたかったんですが、その前に飲み切ってしまいましたんで。でも、2012年の膨らみ具合を知ってて2009年を飲んでますんで、
「もっと行けるはずなんだけど・・ワインが足りないぞ~・・」
と言う不完全燃焼は残りましたね。
まぁ、そもそも、一度閉ざしてしまうタイミングに入ると、結構な時間、そのままになります。そしてそんなタイミングで飲んでしまうと、
「飲み頃は終わった・・」
等と勘違いしてしまうんですね。
そう思ってていただいても良いんですけど、でもその後訪れる開花期の素晴らしい芳香にも是非、出会って欲しいなぁ・・と思うんですね。
で、
「飲み頃は終わってないぞ!」
と思える根拠は、少なくとも2015年のクロ・フロリデーヌ・ブランを1時間掛けて飲まれた方なら、この2009年を飲まれた時に、まだ終わってないことに気付くかもしれません。それは明らかにポテンシャルが語ってくれますが、ポテンシャルをちゃんと理解出来れば・・と言う条件付きです。
でも、もし2012年だけを飲んでいて2009年を飲んだとしたら?・・もしかしたら、
「2012年はとても美味しかった・・のに2009年がこれなら、飲み頃は終わってしまったのかもしれない・・」
と錯覚してしまうかもしれません。
多くの方がこの2012年と2009年のようなスパイラルの中でワインを理解されていると思います。もしくは2015年と2009年のネガティヴに捉えた場合のスパイラルの中です。それならそのようにしか理解できないかもしれません。
でも、2015年が有り、2012年と来て、2009年なんですね。この3つの状態の差が判れば、
「・・そうか!」
と気づいていただけるんじゃないかと。
今回は3ヴィンテージ、3年間隔でご用意できました。たったこれだけの数しかないのに3本も開けちゃいましたので、今回の悪だくみは全然儲かりません・・。
でもこの3ヴィンテージ、1本ずつ購入されても何とか福沢さん1枚です。
しかも・・凝りに凝って、販売価格も3の倍数で揃えちゃいました・・阿呆でしょ?・・いや、1円の位は無視してくださいね・・。こんなことばっかりやってるから、文章書きもちっとも進まず在庫ばかりが膨らんでしまい、ワインをかたずけるのも大変、締め切りが迫って追い込まれて散々な目に会ってます。
で、もし2009年を比較的早めに飲まれるのでしたら、
「前日、もしくは前々日に平底デキャンタに落とし、チェックしつつ飲む」
のが良いかと思います。
勿論ですが、「そんな・・もったい無いこと出来ない!」と思われる方は無理にとは申しません。それに、失敗するかもしれませんので、あくまでご自身の責任において・・です。
「そんな・・無責任な・・」
と思われるかもしれませんが、ワインの世界はそういうものですんで・・はい。でもこうすることで、3回に1回の成功が2回に1回の成功を生みます。そしてその確率も徐々に高まりますし、ワインを見る目も確かになると思います。是非とも、一生懸命遊んでみてください!