【異常に暑かった2003年!日本における2018年よりも長い期間、超暑かったヴィンテージです。偉大なワインと評価されるものが多かった2003年!一体どうなっているでしょう?】

まぁ、一体どうなっているでしょうか?
と、投げかけたまんまで放り出してしまうのが一般的なやり方なんですが、やはり好きなんですよね・・ド・モンティーユ。そしてペズロールも。
「良い感じに熟したペズロールほど感性を揺さぶってくれるポマールは無い!」
とさえ思います。
いや、勿論ですがリュジアンも全方位にベクトルの出た素晴らしいワインだと思いますよ。・・でもレ・ペズロール・・・好きだなぁ・・。完熟するとお花畑か官能の境地に誘われるか?・・と感じられるほどです。
で、2003年は異常気象で滅茶暑いヴィンテージ。日本もそうでしたがフランスはもっと酷く、多くの方が熱射病・・熱中症では無いですよ・・でお亡くなりになった年でした。
そんなおり、アドヴォケイトをはじめ多くのワイン評価機関が、
「2003年はグレートイヤー」
と持ち上げた訳です。
「・・ん?・・マジすか?・・全部が全部、良い訳ないでしょ?・・地中深く根を張った畑のものだけ・・でしょ?」
まぁ・・自然派的アプローチをしている生産者限定・・だと思ったんですね。じゃなきゃ、
「酸は弱くアルコールの強いマッチョなワイン」
になり、ブルゴーニュのエレガンスからは遠く離れたものになってしまうはず・・・などと思っていました。
結果的には思った通りで、良い畑に仕上げていた自然派の生産者は、豊かながらもエレガンスを失わない、素晴らしいワインを造りましたが、酸のないマッチョで表面上は強い、昔のローヌワインのような味わいになってしまったブルゴーニュワインも多く有ったと思います。
そんな中、この2003年のペズロールを・・余り仕入れられなかったんですが、結局自身の興味には耐えがたく・・開けてしまいました。
「・・いや・・こりゃ・・完熟にはまだまだ時間が掛かるが・・飲めないとは言えない・・」
そうなんですよ。普段のヴィンテージですと「可憐さ」まで漂い、収穫から15年も経過すると完全に飲み頃を迎えているはずです。
ところが・・この、まるでポマールのような!・・ってポマールなんですが、ド・モンティーユさんのレ・ペズロールってもっと純な赤を主体にしたヴィンテージが多いんですよね。
で、noisy が思うレ・ペズロール的なニュアンスはまだやや奥に追いやられていて、しかし、まるでポマール1級クロ・デ・ゼプノのような、やや厚みさえ感じるシルク的舌触りを感じさせてくれるほど、大柄な仕上がりになっていました。
なので、口入れ時のボディ感は大きく、そこから紫的果実が感じられ、高域に意識が向かってくると赤ややや淡い色の果実を印象付けられる・・そんな感覚でした。言ってみればボーヌ・クロ・デ・ムーシュとヴォルネイ=タイユピエの中間的ニュアンスで、トッピングにレ・ペズロールが存在している・・感じです。
これはこれでかなり素晴らしい!・・と感じました。今までで最も大柄に仕上がったレ・ペズロールでしょう!
今となっては入手は困難かと思います。15年モノレ・ペズロール・・・いかがでしょうか。・・昨年ご紹介させていただいた2004年レ・ミタンより、随分と若い印象です。ご検討くださいませ。
以下は2004年ボーヌ・レ・ミタン1級のレヴューです。
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【
2004年のブルゴーニュが大好きな方は、きっとハマる味わいです!】
noisy も久しぶりに飲めた貴重なモンティーユのレ・ミタン1級古酒です。そろそろ13年の年月が過ぎ、良い感じに熟して来ました。
ところでブルゴーニュワインに限らないことでは有りますが、例えば同じブルゴーニュワインファンで有っても、そして好みが共通項が多く似ているとしても、時に正反対の意見を持つことが有ります。それを顕著に感じるのが、
「2004年のブルゴーニュ・ピノ・ノワールについて」
ですね。
面白いもので、ワイン屋をしていると色んな方に出会います。饒舌な方、寡黙な人、聞いているようで聞いていない人、最初っから人の意見は聞こうとせずに自身の思ったことをズケズケと話す人、聞いていないようでしっかり聞いていて一度胸の中に仕舞い込み、こちらが忘れた頃に、
「ところで・・」
と切り出す方・・(^^;;
何でもかんでも鵜呑みにしてしまう人も・・いらっしゃいます。
でもそんなことは人によりですから、どうでもね・・良い訳です。問題は、
「2004年のブルゴーニュは・・」
と話し掛けた後に、その方が何を感じるか・・ですね。
「(2004年のブルゴーニュは)・・あ~・・ダメでしたよね~。全然美味しく無いです。」
「(2004年のブルゴーニュは)・・美味しいですよね!・・今絶好調じゃないですかね!」
と、ものの見事に分かれるんですね~。面白いですよね~。
まぁ、2004年ヴィンテージについてそれだけ即断出来る訳ですから、よっぽどの耳年増な方は除くとしても、それなりにお飲みになられていらっしゃり、経験も積まれていらっしゃるでしょう。
それでもハッキリ、見事に判断が分かれると言うのは、2004年ものの特徴じゃないでしょうか。
noisy は好きですよ。2004年・・厳しさを乗り越えてこそ持ち得た複雑性、厳しさの中にある優しさや包容力が感じられますしね。それにタイミングバッチリに飲むと、
「ん~これこそ2004年!これこそブルゴーニュ!」
などと感激してしまいますが、タイミングが悪いか、原因は判らないとしても、
「ん~・・テクスチュアはイマイチかな~・・伸びもゆっくりだし・・」
と言うような場合も有ります。
なので、結局はケースバイケース・・なんでしょうね。
こちらのレ・ミタン1級ですね。ヴォルネイの北側、ポマールに近い方に有る、余り有名では無い、知る人ぞ知る1級リューディです。赤や黒の果実が点々と・・ポツポツと点在しつつ、その合間にエキスや透明なミネラル感が浮かんでくるような、そしてモンティーユらしい、ちょっとしたシミジミ感と、エレガンス命な味わいが好きなんですね。
モンティーユさんちの場合、やはりポマールのワインが有名で、どうしてもそちらに興味は向かってしまうのでしょうが、ところがどっこい、こちらのレ・ミタンも良いですよ。ヴィンテージが進んでしまうと中々見つからないワインです。今回は勿論、ブローカーものです。正規では有りません・・と言うか、正規だったらもっととんでもない価格になってます。
ポマールっぽいヴォルネイと言うか、綺麗系ヴォルネイだけれど少し力が有ると言うか、いずれにせよ、エキス系で端正でほっこり来るような味わいが良いんですね。
2004年ですからそれなりに熟して来ていて、昔のモンティーユさんのワインだったらようやく飲み頃になってきたようなタイミングです。若い内は硬かったですが、昨今は全然・・そんなイメージも無く、エレガントなヴォルネイの・・・無理に濃くしない、強さを感じさせないスタイルが心地良いです。
いずれにしましても、随分と高くなってしまった(まず1級で1万円以下は無い)モンティーユさんのワインの中に有って、今回は非常にリーズナブルにご案内出来たんじゃないかな・・と思います。
ほんのりと枯れて来た感じとかは、エッジの少しのオレンジが発散してくるようなブケのニュアンスに現れていて、とても美味しいと思います。
あ、古酒嫌いの方にはお勧めしませんよ。そのような好みの方は新しいヴィンテージだけを・・飲んでてください・・(^^ ポマール・ペズロールも旨いがヴォルネイ・レ・ミタンも旨いです。繊細なワインですから、立てておいて細やかな澱をじっくり落とし、充分休養させてお楽しみください。ご検討くださいませ。
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