
蜂蜜酒です。ミードとも言いますし、フランス語ですと「イドロメル」です。
フランス語ですと「H」は基本発音しないので、英語のハイドロ=hydro と同じですね。ハイドロとは「水の」とか「水素」とかの意味で、他の言葉の前に付く場合がほとんどです。「メル」は「ミエル」で蜂蜜を意味しますから、
「水+蜂蜜」
・・・原料そのまんまやんけ。
まぁ、蜂蜜酒も似たようなものですが、「蜂蜜のお酒」と名付ける日本人的感覚と「水と蜂蜜」と名付けるフランス人的感覚は決定的に違うような気がします。
日本のミツバチの巣箱とはだいぶ異なりますよね。手の込んだ造りで栗の木をくりぬいています。巣の中の写真が見当たらなかったんですが、見てみたいですよね。板で合理的に作る日本の巣箱と、おそらく100年以上も使用できるだろう栗の木の巣箱・・ここにも日本人が忘れてしまった心が有るような気もします・・と言うか、そのような作業をしたはずの人は時代はどうあれ下層階級でしかなかったのでしょうけどね。そんな世は是非もう変わって、何が人を豊かにさせるのかを理解して欲しいものです。
左の写真は僅かに発泡しているドライタイプ、アルコール分5%の飲みやすい繊細な香り、味わいの「エール・デテ」です。ガス圧の少ないビールみたいな感覚でしょうか。やはり、
「蜂蜜由来なんだな・・」
と言うような雰囲気も伝わって来ますよ。アロマの中に蜜っぽさが存在していますが、甘さは全く無いです。キッチリ発酵されていて、ただし元の「蜂蜜の量」が少なく、「水分が多い」タイプです。
それだけに細かな部分まで、結構に・・見えます。中域は太くは無く、スレンダーですね。フラワリーな・・花のアロマ、なんだろう・・アカシアとかその辺の白、黄色の花のニュアンスが多いように思います。
ドライでスイスイ・・熊さんの分け前をいただいているような気がしました。きっとすべてはそこから始まったんですね。

左の写真はアルコール分12%のトランキーユ(トランキル)でドライタイプです。
こちらは非常にボリューミーです。黄色い感じはエール・デテより・・少ないかもしれませんが、押してくる味わい、中域の太さはすごいです。白い花が中心でハーブや仄かなスパイス感、蜜のニュアンスで満たされます。確実にエール・デデよりも蜂蜜の割合が多い・・アルコール分換算だと2.4倍と言うことになりますか・・まぁ、取れた蜂蜜の種類にもよるのでしょうから安易な計算は合わないとは思いますが、満足感が高いアイテムです。
エール・デテもそうですが、蜂蜜由来と言うことで、
「非常に健康的!」
と言う頭で飲まなくても、
「身体にも良さそう・・」
と言うようなニュアンスも同時に受け取れます。

最後の写真は「ドゥミ・セック」・・基本辛口ですが、ほんのり甘みは有ると思います。シャンパーニュのドゥミ・セックよりは甘く無いと思います。
「甘いなぁ・・」とは思わないと思いますが、このドゥミ・セックが一番強烈ですね。好き嫌いは有るとしても、これが一番かもしれません。なんてったって・・強烈な個性を感じます。色もそうですよね。非常に濃く、やはり元の蜂蜜の割合も多いんじゃないかと思います。
そして、その僅かに残った(残っているはず?)の糖分が・・様々な表情を見せてくれるんですね。まさに「濃密」ですが、そんな言葉では言い表しきれない「存在感」が有ります。「蜂蜜の酒」と言うニュアンスもビシバシ来ますし、「水に蜂蜜・・ならぬ、蜂蜜に水」です。
表現は悪いかもしれませんが、例えば熟成させた「手造り味噌」みたいなものでしょうかね。仕上がったばかり、1年目とか2年目じゃなくて、3年目以降な感じ・・しかし、繊細さも有るし細やかに練れたニュアンスさえも有ります。
これ、結構にすごいです。試しにカミさんに、
「どれが好み?」
と聞いてみました。
まぁ、強烈なのは好きじゃないだろうな・・おそらくエール・デテかトランキーユかと思って聞いてみたんですが、あにはからんや・・
「赤いやつ」
とのご返答に・・思わず、
「・・えっ?・・ホント?」
と返してしまいました。
彼女が言われるには、
「最初のうちは???だったんだけど、二口目、三口目と進むうちに美味しくなっちゃった・・」
そうです。
「(・・へ~~~・・そうなんだ~~)」
です・・(^^
まぁ、この複雑感は半端無いですし、味わいも豊かですし、アロマも実に良く香りますし・・そう~か・・美味しいか~~!・・
と言う訳なんですが、勿論、単品でのんでも美味しいにせよ、
「もしかして・・ブレンドも有りかな?」
とも思います。
エール・デテとドゥミ・セックを割っても面白いですし、他のフルーツをトッピングしても美味しいはず・・と感じました。
非常に珍しいミードです。是非挑戦してみてください。お勧めします!