● 新規取り扱いのトスカーナはモンタルチーノのライエッタをご紹介させていただきます。本格派のブルネッロからスプマンテまでをビオロジックで生産する生産者さんで、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノも非常に評価が高く将来性豊か、期待の新人です。

【生産者情報】
L‘Aietta ライエッタ
オーナー: Francesco Mulinari フランチェスコ・ムリナーリ
地域:Toscana
地区、村:Montalcino モンタルチーノ
醸造責任者 : Francesco Mulinari フランチェスコ・ムリナーリ
栽培責任者:Francesco Mulinari フランチェスコ・ムリナーリ
コンサルタント名:なし
ホームページ:http://www.aietta.eu
【ドメーヌについて】
ドメーヌ創業年:2001 年
ドメーヌ解説
歴史:私たちの家族がこの地に住み始めて、私で 4 世代目となりますが、私がワイン造りを始める前は昔から少しのオリーブ畑と、数列のブドウ畑を所有して生活をしてきて、私の土地への情熱はここで生まれました。そしてこの数列のブドウ樹の畑がブルネッロ・ディ・モンタルチーノ用のブドウを栽培可能だと知ったのが 2000 年の事で、2001 年(18 歳の時)に最初の収穫を行いました。と、同時にこれこそが私の仕事だったのだと決め、新たな畑の購入も始めました。
造り手略歴:農業高等専門学校卒業後、栽培学、醸造学を学び始めるが、卒業はしていない。一番の大きな学校はいつも畑の中だった。
哲学: 私はワイン生産という仕事を飽くなき情熱をもって行っています。心からの情熱があれば、小さなセラーと小さなトラクターや道具とでも偉大な仕事ができます。
【畑について】
栽培方法:ビオロジック、認証は受けていない。
その栽培方法の開始時期: 2013 年
その栽培方法を適用している畑名:全て
栽培方法の将来的な展望:ビオロジック栽培でも散布が認められている硫黄、硫酸銅のほかハーブでの畑の管理を続けていく。
土壌:礫の多い畑、砂質の畑がある。
微気候:昼夜の寒暖の差の大きい、モンタルチーノらしい地中海気候
自社ブドウ畑面積(ha):1ha
契約ブドウ畑面積(ha):0.6ha
自社ブドウ畑の数(ヶ所): 2
自社栽培ブドウ品種:サンジョヴェーゼ
ブドウ以外の自社農作物:オリーブオイル
ブドウ畑以外の自社畑総面積(ha): 3ha
主な仕立て方法:ゴブレ式、コルドーネ・スペロナート式
仕立ての支柱の素材:木
仕立ての添え木の素材:木
堆肥:なし、自然の緑肥のみ
【醸造について】
酵母のタイプ:野生酵母
圧搾方式:水平式プレス
醗酵容器の素材と容量(L):ステンレス、5〜30hl
熟成容器の素材:木樽4〜10hl
セラー環境:現在、セラーはモンタルチーノの街近くにあり、またワイナリーの名前にもなっているアイエッタと呼ばれる区画の畑に隣接している。斜面に建てられていて、発酵、醸造が第1層目、熟成が第2層目で行われ、現在瓶詰め用のパートを建設中。
年間生産ボトル本数: 8.000 本
【ラシーヌの取り扱いの歴史 】
フランチェスコとはなかなか連絡がつかなかったのですが、訪問前日くらいに連絡がとれ、午前中にほんの1時間ほど訪問することができました。実際に会ってみるととても若い方で、バックボーンがあるわけでもなく(家族は昔からモンタルチーノに住んでいましたが、ワインは造っていませんでした)18 歳で急にワインを造り始めたというのが驚きでした。他の地方ではありえることですが、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのような有名産地ではあまりないことだと思います。
ライエッタは、お金もなく設備も小さいけれど、アルベレッロ(ゴブレ式仕立て)のブドウ株(フランチェスコが 18 歳の時に植樹した)をもっていたり、多分醸造のレベルもいわゆるヴァン・ナチュールに近い造りがされています。スターターを準備したり、フィルターを通したりもしていますが(良い悪いではなく)手作業の部分も多いです。まだ 30 歳過ぎという若さと、醸造学をガチガチに勉強したというわけでなく、18 歳にして自信のワイン造りを始めた新進気鋭の生産者です。
味わいは、低価格ラインのものは、ロゼや、軽めのものを綺麗に造っています。ブルネッロは、注いでもらった直後にはブルネッロらしさ(皮っぽさ、コク、熟成しそうな予感)をあまり感じませんでしたが、ゆっくり飲むとだんだんとらしさが表れてきます。
【畑について】
<畑名:カステルヌオーヴォ>
土壌:岩がちな有機物の少ない土地
畑の標高:450m
畑の向き:南東
栽培面積:0.5ha
仕立て方法: コルドーネ・スペロナート
品種:サンジョヴェーゼ 100%
植樹年:2002 年
植樹密度:5.000 本/ha
収量:42hl/ha
<畑名:アイエッタ>
土壌:砂質
畑の標高:380m〜500m
畑の向き:西
栽培面積 (hl):0.5ha
仕立て方法: アルベレッロ式
品種(パーセンテージ):サンジョヴェーゼ 100%
平均樹齢(植樹年月日):2004 年植樹
植樹密度 (本数/ha) :5.000 本/ha
収穫量(hl/h):21hl/ha
<畑名:ヴィーニャ・ヴェッキア(契約畑)>
土壌:砂質
畑の標高:560m
畑の向き:南
栽培面積 (hl):0.6ha
仕立て方法: コルドーネ・スペロナート
品種(パーセンテージ):サンジョヴェーゼ 90%、品種不明の白品種 2 種、赤品種 2 種が合計 10%
平均樹齢(植樹年月日):60 年(2015 年現在)
植樹密度 (本数/ha) :10.000 本/ha
収穫量(hl/h):50hl/ha
■ ライエッタについて
ライエッタは、仕事術に関する著作もある、まだ30歳代のフランチェスコ・ムリナーリが、2001年に創業。馬で畑を耕作している畑はモンタルチーノの北東に位置する町の城壁の西側で、岩がちな急斜面に130mの高低差で広がる。トスカーナでは非常に珍しいアルベレロ(一株仕立て)栽培も、このワイナリーの特徴。「表土が年中乾燥した砂質の場合、アルベレッロ仕立ての樹は、気候に合わせて自身で収量を調整し、凝縮感ある房を数少なくつけるようになるメリットがある。また、低く仕立てられるため、岩がちな地面と葉や房が近づき、夜間に地表から放出される昼間の熱を樹がよく受け取り、房は理想的な熟度に達する」とフランチェスコは語る。ロッソ、ブルネッロともステンレスタンクで20日間マセレーション後、スラヴォニア産10hlの大樽で熟成。他に、サンジョヴェーゼ100%のメトード・クラッシコ・スプマンテも生産する。
■ モンタルチーノについて
イタリアで「贈答用高級品」イメージが定着したブルネッロ・ディ・モンタルチーノの産地。シエナから南南東に約40km、海岸線からは約50kmでキアンティ・クラッシコより温暖・少雨。銘醸地としてのモンタルチーノの歴史は短く、1800年代半ばから。1966年のDOC認定時も、生産者はわずか30社ほどだった(現在は300社以上)。DOCG法はサンジョヴェーゼ100%を義務づける。しかし2008年、この法に背いた4つの大規模生産者が摘発される大スキャンダルも発生した。現在、トスカーナ中で行われているサンジョヴェーゼの優良クローンへの植え替えの中でも最重要種の一つBBS-11は、この地のビオンディ・サンティの主要クローン。ちなみにBBSとは、ブルネッロ・ビオンディ・サンティの略である。総面積24.000ha。うち約20%がブドウ畑。卓抜した生産者のロッソは、凡庸な生産者のブルネッロを上回ることは、驚くべきではない。
■ トスカーナについて
サンジョヴェーゼ品種の最重要生産地であり、その王国。20世紀末の短期間、主に伝統産地外の沿岸部などで、ボルドー品種とバリック新樽を用いた濃厚なワインが“スーパー・タスカン”と称され、世界を席巻したが、近年はよりピュアにサンジョヴェーゼの美点を追求する生産者に再び注目が集まっている。ただし区分したいのは“スーパー・タスカン”の中でもかつては主にキアンティ・クラッシコDOCG法外だった100%サンジョヴェーゼを敢行したゆえのワインたち。それらの生産者の中には、サンジョヴェーゼ100%がDOCG法認可された後も、IGTにとどまり偉大な深みを持つワインを生み続ける生産者が少なくなく、同じ“スーパー・タスカン”の中でもボルドー品種主体のものとは区別して把握・評価するべきだろう。また、この州の人々は歴史的に進取の気性に富み、常に探求と挑戦と共にワイン造りも変化する。その様子を、ヒュー・ジョンソンは「旧世界の中の新世界」とさえ評している。