● シャンパーニュの本場と誰もが認めるモンターニュ・ド・ランスから、大型新人をご紹介させていただきます。ブジーに本拠を置く「ジョルジュ・レミ」です。ぜひお見知りおきください。
モンターニュ・ド・ランスと言っても結構に広域ですが、感覚で緯度的な感覚を比較的取りやすい(と勝手に思っている)シャンパーニュにおいては、
「モンターニュ・ド・ランスの南部」
のテロワールをナチュラルに具現している生産者だと感じます。言ってしまえばこのブジーの右のお隣はアンボネイですから、
「緯度感覚(勝手に命名しています)ではエグリ・ウーリエと同じ」
ように感じます。ですがよりソフトで柔らかで、しかし本格派である・・と感じる部分に欠損は何も感じません。
さらに言ってしまえば、モンターニュ・ド・ランスの北限は「ランス」ですから、かのクリュグやルイ・ロデレール、ヴーヴクリコなどの本拠で、後者の2つは難しいにせよ、クリュグの冷ややかでキレのある造りとは、いささか感覚的には異なる感じがします。
今回入荷の「レ・キャトル・テロワール」はモンターニュ・ド・ランス南側の西からトクシエール=ミュトリ、ルーヴォワ、ブジー、アンボネイの各村のアサンブラージュで、ピノ・ノワールを約3/4、シャルドネを1/4 で仕上げています。プルミエ・クリュとのことですがブジーやアンボネイも入っていますから、グラン・クリュの葡萄も混ざっているはずで、しかも・・
「ほとんどの葡萄(約80%)をネゴシアンに販売」
しつつ、馬で耕作し、古い樹を植え替えずに残すと言う手法で、ポテンシャルの高いシャンパーニュを造っているようです。
非常に少ないですが初めての生産者さんですので、noisy もしっかり飲ませていただきました。飲んでいてもいつもにっこり微笑んでくれる・・しかし本格派と感じさせる部分がしっかりある見事な味わいです。どうぞよろしくお願いいたします。

■ ナチュラルなシャンパーニュを手掛けるブジーのライジング・スター
◇ 初リリースから欧米で注目を集めるナチュラルグローワー
ジョルジュ・レミはモンターニュ・ド・ランス ブジーの小さなグローワーです。ブノワ・ライエ、アントワーヌ・パイヤールに続くブジー期待の新星として、2017 年末に初めてシャンパーニュをリリースしました。元詰めは栽培ブドウの20%という少量生産ながら、欧米で一躍脚光を集め、イタリア、チェコ、ベルギー、オーストラリア、アメリカなどに輸出され、既に世界各国のインポーターの間での争奪が行われています。ジョルジュ・レミのシャンパーニュは、ビオディナミの手法を取り入れた有機栽培、馬による耕作、野生酵母のみで、ブドウと必要最低限のSO2以外には何も加えない自然な醸造で造られ、ドザージュもゼロで、とてもナチュラルな味わいが特徴です。
◇ トップレベルに位置するコトー・シャンプノワ
シャンパーニュもさることながら、大注目は彼のコトー・シャンプノワです。家業への参画前にボルドーで研鑽を積んだジョルジュは、赤ワイン造りに強い関心を持っていました。このためシャンパーニュよりも先にコトー・シャンプノワからワイン造りをスタートした異色の経歴の持ち主です。今でこそコトーの人気が広がりを見せていますが、ジョルジュの手掛けるコトーは、デビュー当時から、ヨーロッパの最先端のワインショップで販売されてきました。ワインレポートでも、
「衝撃を受けた。エグリ・ウーリエと並ぶトップレベルに位置する。エグリ・ウーリエがボンヌ・マールとすれば、こちらはミュジニーの趣。」
とコメントされた素晴らしい品質です。

◇ ドメーヌの歴史と概要
ドメーヌは1629 年から続く栽培農家です。1812 年からブジーに本拠を置き、父の代までは栽培したブドウを全量ネゴシアンに売却していました。現当主のジョルジュ・レミが家業に参画した2011 年から元詰めワイン造りに着手しました。ボルドーでの醸造経験があるレミはスティルワイン造りに強い関心を持ち、シャンパーニュよりも先にコトー・シャンプノワの生産からワイン造りをスタートしました。そして、ドメーヌの全権を掌握した2014 年からシャンパーニュの醸造を始めました。ドメーヌの栽培面積は4.66 ヘクタール。大部分がブジーに、残りはアンボネー、ルーヴォワ、トキシエールの3 つの村に点在しています。ブジーのLes Hauts Clos レ・オー・クロ、Le Mont Tauxières ル・モン・トキシエール、Les Vaudayants レ・ヴォダヤン、Chapeau de Fer シャポー・ド・フェール、Les Huriaults レ・ジュリオー、Les Hannepés レ・ザヌペ、そしてトキシエールのLes Muits レ・ミュイなど、16 のリューディに区画を所有しています。
◇ 栽培について
ドメーヌでは以前から除草剤や殺虫剤などは一切使用していません。そして、ジョルジュが家業を継承してからは完全なビオロジックによる栽培を行っています。畝の間にはカバークロップを生やし、馬で土を耕しています。雑草は手作業で取り除いています。同村で友人であるブノワ・ライエとアントワーヌ・パイヤールと共同で有機堆肥を作り、畑に撒く取り組みを行っています。

また、イラクサとトクサの煎じ薬や500 番調剤を畑に撒くなど、ビオディナミの手法も積極的に取り入れています。ドメーヌの畑には貴重なヴィエイユ・ヴィーニュが残されています。このため、ジョルジュはアントワーヌ・パイヤールと共同で互いのドメーヌの畑でヴィエイユ・ヴィーニュのブドウ木のマッサル・セレクションを行っています。ドメーヌの畑に可能な限りヴィエイユ・ヴィーニュを残すために、ブドウ木は死んだ木に限って植え替えを行っています。その際には、マッサル・セレクションしたブルゴーニュ由来の高品質で低収量のブドウ木(ピノ・ファン)の穂木を移植しています。しかし、1 年間に植え替えるブドウ木は僅か200 本にしか過ぎません。
◇ 収穫と醸造について
収穫は手作業で行い、ブドウが潰れないように小さなケースで醸造所まで運びます。畑と圧搾する前の2 回厳格な選果を行います。ドメーヌではコトー・シャンプノワの醸造にシャプタリザションは行いません。このため、コトー・シャンプノワ用のブドウを収穫するために、シャンパーニュ向けよりも2~3 週間も遅く収穫を行っています。除梗も特注した台の上で、手作業で一房一房入念に除梗を行います。
また、シャンパーニュもコトー・シャンプノワも、野生酵母のみで、ブドウと必要最低限のSO2 以外には何も加えずにナチュラルな醸造を行っています。SO2 は圧搾の際に必要最低限のみ添加するのみで、その後は醸造中も瓶詰め時も全く添加しません。清澄も低温安定法を行わず、ノンフィルターで瓶詰めをしています。このため、シャンパーニュに関しても、デゴルジュマンは行いますが、出荷後も酒石酸等の澱が瓶内に発生することがあります。ティラージュには、各キュヴェの原酒にサトウキビを混ぜて攪拌して、ティラージュのリキュールとして添加しています。基本的に全てのキュヴェがノンドゼです。

◇ ドメーヌのワインのラインナップについて
ジョルジュ・レミは現在でも80%のブドウをネゴシアンに売却しています。瓶詰めされるのは栽培ブドウの20%にしか過ぎません。コトー・シャンプノワは2011 ヴィンテージから醸造を(2015 年にリリース)していますが、シャンパーニュは2014 ヴィンテージから手掛け始め、2017 年末に初めてキャトル・テロワールのキュヴェ1 種類をリリースしました。その後、リューディのキュヴェを含めた全6 種類のキュヴェがリリースされました。
・レ・キャトル・テロワール
・レ・ヴォダヤン・ロゼ(ピノ・ノワール100%)
・レ・ミュイ(シャルドネ100%)
・ブラン・ド・ノワール(ピノ・ノワール100%)
・ル・モン・ド・トキシエール(ピノ・ノワール50%、シャルドネ50%)
・ル・オー・クロ(ピノ・ノワール100%)