
ブルーのキャプスュルに縦長のエチケッタ、そしてシンプルなネーム・・・
「・・・サッシカイア、意識しすぎ?」
まぁ、意識し過ぎと言うより「意識させ過ぎ」と言うのが正しいかもしれません。単独の原産地呼称を持つ「サッシカイア」を
「強く意識してもらおう!」
と言うコンセプトなのかもしれません。
ただし、勘違いしないようにしなければならないのはサッシカイアに対する正しい知識でしょう。現在のワイン界の潮流のひとつである自然派的な流れとは一線を画し、
「地場品種だけ拘らずに世界品質を目指したワイン」
である・・それがサッシカイアであり、サポートしたのが天才と呼ばれ、引退を表明した「ジャコモ・タキス」さんなんですね。
でもこのバッルーアは地場品種のカリニャーノ(カリニャン)をメインに、フランス品種であるカベルネやメルロ、などをセパージュしています。
フランスとイタリアは隣国であり、サルディーニャも地理的には下手すればフランスの方が近い・・とも言えるような位置ですので、カリニャーノが地場品種で、カベルネ、メルロ(モンテッスはシラーも)が外国品種とは安易には言えないかもしれませんよね。
それに、このバッルーアを飲んでみると実にエレガンスや精緻さがフレンチ風に感じてしまうんですよ。イタリアンな大らかさや明るさよりも、フレンチな高級感がこのカリニャーノ種がメインのワインから感じるレベルは、フランス南部のカリニャンよりも高級感、フィネスが有るとさえも感じてしまいました。
バッルーア2010はタンザー93Pointsと言う・・プライスからはビックリするような評価をされています。カリニャンは南仏のリーズナブルなワインのように、やや拡がる方向にベクトルを持っていますが、だらしなく散漫になってしまうような「安さ」は全く有りません。
コアに向かって集中していて、スパイスも穏やかで、中域もしっかり充実、余韻も締まりつつ長いです。驚くべきは酸の充実です。全く緩くなく、しかしどことなくかサルディーニャの風を感じさせてくれる自然さを持っています。
ジャコモ・タキスが暑い地域のイタリアでリーズナブルワインを造るとこうなる・・ということなのかなと思います。サッシカイアのセカンドラベルに匹敵するでしょう。 驚くべきはエキスが非常に充実していて、ベクトルが内部に向けての集中感になっています。非常に滑らかでしなやか、そしてフィネスに溢れています。
言ってみれば「ちょっと自然派っぽい、もしくは柔らかくなりつつあるサッシカイア」風なイメージを受けるほど高質です。まぁ、サッシカイアのリリース仕立てを抜栓すると、エレガンスはたっぷりあるものの結構な「堅さ」を感じることが多いですが、その「堅さ」の殻を柔らかく破壊し、中の要素をナチュラルに感じることができる・・そんなイメージです。何せこのタンニンは・・めちゃ「ベルベット」です!ジャコモ・タキスが本気で高級ワインを造った場合、これほどまでに凄いタンニンの質に出会えます。・・つまりこのバッルーアはタキスの本気がかなり感じられる素晴らしいワインです。
現状、アドヴォケイトの評価は見当たらず、タンザー93Pointsの他はスペクテイターが91Points、ガンベロ・ロッソがトレ・ビッキエリです。バッルーアはサッシカイアに並ぶべくのエレガンスを持ったサルディーニャのワイン・・と思っていただくと良いと思います。
以前にバッルーア2010年もご紹介させていただきましたが、その時よりもかなり安いです(すみません・・)超お奨め・・しかし追加は見込めませんのでお早めにご検討くださいませ。お奨めします!