
実はこのようなドメーヌ名は非常に面倒なんですね・・。ヴィニュロン、ヴィティキュルテュール(葡萄栽培者)は土地に根差していますので、
レ・ロッシュと名付けられた土地(畑) イコール ルノワールさん
と言うのが成立しちゃうんですね。
なので、「ドメーヌ・デ・ロッシュ」と言ったり、「レ・ロッシュ・ルノワール」と言ったり、「アラン・エ・ジェローム・ルノワール」と表したりするもんですから、そのすべてがひとつの造り手を指しているにも関わらず、バラバラになってしまっています。因みに、まともには動いてはいませんがホームページが有り、そちらの表記は「ル・ドメーヌ・デ・ロッシュ(le Domaine des Roches)」で、フィネスさんでの扱い表記は「レ・ロッシュ・ルノワール(les Roches Lenoir)」、エチケットは2006年で「アラン・エ・ジェローム・ルノワール、ヴィニュロン(Alain et Jerome LENOIR、Vignerons)」です。
今回はフィネスさんのご厚意で分けていただいた貴重な富士醗酵工業シールの1996年を開けてみました。・・いや、美味しかったですね~・・。ドライな味わいにはミネラリティがいっぱいです。奥に蜜っぽいニュアンスを閉じ込めていつつ、細やかなカルシウム、石灰の襞を沢山持っていて、少しずつ要素を放出してくれます。花っぽくも有り、果実っぽくもある・・黄色や白、茶、そして僅かな赤、オレンジ。しなやかで長い余韻が続きます。出っ張り過ぎず、引っ込んではいない・・ちょうど良い感じです。繊細さが際立っています。
シノンと言うとフランの赤が有名ですが、こちらはシュナン・ブランです。ロワールの本流の中流で、支流の方のアンジュー下流には、同じシュナンのサヴニエール、ニコラ・ジョリーのクーレ・ド・セランが有りますよね。
だから、クーレ・ド・セランやサヴニエールにとても良く似ている・・と言って欲しいかもしれませんが・・
「全然似てない!」
です。
似てるな~・・と思ったのは、品種はソーヴィニヨン・ブランですから違いますが、フランソワ・コタのサンセール・モン・ダネですね。石灰と言うか、カルシウムのような白を連想させるような非常に細やかなミネラリティがふんだんに感じられます。美しい繊細で熟したオレンジのニュアンスも、熟したモン・ダネとよく似ているように思います。
因みに2006年の方は飲んでないので・・いや、この数量で2本は飲めないですんで・・すみません。しかし、シュナン・ブランと言うとロワール中流の主要品種で、ドライも有ればドゥーも、極甘口も有ります。このシノンは、
「ロワール中域の他のシュナンと全く似ていない」
のが楽しいです。ちょっとビックリしました。
まぁ、サヴニエ-ルはロワール支流で、ちょうど本流から分かれた位置にありますんで、かなり土壌も違うでしょう。シノンも本流では有りますが、そこから分かれたヴィエンヌ川に有ります。そんな環境、土壌がサンセールに似た・・いや、サンセールに似ていると言うよりはフランソワ・コタのサンセール・モン・ダネに似た・・と言うべきかと思いますが、貴重なミネラリティからの繊細な味わいを生んでいるのでしょう。
また、レ・ロッシュ(岩)と名付けられていますが、ブルゴーニュのロッシュとは種類が違うな~・・とも感じられます。その辺も面白いですよ。
ぜひ10年もの、20年ものをゲットしていただき、比べてみていただければと思います。コンディションも良く、貴重な体験が出来ると思います。
「シノンったって、フランだけじゃない!」
とご理解いただけるでしょう。細やかな澱がありますので、しばらく立てて落としてお飲みください。お勧めします!