● ロワール中流、ソミュール=シャンピニの巨人と言えば、誰もが「クロ・ルジャール」をいの一番に上げることは間違い無いでしょう。そして、ロッシュ・ヌーヴも良いよと・・言ってくれる方もいらっしゃるはず。
そんな2つの素晴らしい造り手に手解きを受け、しかもどちらの生産者も「お隣さん同士」と言う20年目の造り手をご紹介させていただきます。ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、
「あのクロ・ルジャールのレ・ポワイユに接したレ・ポワイユを所有するアントワンヌ・サンゼイ」
です。
noisy もその存在は知っていたんですが今までテイスティングに至ることは無く、クロ・ルジャールもまともには入荷しないようになってしまいましたので、
「ソミュールの良い造り手は他にいないかなぁ・・」
と思っていたところにオファーが有り、仕入れてみた訳です。
まぁ、クロ・ルジャールも素晴らしいですが、ベースのル・クロが1万円オーバーとなると・・ね。4千円ほどで販売、しかも下から上までテイスティングして、結構苦労して販売させていただいてました。ル・ブールも素晴らしいポテンシャルですが、少なくとも数年は寝かせないと本領を発揮しない質ですから、そう簡単に販売できてはいませんでした。でも・・テイスティングは楽しかったですけどね。白も滅茶美味しかったし!
で、巷の噂はある程度小耳に挟んではいましたが、
「流石にフーコさんやロッシュ・ヌーヴの薫陶を受けたお隣さんとは言え、クロ・ルジャールと比べるのは可哀そうでは・・?」
と思ってテイスティングさせていただきましたが、
「思った以上に素晴らしい!」
と判断させていただきました。
レ・ポワイユが素晴らしいのは当たり前かもしれませんが、ある意味・・いや、こんなことを言ってしまうと「問題発言」かもしれません・・でも、
「一番下、ベースのソミュール=シャンピニーを飲めば、アントワーヌ・サンゼイの実力が判る!」
と言わせていただきましょう。
そしてその味筋は、
「凝縮感も有り、非常に滑らかでピュア。派手さやパワフルさで勝負せず、エレガントで雅なテクスチュアが魅力。」
な、ブルゴーニュに例えると「絹ごしのエレガント系シャンボール=ミュジニー」タイプで、
「クロ・ルジャールやロッシュ・ヌーヴのタイプでは無い(特に若いうちは・・)」
です。
まぁ・・言ってみれば、「noisy のマイタイプ」ですね・・(^^;; ピュアでナチュラルさはほんのり、非常に美しく、エキスがしっかり、ドライでミネラル感に満ち、ツヤツヤのテクスチュアな自然な味わいです。
上記は赤のものですが、白のソミュール・ブランがまた・・ちょっと素晴らしいんですね・・。こちらは少しクロ・ルジャールの素晴らしい「レ・ブレゼ」には結構似ています。むしろもっとドライでミネラル感は強く、酸の伸びやかな美味しさと妖艶さが素晴らしいです。
この出来でしたら毎年定番でご紹介したいと思っています。是非飲んでみて下さい。素晴らしい造り手です!

■クロ・ルジャール、ドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴに学んだ
クロ・ルジャールとドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴの隣人で幼い頃からの仲間であったアントワンヌが2002年よりワイン造りを開始。ポワイユも所有する大型新人は既に大人気。
・クロ・ルジャールの隣人
ソーミュールと隣り合わせの小さなAOC「ソーミュー ル・シャンピニー」。元々はシャンピニー村を中心として9つの村からなるAOCだった。
『今でも地理的中心はシャンピニー村だが質的中心はシャセ村とヴァラン村。クロ・ルジャール、ドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴが位置する』
そのヴァラン村で1880年代から続く葡萄栽培農家サンゼイ家が2002年からワイン造りを開始。
『最初の3年間は半分を葡萄の段階で販売し、そのお金で醸造設備を買い足しながら、少しずつワイン造りを進めていった』
2011年には醸造設備も整い、協同組合への葡萄 の販売を完全に終了し、100%ワイン醸造へと切り替わった。
今ではベタンヌも大絶賛するなど、僅か10年で一気にトップ生産者の仲間入りを果たしてしまい、大きな話題となっている。こうして始まったドメーヌ「アントワンヌ・サンゼイ」は 幸運な事に隣が「クロ・ルジャール」。反対隣は「ドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴ」だった。
『幼少の頃から家族付き合いをしてきた隣人フーコ兄弟(クロ・ルジャール)とティエリー・ジェルマン(ドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴ)が畑作りからワイン造りまで手伝い、教えてくれた』
偉大な2人の醸造家の手助けでワイン造りを開始したアントワンヌ。クロ・ルジャールと同じく30hl/haという超低収量。

クロ・ルジャールにも負けない凝縮度を誇りながら、ドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴにも通づるミネラルとしなやかさも持ち合わせている。
『所有畑は28ha。父親は古樹を好んでいたので古樹が多く残っている。また、減農薬で栽培されていたので状態も良かった』
・樹齢50年ポワイユ
彼等の畑はヴァラン村、シャセ村に分かれていて、3ha のシュナン・ブラン畑。そして、ポワイユ畑も4ha 所有している。しかもこのポワイユはクロ・ルジャールのポワイユに隣接していて土壌、日照条件も最高。特に優れたミクロクリマを有すると言われている。
『ポワイユは真南を向く区画。ソーミュール・シャンピニーで最も気温が高くなる。表土は赤く、鉄分を少し含む粘土と砂の混合土壌。年間を通して風が吹くのでカビも少ない特殊な畑。樹齢50 年』
この2つの村は周辺より少し小高い丘になっていて黄色い変成岩と砂質が混じる。 非常に暑くなり、乾燥する地域だが、ポワイユの地下には水脈が通り、酷い乾燥の時でも、水脈まで根が伸びている古樹は生き残ることができる。
『ソーミュール・シャンピニーはトゥフォーと呼ばれる石灰岩盤が強く、シノンやソーミュールのように川に由来する小石等の影響を受けない』
また、雹害が多いソーミュールに対してソーミュール・シャンピニーには雹害はほとんど無い。古代の農家は雹の通り道を知っていて、雹害の無い地域の葡萄畑は高い価格で取引きされていた。それがソーミュール・シャンピニーだった。
『崩れやすいトゥフォーの石灰岩盤は多孔質で土壌 にミネラルを与えるだけでなく、水はけを良くする効果もある。カベルネ・フランにとって理想的』
・濃いけれど滑らか
1999 年に相続した時点では11haだったが、その全 てをビオディナミに変更。更に徐々に周辺の状態の良い畑を買い足していく。
『ベース・キュヴェの平均樹齢は35年。ポワイユは 樹齢50年を越していて最高の状態になりつつある。しなやかさは古樹でないと出てこない』
ソーミュール・シャンピニーの収量も45hl/haとかなり低め。シャセ、ヴァラン、シル・エン・ブールの各村の葡萄を使用。粘土石灰、砂質と色々な条件の畑のアッサンブラージュで若いうちから楽しめるようセメントタンクのみで熟成させている。
■Saumur-Champigny “Les Terres Rouges” 2005 年に植樹した新しい畑で 0.6ha のみ。石灰岩 盤が強く表土が極端に薄いので、この区画のみでワ インを造ることにした。
『50%は全房で発酵。野生酵母のみでコンクリート タンク。マセラシオンは 30 日。その後、100%コン クリートタンクで 12 ヶ月熟成』
■Saumur-Champigny “Les Poyeux” 1965 年に植樹された特別な畑「ポワイユ」。クロ・ル ジャールのポワイユに隣接している。 50%は全房で発酵。野生酵母のみでコンクリートタ ンク。マセラシオンは 30 日。
『熟成はトロンコニック大樽とフードルを使用するが、 20%だけバリックに入れて 15 ヶ月間熟成させるこ とで馴染ませている』
クロ・ルジャール同様の深み、圧倒的凝縮度はある が、野性味溢れるスタイルではなく、より洗練された 味わいがアントワンヌのスタイル。
【なんとファルスタッフは94ポイント!しかも飲み頃にかなり近付いていると言って良い、深いチェリーな果実にこなれたタンニンが滑らかで優しく高質な味わいを感じさせます!】

ホケっとしている間に2018~2019年のこのアントワーヌ・サンゼイのオファーを見逃し、後で気付きましたが・・
「・・ありゃりゃ・・やっちまった・・でも高くなったからスルーして良かったかも・・」
なんて思っていました。
そりゃぁ・・サンゼイのポワイユには未練は有ったんですが、いきなり20%も上がってしまったのと、2018と2019年を一緒にオファーが有ったのと、ポワイユも60本しかない・・とのことなので、
「包括的なご案内は・・無理・・」
と判断するしかなかったんですね。
確かに将来的にも楽しみな造り手さんでは有るんですが、まだまだ皆さんの認知度は底辺を彷徨っている程度・・、そこにポワイユを2~3本ご案内出来たところで、どうにもこうにもならないんじゃないかと思った訳です。どうもエージェントさんはその辺のビジョンを持つことが無く、ただ入荷してきた目の前の在庫を掃くことだけに注力しているだけの方向に向かっている気がしてなりません。
ですが良いことも有りまして・・(^^;; 入荷から半年も経過しますと、まぁ・・ポワイユは即完売でしょうが、このラ・エイ・ダンピエール2018 の特売をやると言うじゃないですか・・!
因みに2017年のラ・エイ・ダンピエールの Noisy wine の販売価格は3990円です。
で、今回の2018年のラ・エイ・ダンピエールは・・2017年よりも2割も安いって訳ですし、上代は4900円ですから35%も値下げ・・と言うことになっちゃいますよね?

まあ・・その辺は置いておくにして、さっそく飲んでみました。
このラ・エイ・ダンピエールは100%除梗のセメントタンク発酵、セメントタンクと古樽仕上げと言う・・クラシカルな醸造方法で仕上げられています。
ブルゴーニュでも今流通が始まっているのが2021年ものですから、ほぼ3年間の瓶熟のアドヴァンテージが有ります。
砂地の冷ややかな空気が通る、暖かな盆地状の畑のようで、良く熟しているがブルゴーニュ的に冷涼感が有って美しい伸びやかな酸が感じられます。タンニンも有りますがこなれ始めていて、タンニンをタンニンとして意識できるのは一口目だけ・・ドライな深いチェリーの果実、ドライなそのコンフィとぷっくり感の出始めた中域、少し厚みのあるボディからの・・砂地に消えて行く波ののような、微妙に時間の長い余韻を感じさせてくれます。フランらしいスパイスは香りや味わいの「幅」としてポジティヴにしか感じられない・・微妙なバランスを保っています。
それにまったく・・と言いますか、ワイン自体を大きく弄らない自然さ、ゆったりとしつつも小さな領域を埋め尽くしている要素の滑らかさに、ついつい・・飲んでしまいます。まったくドライなんですが、まったく嫌味の無い飲み心地。フランと言う品種の素直な大きさ、ポテンシャルを引き出していると感じました。
調べてみますとファルスタッフが94ポイントと・・ちょっと普通じゃ有り得ないほどの高い評価をしていましたが、noisy としましても最大に点を付けようと思えば・・そこまで付けられるかな・・(^^;; でも付けすぎだろ!・・とは思いますが・・noisy的にはポテンシャルは最大で93止まりです・・すみません。
それでもこのクラスでこれだけの評価が付く・・と言うことは、相当素晴らしいワインだということでしょう?・・飲んでみてください。エージェントさん在庫が無くなり次第、終了です。超お勧めします!
以下は以前のレヴューです
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【化粧ッ気の無い、砂質の果実のそのものの美味しさを見事に表現した、「さらっとライトながらちゃんとボディ感の有る現代的なワイン」!汚れ無き純な味わい・・旨いです!】

一昔前のロワール中流のワインは、何となく凝縮感は有って濃い目では有るんだけれど、どこかちょっと野暮ったい感じがしたものでしたが、自然派のワインが台頭しはじめ、そのスピードの速い、ノーズに瞬間的に感じられるアロマと、柔らかさのあるボディ感がワイン好きの心を掴んだことを造り手たちも重く受け止めた性でしょうか、だいぶ垢抜けて来たように感じます。
そんな中でもこのアントワーヌ・サンゼイのシャンピニ―ワインは、
「近代的な美しさと美味しさ」
を感じさせてくれる見事なバランスをしています。まぁ・・近代的と言う言葉も中々にその定義が難しいですが・・
自然派やビオが近代的なものである・・と言う考え方では「近代的」になりますが、農薬・化学肥料不使用と言うことですと、むしろ「前時代的」でも有る訳で・・一応、前者を基本にそんな言葉を使わせていただいた訳です。
非常に美しいルビーから、少しガーネット的な色合いです。「濃いのか~?」と思われるかもしれませんね・・。果皮からの抽出は決して強く無く、優しく抽出されているので、見た目の色合いに比例せず、全く濃くは無いです。フランを力業で抽出すると、結構にタンニンが暴れるはずですよね?・・それこそ、「以前のロワールのカベルネ・フラン」の少し野暮ったさに通じてしまうものでしょう。エレガントな美味しさ、美しさを感じます。
ベースの「キュヴェ・ドメーヌ」に比較すると、一見ミネラリティは多く無いように見えますが、実は
「果実感が非常にしっかり!」
しているので、ミネラリティは下支えに回り見え辛くなっているだけです。かなりしっかり存在しています。
そして、「新樽」を使わずに「古樽」で酸化をコントロールしていますので、非常にピュアな果実のニュアンスが感じられます。・・まぁ、この反対がエマニュエル・ルジェ的・・と思っていただけましたら判りやすいかも・・です。
この、たっぷりとあるピュアな果実感が実に良い!・・いや、ピュアでたっぷりな果実感のワインは結構に存在しますが、その果実感を得た直後に、苦味・エグミとか、厳しいタンニンとか、起伏はあるんだけれど暴れすぎるとか・・どこか「力業」が感じられて、ちょっと引いてしまうでしょう?でも、このラ・エイ・ダンピエールは非常に美しく、静かながらも美しい旨味と香味がさざ波のように感じられつつ、去っていくんですね。
いや~・・良い!・・今でも充分に美味しさを感じられると思います。流石、フーコ兄弟とロッシュ・ヌーヴに叩き込まれただけのことは有ります。この・・
「穢れの無い純な味わい!」
を是非、ご堪能ください。勿論ですが、5年経過したら相当に化けるはずですよ。お勧めします!
【化粧ッ気の無い、砂質の果実のそのものの美味しさを見事に表現した、「さらっとライトながらちゃんとボディ感の有る現代的なワイン」!汚れ無き純な味わい・・旨いです!】

一昔前のロワール中流のワインは、何となく凝縮感は有って濃い目では有るんだけれど、どこかちょっと野暮ったい感じがしたものでしたが、自然派のワインが台頭しはじめ、そのスピードの速い、ノーズに瞬間的に感じられるアロマと、柔らかさのあるボディ感がワイン好きの心を掴んだことを造り手たちも重く受け止めた性でしょうか、だいぶ垢抜けて来たように感じます。
そんな中でもこのアントワーヌ・サンゼイのシャンピニ―ワインは、
「近代的な美しさと美味しさ」
を感じさせてくれる見事なバランスをしています。まぁ・・近代的と言う言葉も中々にその定義が難しいですが・・
自然派やビオが近代的なものである・・と言う考え方では「近代的」になりますが、農薬・化学肥料不使用と言うことですと、むしろ「前時代的」でも有る訳で・・一応、前者を基本にそんな言葉を使わせていただいた訳です。
非常に美しいルビーから、少しガーネット的な色合いです。「濃いのか~?」と思われるかもしれませんね・・。果皮からの抽出は決して強く無く、優しく抽出されているので、見た目の色合いに比例せず、全く濃くは無いです。フランを力業で抽出すると、結構にタンニンが暴れるはずですよね?・・それこそ、「以前のロワールのカベルネ・フラン」の少し野暮ったさに通じてしまうものでしょう。エレガントな美味しさ、美しさを感じます。
ベースの「キュヴェ・ドメーヌ」に比較すると、一見ミネラリティは多く無いように見えますが、実は
「果実感が非常にしっかり!」
しているので、ミネラリティは下支えに回り見え辛くなっているだけです。かなりしっかり存在しています。
そして、「新樽」を使わずに「古樽」で酸化をコントロールしていますので、非常にピュアな果実のニュアンスが感じられます。・・まぁ、この反対がエマニュエル・ルジェ的・・と思っていただけましたら判りやすいかも・・です。
この、たっぷりとあるピュアな果実感が実に良い!・・いや、ピュアでたっぷりな果実感のワインは結構に存在しますが、その果実感を得た直後に、苦味・エグミとか、厳しいタンニンとか、起伏はあるんだけれど暴れすぎるとか・・どこか「力業」が感じられて、ちょっと引いてしまうでしょう?でも、このラ・エイ・ダンピエールは非常に美しく、静かながらも美しい旨味と香味がさざ波のように感じられつつ、去っていくんですね。
いや~・・良い!・・今でも充分に美味しさを感じられると思います。流石、フーコ兄弟とロッシュ・ヌーヴに叩き込まれただけのことは有ります。この・・
「穢れの無い純な味わい!」
を是非、ご堪能ください。勿論ですが、5年経過したら相当に化けるはずですよ。お勧めします!
【半端無いミネラリティとビオならではのフワフワ浮遊感、そして見事にピュアなのに、滅茶苦茶多彩な表情です!】

ブルゴーニュワインは、まぁ長年に渡り「しょっちゅう」・・いや、「頻繁に」・・ん~・・「毎日のように」飲んでいますので、そうは極端にビックリすることも無いんですが、その他の地方に行きますと、結構に再発見したり、思い出したりで楽しい思いをしているような気がしますが、このアントワーヌ・サンゼイの白もそのひとつです。
ソミュール・ブランですからシュナン・ブラン主体ですね。他にも何か混ざる可能性は有ります。が、エージェントさんの資料には品種すら書いてませんので・・想像するしかない訳です。まぁ、ロワール河中流ならシュナン・ブランと覚えておけば、大きく間違うことは無いんですが、この近辺では、「ピノー・ド・ロワール」などとも呼ばれますので、
「ん?・・ピノ・ブラン・・?」
などと混乱しないようにしておくと良いかもしれません。
このレ・サル・マルタンの白もまた素晴らしいです。石灰がとても強い感じを受けます。そして特徴的なのが「酸」ですね。
「寒すぎてマロラクティックが起こらない」
とテクニカルに書かれています。ですが、真冬と春は気温の差が有りますし、日本のように電気式の温度管理はしていないでしょうから・・エルヴァージュの時にはセラーの温度は変化しているはずなんですね。
そんな「時間と温度」が育んだ多彩な表情が素晴らしいんですね。確かに酸はやや強めなので、「強い酸は苦手」な方はあと3年ほど寝かせた方が良いかもしれませんが、通常は問題無いと思います。昔のアリス・エ・オリヴィエ・ド・ムールのリリース時のワインに比べれば・・なんてことはないです。すぐに慣れてしまいます。
そしてそこからの表情は、石や岩、煙、多彩な色のフルーツ・花、ハーブ、スパイス・・と、上げれば枚挙にいとまがないほど・・です。ショウガっぽさも有りますよね。香り、物凄いです。
それでいて味わいはピュアなんですね・・最近のビオに有りがちな「アヴァンギャルドさ」=「ワインがなりたいように自由にさせる」みたいな放任主義では有りませんが、ナチュラル感はちゃんと有ります。
そしてとても凝縮しています。色は何と、結構に「緑」が濃いです。新樽由来の緩やかな酸化と、マロラクティックが起こらない程度の低温セラーが生んだ見事なシュナン・ブランです。中流と言っても、アンジュ―ほどの緩さではなく、コトー・デュ・レイヨンのような甘いワインでは有り得ません。しかし、そのニュアンスが無いとも言えず・・ロワール中流は味わいの変化が地区ごとに楽しめますが、ある意味、
「このレ・サル・マルタン・ブランでロワール中流旅行が楽しめる?」
みたいな感覚です。是非飲んでみて下さい!お勧めします!