
いや~・・古酒のテイスティングは楽しいですね~・・。ましてや20年もののボルドー・ブランがこの位のプライスで購入出来るのなら、色々と遊べて面白いと思うんですけどね・・。いかがでしょうか?
本当ならもう少ししっかり休めてからのテイスティングに臨みたかったところですが、夏に向けてワインがどんどん届いてしまっておりまして、次から次へとテイスティングしないと間に合わない状況でして、到着して3日でテイスティングすることになりました。
おまけに車で家まで持ち帰る時に普段なら注意しているんですが、ブレーキを「キュッ」と踏まなければならないシュチュエーションに出会ってしまいましたので、ワインが倒れちゃったんですね・・。なので、
「せっかく立てて細かな澱を下げておいたのに・・台無し!」
になってしまったんですね・・残念・・
なので、色合いも少々「濃い目」な、少し茶の見える感じの写真になっていると思います。澱下げをちゃんとするともう少し黄色い感じです。
で、早速飲んでみると・・良いですね~・・花梨とか僅かに赤味やオレンジを感じるようなビワとかプラムな果実に熟れた洋梨・黄桃、そこにほんのり蜜のトッピング。
中域は適度に膨らみ、ほんのりとした甘味さえ感じるような熟度。余韻も綺麗で襞の有るテクスチュアを感じさせつつ消えて行きます。特段に長~~い・・とは言えませんが、実に良い感じです。
ミネラリティがしっかり有り、色付いた果実がやや官能的です。スーっと入って来てジンワリ馴染み、ヒタヒタと?・・去って行きます。
「ん~・・普通に旨い!」
ですが・・それが問題なんですね~・・。実は今の状態でも美味しいんですが、この感じだとまだ本領発揮には遠いと言わざるを得ません。
事実、2~3時間、残ったワインをグラスに閉じ込めたままにしておいたんですが、飲んでいる最後の辺りには、一旦締まり気味になっていたボディが徐々に膨らみを見せて来ました。香りも大分複雑さを増してきていましたが、部屋にそのままにしておいたので、温度が上がり過ぎ・・細かな表情を言葉には出来ませんでした。
翌日の朝もそのまんまにしておきましたので香りを嗅いでみると、完全に開き切っているとは言えないものの、だいぶ膨張して粒子の間の目が大きくなり、官能感が大分上がって来ていました。当然温度はかなり高いですから、細かな様子を言葉にするのは難しいですが・・マロン(栗)とかマロン・グラッセのような感じかと思います。冷やしておけば良いんですが、noisyのテイスティングは美味しく飲むことだけが目的では無いので・・。
つまり・・
「今でもそれなりに美味しいが、実はまだまだ・・な状態で完全には開き切らない」
と言えると思うんですね。
しかしながら、もし抜栓直後の状態であの感じだとするなら、ほとんどの方は、
「お~・・もうピークで有って、この先は無いだろう・・」
と判断するんじゃないかと思います。
1987年のパヴィヨン・ブランの話しは随分何度もさせていただいたかと思うんですが、ボルドーの白、ソーヴィニヨン・ブランやセミヨンもまた、シャルドネのように狸寝入りをします。言ってしまえば赤も白ワインも皆そうです。どうやっても何も出ないとか、表情が乏しいように感じられることが有ります。
しかしそれなりに表情が有る時は、「そういうもので有って、この状態で目一杯の表情なんだ」と思い込みがちなんですね。
「もしかしたら・・このすぐ後にもう一発、大きな波が来るかもしれない・・」
などと、波を読むサーファーのような気持ちもどこかに持っていることが、美味しいワインに出会う心掛けとするなら必要かなぁ・・などと思っています。
パヴィヨン・ブランの話しをすると、例えば1995年ものは現在3万円も出さないと購入出来ないほどですが、
「ワインスペクテイターは84Points しか付けていないのに、セラー・トラッカーは平均94Points付けている」
んですね・・。
これ、一体どういうことなのか?・・と思われるでしょう?・・まともなお話しじゃぁ有り得ないですよね。
つまり、スペクテイターは1995年もののパヴィヨン・ブランをリリース時、もしくは樽からテイスティングしていること。セラー・トラッカーは素人さんの集まりですから、リリースからかなり経過してから・・しかも現在もまだその評価の投稿は続いている・・ことから、そんな結果になっているんじゃないかと思うんですね。
まぁ、スペクテイターは・・いわゆる、
「やっちまった」
んでしょう。ポテンシャルを取り切れていない訳です。2005年ものに限らず、パヴィヨン・ブランのほとんどのヴィンテージの評価がそんな感じで有って、スペクテイターに限った話しでも無いんですね。他の評価機関も同じであって、総じてセラー・トラッカーの評価がかなり高いと言う結果になっています。「やっちまった」と言うより、今でも「やっちまってる」訳です。
でもまた、さすがに20年ものにもなりますと、結構な「個体差」「ボトル差」も有るかと思うんですね。外観からはほとんど・・と言うか、全く変わらないと思える様子では有りますが、実際に開けて比べてみるとかなり違うと思いますので、noisy のコメントとは微妙に、もしくは結構な違いが有ると感じられるかもしれません。
でもそれがやはり古酒の醍醐味の一つでもあって、簡単な場合も、もしくは難問を押し付けられる場合も有るかもしれない・・。
色合いにしても、最初はややクスミを見せていたものが、いきなり照りや輝きを増してくることさえ・・有ります。ビオ系のワインをお楽しみならそんな様子も、もしくはその逆のパターンも、経験された方も多いかと思うんですね。
コンディションも良く、ちょうど21歳のソーヴィニヨン・ブラン主体のスミス・オー・ラフォットです。出来ましたらしっかり立てて澱を落としてから横にして休養させ、適時お楽しみいただければと思います。
若い時のフレッシュな美味しさは微塵も有りませんが、古くなってからしか出会えない美味しさが有ります。ご検討くださいませ。