● ボージョレのビオディナミの生産者をご紹介します。初めての扱いで、「ラ・デルニエル・グット シリル・ヴイヨ」です。

noisy 的には、彼のワインは非常にナチュラルで先進的、しかし、「節度をわきまえつつも先に進もうとしている」感じがします。勿論センスは抜群で、
「ワインとしてだけでなく完結している味わい」
が特徴かな・・と思います。
A.O.C.はボージョレ、もしくはクリュ・ボージョレのブルイィ近くのボージョレ=ヴィラージュなんですが、基本、ヴァン・ド・フランスでリリースしていることを理解すれば、
「A.O.C.に縛られない造りをしている」
と言うことになり、仕上がったワインも、
「普通のボージョレでは無い」
と言えます。
しかしながら、A.O.C.由来のエレガンスやフィネスが無いと言う訳では無く、ナチュラルな味わいの中に、しっかりしたその表情を見ることが出来ます。
これ、一回経験すると後を引く感じがしますね。しかし、
「ブルゴーニュワインはこういうものだ!」
と言う一家言を持ち、それに囚われがちな方には向かないかもしれません・・いや、向かないとは言いませんよ。しっかり出来てますから。
しかし、余計なシガラミを捨て、ワイン本来の姿を追い求めた結果、こんなに素晴らしいワインが出来た・・と受け取れる方なら、これ以上無い美味しさに出会えたと思われる方も多いかと思います。
細かいことを言えば、「揮発酸は有ります」。しかし、これが実に「絶妙なレベル」でして・・。魔術師的表現とでも言いましょうか、しっかり揮発酸は止まっていてそれ以上増えることはなく、しかも、気にしなければ気付かないで流してしまうようなレベル、その上で、ワインの表情を上手く造り上げている感じがするんですね。
美味しいと思います。非常にナチュラルながら・・noisy語的には「ピュアでは無い」ワインです。ただし、官能を揺さぶる素晴らしい表情を持っています。是非飲んでみていただきたいと思います。
■エージェント情報
Cyrille Vuillod シリル・ヴイヨ
産地:フランス、ボジョレー地方
「La Derniere Goutte ラ・デルニエル・グット(=最後の一滴)」
2010年からボジョレ、ブルゴーニュでワインの世界に入り、2009年にブルイィのジャン・クロード・ラパリュに出会い、どっぷりと自然派の世界に。
初ヴインテージは、ラパリュで働きながら2011年、0.8ヘクタールの畑から。その後、2013年に追加で同じ広さの畑を取得するチャンスを得て独立。2015年にはさらに0.6ヘクタールを追加。2016年にはさらに1.2ヘクタールを追加し畑を広げる。
畑での作業はビオディナミの手法を用いて、介入を最小限にとどめている。
【新たなブルゴーニュワインの方向性が見える?!・・これは旨いです!】

noisy 的には年がら年中、良いと思われるワインを探していて、常にテイスティングを行い、造り手さんの特徴を掴み、良いと思えば扱う・・と言うことを延々と繰り返しています。勿論、外れだと思うことも多々あり、もしくは、もしかしたら元のワインは良いのかもしれないが云々・・などと感じることも有ります。
シリル・ヴイヨのワインとの出会いは、実はリアルワインガイドの自然派テイスティングでして・・官能的でナチュラルで非常に良かった。
昨今は自然派の造り手さんも、「ナチュラル」を振りかざすだけで「結果にコミットしない」感じがどうも・・なぁ・・と言う気持ちが高まっていました。ましてやエージェントさんもほとんど同じで、
「飲んだ相手が美味しいね・・と言ったらコミットするだけ」
です。
まぁ、相手がどう出るか判らない訳ですから、一生懸命説明したところで無駄な場合が多いとお考えなのかもしれません。
しかし、人間の感性と言うものは、確かに独自なものでは有りますが、「基準値」みたいなものが有ります。
「普通だな」
と言う感情と、
「美味しいな」
と言う感情の間には、確実に「間」が有り、かなりの部分で「普通」と「美味しい」が同様に分かれる訳です。勿論ですが例外も有りますし、その「間」の長さは長かったり短かったりはします。
noisy 的には、シリル・ブイヨのワインは、
「ある意味、絶妙と言える間を持ったワイン!」
です。
そして、
「ある意味、滅茶苦茶完成度の高いワイン」
で有って、
「一線を越えてはいけないラインは絶対に超えない」
と言う、節度を持っていると思うんですね。

シリル・ブイヨは左の写真のようなアンフォラをこのワインで使用しているようです。
多くのアンフォラワインがそうで有るように、エナジーのベクトルが内向きに成りやすいワインを開放してくれる役目が大きいと感じています。
滅茶苦茶ナチュラルで、開放感に溢れ、それがワインを楽しむ喜びを連れて来てくれることが一番なのかもしれません。そして、このワインも、他のキュヴェもそうなんですが、
「このワイン1本で完結しえる」
素晴らしい表情を持っています。
言ってしまえば、ワインとパンだけで食事を完了してしまうような、バイブルの一画面を再現してくれるような味わいを持っています。
それでいて、この「ドリア」には、ブルゴーニュワインならではの繊細さと熱量を感じます。良いワインです。ある方にとってはこの上ない最上のワインとなり得ます。是非飲んでみてください。お勧めします。
【トップ・キュヴェ「ドリア」のセカンド的ワインでしょうか。これで充分旨いです!】

そうですね~・・頭を真っ白にして飲んでいただきたいナチュラルなワインです。
しっとりしていて、おしとやかなんですが実はエネルギッシュで、ブルゴーニュのピノ・ノワールのような表情を見せてくれる古木のガメです。
印象はトップ・キュヴェの「ドリア」に近く、非常に開放的な楽観さをブルゴーニュワインに持ち込んでいるなぁ・・と感じます。
しかしながらそのような場合、多くのシュチュエーションでは、ブルゴーニュの繊細さやエレガンスを破壊した上での表現になってしまいがちです。この「サン・ヌフ」そして「ドリア」はそうならない・・んですね。
いや、もしかしたらですよ・・中には、
「いや~・・そりゃ無いでしょ~~!」
とおっしゃる方もいらっしゃるかと思いますよ。
シリル・ブイヨのワインは、「常識の中の非常識」とも、「非常識の中の常識」とも、どちらにでも取れる可能性が有りますから。
しかし、このワインを飲んで、気分が悪くなった・・とか、深酔いしたとかは有り得ないと思いますし、ブルゴーニュワインならではの繊細さを持ち合わせた各種表情は、
「アヴァンギャルド系の、もしくは、フリースタイル系のナチュラルワインには、絶対に出せない表情」
だと言えます。
ピノ・ノワール大好きな方々にも・・飲んでいただきたいなぁ・・とも思うんですね~。自分で柵を作ってその中に閉じこもることは無いと思います。だってそれは「柵」かもしれないが、実際には「檻」とも言えますから。
この1本で完結できるポテンシャルを持ち、自由で健康、多彩な表情で楽しませてくれます。是非飲んでみてください!自然派を受け付けない方以外のワインファンにお勧めします!
【羽毛のようにふわっと軽くエレガントでチャーミングなブルゴーニュワイン!】

ビオファンが泣いて喜ぶような見事なバランスを持つ、美味しいガメです。
まぁ、ブルゴーニュワインファンにそれを言うと、まず出てくるのは・・
「・・でもガメでしょ?」
ですよね。
noisy 的には、ピノだろうがガメだろうが、結局最後はほぼ同じ・・です。滅茶熟して官能感が半端なくなったボージョレやクリュ・ボージョレを経験したことが有るなら、そんな単純な脈略では考えないはずなんですね。
で、この「ラ・バレンヌ・イヴル」は30年の・・もう古木のレベルに入って来た樹由来の葡萄から、
「2017年とまだ新しいキュヴェなのに、ほんのりと熟したかのような美味しさを見せる」
素晴らしい味わいです。
その昔、オーヴェルニュのピエール・ボージェが、何とも艶めかしくもチャーミングな、素晴らしいガメをリリースしました。
ピエール・ボージェ本人は、
「失敗作」
だと言ってました。
そのワインを日本に紹介した A.J さんも、いまひとつネガティヴな言葉を用いながら我々に紹介していました。
しかしながら・・飲んでみてビックリしましたね・・。滅茶美味しかったんですよ!・・そのキュヴェ、飲まれた方も結構多いはずなんですけどね。それがこれ・・↓

少なくとも、ピエール・ボージェが成功したと言うキュヴェよりも、判りやすいし、安いし、旨かった記憶が有ります。
これ、2千何百円かで販売させていただき、喜んでいただきました。今やもうピエール・ボージェのワインは世界的に需要過多で入手困難・・どうにもなりませんが、
「それに近い・・非常に良く似たニュアンスを持っている」
と思います。
それに、リアルワインガイド第60号で、noisy もこのワインの2016年ものにコメント、いや、レヴューを偉そうに書いてます。
エージェントさんも、このキュヴェが売りのようです。是非飲んでみてください。お勧めです!
【これは旨い!・・ナチュラルワインが嫌いな方も、きっと行けると思います・・!】

古木のガメを使用したナチュラルだがピュアさも見え隠れする美味しいブルゴーニュワインです。余りボージョレ、ボージョレはしてませんで、ブルゴーニュ感がしっかり存在すると思います。
この、チザン・ド・ボワ・トルデュや、もう少しエレガントなスタイルに寄った感じのキュヴェ・バレンヌ・イヴルを飲むと思いだしたのが、バレンヌ・イヴルのコラムに書いた「ピエール・ボージェ」です。
まぁ、言ってしまえばピエール・ボージェの場合はオーヴェルニュですから、何ともフカフカな白い感じのどよ~んとしたミネラリティが有り、むしろ余り「芯を感じない味わい」ですんで、
「いや・・似てるか~?非なるものでしょ!」
と言われかねませんけどね。
しかし、こんなワインを飲むと、やはり何かを比較に出さないと説明し辛い訳ですよ。なので、何が似てるかと考えてみると・・と言うか、考えずとも、頭に浮かんでくる訳ですね。
バレンヌ・イヴルほどチャーミングでは無く、しっかりした酸と深みが有ります。むしろ、こちらが高くても良いんじゃないか・・などとも思ってしまいますが・・間違ってないですかね?
膨らみがしっかり有り、ブルゴーニュ的な表情も感じられ、縦構造も有り、それでいてとてもナチュラルながら、ピュアさも見え隠れする・・言葉にしてしまうと、ある意味とても不思議な構成です。なので、正にブルゴーニュワインファンにも挑戦していただきたいと感じます・・が、無理かなぁ?・・結構、しっかり柵を作っておられますからね。
でもnoisy 的には、
「これはOK!」
で有って、
「美味しい!」
と心の底から思っています。noisy を古典的にガチガチのブルゴーニュの権化だと思っていらっしゃる方もおられるかもしれませんが、
「何せリアルの自然派ワインのレヴュー担当」
をやっている位ですから・・はい、判ってくださいね。良いものは良いと言いたいし、ダメなものはダメだと言います。是非ご検討くださいませ!お勧めします。