● noisyも久々に驚かされた物凄い生産者さんをご紹介させていただきます!・・圧巻のオート=コート・ド・ニュイ赤とラドワ、ペルナン、ムルソーのシャルドネを造る・・本来は雇われの職人さん、ディミトリ・ブランのご紹介です。(正確には、ドメーヌ・デ・フォルジュ・エ・アソシエ・ディミトリ・ブランですが、ディミトリ・ブランの前だけですと以前、使用していたドメーヌものが出て来ますので省いています。)

でももし著名な造り手さんですでに誰もが知っていて大人気、しかも生産量に限りがあって世界中からも引く手数多なワイン...それだけが欲しいと思っていらっしゃるのであれば、Noisy wine のこの「ディミトリ・ブラン」のコラムを読むことは全くありません。
ましてや、あまりオマージュを持てないような不人気のアペラシオンに興味を持てない方には、まったく不要の情報でしょう。
でも、誰も知らない・・知る人などまず存在しない造り手さんだとしても、本当に心から素晴らしいと感じさせてくれるワインで、しかも彼の・・彼の造る緻密なディテールを持つワインの、その将来の姿を想像したいとすら思わされてしまうような素晴らしいワインなら、喜んで内容を知りたいと思っていただける方なら、
「誰も知らないディミトリ・ブランの滅茶美味しいピノ・ノワールとシャルドネを絶対に飲んでみるべき!」
と太鼓判を押させていただきます。
日陰のアペラシオンから・・やや酸っぱいシャルドネとしか思われておらず中々人気が出なかったユベール・ラミー、ドイツのピノ・ノワールなんてとテイスティングできたワイン屋さえ誰も買わなかったヴァーゼンハウスを日本で紹介したオルヴォーさんが、また凄いのを持って来てくれました!・・
「ディミトリ・ブランは必買アイテムとしてご紹介!」
と自信を持って言わせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
■ インポーター情報
2024年春、ブルゴーニュを訪問した際に紹介されて訪れたのがムルソーの小さな蔵元 Dimitri Blanc(ディミトリ・ブラン)でした。素晴らしいラドワ・ブランがあると聞いて正直、あまり食指が動かなかったのも事実です。コルトン丘陵のワインではありますが、アロースの力強さ、ペルナン=ヴェルジュレスの緻密さの中でラドワ、しかも白のイメージが結べなかったということもありました。
近年のブルゴーニュの溜息が出るような高騰に辟易としていたこともあります。試飲だけして帰ろうと思っていましたが一口飲んで考えは一変しました。
縦横に走る緊張感のある構造、中間から余韻にかけて大きく広がる果実のパノラマ、冷ややかな土地の酸を残す余韻の残像。温暖化が進み、早摘みで酸を残し還元的な醸造ばかりになったブルゴーニュ白の世界で改めて果実の粒子まで完熟を感じさせるエキスの美しさ、土地が描く酸の伸びやかさ。早摘みでは絶対に描けない世界観ですがこの温暖化時代にここまで成熟度を見極められる造り手がまだ無名でいたことにも驚きです。
『みんな酸と土地のミネラルを勘違いしているんじゃないかな。早摘みで感じられるのは酒石酸であって土地の個性を描く酸ではない。僕からしたら●●●(ムルソーの大御所)なんて収穫が一週間早いよ。あんな未熟な葡萄で何をしたらああなるんだろうね。』
要素が多く複雑な構成にも関わらず緊張感を強いてこない余韻、まさに緊張と緩和。シリアスでいてアクセルを踏み過ぎない遊び心も感じさせるワインを知る者の余裕。ヴィニュロンらしい引き締まった体躯のディミトリ氏は運動が好きでトライアスロンにも挑戦しているという。
「シリアス過ぎない構成と少し遊びのある余韻、絶対もっと感覚的な趣味があるでしょう?」
僕が聞くと彼は嬉しそうに言いました。
『実はサクソフォンを演奏しているんだ。この地下セラーは音響も良くて最高だよ。』
シリアスで十分な知識と経験もありながらジャズのそれのように即興的な遊びのある余韻。白はラドワ、ペルナン=ヴェルジュレスそしてムルソー、赤はオート=コート・ド・ニュイの4アイテムとなる小さな蔵元ですが心をとらえる魅力十分な生産者です。本拠地はムルソーですが彼の代名詞となるラドワ ブラン、先ずはお試しください。

■ Domaine des Forges et Associes(ドメーヌ・デ・フォルジュ・エ・アソシエ)は1996年、Bohrmann(ボーマン)家によって設立されました。2002年、ボーマン家はムルソーに畑を購入して Domaine Bohrmann(ドメーヌ・ボーマン)を立ち上げました。2005年から Dimitri Blanc(ディミトリ・ブラン)がこのドメーヌの責任者を務めています。
ドメーヌ・デ・フォルジュ・エ・アソシエはワインの品質、畑・テロワールの尊重という私たちの理念はそのままにアペラシオンの範囲を広げたいと考えてディミトリ・ブランが自らの名前を冠して再始動したのです。2018年が最初のヴィンテージとなりました。ドメーヌ・デ・フォルジュ・エ・アソシエはムルソーに居を構えています。醸造所、ワイン蔵、そして巨大な地下のカーヴから成る建物は17世紀に建立されました。結婚式のレセプションにも利用されています。
◇ Dimitri Blanc(ディミトリ・ブラン)
葡萄栽培とワインへの情熱は10代の頃まで遡ります。私は大学で化学と経済学を学んだあと後、情熱を仕事を両立させることが可能であることに気が付いたのです。葡萄栽培と醸造学を学び、マコンのシャントレにあるDominique Cornin(ドミニク・コルナン)でキャリアをスタートさせました。
当時、生産者協同組合に葡萄を収めていたドミニク・コルナンの自社元詰め、そして畑のビオロジック転換を共に歩みました。ドミニク・コルナンで6年間務めたのち、2005年からはドメーヌ・ボーマンの責任者を務めています。葡萄栽培から醸造までを手掛けるヴィニュロンとしての仕事なのです。
ドメーヌ・ボーマンで大好きなワインを造っている中で自分の名前で自由にワインを造ってみたいという気持ちを止めることは出来ませんでした。私のワインはブドウ畑での仕事の質に比例するワインです。
白ワインは天然酵母で発酵させ、シュトッキンガーの樽で熟成させます。樽香が控えめなオーストリア産の樽が私の理想に近く、この樽で12~18ヵ月熟成させます。
赤ワインは手摘み収穫、ミレジムにもよりますが20~50%全房で発酵させます。天然酵母でピジャージュ(櫂入れ)は施さずに、ルモンタージュ(液循環)させながらゆっくりと発酵させるアンフュージョンと呼ばれる方法です。
私は素材となる葡萄の質を重視したいのです。エルミタージュの樽で12~18カ月間熟成。新樽比率は25%を超えません。私はワイン同様に音楽にも情熱を抱いています。2002年からはサックス奏者としても活動しています。葡萄の樹、果実、ワインは私たち人間と同じく波動に敏感です。生きた細胞に波動が影響するのです。私はワインセラーで演奏することが大好きです。ワインは不満をこぼすことなく、偽りのない音楽を聴いて育っています。
【ディミトリ・ブランのトップ・キュヴェ!全方向への展開をしてくれる石、岩のミネラリティと軽やかな白っぽい粘土。半端無くバランスの良いムルソー村名です!】

ムルソーって・・美味しいですよね。でもムルソーと言ってもアイテムにより、結構に味わいも香りも異なりますよね・・。
ですので、noisy の場合は、
「ヴォルネイ寄りの深い粘土が強いニュアンスが有る」
とか、
「村の西の丘由来のハードな大理石風のニュアンス」
とか・・
「村の南のピュリニーに近い方の果実のニュアンスが強い畑」
とか・・勝手に言ってます。
まぁ・・石灰質が無いと葡萄はどうにもなりませんし、土が無いとそもそも植生として成り立ちません。ですが、ムルソーは北のヴォルネイに寄った畑、中央上部のとてつもないほど硬そうなハードなミネラリティ、南のピュリニーに近い畑は果実の風味がたっぷり出易い、西はハードさは穏やかでバランスに優れる・・のは間違い無いと思っています。
ですがこのディミトリ・ブランのムルソー。畑がどこだか、全く想像が付かないんですね。通常はある程度・・まぁ・・当てずっぽうでは有りますが、想像を組み立てられる訳です。
ですが、彼のワインは余りにバランスが良く、良く熟していて密度が高く、酸の味わいが真ん丸なパレットを描いてエナジー感が載って来る完全エキスな味わいですので、いや・・テクニカルに情報が無いとなりますと、判らないとしか言いようが無いんですね。

で、色々と想像をめぐらしてみたんですが・・オーナーさんであるドメーヌ・ボーマンは、ムルソーのアチコチに畑を持っているんですね。
で、彼は栽培長でもあり醸造長でも有る訳ですので・・いや、こんなことを言ってしまって彼が疑われるようになってしまったら元も子も無いんですが、
「もしかして・・ブレンド・・も有り??」
かと・・想像してしまいました。
だからこそ高質さを加えることもできるんじゃないかと?・・違うかな。
非常に熟度の高い葡萄からの濃密で高質なエキスです。余りにバランスが良い・・です。粘性に優れ、大理石風なミネラリティに富みますが、有りがちな「それだけ」な硬さでは無いんですね。熱量がたっぷり存在している白・黄色の柑橘果実主体で、ほんのりと蜜、サンザシ、花梨など、黄色い果実が旨いです。樽由来の表情は僅かに感じます。適度に膨らんでくれ余韻も見事な長さ!・・今飲んでも旨さをたっぷり感じられますが、1~2年寝かせるとさらに上昇するでしょう。
何せ何も情報が無いです。ネットを散々徘徊しましたが、ドメーヌ・ボーマンについては少々なりとも見つかっても、ディミトリ・ブランが醸造長だとは書いてあっても、その他の情報はゼロです。そして、彼のワインのボトルの写真が2~3枚ほど出て来ただけ!
何も判らないものの、絶品と言いたくなるほどの仕上がりです!・・是非飲んでみてください。超お薦めです!
【プティ・コルトン=シャルルマーニュと言って良いだろう質感!・・ディミトリ・ブランらしい高熟度と滑らかな酸、そしてディテール描写が素晴らしいです!】

Noisy wine の・・このところのシャルドネの大当たりは、フイヤ=ジュイヨです。ワインに恋してしまって結婚するのを忘れていたとおっしゃるフランソワーズ・ジュイヨさんが造る見事なモンタニーは、ブルゴーニュのシャルドネならではの高質感を底辺のキュヴェにも見事に投射しています。
そして忘れてならないのはギルベール・ジレ。1年目から「ぶっとび」のポテンシャルでした。
彼のシャルドネもピノ・ノワールも、どこかこのディミトリ・ブランと重なるイメージがあります。
しかしながら、その生み出されたシャルドネの味わいは、どう比較しようと・・どんなに誤魔化し云い繕おうとも・・まったく異なる味わい!・・と言わざるを得ないんです。どんなにその存在や立ち位置が似ていると思えても・・です。
ギルベール・ジレのシャルドネは、ものの見事に手を尽くして磨き上げられ造り込まれ、これ以上はあり得無いだろうと思えるほどに手が入っています。
しかしながらディミトリ・ブランのシャルドネは、むしろその逆とも言える感覚で、
「畑の中での作業と醸造前まででほぼ終わっている。あとは適切な管理を施すのみ。」
みたいな感じなんですね。
勘違いしないでいただきたいんですが、ギルベール・ジレも畑の手入れも物凄いと思います。生み出されたワインはまさに彼の作品である・・と言えます。でもディミトリ・ブランは・・そうでは無い感じ。醸造前までで80パーセント終了・・飲んでいるとそんな感じを受けとります。
コルトン=シャルルマーニュ(ル・シャルルマーニュ、アン・シャルルマーニュ)があるコルトンの丘の西側は、いったん少し下がってまた上がります。その下がったところが標高300メートルで、そこから南東向きの斜面でまた上がる訳ですね。なので、そこにある「ラ・モランド」や「レ・カルティエ」などの村名の区画の葡萄なのかなと、勝手に想像しています。因みに、ラ・モランドだとするとG.C.アン・シャルルマーニュに接しています。またレ・カルティエも100メートルほどしか離れていない、ある種・・陽当たりだけを言うなら、G.C.アン・シャルルマーニュよりも良いです。

真っ白な細やかさを多分に持ち、ややカチッとした硬質な味わいを見せるコルトン=シャルルマーニュの弟分のような味わいです。ペルナン=ヴェルジュレスは、1/4が白ワインで残り3/4が赤ワインと言われていますので、その白ワインの多くはコルトン=シャルルマーニュ(アン・シャルルマーニュ)になり、1級の白は非常に少ないです。
また、おそらくでは有りますが、このディミトリ・ブランのペルナン=ヴェルジュレス・ブランは、コルトンの丘では有ったとしても、見た目には異なる丘のようにも見え、やや異なる組成をしているようで、ディミトリが造るオート=コート・ド・ニュイ・ルージュと同様な、白さを余り持たないがマンモスな量の大理石風のミネラリティをアン・シャルルマーニュの半分ほどを占めるようなイメージで、非常に硬いミネラリティを検出できると思うんですね。
ですので、白さを持つミネラリティと透明なミネラリティをほぼ半分ほど持ち、濃密なエキスを完熟した葡萄を半端無い選果の上で得た見事なエキスに仕上げています。
濃密でオイリー、石、岩のニュアンス、トッピングにほのかな蜜、多様なスパイスにハーブ、白黄色の柑橘、メロン。結構にゴージャスです。膨らみとしてはラドワほどには膨らまないものの、現状でも充分と言える開放度。余韻はまぁ・・エキスの温まり度にもよりますが、滅茶長いです。黄色いフルーツからやや赤みを持ったフルーツの抑揚を感じさせつつ無くなって行きます。
さすがにコルトン=シャルルマーニュと同格とまでは言えないもののそのイメージを感じさせつつ、南にあるボーヌの西の丘の優れたシャルドネ、もしくはもう少し南にあるムルソーなどを感じさせる・・まぁ、半々と言って良いかもしれません・・総体として見事な仕上がりになっていると確認させていただきました。
ディミトリ・ブランのシャルドネもピノ・ノワールもそうですが、
「エキスの集中度、完全エキスと化した美しさ、そしてエキスから立ち昇って来るやや官能さを含んだアロマと酸の丸み」
が特徴かと思います。素晴らしい仕上がりです!・・飲んでみてください。超お薦めです!
【2021年ものよりも、よりピュアでナチュール感が増したムルソー1級的ニュアンス!・・ラドワの将来が明るいと思わせてくれる逸品です!】

忘れ去られた村・・ラドワ=セリニーのシャルドネです。ブルゴーニュワインファンは、ブルゴーニュなら何でも好きだ・・と言うようなスタイルの方は少数派で、やはり自身の中に積み上げられてきた、見えないヒエラルキーのようなものがあるはずなんですね。
言ってしまえば、
「ラドワと言う名の付くワインは・・そのヒエラルキーの中にも入ってさえいない」
でしょう?・・(^^;;
まぁ・・一度染みついたイメージを払拭するのは大変です。実際、大したワインは少なかった・・と言うか、余り無かったと言えます・・・その昔は。
ですが、メオ=カミュゼの村名ラドワはめちゃ美味しいですし、リリース直後に完売してしまいます。また、エマニュエル・ルジェの村名ラドワは・・まぁ・・大したことにはならないかもしれませんが、1級のレ・グレションはかなり美味しいじゃないですか・・まぁ、元々の数が少ないので買えた方自体がまだ少ないのでしょうし、実際、コルクを抜いた方に至っては、きっと本当に少数なんじゃないかと思うんですね。
そして・・Noisy wine で最近は静かなブームになっている「モンタニー」はいかがでしょうか?・・4~7千円ほどでは有りますが、他のアペラシオンのシャルドネに、勝るとも劣らない見事な味わいをしているのはすでに経験済だと思うんですね。
で、このディミトリ・ブランのシャルドネもピノ・ノワールも、驚くべき葡萄の熟度からの、物凄く充実したトロントロンのエキスに造り上げられているのには、きっと驚かれると感じています。そして、
「ラドワと言うアペラシオンの未来を見せてくれる物凄く少数の造り手の一人!」
です。

味わいの方向性は2021年ものとまったく同様です。違うところと言いますと、2021年ものが抜栓直後に、新樽由来の心地良いアロマをほんのりと放出していたのに対し、こちらは新樽由来の表情は有っても、新樽そのものの・・
「ややトースティな香りはしない」
んですね。その辺はヴィンテージによる葡萄のポテンシャル、性格の違いによっているのかもしれません。
マンモスなミネラリティ、やや橙色に色付いた果実、黄色、白の果実、柑橘がたっぷり感じられます。ややネットリとしていてオイリー、僅かに蜜感、熟度の高い葡萄ならではの密度の高さ、旨味の強さを感じます。グラスの淵の涙の太さ、縦横無尽にただよう様・・二枚目の写真でお判りいただけるかと思います。相当な選果をしていると感じます。
キュッと締まりつつも大きな構造を埋め尽くした上で、ひとつの真円、球体を形成しています。つるんとしていて、非常に滑らかな球体感です。徐々に適度に膨らみますが膨らみ切らず長い余韻へとなだれ込み、またノーズへと柑橘果実を還してくれるんですね。その振る舞いは1級畑のワインに近く、青臭いラドワの平板な味わいとは、まったく異質だと感じます。
もし、このディミトリ・ブランのラドワが、A.C.ラドワとして普通なのであれば、他のラドワのワインはA.C.ブルにしかならないと思います。だからこその1級並みと言う物言いな訳ですが、やはりそれでも・・・最低でもムルソー村名、もしくはレ・シャルム辺りがイメージ的に一番近いと思います。
まぁ・・ディミトリ・ブランと言う生産者さんのワインを探そうとしても、おそらく無駄です。探しようが無いでしょう。
しかし、ラドワのシャルドネは溢れるほどではありませんが、そこそこには見当たります。
でも、これほどまでに高質で、素晴らしいエキスへと昇華したラドワは、ディミトリ・ブランを探すことと同様に、まず見付けられないと断言できます。
もしかしたら、ラミーやジレのようになって行く生産者さんなのかもしれません。手応えは充分過ぎるほどにあります。ぜひお試しいただきたい、素晴らしいシャルドネです。超お薦めです!
【トロットロに滑らかで「仕上がってる感」バッチリ!・・ムルソー=シャルムが熟した時のような見事な味わいです!・・めちゃ美味しいです!】

これも飲んでビックリしたシャルドネです!・・こう言ってはなんですが、
「ラドワのポテンシャルって、ここまであるの?」
と・・自分の中にあるアペラシオンのヒエラルキーを再構成しないといけないかと・・思ったほどです。
ブルゴーニュの畑は、基本的に昔は海底だったところが隆起し断層になって、その上に堆積物が積もった形ですから、少し離れた畑でも同じ土壌になる場合が有ると言われています。
インポーターのMさんはコルトン=シャルルマーニュに比肩と言われていますが、noisy 的には味わい的に近いのはムルソー=シャルムかなと。しかも葡萄の熟度が2021年ものとは思えないほどに高く、もうトロットロのエキスで酸の味わいも深いんですね。
そして2021年ものでここまで充実しているとなりますと、おそらく選果が半端無いのではないか?・・としか思えないんですね。神経質に房を選んで、しかも良い粒のみを使用している・・良くあるのは、葡萄の房の上の部分だけしか使わない、もしくはハーヴェストで下側1/3を切り落としてしまう・・と言うやり方ですね。
なので、一般的なブルゴーニュのシャルドネの「深み」「熟度」「密度」が、ディミトリ・ブランのシャルドネとは釣り合わないと感じる訳です。
ほんのりと新樽のニュアンスが有り、肌理の細かな石灰的ミネラリティは伸びやかに香り、柑橘フレーヴァーはほんのりオイリー。こってり、まったりとしたニュアンスが有ります。

口に含むとやや粘性が高目でとろみが有り、その分、おそらく長く口内に留まる率が高いのか、非常に果実のニュアンスが長く感じられます。
葡萄の熟度は高く、酸も滑らかでジューシー、口内で漂ってからノーズに抜けて来るミネラリティを感じつつ、適度な膨らみと伸長、半端無い長さの終盤・余韻を感じさせます。
ミネラリティが半端無く、しかも粘っこい味わいなので、noisy 的には余韻が比較サラリとしたコルシャル系と言うよりも、ムルソー南部の熟し目のレ・シャルムかなと・・思いますが、飲まれた人によっては、蜜っぽさがやや大人しく、全体的にやや小ぶりのムルソー=ペリエールとも取れるかもしれません。
いずれにしましてもこのシャルドネ、「化け物ラドワ」であることは間違いなく、こんなラドワ・ブラン、飲んだこと無い!・・と誰もが感じることでしょう。
まぁ・・栽培と醸造のスペシャリストが、自身の名を冠したワインをリリースしたいと・・それがオーナーに許されて世に出て来たワインです。よほどの才能、もしくは努力が無ければ・・ここまではとてもじゃないが不可能だと思います。ぜひ飲んでみてください。とんでもなく旨いです!
【何と言うエレガントで美しく極上なエキスでしょう!・・シャンボールとヴォーヌ=ロマネのブレンドのようで、しかも超繊細にして緻密!アペラシオンに誤魔化されないでください!】

いや・・驚きました!・・素晴らしいピノ・ノワールです!
最初はですね・・インポーターさんから、
「素晴らしく旨いラドワが有るんですよ・・全く知られていない生産者さんなんですが・・」
と言われましたので、
「・・ラドワ?・・またそんな・・どうやっても売り辛いところ・・じゃぁリーズナブルなのかな?」
と返しますと、
「・・いえ・・決して安くは無いんですけど・・旨いんですよ・・オート=コートの赤とラドワの白、ペルナンの白、ムルソーなんですが・・」
まぁ・・オルヴォーさんにはお世話になっているので、またこの忙しい時期にテイスティング材料が増えるとは思ったのですが・・とにかくテイスティング用に全アイテム、送っていただいたんですね。
調べてみますとムルソーのドメーヌ・ボーマンの栽培醸造責任者だと言うじゃないですか。noisy はボーマンのワインを飲んだことは有りませんが、ソフィー・ボーマンさんという女性がご当主のドメーヌで・・まぁ・・言ってしまえば、ドメーヌ・ボーマンのワインは全てこのディミトリ・ブランさんが全てを仕切っている・・造っていると言うことなんですね。
で、長くやっている内に、自分自身のワインを造りたくなってソフィーさんに相談したら、
「それならうちでやれば良いじゃない?」
と言ってくれたそうなんです。
で、何年か前からごく少量をリリースしていたと言うことで・・しかし、ネットで調べてみてもほとんど情報が無いし、販売しているところも、価格さえも出て来ないんですね。なので、
「全ては飲んで判断するしかない」
訳でして、それでまた noisy のところにお鉢が回って来たと言うことなんですね。
で、さっそく飲んでみたんですが・・いや、久々に驚きました。ある意味、
「ギルベール・ジレ以来のとてもショッキングな出会い!」
でした。

畑はニュイ=サン=ジョルジュから西に6~7キロほど行った「マレ=レ=フュセ」と言うオート=コート・ド・ニュイ銀座にあるようです。ここはコルトンの丘から北に5キロほどしか離れていないので、ラドワやペルナンから非常に近く、栽培で出かけるにも都合が良いのでしょう。基本的に、
「ディミトリ・ブランはシャルドネの人」
です。
ですが・・まぁ・1枚目の写真をご覧になられた方は、思わず食指が動いたんじゃないかと思うんですね。決してオート=コート・ド・ニュイでこの価格・・上代設定は8千円と言うのは安くは無く、普通かやや高めな部類に入るかもしれません。
なので、noisy 的には、
「相当凄く無ければ扱えない・・」
と思っていた訳ですね。
ですが・・もう、コルクを抜いた直後に、
「・・げっ・・久々にヤバいの・・来た??」
と・・嗅ぎ取ってしまったんです。
何と言うべきアロマでしょう!・・官能さを含みつつ、激エレガントで良く膨らみを感じさせます。ふくよかで充分な酸を持ちつつ、シャンボールのような石灰的ミネラリティが伸びやかに香り、しかも相当に緻密です。
慌てて口に含むと、まさに激エレガントなシャンボール=ミュジニー!しかも相当出来が良い極上クラスを彷彿させます。・・いやいや、ちょっと待てよと、さらに探ってみますと・・その伸びやかな酸はやや温かみを含んで官能さの芽が・・おそらく新樽由来の表情をかき分けて浮かんでくるんですね・・。
「もしかしてかなりヴォーヌ=ロマネっぽくも有る?」
と思いなおしました。
味わいとしては、
「完熟葡萄を完全エキスに昇華した、超一体化した液体」
で、シームレスで継ぎ目を感じない、しかもシャンボール的なベルベットの舌触りと香水的なアロマとともに高質感を漂わせます。
これは・・noisy が追い求めている「激エレガントながら密度がしっかりあるピノ・ノワール」なんですね・・いや、こんなところで、しかもオート=コート・ド・ニュイと言うアペラシオンで出会えるとは思ってもいませんでした。
いや、これは相当、ポイント高いです!・・オート=コートと思わないで口にしていただきたい、高ポテンシャル・ピノ・ノワールです。
もっと言ってしまえば、
「オートクチュールのピノ・ノワールでしか有り得ない素晴らしさ!」
です。
想像ですが、とんでもないレベルの選果をしているはずです。良く熟した葡萄の極上の粒だけを神経質に選んで仕立てたとしか思えない質感を持っています。・・これ、
「5桁でも納得できてしまうんじゃない?」
と・・思わされました!
おそらくですが、輸入された数がとんでもなく少ないそうですので、ほとんど出回らないでしょう。でも、
「これだけはどうでも飲んでいただきたい!」
と思っています。ぜひご検討くださいませ。びっくりピノ・ノワールです!