【何故か1本出て来ました。半世紀目を生きる・・1976年もののブルゴーニュ・ピノ・ノワール、それもミネラルを多く含む粘土質のムルソー村北側の村名!】
まぁ..ここまで古いワインで、ここまで安いのは・・昔仕入れたからであって、今なら一体いくらになるのか・・判らないので「言い値」になる訳ですね。
「古くなればなるほど美味しい!」
と思っている方はおられないとは思いますが、古くなればなるほど・・
「うわ・・まだワインだった!・・凄いね!」
みたいな感覚が強くなってくるものです。
ですので、
「滅茶苦茶美味しい!」
と感じられるかどうかは、その方のスキルや感性によります。
「ん~・・イマイチだったな・・」
とか、
「これは好きじゃない・・」
と思われることも有るかもしれませんが、ワインとはそういうものです。
到着したばかりのワインならいざ知らず、50年目の今を生きているワインですから、何とか美味しく飲める工夫を一生懸命してください。
キャプスュル下25 mm ほどの液量、キャプスュルは回り、色は比較的濃く、非常に輝いていて・・素晴らしい状態だと思いますが、
「美味しいと保証するものでは無い」
ので勘違いしないでくださいね。・・そういうものですから。どうぞよろしくお願いします。
以下は1970年台のこのワイン他のレヴューです。
-----
【わお!ムルソーの赤なんて!・・お久しぶり!】 皆さんはムルソーの赤の存在を知っていらっしゃる方も多いと思いますが、知らない方もそれなりにいらっしゃるんじゃないかと想像しています。noisy がワインをかじり始めた頃はまだ、
「ムルソーは赤も白も有る」
と覚えていました。今のシャサーニュのような状況でしょうか・・。シャサーニュの赤って、けっこうコッテリしてて美味しいですよね。でも、ヴォルネイ=サントノもムルソーの村の畑ですから、ムルソーの北部、そして東寄りの下部は、今でもピノ・ノワールが植わっていたりします。・・まあ、だいぶシャルドネに改植されたようですが。それは、やはりムルソーと言えばシャルドネ、シャルドネと言えばムルソー・・と云う、アメリカでのセールスを期待してのようです。濃厚タイプのシャルドネをムルソーと・・・言っていたようです。
今ではムルソーの赤と言うと、コシュ=デュリの「コート・ド・ボーヌ・ムルソー」もしくは「ムルソー・コート・ド・ボーヌ」が思い浮かぶ位・・・、まあ、コシュ=デュリが出てくる位ですから、何かの関連を考えてしまいます。それ位、ムルソーの赤は少なくなってしまいました。
それでも、ムルソーのワインをテイスティングするたびに、
「粘土の存在は?」
「石か岩か・・」
「重さは・・」
とかを考えていると、何となくリューディの限定が出来てくるようになりました。
今回は、全くのムルソー・ルージュですので、おそらくはヴォルネイに接する辺りの下部の畑だと思いますが、岩とか、石とかを連想させるものが有ったとしたら・・、結構良い畑にたまたま昔から植わっていたピノの可能性も有るかもしれません。年的にも、1976年はとても良い年ですので、期待出来るでしょう。飲んだエージェントの担当さんは、
「結構若くて、まだまだこれから行ける感じで旨かった」
とのことです。ご検討ください。
一方のポマールですが、北からボーヌ、ポマール、ヴォルネイ、ムルソーと続きますので、ムルソーの軽めの粘土とはかなり違った感じでしょう。完全に熟したポマールを見ることができるんじゃないかな?と思います。コンディションも良いので、幾つかタイプの違うグラスをご用意されて飲んでみてほしいと思います。勿論、「溜めるタイプ」と「開放タイプ」が有ると余計に楽しいです。ご検討ください!
以下は2012年のこのワインのレヴューです。
-----
【玄人もとっても楽しめる要素たっぷりなピノ・ノワールです!旨い!】
今では「てっきり見なくなった」ムルソーの赤です。その昔コシュ=デュリも、「そんな名前付けて良かったんだ?」とばかりの「へんてこな名前のムルソーの赤」を造っていましたが、どうやら売却してしまったようです。親類同士なので、もしかすると同じリューディ「ル・プレ・ド・マンシュ」だったかもしれません。
この畑は実は・・あの「ヴォルネイ1級サントノ」の南に接していますので、結構似た部分が有り、複雑性、多様さが感じられる素晴らしい畑です。しかもレ・サントノはムルソー村に有りながらヴォルネイ1級ですが、「ル・プレ・ド・マンシュ」も南に接しながら、同じムルソー村に有るのに村名のリューディなんですね。
まぁ、ムルソーの赤と言うとほとんど見ないですから、ヴォルネイ=サントノ、もしくはサントノ=デュ=ミリュをお飲みになられたことが有るようでしたら、
「プティ=サントノ風」
だと思っていただくとニュアンスが近く判りやすいかな?と思います。
色合いも非常に良いですよね。サントノほどは濃密な色合いでは有りませんが、1級サントノやサントノ=デュ=ミリュはポテンシャルは高いんですが、熟すのに結構な時間を必要とする場合が多いです。
飲んでみるとかなり複雑性が高いのに驚きます。その上で、結構なバランスになっています。
例えば、ジュヴレっぽいニュアンスが出てきたかと思うとポマールっぽくなったり、そうこうしているとシャンボールか?・・などと思っているとヴォーヌ=ロマネっぽい皮革のニュアンスが出てきたり・・かなり多様性に満ちた要素を持っているんですね。
で、その要素が余り突出してないんですよね。なので、ある意味、全体とすると「没個性」になっちゃうのかな?と思います。
しかしながら部分部分を見て行くと、上記のようにかなりな多様性が感じられるので、非常に楽しいし、見つかった要素をパズルにみたてて当てはめて行くような・・まぁ変人ですが・・楽しみが有ります。
つまり、
「要素が余り無くてバランスが取れているのでは無く、要素がかなり沢山存在した上で高度なバランスが取れている」
ワインだと言うことなんですね。なので、非常に詰まっている感じがするんですが、滑らかに飲めてしまう、少し不思議なワインです。
果実的にはかなり深い赤黒果実の少しワイルドなニュアンスがトップノーズに有り、口に含むと赤黒ベリーですね。ドライながらも旨みのエキスが有り、樽臭く無く、滑らかです。とても美味しいと思います。エキス系です。
今回ご紹介分は正規品では無くブローカーより購入していますが、非常にリーズナブルです。正規だと・・ほぼ卸値ですよ・・。と言うか、正規が高過ぎるプライスだと思います。そんな訳で、少量のご紹介です。かなり楽しめる「ムルソーの赤」です。白では無いので・・ご注意ください。お勧めします!