● 初めての取り扱いになりますサントネーに本拠を置くドメーヌ、バシェ=ルグロをご紹介します。noisy は全く知らない造り手でしたが、どうやら2014年ものをティム・アトキン氏が高い評価をしたと・・エージェントさんからご連絡をいただきました。
このブルゴーニュワインの高価な時代に、北はマルサネ、中央はコート・ド・ニュイ=ヴィラージュ、南はサントネーやマランジュ辺りの生産者が頑張りはじめ、良いワインが散見されるようになっきたことも、noisyとしては見逃す訳にはいきません。
ですが、ティム・アトキン氏が評価したのはあくまで2014年で有って、今回ご紹介させていただく2013年では無い・・訳ですね。
なので、2013年のバシェ=ルグロのワインを数アイテムテイスティングし、とりあえずACブルゴーニュの赤白をご紹介させていただくことにしました。
今年の春には2014年ものが入荷してくるようですが、その評価の内容については以下のようです。
ティム・アトキン氏が評価した2014年のブルゴーニュ・サントネ村最高得点となる94点をクロ・ルソー レ・フルヌーVVにそしてその年のベスト シャサーニュ・モンラッシェとして、シャサーニュ・モンラッシェ1級モルジョ・プティ・クロに96点を献上しています。
(2014年のティム・アトキンの評価で94点はサントネ1級の中では最高、また、96点もシャサーニュ1級の中では最高評価です。)
ちなみに…単純な点数並べで申し訳ないのですが参考までにDRCのコルトン、エシェゾーが94点、ルフレーヴのピュセル、ラフォンのシャルムが96点でした。
おい!・・サントネー1級に94 Points、シャサーニュ=モンラッシェ1級に96 Points って・・半端無いんじゃない?
と言うのが印象でして、興味も若干なりとも生まれて来たんですね。
それにはやはり、ティム・アトキンさんのアヴァンギャルドな?評価は、けっこう noisy 的な感覚に近い言うか、大きく逸脱はしない感じを持っていることも有ります。
その上でテイスティングをこなし、とりあえず2013年ものはACブルをご紹介することにしたんですね。
味わいはとても良いです。細かい部分はコラムを読んでいただければと思います。2014年ものの入荷の前に、バシェ=ルグロはどんなワインを造っているのかをチェックしていただければと思います。

ドメーヌ・バシェ=ルグロはサントネー上域に拠を構える6世代続いてきた家族経営のドメーヌです。
このドメーヌの歴史は18世紀初めまで遡ります。まるで絵画のような風景を見渡すことのできる絶景の中にある典型的なブルゴーニュの農家です。
クリスチャン・バシェ=ルグロが二人の息子ルナックとサミュエルと共に、このドメーヌの総責任者となったのは1993年のことです。
彼らは祖先から継承するサントネ、マランジュ、そしてシャサーニュ=モンラッシェにある16ヘクタールの畑をすべて自分たちの手で管理しています。そのため、彼らの畑、ワイン造りに対する情熱は並々ならぬものがあります。
彼らの所有する畑はコート・ド・ボーヌの中でも最も古い畑のひとつです。平均樹齢はおよそ60年で、サントネ プルミエ・クリュを造る樹齢約100年の葡萄はとても小さく凝縮して、深淵な味わいを生みだします。現在では二人の息子が中心となり、とてもエレガントで香り高い、高品質のワインを造っています。
●微気候(クリマ)
穏やかな大陸性気候で日照にも恵まれシャルドネ、ピノ・ノワールというふたつの葡萄に完璧に適しています。
葡萄が熟していく間、決して過剰に暑くはならないので、葡萄に焼けたようなアロマを与えません。新鮮で純粋な果汁を守ることができるのです。
●土壌
多くの畑は各区画の真ん中、太陽に向かって植樹しているため太陽の恩恵を受けて高い品質を生み出しています。
【Santenay Sous la Roche/Santenay 1er Clos Rousseau/Chassagne Montrachet 1er Morgeot】
石灰質が主体の土壌で新鮮なミネラルが純粋にワインに反映されます。余韻が長いフィネスと複雑な香りが現れます。私たちのピノ・ノワールは、緻密で複雑な赤系果実のアロマを持っています。シャルドネはふくよかで若々しい花のアロマがあります。
【Santenay Clos des Hates/Chassagne Montrachet Les Plantes Momieres】
石灰質がやや多めの土壌。赤ワインは土壌からタンニンを造ります。ワインの骨格と肉付きを造るのです。この土壌から生まれるピノ・ノワールは赤系と黒系果実のアロマと持続性の長い余韻を持ちます。
【Bourgogne Pinot Noir】
粘土質が強く、石灰質の影響は最も弱い。複雑で含みがあり、控えめなアロマを持っています。
●栽培
減農薬農法(リュット=レゾネ)を用いています。出来るだけ化学肥料や除草剤を使用しないビオロジックに基づいています。化学肥料はできるだけ制限していますが、ベト病などの病害が発生した場合は最低限の量を散布します。その年の個性を反映した上で最良の葡萄を造ることが大事なのです。
●日本のお客様たちへ
私たちのワインは、例えば料理を用意して友達と食事をするときなどには最適です。手の込んだ料理と合わせていただければ、きっと満足していただけます。シンプルな料理と合わせるならブルゴーニュ ピノ・ノワールやシャルドネが完璧な相性です。
●日本のソムリエ様たちへ
季節にもよりますが、白ワインは12~13℃で、赤ワインは16~18℃でサーヴしてください。白ワインはあらゆる魚料理と素晴らしい相性です。赤ワインもあらゆるお肉料理と、そしてスパイスのたっぷりとしたソースを使った魚料理と相性が良いです。また、赤ワインとチーズの相性はこの上ないです。
【ブルゴーニュ高騰時代に現れた辺境の地サントネーからの素晴らしい造り手!リーズナブルでとても美味しいです!2014年ものにも期待!!】

初登場のバシェ=ルグロのシャルドネです。ルグロと言えば、noisy はヴォーヌ=ロマネ(本拠はニュイ=サン=ジョルジュ)のフランソワ・ルグロを思い出しますが、関係は今のところ判りません。
あのティム・アトキン氏が2014年のバシェ=ルグロに、驚異的な評価をした・・と言うので、
「それならば、2014年に大きく成長しているにせよ、その可能性を2013年から探ってみる価値は有るだろう・・」
と、サンプルを沢山くれたので・・(^^;; ・・いや、サンプルも良し悪しでして、ただでさえ有限な時間を無駄に費やすことになるか、貴重な体験になるかは前以て判りませんから、
「山ほどサンプルをいただく」=「非常に有難い!」
と、スムーズには行かないんですね。多くの場合、余り気の乗らない結果になってしまい、サンプルをくれた方も、いただいた方も、何となく気まずい感じになっちゃうんですよ。
なので、「特に・・どうしても・・何とかして・・買ってくれなくても良いから・・」飲んでくれと言うのであれば、
「・・良きに計らえ・・」
となるのかもしれませんが、基本は出来るだけ購入して・・と言うことになります。今回は要求していないのにいきなり沢山届きましたんで・・有難く頂戴し、ワインからの実情報をいただいたと言うことになります。
このブルゴーニュ・シャルドネは、サントネー風な、やや腰高の雰囲気を持ち合わせてはいるんですが、けっして軽くはならず、適度な低域の押し出しと、高域、超高域の軽やかで華やかな表情を持っています。
中域もそれなりにしっかりしていて膨らみも有り、透明感の高いミネラリティを多く含んでいますので、とても美味しくいただきました。
低域の押し出しは、ややもすると「残糖」による場合もかなり有りますので、このシャルドネにはまず残糖感が無い、完全発酵をしている感じが漂います。
自然派では有りますが、ナチュラル感が浮遊して感じられるようなことも無く、むしろとても自然な・・(^^;;自然感が、むしろビオアレルギーなブルゴーニュファンにとっては有難いでしょう。
さりとてこのサントネー風なライトタッチさは、やや軽めの柑橘感や瑞々しさによって感じさせられるようであって、決して全体的印象が軽い・・とは感じないでしょう。適度な軽さ、むしろACブルゴーニュとしてはボーヌのシャルドネかな?・・と感じてしまうと思われるほどしっかりしています。2013年ものの弱さを微塵にも見せず、さりとて抽出の強さも感じさせずとても良い出来です。

こちらはブルゴーニュ・ピノ・ノワールV.V.になりますが、これがまた中々の仕上がりで、3千円以下のACブルが枯渇して行く中で、将来が楽しみに思える深めの味わいをしています。
色合いからも判るように、2013年のネガティヴさ、良い方に出た時はエレガントでエキス感が有って美味しいと感じさせてくれるものの、多くの生産者の場合、どこか「薄い」「薄辛い」印象か、もしくは最後まで頑張って葡萄を熟させたよ!・・だから判ってよ!的な酸のバランスの悪さや果皮抽出の強さがあるものですが、こちらはその辺り、力が適度に抜けていて、それなりの濃度が有り、ちょっと・・単なる村名サントネーよりも美味しいじゃないか?と思わせてくれるようなポテンシャル感が有りました。
当然今飲んでも美味しいんですが、赤いベリーをかなり積層させたような果実感と、一瞬、「ジュヴレ?」と感じさせてくれるようなややワイルドな複雑さが感じられます。おそらくジュヴレっぽさを感じさせるようなミネラリティの構造を畑が持っているのでしょう。
中域の膨らみも適度で、そんなミネラリティもたっぷり感じますから・・これはちょっと行けるんじゃないかと判断しての仕入れです。とても美味しいと思います。
2014年もののバシェ=ルグロが非常に高い評価を得た・・と言うのは、確かに多くのサントネーの生産者の平均を大きく超えている・・と感じさせるものの、まだノビシロはあるに違いない・・とは思いつつも、
「2014年ものがどっちの方向に向かったのかがまだ良くは判らない・・」
ものですから、やはり2014年ものは入荷した時のテイスティングで扱いを決めようと・・思っています。もしかしたら・・大化けする可能性は有ると、この2013年もののテイスティングからは感じた訳ですが、その方向が、
「エレガントさ、エキスを美しく感じさせてくれるような方向」
に行ってるとしたら、かなりの期待を持って良いと思います。要は脱力系で無理なことはせず、畑のポテンシャルを引き出すと言うベクトルですね。
反対に、どちらかと言えば「濃い」とか、力業に走るとか、人力にたよる方に行ってしまうとすると、海外の方は喜ぶかもしれませんが、日本人は決して頷かないでしょう。
ティム・アトキン氏は、どちらかと言えばブルゴーニュの高評価は前者に与えられることが多いように感じていますので、その辺、期待しています。
半面、南アフリカのワインをかなり評価していて、noisy 的にはさほど偉そうなことが言えるようなテリトリーでは無いにせよ、フランス的なエレガンスにはまだまだ追い付いていない・・と言うような印象が有りますから、その辺りの衝突をどのように受け取ったらよいのか、まだ分からないでいるんですね。
でもまぁ、少なくとも某元アドヴォケイトの方のような理解不能な評価はしていないことを基準に、彼の評価を信じてみたいと思っています。
ブルゴーニュワインの高騰に付き、我も続けとばかりに品質の良い、少し周辺のワインが出て来ています。バシュレ・モノもリーズナブルで美味しいですが、出来れば2千円代で・・と言う気持ちも有ります。このバシェ=ルグロがそんな存在になってくれればと思います。期待しましょう!是非飲んでみてください。お勧めします!