
「ヤン・ロエル」さんを思い出しますよね。非常に懐かしいです。
確か、ガメで濃密な味わいをナチュラルに感じさせてくれたのがこのワイン、レッド・ピフでした。ラシーヌさんで彼を紹介され、ヌーボーなども販売していたと記憶していますが、緻密なワインを造る細やかな性格が災いしたのか、病んでしまって引退せざるを得なくなったと聞きました。
「・・えっ?・・止めちゃうの?」
と、本来なら彼の体調を一番に気にするべきところ、せっかく順調に販売していたワインが入らないことにまず気持ちが行ってしまったことに負い目を感じていました。
まぁ、弟子筋がこのドメーヌ・シャポトンなんでしょうが、ガメと南仏品種ではかなり異なるんじゃないか?・・グルナッシュとシラーで、あのレッド・ピフの「冷ややかな美味しさ」を出せるんだろうか?・・それとも全く別ものとして考えるべきだろうか?・・などと思っているうちに時間が経ってしまいました。
恐る恐る飲んでみると、あのレッド・ピフの濃密ながらドライで冷ややかなニュアンスは健在です。テクスチュアも実に滑らかで似た感じです。でもスパイスの出方は、南仏としましては非常に穏やかですが、やはりガメのような細やかなスパイスとは違うかな?
それでも「ス~ッ」と流れて行くような感じとか、飲みやすさとかのナチュラルさにヤン・ロエルを感じて、ちょっと嬉しくなりました。
味わいに幅が有ります。わずかなビターがジューシーさ、濃密さの在るこのワインに幅を与えている感じです。良い感じのデイリーだと思いますがいかがでしょうか。是非一度、「アンドレ・カルクさんによるアルディッシュのレッド・ピフ」、ご賞味くださいませ。