● 実に面白い生産者を見つけたのでご紹介します。まぁ・・D.R.C.の出身者と言うことで、
「ん?・・そうなの?・・じゃ、飲んでみよ~か・・な・・」
と言うような安易な気持ちで仕入れてみたクリュニーさんのワインです。そうしたら・・思いっきり、裏切られました!
MC系の全房発酵、そこからの高温発酵、ピュアな味筋のワインだろうと、勝手に思っていたから・・です。
今や完全にビオ・・アヴァンギャルドでは無いにせよ、自然派ワインと言って良いD.R.C.で修行した・・と言っておきながら、並み居るD.R.C.出身者とは全く違うアプローチだと感じるその味わいが・・
「ボクトツなのに徐々に心に染み入って来て大きくなって行く」
のが如実に判る味わいなんですね。
「え~・・!・・今更・・そこから・・なの?・・D.R.C.はどこ行った!」
とは頭では思うものの、身体の反応は別でして・・
「(・・ん・・中々に旨いじゃん・・)」
と、身体に有る脳が言ってるんですね・・(^^;;
ジュヴレV.V. なんて飲んだらきっと、卒倒しますよ・・。滅茶美味しいんですもん。
でもね・・
「どうしてそんなにクラシックな造りなん?」
「・・今から・・そこから始めるの?」
「数年後を目途にまずはビオロジーって・・じゃ、来年は・・どうすんのよ・・?」
みたいなね・・ツッコミどころ満載なのに、何故か憎めないほど美味しいと言う不思議なワインです。
■エージェント情報


ジュヴレ・シャンベルタンの北隣、ブロション村に20世紀初頭より続くヴィニュロンの家系で、1959年に自社ビン詰めを開始した4代目ミッシェル・クリュニー、および1990年にドメーヌを継承した5代目エルヴェ・クリュニーによって、礎が築かれました。2005年にエルヴェが他界し、レアとカミーユの2人の娘が継承。畑を大切に守りながら、10年間、ネゴシアンにぶどうを販売してきました。そして2014年、それまで大聖堂やシャトーなどの天井を修復する職人だったレアの夫エドゥアルド・パパンが、ヴィニュロンの道を歩むことを決断。姉妹の本格参画のもと、新生「ドメーヌ・クリュニー」が誕生しました。
ボーヌのワイン学校で栽培学と醸造学を修めた彼が、唯一の修行先に選んだのは、「DRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)」でした。
「醸造長ベルナール・ノブレから、醸造の理論と実際を教え込まれました。私はDRCしか知りませんので、基本的にはDRCで教わったことをそのまま実践しています。今のところ赤は100%除梗していますが、今後は全房発酵も試していきたいと考えています。また、数年後を目途に、まずはビオロジー栽培への転換を予定しています」(エドゥアルド・パパン)。
2017年ヴィンテージ以降、自社ビン詰めをするアペラシオンを段階的に増やしており、2019年ヴィンテージから、「Bourgogne Rouge」「Gevrey-Chambertin 1er Cru Champeaux」「Chambolle-Musigny 1er Cru Les Charmes」「Chambolle-Musigny 1er Cru Les Noirots」を加えた「完全形」がお目見えする予定です。そのワインは、精妙にして艶やか。修行元「DRC」の名に恥じぬ、別格の完成度です。
所在村: Brochon
醸造家: Edouard Papin
所有畑面積: 7ha
ドメーヌ継承年: 2015年
栽培における特記事項: 実質ビオロジーの極めて厳格なリュット・レゾネ栽培。化学肥料、除草剤、殺虫剤、防腐剤は原則として一切使用しない
醸造における特記事項: 赤は100%除梗、白は除梗しない。天然酵母のみで発酵。赤は無清澄、ノンフィルターでビン詰め
販売先: 販売を開始したばかり。フランス国内70%(レストラン、ワインショップ、個人のワイン愛好家)、輸出30%(EU各国)
掲載実績のある海外メディア: 「Bourgogne Aujourd'hui」
【これは激旨!抽出にこだわらず樽を少なくしたセラファンV.V.風!是非飲んでみてください!】

これはめっちゃ美味しいです・・だけど、D.R.C.出身者どうのこうの・・と言われてしまうと・・ハッキリ言って、
「笑ってしまいます・・」
「・・どこがD.R.C.やねん!」
と上方の漫才師に変身してしまいますよ。
でも、この美味しさは本物です。見事です。集中しています。おそらく樹齢が相当に高く、手の込んだ畑仕事をしていることが伺えます。それに加え2019年からは、知る人ぞ知る素晴らしい1級レ・シャンポーや、シャンボールのレ・シャルム、レ・ノワロもリリースする・・とおっしゃるので、
「そりゃぁ・・次の演芸会も・・見たいかも・・」
と思わされてしまうんですね。
ハッキリ言って、イメージはセラファンの看板であると勝手に思っている村名V.V.と同一です。ただし、樽は半分、抽出はセラファンほど強く無い・・サラリと抽出していますので、それがまた心に沁みるんですよ。そこからの表情はとても深く、ついついグラスに手が伸びてしまいます。
このグラスの色も、セラファンのイメージに酷似していませんか?・・トラペじゃこうはなりませんし。で、そこにこれからD.R.C.の遺伝子が入るんでしょう?・・
だったら、少なくともこのワインは飲んでおかなければ、先行きで面白くないですよね?・・もう、ニコラ・フォールとかでは全く有り得ない・・非常にクラシカルな味わいです・・が、もしかしたらすぐに「最先端」になるかもしれないと言う・・訳の分からないジュヴレV.V.です。これはお勧めします。文句なく・・旨いです。
【ドメーヌ・クリュニーを少しだけ理解できたのはこの2種をテイスティングできたから・・です!素晴らしいジュヴレV.V.には及ばないものの、一般的にジュヴレ村名とそん色の無い出来栄えです!】

・・と、そんな訳ですから、D.R.C.風の味わいを期待してお求めになるのはお止めください。どこにもそんな姿は有りません・・(^^;;
ただし、超クラシックで有りながら適度なソフトさを持ち、そこはかとなく、底の方から滲み出てくるかのような表情が素晴らしく、しかも長くワインに親しんでいる身にとっては、
「いや~・・こんなの久しぶりに飲んだよ~~!」
と、昔を思い出して懐かしくて涙がチョチョ切れるような感動をもたらしてくれるんですね。
しかし、それにしては・・確かにパキパキに硬い訳でも無く・・いや、硬いと言えるものは無く、抜栓後からの開放度は非常にリニアなカーブを描き、気付けば、結構に開放してくれているんですね。大昔の硬いだけのブルゴーニュとは確かに違う部分も有ります。
そして、この色・・。
「ん?・・間違って同じヴィンテージのボトルを開けたんじゃないの?」
と言われかねないほど、一緒ですよね。幾分2015年ものの色合いに「熟」が見えたとしても、そう突っ込みたくなっちゃいます。
で、味わいは、村名ジュヴレV.V. を少しスタイリッシュにし、濃密さを少しだけ「ほんわか」と刺せた雰囲気です。なので、
「セラファンの村名に酷似」
しちゃってます。・・いや、細かいことを言えば違う部分が多いとしても・・です。

2017年のコート・ド・ニュイ=ヴィラージュ(・・言っておきますが準村名ワインです。オート=コートでは有りません。) は、非常に健全に感じます。ヴィンテージのお陰でしょうか。瑞々しく、フレッシュながら新樽のお陰でしょうか、適度な酸化熟成が有り、とても良い出来です。少しだけ硬さも感じますが、これは若さゆえ仕方のない部分でしょう。
2015年のコート・ド・ニュイ=ヴィラージュは、2017年ものに比較しますと・・ソックリでは有りますが、パレットの端の部分から「熟」が入って来ているのが判ります。ノーズも滑らかになり、皮革とか、落ち葉とかが感じられるようになって来ています。
さりとて完熟までは到達しておらず、しかしながら飲み進めて行くとソフトになりつつ膨らみも増え、飲み終える頃にはちょうど良くなっていました。
なので、あと2年ほどでだいぶ良い状況に仕上がるんじゃないかと思います。
まぁ、余りに村名V.V.が美味しいので、予算に余裕があるようでしたらそちらを。無いようでしたらこちらのどちらかを飲んでみていただきたいと思います。
どこか嘘っぽいと感じてしまうD.R.C.出身者のワインですが、引き寄せられてしまうこの味わいには、しっかりしたポテンシャルを持ち、しかもそこからの表情や風情を放出しているからだと思います。是非飲んでみて下さい!お勧めします!
【普通過ぎる位に普通・・なのだが、心地良い美味しさだと思ってしまう実に不思議なワインたちです!ニュイの王道の白の味わい!】

ま~・・安っぽいエチケットに派手さの全くない、フランス人らしいエッセンスは有るにせよ・・でも飲んでいると・・
「(・・そう・・これよこれ!・・これが良いのよ・・)」
とね。
そう、街中の中華屋さん・・・余り綺麗では無いが、パラッパラのチャーハンがまた食べたくてついつい寄ってしまう・・とか、最近流行りのラーメンじゃ有り得ないのに、実にフツーな中華そばが自分にとってはドはまりするような絶品で、あの出汁の味わいが身に染みてしまって週一では必ず行ってしまう・・とか。
そんな店なのに・・そんな造り手なのに、あのD.R.C.で修行して、しっかり身に着けて帰って来たと。
「私はDRCしか知りませんので、基本的にはDRCで教わったことをそのまま実践しています。」
「(・・・ウソ付け!)」
そんな味わいはどこにもないです。修行はD.R.C.でしたけれど・・いや、最終的にはD.R.C.風の畑の仕立て、醸造に持って行こうとは思っているけれど、やっていることは、
「超古代風!いまや風前の灯火になったブルゴーニュの農民造り」
だと感じてしまうんですね。
なので、飲むと超クラシックです。20年前のブルゴーニュの味です。セラファンが樽を余り使わずに造ったら
「・・こうなりました・・わたし、これしかできません・・」
と言った感じです。
なので、2017年のA.C.ブル白は、開けたてはほんのり硬めです。しかし、そこからリニアに膨らんで来ます。物凄くポテンシャルが有る訳ではないのに、時系列の変化が実に楽しい!・・気付けば、
「・・あれ?・・もう、飲んじゃったんだっけ?」
と言う状態です。
これ、滅茶良いですよ。身体がそう言ってます。そして、この先・・・D.R.C.で教わったことを実践して行くそうですから・・
「あらま・・そりゃ、見守るのも面白そうだ・・」
と思っちゃうんですね。
なので、これも推しちゃいます。一推し・・じゃ無いです。でも・・何故か惹きつけられるんだよなぁ・・この味わい。是非お試しください。