● 久しぶりのドメーヌもののド・ラ・カデットをご紹介させていただきます。ヴェズレの協同組合長として、素晴らしい自然派ワインを造っていましたが買収により独立したジャン・モンタネさんのドメーヌです。今は息子さんのヴァランタンさんがやっているようです。
昔からワインはとても良かったんですが昔に比べて随分と価格が上がってしまい、ドメーヌものはしばらく飲んでいませんでした。何しろ以前、ヴェズレは千円台でしたし・・。
ですが、何がどうなったか詳細は判りませんが、ラシーヌさんが自粛期間中にサンプルを送ってくれた中に
「2018 ブルゴーニュ・ルージュ・シャン・カデ」
が入っていまして、テイスティングしなくてはならないアイテムが余りに多く、しばらく放置していたのを、ようやくテイスティングさせていただいたところ、
「ぎえ~・・!」
と、思わず声の出るような出来栄えでしたので、やはりここは皆さんにもしっかりお伝えしようと言うことで・・ご紹介させていtだきます。

Domaine de la Cadette ドメーヌ・ド・ラ・カデット
地域:Bourgogne
地区、村:Vezelay ヴェズレ
オーナー:Jean Montanet
醸造責任者、栽培責任者:Jean Montanet
ドメーヌ創業年:1987 年
畑面積:2ha
契約畑面積:9ha
ブドウ畑の数:11
ブルゴーニュ地方コート・ド・ニュイと、シャブリ両地区の中間に位置するヴェズレ地区に所在。
オーナーのジャン・モンタネ氏は、2001年まで有機栽培生産者が集まる協同組合の組合長を長年続けていましたが、組合が大手生産者の手に渡ったため独立。組合を離れたことで
「天候とブドウの成熟度を見ながら、最高の熟度で収穫出来る」
と語る。
SO2は醗酵と熟成中には一切使用せず、瓶詰め前に約20mgのみ添加。冷涼な気候から繊細でピュアなワインを生み出しています。有機栽培として、カリテ・フランスから認証を受けている生産者です。
◆ドメーヌ・ド・ラ・カデットについて
ディジョンとシャブリのほぼ中間に位置し、長い歴史あるピノ・ノワールとシャルドネの産地として知られるヴェズレイに2002年にスタートしたドメーヌ。オーナーのジャン・モンタネは、以前は地域の有機栽培生産者をたばねる協同組合の長を務めた名醸造家。その後独立、「自分の眼と舌で確認してブドウを最高の熟度で収穫し、その完璧なブドウ100%でワインが造れる」と語る。畑は自社と契約、計11haで標高160m前後の粘土石灰質。オーガニック栽培はカリテ・フランスの認証を得ている。酸化防止剤は発酵、熟成中は一切使用せず、瓶詰め時に20mg/Lの添加に限り、クリーンな余韻を生む。シャルドネのラ・シャトレーヌは、シュールリー熟成による厚みと酸のバランスが秀逸。ピノ・ノワール、シャルドネとも冷涼な気候を映す繊細でピュアな味わいは、パリのヴァン・ナチュール酒販店でも、ドメーヌ創業時から高い人気を保ち続けている。
◆グラン・オーセロワについて
シャブリの周縁、数カ所の小規模な栽培地の総称。主な構成地域は4つで、シャブリから南西約15kmのイランシー村などで知られるオーセロワ地区、シャブリの南約40km、ディジョンからほぼ真西に約100kmの位置にあるヴェズレイ村などで知られるヴェズリアン地区、シャブリ東側のトネロワ地区、同西北西ジョワニー地区である。いずれも石灰岩豊富な土壌で、ブルゴーニュに典型的な葡萄が栽培されるが、黒葡萄のセザール(Cesar).白葡萄のサシー(Sacy)などの固有品種も極わずかに栽培されている。1999年に村名AOCに昇格したイランシー(以前はAOCブルゴーニュ・イランシー)はピノ・ノワール主体の赤ワインのアペラシオン。2003年に村名AOCとなったサン・ブリはブルゴーニュ唯一のソービニヨン・ブラン主体の白ワインのAOC。ミネラル豊富な辛口のシャルドネを生むトネロワ地区も、2006年にブルゴーニュ・トネールというAOCが認定された。
◆ブルゴーニュについて
北端のシャブリとその周縁、偉大なグランクリュの数々を含むコート・ドール、その南に続くコート・シャロネーズ、マコネ、ボジョレまでを含む地域の総称。大規模農園が多いボルドーと異なり、ここでは農園は相続を繰り返すごとに細分化され、農家の畑の平均は約6ha。通常一つのアペラシオン名を有する区画が多くの生産者に分割所有され、その最たる例のクロ・ヴージョは約50haが90の農家に分割所有される。ラ・ターシュなどのように一つのクリュの一生産者単独所有(モノポール)は稀有な例外である。それゆえ同じアペラシオンのワインでさえ、生産者によって「悲惨な代物から、素晴らしい逸品まで」と言われるほど品質のバラツキ、不確実性が顕著。ワインの生産形態も三つに大分され、1.ネゴシアン(買いブドウ/ワイン)を集めてブレンド。2.ネゴシアン自社畑栽培・自社醸造。3.ドメーヌ(農家の自社栽培・醸造がある)。なかには、まさに魂をゆさぶる、人知を越えた名品があるとさえ思わされるが、それにたどり着くのは至難である。
【ツヤツヤで透明なミネラリティに包まれた冷ややかながら中域しっかりの超美味しいシャルドネです!】

とても美味しいです!理想の姿に近いと感じられるような味わいと言えば良いのでしょうか?・・ブルゴーニュの北の土地の尖がった寒さと言うのではなく、適度な「冷ややかさ」が柑橘系の白、黄色の果実をリアルに感じさせてくれ、しかも中域の膨らみも目の詰まりを感じさせつつ、表面をクリスタルコーティングしたかのような滑らかさで「つるん」と喉の奥へと目指してくれ、落ちて行った後に果実の自然なビター感と透明なミネラリティがノーズへも戻って来る感じ・・です。
同じくド・ラ・カデットのピノ・ノワール・ル・シャン・カデも、飲まれた方の評判はとても良いんですが、ようやく3ケース目に突入・・と言うようなスローなペースでして・・
「・・ん~・・何でそんな程度しか動かないかなぁ・・」
と、自身のプレゼンの下手さとか、言葉の使い方の「なってなさ」とかが気になって来てしまいました。
まぁ、お陰様を持ちまして、非常に忙しい日々を送っています。ワイン屋としての本業の部分も相当に忙しい訳ですが、それ以外の雑多な仕事・・掃除とか・・修理とか・・片付けとか・・がまぁ多いもので、ワイン12本の20キロ以下ほどならさしたる苦も在りませんが・・重いですけど・・200キロ~300キロ以上の重さのものを動かしたりしなくてはならなかったり、扉が動かないとか、電球が切れたとか暗いとか、壮絶な・・ある意味、時には命の危険さえを感じながらの作業と、少しぐらいは自分で考えて自分で動いてくれ!・・と言いたくなるような、誰でも出来る仕事だとは思いつつも自分でやってしまった方が早い・・ので、結局やってしまいつつ、また延々とキーボードを叩いている訳ですね。
そんな仕事が終わってから自宅に戻るともう翌日になっていますが、そこからまたテイスティングを兼ねた食事になる訳でして、そんな時に、
「こんなに自然なナチュラル感(??)で、しかも普通に超美味しい・・ビオや自然派を特別に意識させないずに高質な味わいを見せるシャルドネ」
に出会うと、酔いの超な軽さと、味わいの素晴らしさによる満足感で、そんな激烈な毎日による身体へのダメージがだいぶ癒されることになる訳です。
なので、まぁ・・確かにエチケットは地味ですし、ちょっとパッとしない感じは有りますが、大昔のカデットに比較すれば、
「・・随分と垢抜けたよね~!」
と言える時間の経過の余りの長さにも、ちょっとクラっと来たりします。
味わいはシャブリチックですが、一般的なシャブリの線の細さ、ミネラリティの押し込め感・・(^^ はしません。自然な感じですが、でもしっかり集中しています。おそらく皆さんが想像していらっしゃるより美味しいはず・・です。
まぁ、今月11月は、本来でしたらリアルワインガイドのテイスティングに出かけている時期ですが、色々と有り、noisy が感染する訳には絶対いかないので、自重させていただいています。リアルのテイスティングメンバーには迷惑を掛けてしまっており申し訳ないのですが、結局のところは、
「何とか・・なるようにしか・・ならない」
そんな現実を見つめつつ、素晴らしい味わいと際立ってはいないがキッチリとナチュラルなこのシャルドネを味わえば、またきっと癒されている自身に気付くのでしょう。是非飲んでみて下さい。お勧めします。
【真ん丸ふっくら、テクスチュアツルツルな球体を感じさせてくれる見事なナチュラル系ブルゴーニュ・ピノ・ノワールです!素晴らしい!】

最初は余り期待していなかったんですね。そこそこには美味しいけれど、テクスチュアはちょっと「ざらっ」としていたし、果実感もナチュラルさには溢れていたものの、「しっかりはしていなかった」し、質感もコート=ドールのピノ・ノワールと比較すると明らかに落ちるし、何より価格がいっちょ前だから・・みたいな判断が有ったと思います。
「誰に向けてご案内したらよいか、判らない・・」
なので、リーズナブルに販売できる奥さんのドメーヌ、モンタネ=トダンものは扱ってもド・ラ・カデットものは相当・・長いこと、扱う事は無かった訳です。
ですが、久しぶりに2018年のシャン・カデを飲んでみましたら・・、これは相当にヤバかったです。相当に・・素晴らしい!
完全エキス化され、見事に昇華された液体です。一体感が凄いし、ナチュラルなのに危うく無い・・。濃密さもしっとりと出ていますが、まったくシツコク無く、素直な果実の美味しさをエレガントに表現出来ています。
ぷっくらと膨らんだ中域、美しく伸びて行く高域、滑らかさを大いに感じさせてくれる低域が、真ん丸なパレットを描いてくれます。ミネラル感も一体化していて、モノの見事に「ツヤツヤ」です。アロマの上りもスピード感有るもので、しかもそこには危な気なニュアンスは感じられません。伸びやかなたっぷりなミネラリティと見事なチェリー・・シャブリ近郊とはまた異なる、非常に滑らかな石灰が非常に心地良いです。
ブルゴーニュとして北限のヴェズレですので、冷やかさはちゃんと果実に出ているとは言え、これが相当に美しく高質です。キュッと締まった果実感。ですので、この辺のエレガンスが最初に入って来ますんで、
「おお!」
となるんでしょうね。
そして終盤・・余韻・・去り際の美しさも、そのミネラリティと高質チェリーがしっかり載って・・とても美味しいです。
これは是非、飲んでいただきたい!・・
「ヴェズレのピノ?・・ブルゴーニュだとしても、ちょっと高いんじゃない?」
と思われるかもしれませんが、飲んだら気が変わってしまいますよ。
「滅茶美味しいシャンボール的美味しさ」
と、
「自然派ならではのリアルな表現」
を感じてみて下さい。一推しです!