ドメーヌ・ラロック・ダンタン
ラロック・ダンタン
フランス Domaine Laroque d’Antan カオール
[ oisy wrote ] 南西地方、カオールから凄いワインを造る、新規生産者のご紹介です。
今の時代、ドメーヌを始めるとなったら畑を買ったり、譲り受けたり、それなりにベースのあるところから始める造り手が多いと思います。
しかしなんとこのラロック・ダンタン、「森を開墾」するところから始めています。
・2002年・・・荒地の森を購入
・2002〜2008年・・・開墾、整地、植樹。
・2017年・・・白ワイン、ネフェールをリリース
・2018年・・・赤ワイン、ニグリンヌをリリース
なんと土地を購入してから「16年」もかけて入念に準備してきています。一定の樹齢に達するまではリリースしないと硬く決めてきたのでしょう。
それもそのはずで、当主のブルギニョン夫妻はあのDRCやルロワ、ルフレーヴ、ジャック・セロスなどの錚々たる造り手の土壌研究をしてきた方です。そんな方が選んだ土地ですから、畑のポテンシャルを大事にするのは当たり前なのだと思います。
そして面白いのはブルギニョン夫妻の挑戦を「ほぼファーストヴィンテージ」から追いかけられるという点です。
恐らくブルギニョン夫妻の慧眼で選ばれた畑の本当のポテンシャルを引き出すには樹齢が必要だと思います。しかし現段階でもそのポテンシャルの高さはしっかりと感じられ、素晴らしいワインに仕上がっています。そしてこれが樹齢が高くなったらどうなってしまうんだろうか・・・と考えずにはいられません。そんな成長を最初から楽しめるのは今だけかもしれません。
品種も多品種、色もブルゴーニュと全く違うのに、不思議とちらつくのはブルゴーニュの畑・・・そんなワインを造るブルギニョン夫妻の活躍に目が離せません!!ご検討くださいませ!
■エージェント情報
ラロック・ダンタンは、地質学の世界的権威リディア&クロード・ブルギニョン夫妻が南西地方のカオールに創設したドメーヌです。90年代から、DRC、ルロワ、ルフレーブ、ジャック・セロスなど世界の超一流ドメーヌの畑の土壌分析をしてきたブルギニョン夫妻は、いつか引退した後に自分自身でワイン造りをしたいという夢を抱いていました。
二人は、農薬が一切使われたことのない、汚れていないピュアな畑を求めて、2002年に荒れ地の森を購入し、その荒れ地を6年掛けて開墾・整地し、理想的な品種を植樹。 場所はブルゴーニュでもボルドーでもシャンパーニュでもなく、なんと南西地方。「テロワールは品種よりも強い」という信念を持つブルギニョン夫妻が、ワイン造りの夢を心に抱いてから実に四半世紀。そして、2017ヴィンテージで白ワインを、続く2018ヴィンテージで赤ワインのキュヴェを醸造し、造り手としてデビュー。世界的な資質学者の名に恥じない『グラン・ヴァン』のフィネスを備えた南西ワインが誕生しました 。
● 2018 Nephele Blanc I.G.P. Cotes du Lot
ネフェール・ブラン I.G.P. コート・デュ・ロット
【2018はクラシック感が強め!ブルギニョン夫妻の慧眼にかなった土壌の持つミネラリティと熟度と瑞々しさの両立したコアのある液体!】[ oisy wrote ]
[ oisy wrote ] 2018はネフェルの2年目のヴィンテージです。ですので、もしかしたらまだ手探りの部分はあるのかもしれません。しかしとても2年目とは思えない完成度のワインです・・・
2002年に森を購入し、6年かけて開墾、聖地、植樹ということですから植えたのは2008年ということでしょうか。そこから10年、恐らく根が一定の深さに到達するまでワインを造らなかったということなのでしょう。
もちろん10年あれば十分というわけではないと思いますが、このワインから感じるミネラリティは非常にポテンシャルを感じます。
ボーヌのような、厚さのある鉱物感のあるミネラリティ、そこにごく僅かに南の黄色い果実の風味。グレープフルーツのようなビター感。「熟しているが、余分に熟してはおらず」、冷涼さに富んでいて充実しています。
樽もそこそこ効いていると思います。スモーキーさとバニラの風味。しかし樽使いはヴィンテージによって結構違いがありますね。詳しくは2021ヴィンテージのコラムにて書こうと思っています。
しかしこの樽に負けないミネラリティがあり、「不思議と瑞々しさとも同居」しています。そしてしっかりとした「コア」を感じます。
2018ヴィンテージには少しクラシックなブルゴーニュ的なスタイルを感じます。それが、為せるのも長年の土壌分析のデータを蓄積しているブルギニョン夫妻だからこその土地選びにあるのかもしれません。品種は全く違うのに・・・です。
品種選びも相当考え抜かれたものであるように感じます。ソーヴィニヨン・ブランが50%を占めますが、ハーブ香が強いかというとそんなことはなく、多品種のブレンドというよりは
「複雑性をもった単一品種」
のように感じられるほどまとまりがあります。
ここまで「格」を感じる南西地方のワインには初めて出会いました・・!自然派ではありますが、「ワインとしての完成度」が高いです。
ようやく飲み頃に入ってきたというタイミングかと思います。ピークはまだ数年先かと思います。樹齢10年で「これ」ですからこれからが楽しみですね!ご検討くださいませ!
● 2021 Nephele Blanc V.d.F.
ネフェール・ブラン V.d.F.
【むむむ・・?ピュア感が増し、果実とミネラルの輪郭がクッキリとしてきたぞ・・!!】[ oisy wrote ]
[ oisy wrote ] あれ・・・?2018とスタイルはだいぶ違うぞ・・・
ピュア感がかなり増している・・・樽のニュアンスはほぼ感じないレベルまで下がり、果実の輪郭がはっきりしているぞ・・!
こうなるとよりこの土地のテロワールが見えてきます・・リンゴやグレープフルーツなどの黄色いドライな果実。金属的なミネラリティとそれに由来するエレガンスを放ちます。フルーツとミネラリティのあいまった、あまやかな香り・・・こりゃあたまらない!!
熟度とミネラリティ由来のオイリーさを纏っていて高い密度と充実感です。ラロック・ダンタンのワインは「よく熟しているが、余分には熟していない」という絶妙な塩梅が特徴的で、「熟度は感じるのに、瑞々しい」という、まるで塩分は控えめなのに風味は強い上質な出汁のような相反する要素を持ち合わせています。
これ今レビューを書いてて閃いたんですが、もしかしたらこの畑が森を開墾して造られた農薬を一切使っていない、「激ピュアな畑」だから・・・なのではないかと思いました。だとすると「ここ」にこそブルギニョン夫妻が人生をかけてまで表現したかったものが現れているんじゃないかな・・・と想像してみたりします。
樽使いが大きく変わったのは、様々な試行錯誤を繰り返しているから・・・あれ、あれれ?このコラムを添削しているときに気づきました。テクニカルにシレッと
「70%はジャック・セロスから譲り受けた古樽(容量228Lと400L)で発酵と熟成」
と追記されているではありませんか・・!このスタイルの変化の理由を見た気がします。古樽になったのは間違いないだろうな・・と思っていましたが、ただの古樽ではなかったようですね。ミネラルがツヤツヤと磨かれて、表に出てくるには樽の質や樽使いが重要なのかもしれない・・そんな新たな気づきを得ました・・!
それとやはり樹齢・・ですかね。ラロック・ダンタンのワインは樹齢とともに間違いなく旨くなっています。DRCやルフレーヴで土壌研究をしてきたブルギニョン博士、そのお眼鏡に適った畑でありますから、そのポテンシャルを十分に引き出すには樹齢が必要なのは間違いないでしょう。
そして樹齢や樽の進化によってこれからさらに進化していくと考えるとワクワクが止まりませんね・・!ラロック・ダンタンのワインは追いかける楽しさがあります!ほぼファーストの2018から追いかけられるというタイミングも今しかありません!ぜひご検討くださいませ!
● 2022 Nephele Blanc I.G.P. Cotes du Lot
ネフェール・ブラン I.G.P. コート・デュ・ロット
【DRCやルフレーブの土壌研究をしてきたブルギニョン夫妻が見ていたものはこれだったのか!鉱物感に満たされた煌びやかな液体!】[ oisy wrote ]
[ oisy wrote ] こりゃたまげた・・・激「芳醇」な芳香です・・!
ブルギニョン夫妻の挑戦も2022ヴィンテージで一つの到達点に届いたのかもしれません・・
黄色く、煌びやかな輝きを放つ液体です・・!まさにこの色味から想像できる「煌々」とした香りを放っています。
金属的な厚みのあるミネラリティ。香りは完全にフルーツを超えていて、「鉱物感」に満たされています・・!品種特性の香りもありますが、ブルギニョン夫妻が言う、「テロワールは品種を超える」をまさに体現しています。
残糖をほぼ残さないほどにドライなスタイルでありながら、オイリーで密度のある液体。「熟しているが、余計に熟していない」というスタイルも健在です。
ナチュラルピュアでありながら、全く不安定さはなく、コアのある造りです。余韻の伸びも長く、太く、ドライな果実のあまやかさが響きます。かつて少しだけ飲めたルフレーヴの陽炎が一瞬見えてしまいました・・・なんとかモ●ラッシェ・・とかいって出しても、通用しちゃいそうな勢いです。
いや〜すごいですね。2018、2021もそれぞれに良さがありましたが、2022はぶっ飛んでます。ヴィンテージ特徴もあるかもしれませんし、根が一定の岩盤層まで到着したのかもしれませんし、ブルギニョン夫妻が「掴んだ」のかもしれませんが、詳しいことはわかりません。
しかしこのミネラリティの進化は・・・やはり根が一定の層まで届いたとみるのが自然じゃないかな・・・DRCやルフレーブの土壌研究をしてきたブルギニョン夫妻の見ていたのものはこれだったのか・・・と思います。それでもまだ樹齢は10数年ですからね、これから進化していくと考えると・・・末恐ろしいです・・・
素晴らしいワインです。ブルゴーニュのシャルドネファンが求めているものも内包していると感じます。2022は数も無いですが、激推しです。「覚醒」したブルギニョン夫妻のワイン。ご検討くださいませ!
● 2018 Nigrine Rouge I.G.P. Cotes du Lot
ニグリンヌ・ルージュ I.G.P. コート・デュ・ロット
【なんと森を開墾するところからスタート・・!伝説の始まりとなるのか・・10年以上の下準備を経てようやくファーストビンテージとなったブルギニョン夫妻のチャレンジの始まりです!】[ oisy wrote ]
[ oisy wrote ] 注目のラロック・ダンタン、赤のファーストヴィンテージです・・!
むわっとくる芳香・・!黒の入った赤果実の、これはエレガンスと言って良いレベルでしょう。スピード感があります。
ブラン同様、「熟しているのに余分には熟しておらず」、果実の深みがありながらも酸も適度にハリがあります。
柔らかさのある果実、石灰と鉄分を感じるミネラリティ、余韻は色味のイメージよりもだいぶ伸びやか。果実のコクと深みはあるのに、瑞々しさも同居しているのが不思議な感覚です。
タンニンはしなやかで粒度は非常に細かいです。うっすらと樽の感じはありますね。若干ですがスモーキー&スパイシー。ヴィンテージ的にも全体的に柔らかくなってきた頃合いだと思います。まとまりが出てきて飲み頃に入ってきましたね。
しかしDRCやルロワ、ルフレーブの土壌分析してきた方が行き着くのが南西地方のカオールというのは興味深いですね。「テロワールは品種よりも強い」というのは、最近oisyがよく感じているところでもあります。
2018年ヴィンテージはニグリンヌのファーストヴィンテージということですが、10年以上の計画を立て、なんと「森を開墾」するところから始めているブルギニョン夫妻のチャレンジはまだ始まったばかりです。なんとなくですが・・・樹齢とともに化けていきそうな気配がしています。
これからどのように進化していくのか・・・伝説の始まりとなるのか・・・非常に楽しみです!ドメーヌの成長を追いかけていくにはやはりこれを飲まないと始まらないでしょう。ご検討くださいませ!
● 2021 Nigrine Rouge V.d.F.
ニグリンヌ・ルージュ I.G.P. コート・デュ・ロット
【ピュア感が増し、テロワールの輪郭がよりハッキリとしてきました!不思議と見えてくるのはブルゴーニュのあの村・・・なぜなんだ!?】[ oisy wrote ]
[ oisy wrote ] やはりニグリンヌも2018ヴィンテージとはスタイルが違い・・・ピュア感は増し、素材であるブドウをよりダイレクトに感じられるような造りになってきています!
ジューシーさとバター感が混在したようなエレガンス・・!これに近い香りを嗅いだのは、最近ではビッビアーノのグラン・セレツィオーネでしょうか。まるで質の良いメルローのようではありますが、主体はカベルネ・フラン。ここまで青さの無いカベフラもなかなか無い・・と思います。
ピュア感に磨きがかかったことで、より「酸の輪郭」がハッキリとしてきました。ディティールがより明確になったことで隙間があれば見つかりやすくなってしまうものですが、エキスの積層感が高くなったことにより、そのあたりもカバーされています。樹齢が上がってきたのが大きそうです。
不思議な感覚ですね。恐らく、地理的条件や品種などを鑑みるにボルドー的な味わいであるかと思うんですが、スタイルがブルゴーニュ的なので、飲み心地が軽く、エキスに富んでいます。ボルドー的でもあり、ブルゴーニュ的でもある・・・脳がバグるような感覚です。ただその方向性は間違いなく、ブルゴーニュの生産者が目指しているスタイルと同じなんだろうなと感じます。
肌触りも良く、タンニンもシルキーで、気にするレベルにすらありません。最近だとシャトー・カズボンヌのスタイルに似ているかもしれません。ブドウに自信がないと、できないスタイルです
温度が上がるとよりこのエキスの柔らかさとピュア感は増してきます。うっすらとヴォーヌ・ロマネのカゲロウが見えてくるような赤い果実感が膨らんできます。この地理的条件と品種で・・?と思われるかもしれませんが、不思議なことに結構な頻度でチラついてくるんです・・・
一度も農薬が使われていないピュアな畑を求め、わざわざ山を開墾し、10年かけて作った畑。それがこれほど「純」なワインを産んでいるのかもしれません。
地質学の権威が人生をかけて造るワイン、最終的な形はまだこれからなのしれませんが、私たち単なるワインラヴァーの見えている景色とは全く違うものが見えているんだろうな・・・と実感します。そしてブルギニョン夫妻の見ているもの知るには追いかけ続けるしかないのだとも。このワインを飲んで、追いかけ続けていきたいと強く思いました。
樽使いが大きく変わったのは、様々な試行錯誤を繰り返しているからということもあるでしょうが、「下手な古樽を使いたくない」というのもあるのかもしれません。ここまで丹精込めて造り上げた大事な大事な畑です。古樽をどこかから調達してきたら以前に使われていたブドウの成分が樽に染み込んでいるわけです。そこに染み込んでいるワインが農薬を使われていたものだとしたら・・・それは今までの努力をパーにしてしまうものと考えても不思議ではありません。
だとすると古樽も自身のワインで使用したものを使いたいと考えるのも自然な流れです。なのでファーストやセカンドヴィンテージは新樽をどうしても使わなければなりません。初年度の樽が古樽として使えるのは3~4年目くらいからでしょうか・・・それまでは例え自身の理想とするスタイルと違ったとしても待たなければなりません。(あくまでoisyの勝手な推察ですが) もしこの考察が正しければ2021ヴィンテージはようやくブルギニョン夫妻の求めるワインができるようになった・・・ということなのかもしれません。白はジャック・セロスの古樽を使用しているそうですが、赤は特に記載がないので、自身の古樽を使用していると思われます。
素晴らしいワインです。年々確実に良くなっていますし、樹齢が増してくると恐らくもっと良くなるのでしょう。2021はラロック・ダンタンのワインにとっても大きな変化があった年だと感じます!ご検討くださいませ。
● 2022 Nigrine Rouge I.G.P. Cotes du Lot
ニグリンヌ・ルージュ I.G.P. コート・デュ・ロット
【覚醒しはじめたネフェールに呼応するかのようにニグリンヌも化けてきた・・!ブルギニョン夫妻の慧眼に脱帽です・・】[ oisy wrote ]
[ oisy wrote ] ラロック・ダンタンのワインは2022ヴィンテージで「扉」をこじ開けた・・・ような気がしてなりません! それほどまでに強烈な変化を感じます。
2018も2021も素晴らしかったんです・・・しかし2022が飛び抜けている。と言うよりも、試行錯誤を経て理想とする形に近づけたのかもしれません。2022の中には確かに2018も2021で培ったものが存在すると感じます。
ジューシーさとバター感が混在するエレガンスは健在です。しかしバター感がジューシーさを上回るようになりました。これにより「格」が一つ上がったな、という印象を受けます。それに伴い香水感も高くなっています。2021はどちらかといえば赤い果実が強めでしたが、2022は「紫」の果実がより強く出ています。
しかしタンニンは柔らかくシルキー。めちゃくちゃ細かくてタンニン自体にジューシーさがあるように感じます。全く「雑さ」がなく「精緻」です。
温度が上がるとしっとり感と「濡れ感」が高くなり、より表情が出てきます。温度が低いうちは品種由来のものも感じ、どちらかといえばボルドー的なものを感じるのですが、温度が上がると不思議とブルゴーニュ的な果実の明るさとしなやかさが出てきます。そしてそれがどこの村なのか・・・と問われれば舌に残る余韻の果実感がどうにもヴォーヌ・ロマネを想起させてくるのです。
2021でも感じましたが、エキスが濃くなった分今回は感じないかな・・・と思ったんですが、やはり出てきました。これはもはやテロワールがそうさせているとしか考えられず、ブルギニョン夫妻が長年の土壌研究の結実なのだと思います。土壌の組成が近いのでは、と感じます。品種をテロワールが凌駕しています。
ワインとして「球体」に近づいているのが如実にわかります。球体とはある意味「バランスの極致」であるともとれますが、同時に「奥行きを生み出すなにか」がないとそれに近づかないと思います。
2022ヴィンテージにてついに球体感を手に入れ始めたラロック・ダンタンのワインの今後に目が離せません・・!!ご検討ください。
Copyright(C) 1998-2023 Noisy Wine [ Noisy's Wine Selects ] Reserved