ドメーヌ・レ・ゼリティエ・デュ・コント・ラフォン
レ・ゼリティエ・デュ・コント・ラフォン
フランス Domaine les Heritiers du Comte Lafon ブルゴーニュ
●偉大なシャルドネの造り手、コント・ラフォンがマコネーで仕込むシャルドネが入ってきました。2009年の4アイテムです。マコン=ミリーが買えずに残念でしたが、それでも近い将来(・・・まあ、その頃にはnoisyもいないでしょうが)、コート・ド・ボーヌに替わってマコネーが、
「黄金の丘!シャルドネの聖地!」
になっているかもしれません。
● 2009 Macon-Uchizy les Maranches
マコン=ユシズィ・レ・マランシュ
【マコンとは言え、コント・ラフォンの作風がキッチリ出来始めたようです!美味しい!しかもかなり安くなりました!】
近い将来、ラシーヌさんには、コント・ラフォンの本拠は厳しいにせよ、少なくともこのゼリティエ・デュ・コント・ラフォン辺りは正規エージェントになって欲しいものですが、何かとその道は険しいようです。まあ、蛇の道は蛇にお任せするしかないですが、これほどのピュアなワインこそ、さらにピュアに感じられるように、正式なルートが希望されるところです。
皆さんは、ごく一部の方々を除いては、
「ん?コント・ラフォン・・?・・聞いたことはあるけど飲んだことは無いなぁ・・」
もしくは、
「いや、全く知らない・・・まあ、とりあえず小さい方のグラスに一杯頂戴・・」
位な感じでしょう。
コント・ラフォンのムルソーと聞いただけで生唾が出て来てしまう、どこかのパブロフとは違うようです。まあ、それもそのはず、どんなに安くても福澤さんが一人ではなかなか無理ですし、飲み頃のラフォンなど、高値の花でしかなく、しかもどこかの誰かさんがバッチリ正規として仕込んで、売らずにどこぞの別荘の地下に隠している・・なんて噂が立つくらい(・・・本当か?・・)、まともに世の中には出てこないワインです。
そんな貴族でもあるラフォン家も、このせちがらい拝金主義の世の中、本拠のムルソーだけでは生き延びるのが辛いのでしょう。コント・ラフォンを継承するもの・・と言うドメーヌをマコネーに開いた訳ですね。それがこの、ゼリティエ・デュ・コント・ラフォンです。
始った当初は、コート・ドールとは勝手が違ったのか、樹齢が若すぎたのか、ビオが手探りだったのかは判りませんが、そこそこ美味しいものの、ちょっと空回り感を感じさせるものでした。・・・まあ一応noisyも、最初の年から飲んでますから・・・はい。気になるもんね~やっぱり・・!でも、数年経ってくるとさすがにコント・ラフォン・・・、当初はなかなか難しかったヴォルネイの赤同様、きっちり仕上げるようになってきたと感じています。ちょっと前にご紹介させていただいたちょっと熟した2004年のマコン=ミリー=ラマルティーヌも・・美味しかったでしょ?・・2009年はさらにコント・ラフォン味に磨きが掛かってます!
マコン=ビュッシエールはACマコン=ヴィラージュで、マコンの南部・・・、プイィ=フュイッセに隣接する区域です。マコンとビュシエールをハイフンで繋げて、ビュシエールという地域(まあ、ほぼ村ですが)を表示して良い決まりになったようですのでそのようになっているはずです。マコンの南にあるので、プイィ=フュイッセに隣接するので、やはり似た味わいになるんですよね。よりグラが有り、他のワインよりも少しだけ暖かみが増え、果実の豊かさが感じられます。ヴェルジェ辺りの、悪く言えば「これ見よがし」な部分は無く、貴族的な・・と云うかちょっと余裕を感じる滑らかさ、豊かさが有ります。ゆったりした旨いワインです。こんなところにもコント・ラフォン風味が感じられます。
マコン=シャルドネは、ビュシエールとは違って、マコンのほぼ最北に近い地域に展開している地域(まあ、これも村です)です。シャルドネ・・と付くだけ有ってシャルドネ村です。シャルドネ種が発見された村だとか言われているようですが、個人的に確かめた事は有りません。北にあるだけ有って、比較すると冷たい風味がするんですよね~・・・(本当か?・・)。ビュシエールとはかなり違う感じで、より冷ややかに、シャッキリと、フラワリーな要素が多いです。これがむしろとても美味しくて・・どこかラフォンの本拠の味わいを捜し求めるには良いアイテムなのかもしれません。ミネラルの出方は、よりボーヌに近いように感じられます。
マコン=ユシズィは、シャルドネ村の西側に有ります。マコン=シャルドネとテロワールは確かに違うと思いますが、どんな風に違うのか、細かいことは知りません。でも、コント・ラフォン風の、悪く言えば、ちょっと「くぐもった感じ」・・・伝わるかなぁ・・・あの、外交的になる前の内向きな部分というか・・ちょっと「引きこもり」みたいなイメージの部分がそっくりなんですよ!・・・判らなかったらすみません・・・でも、ポテンシャルもしっかり有るし、旨いワインですが、ラフォンなんだな~・・と思わせる部分が、むしろネガティブな部分に感じさせてくれるんですよね。・・ネガティブだから駄目・・っちゅうことも無いでしょう?・・それも特徴のひとつに成り得ると思ってます。
ヴィレ=クレッセは、マコネー(マコン=ヴィラージュ)でいち早く別のAOCを得た地域で、基本的にヴィレ村とクレッセ村から生まれるシャルドネ酒です。さすがにクラスが上になるんで、「垢抜けた」イメージがあり、とてもバランスに優れていますね。快活で有り、とても外交的で、しかも冷ややかさを失わないブルゴーニュのシャルドネ・・という本筋を主張しています。今すぐに飲むのであれば、このヴィレ=クレッセが一番旨いです。
相対的には、ビオであることで、構造的に縦長な、奥深いものを持っています。そしてビオであることでの不安定さ、例えば還元香だとか、へんてこな香りだとかは無く、高い安定度を持っています。樹齢の上昇ととも、根が地底深くに伸びて行くに従って、もしかしたら・・大きく化ける可能性を秘めた地域のワインだと言えるでしょう。・・もしそれを確認できるようなら・・noisyもそこそこ長寿だったと言えるでしょう。
まあ、ダニエル・バローも、おろらくですが、エレガント路線に行ったと思っています。アペラシオンが僅かに重なるくらいでは有りますが、大局的にはほぼ同じです。このゼリティエ・デュ・コント・ラフォンは、ダニエル・バローほどグラマラス・マッチョ系では無いです。やはりそこは、伝統的なマコネーの生産者と、基本ボーヌの生産者の、互いの理想が違っていたのでしょう。・・・でも、シャルドネ使いのマジシャンたちも、目指すところが似てきた、一緒になってきたということなのかもしれません。
「あのころね・・・ラフォンもマコンに初めて入植してね・・わしも随分と目を掛けていたんじゃ・・」
みたいな、若者に嫌がられる爺さんの思い出話を・・・(^^;; 思いっきりしてやってください!超お奨めします。とっても面白いと思います。
以前の記事より抜粋しました!
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【マコンの特集記事・雑誌・情報はほぼ皆無だが、比べて飲むと何かが見えてくる!】
飲まずに安く提供するか、飲んでプレゼンテーションをキチッとするかは、noisyにとっては、入荷した数量にもよりますが、なかなか難しい判断になります。数が少なく、それもバックヴィンテージで、正規ものでは無いとくれば、
「飲みたいな~・・・」
みたいな気持ちに火が付けば、
「まあ、いっか・・・飲んじゃお!」
というノリで行ける可能性も有るんですね。
特に、大御所コント・ラフォンとくるとなると、素晴らしい一連のムルソーを大々的に抜栓して様子を見る・・・なんてことは、今のご時勢、ほぼ無理!と言う状況ですから・・・。
でも、完全にビオディナミに以降し、樹齢も上がってきたラフォンのマコンに対する興味は捨てがたく、気持ちを抑えられずに飲んでしまいましたが、今後のためになるテイスティングだったと思います。ラシーヌさんでコント・ラフォンを扱うようにならないかなぁ・・・などと希望はしていますが、まあこの世界は色々有るようでなかなか・・両想いになるってことはとても難しいようで・・(^^;; でもワインファンみんなが同じ気持ちなら、いつかそんな日が来るかもしれませんよ。さぁ・・みんなで祈りましょう・・・(お~い!どこ行っちゃったの~!いいから帰っておいで~!)
マコンというアペラシオンを、ちゃんと判っている人などおそらくこの世には皆無に近いと思います・・まあ、造り手の中には、ある程度把握し、自分のものにしている方もおられるとは思いますが、評論家さんやワイン屋、コーディネーターさんも含めて、完全に解析、理解している方は少ないでしょう。いつも偉そうに知ったかしているようなnoisy も、一つ一つのワインに対する理解・判断や、大きなククリ、つまり、マコンとフュイッセ・・みたいな部分では、ある程度はつかんでいると思いますが、ブルゴーニュのコート=ドールの村や畑の理解と比べると、とてもじゃないが少なすぎると思っています。
一応ですが、皆さんが結構知ってそうで知らない部分は、
「マコン(プイィ=フュイッセも含め)はクリュ・ボージョレとほぼ重なる、お隣同士の地域である」
ということですね。ほんの少し離れただけで、ボージョレ・ブランになったり、マコンの白になったりもするんですね。例えば、クリュ・ボージョレのサンタムールとサン=ヴェランは、うん百メートル位しか離れていませんし、ダニエル・バローで有名なマコン=シャントレは直線距離でも1.5km有るかどうか・・・程度です。逆の見方をすると、クリュ・ボージョレ最北のサンタムールは、石灰が強いので色が付き辛く、少し離れたロマネシュ=トランのムーラン=ナヴァンは、(地層の成分の関係が大きいですが、)ミネラルが赤い色合いを強くする配合の土地になっていると言えそうです。
で、今回のマコン=シャルドネ・クロ・ド・ラ・クロシェット(回り道のクロ・・でしょうか)ですが・・・いや、ここでもちょっとレクチャーしないといかんかな・・・シャルドネと言う村が有るんですね。シャルドネの発祥地だとか、いや違うとか・・、まあそんな品種の名前が付いた村がマコネーに有ると思っていてください。で、このシャルドネ村が、マコンの北の端辺りに位置しています。
いつも言っていますが、Macon-Chardonnay とハイフンで繋がっているのには、大きな意味が有る・・つまり、マコン村とシャルドネ村をハイフンでつなげたアペラシオンだということですね。ですので、わざわざマコン=シャルドネと、イコールでつなげて日本語表記をしている訳です。ハイフンでつなげてしまうと、日本語の場合はおかしなことになっちゃいますから・・・。この辺りはですね、現ラシーヌの塚原正章さんや合田泰子さん等が苦労して?今に伝えてきた部分ですから、この文章をご覧の、特にワイン関係の方・・・ショップさんやエージェントさん・・(一説には、noisy の新着メンバー様登録の半分以上はそういう方々らしいという・・・売上から推測すると実に正しい想像)
「だからね~・・・勝手にハイフンを抜くなっての!一体どこに捨ててきたのよ!ちゃんと意味があるんだよ!」
まあ、フランス人も色々で、Nuits-Saint-Georges なのか、Nuits Saint-Georgesが正しいのか・・・微妙な部分では有りますが、少なくとも Vosne-Romanee にはハイフンが確実に有って、Vosneと Romanee を繋げたんだ・・と言うことが判るんですよね。ヴォーヌ=ロマネがおそらくとっても妥当な表記で、ヴォーヌーロマネではおかしいし、ヴォーヌ・ロマネでは無いんです。・・・まあ・・機会があるごとに何度も書きましょう。
で、マコン=シャルドネ・クロ・ド・ラ・クロシェットですが、ここはマコネーのほぼ北の最果て辺りに位置するアペラシオンです。一方のマコン=ミリー=ラマルティーヌ(ハイフンでつなげてね!)は、フュイッセやヴェルジッソンに近い・・・つまり南の果てに近いところの村、アペラシオンなんです。つまり、
「この2つのワインは、マコンの北の端と、南の端のアペラシオンである」
と、丸める事が出来ます。しかも造り手は、シャルドネの超名手、ドミニク・ラフォンによる、そろそろ飲めそうなヴィンテージと言うことなんです。
まあ、あまり長く書いても飽きられるだけなので、そろそろ結論に行きたいと思いますが、
「マコン=シャルドネは、まるでマロを回避したかのような(注)キラキラ・シャリシャリした冷涼な酸を持ち、とても上質なシャブリのプルミエ・クリュのような味わい!今飲んでもとても旨い!」
「マコン=ミリー=ラマルティーヌは、1999年以前のコント・ラフォンのムルソーを彷彿とさせるような複雑性と樽っぽさ、構造の大きさが有り、数日間の間に開放向かったかと思えば黙りこくり、そしてまた開放を繰り返すという、ポテンシャルの高いシャルドネが飲み頃を迎える前に見せる表情にとても近い!とても滑らかな酸とテクスチュア!」
と言えるでしょう。実はどっちもとても旨いんですよね。でも、ビオに転換したコント・ラフォンは、結局はやはりコント・ラフォンの味わいをしっかり持っていて、ワインはさらに大柄になって美しさを増した・・と言うことを再発見させてくれました。
因みにクロ・デュ・フールとは、「かまどのクロ」とでも訳すのでしょうか。めちゃんこ暑いんでしょう!畑仕事の大変さも判りますし、それだけ暑けりゃ、葡萄も良く熟すのでしょう・・・そんな、良く熟したニュアンスが良~く出ている味わいをしています。
さらに、因んで・・昨今はコント・ラフォン・・と言っても、
「ん?なにそれ?いや~、最近のお笑いは良く知らないんだよね~」
なんて、本気で言われそうな時代になってしまいましたが、昔からワインを知る人にとっては、常に興味の対象であり、もしそのボトルが目の前で栓を抜かれていた・・・とすれば、それ以上無い歓待を受けている・・ということなんです。どうしても我々は、「当然知っているだろう・・」と考えがちで、さしたる説明もしないことが多いのですが、昨今は、「それではいかん・・」と思うようになってきまして、一応はちゃんと、毎回説明しようと・・思い直しています。要は・・一握りしか存在し得ないトップ・ドメーヌ、トップ・スターなんです。
この2つのシャルドネを同時に開ける前に、google の地図でも検索してみてください。ブドウ畑らしい写真も見られますし、等高線を見れば、その傾斜や地形も判るでしょう。コート・ドールからどの位離れているかとかも興味深いはずです。そして一口すする前に、しっかりとアロマ、ブケを感じ、スワリングで粘度、光を当てて色合いを見てください。きっと・・ご満足いただける比較になると思います。お奨めします!
(注) マロラクティック発酵はしているはずです
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