ドメーヌ・シルヴィ・エモナン
シルヴィ・エモナン
フランス Domaine Sylvie Esmonin ブルゴーニュ
● 女性当主のシルヴィー・エモナンをご紹介します。そもそもはドメーヌ・ミシェル・エモナンとしてその名を馳せた造り手ですが、現在はシルヴィーがドメーヌを継いでいます。
実はこのドメーヌ、完全なビオディナミを実践しています。SO2は使っているようですが、中々にピュアです・・・でも・・・、おっと、この先はこの下で・・・
● 2013 Gevrey-Chambertin 1er Cru Clos Saint-Jacques
ジュヴレ=シャンベルタン・プルミエ・クリュ・クロ・サン=ジャック
【珠玉のクロ・サン=ジャックです!・・今やとてももてはやされているクロ・サン=ジャックも、もとは1区画に過ぎなかったんですが・・】---以前のレヴューを掲載しています。
え~・・テイスティングするには微妙な価格と数量でして、どうしようかと考えたんですが・・まぁ、味筋は理解しているので、とにかくリーズナブルに出そうと決めました。なので今回は飲んでおりません。
元々はムーシュロン伯爵家の持ち物だった区画を四分割して、このエモナン家、フーリエ家、ルソー家、クレール=ダユ(後ルイ・ジャド)で分けたんですね。ですので、この4つの偉大なクロ・サン=ジャックは、
「とても良く似ていて当たり前!」
・・・と思うかもしれませんが、実際は・・
「・・かなり違う!」
と言うのが noisy的感想です。
まぁ、奥底に流れている血脈みたいなものは一緒なんですけどね・・。でも特に若い時分には、その違いは・・
「・・こんなに・・違うか!」
と思うに違いありません。
このシルヴィー・エモナンのクロ・サン=ジャックは、豊かで比較的パワフル、官能さは熟してから出てくる感じです。どちらかと言えば・・どちらかと言えばですよ、敢えて言うならば、ルソーさん寄りの味わいかと思います・・が、ルソーさんよりも力強く、より黒や茶色い果実がしっかり出てくる、遅い収穫が特徴かな・・と思います。まぁ・・黒っぽいとか茶っぽいとかと言うとルイ・ジャドにも寄ってはくるかなと思いますが、noisy
的なイメージではそんな感じです。
因みにJeannie Cho Leeさんと言う女性、香港人なのかな?・・MWの資格をお持ちですが、2013年のこのクロ・サン=ジャックに94Points 付けています。チラチラと彼女の評価を見ていますが、noisy とはまた違う感覚をお持ちのようで・・でもシルヴィー・エモナンのワインには、彼女は好意的なようですね。
他には la Revue du Vin de France 誌が 18/20Points、ベタンヌさんのところが 17.5/20Points と、飛びぬけてはいないものの妥当な評価をされています。
まぁ、1級畑とは言え、レザムルーズやクロ・パラントーと共にグラン・クリュ並みの評価を得ているリューディで、まだこのプライスですから、かなりお買い得かと思います。ぜひご検討くださいませ。
以下は以前のヴィンテージのレヴューです。
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【一瞬昔のクロード・デュガを思い出しました!とても豊かな味わいです!】
グラン・クリュに匹敵する可能性を持つ、と言われる、ル・クロ・サン=ジャックで、最もリーズナブルなワインだと思います。またその一方で、きちんとした評価をされていない造り手であるようにも見えています。
87年から瓶詰めを始めたとされるシルヴィーですが、ワイン造り自体は100年ほどの歴史があるようです。女性なので穏やかな、線の細いタイプなのかと思いきや・・・とんでもない!この・ル・クロ・サン=ジャックの畑の素性の良さを思わせる、とても熟れた葡萄ゆえの濃度を持つ、ふくよかな味わいなんですね。
シャンベルタンやクロ・ド・ベズを思い浮かべていただければ、その豊かな味わいが想像できると思います。この2つのグラン・クリュが何故に偉大なのか、と言われれば、その豊かさと細かな表情、複雑性に富むから・・・なのでしょう。
樽の使用率はそれなりに高いようで、グラスからは新樽の香りが漂います。やや黒い果実が凝縮しており、チョコレートやコーヒーのニュアンスが強いです。その裏側には紫や赤い小さな果実が見え隠れしていますが、黒味を押し分けて出てくるようなことは有りません。93年頃のクロード・デュガのようなニュアンスですね。
濃度はしっかりと有りますので、その太さで美味しく飲めてしまいます。むしろ今全盛のエレガントタイプとは真逆にあるとも言えるでしょう。しかしながら、その味わいが駄目なのか?と言えば、全然そんなことは無く、むしろとても豊かな味わいはリラックスさせてくれます。
バックボーンにはビオディナミという栽培方法が影響しているのでしょう。濃度はしっかりあるものの、飲み手を疲れさせるほどの「ただ濃いだけ」では無いんですね。質感に優れたショコラを思ってくだされば、そのニュアンスが伝わり易いと思います。リーズナブルで美味しい、豊かなル・クロ・サン=ジャック、是非ご検討ください。お奨めします!
■ ここでちょっと息抜き??
ジュヴレのル・クロ・サン=ジャックと言えば、誰しもが認める特級並みの素晴らしいワインですが、1級格のままで放置されています。で、この畑・・・面白いですよね。皆さんも血眼になって求めていらっしゃる、かのフーリエのクロ・サン=ジャックですが、ちょっと上記のシルヴィ・エモナンのコラムをご覧ください。
>1950年頃に売りに出ていたクロ・サン=ジャックを、シルヴィーの祖父とフーリエ、ルソー、クレール・ダユがほぼ1/4ずつ購入していたと思いますので、畑の位置は言わずもがな・・です。
この、50年代に売りに出したのがムーシュロン伯爵家と言う大地主さんで、おそらくですが、シャトー・ド・ムルソーの邸宅を本拠にされていました。家を継ぐ子がいないという事で、50年代~60年代にかけて、垂涎の極上畑を売らざるを得なかった訳ですね。60年代には、かのDRCにもル・モンラッシェを渡しています。
で・・・良く々々見てみると面白いですよね。まあ、1/4ずつと言っても、1ヘクタールから2ヘクタール位で4者が分けています。
ムーシュロン伯爵家-->フーリエ
ルソー
エモナン
クレール=ダユ
という流れです。フーリエは、今もドメーヌ・フーリエですが、ペルノ・フーリエ-->ジャン=クロード・フーリエと来てます。ルソーさんはご存知のとおりドメーヌ・アルマン・ルソーです。エモナンは、アンリ-->ミシェル-->シルヴィと伝わってきています。・・・で、クレール=ダユは??
そう、クレール=ダユは解体してしまっていますが、畑は1985年にルイ・ジャドが購入しているんですよね。ですから、
ムーシュロン伯爵家-->フーリエ
ルソー
エモナン
クレール=ダユ-->ルイ・ジャド(ドメーヌ)
と言うことになり、フーリエ、ルソー、エモナン、ルイ・ジャドが、もともとのムーシュロン家の区画を受け継いでいることになります。ですから、
「元は何も変らないんだけどなぁ」
と言うつぶやきは・・凄い正解なんですよね。
それに、ルイ・ジャドは元々1ヘクタール位、クロ・サン=ジャックを持っていたようにも記憶していますので、ドメーヌのキュヴェで、どのようにしているかは不明です。でも、基本的にクレール=ダユ流れのワインは、ドメーヌ・ルイ・ジャドで出しているようです。
注:上記の内容は個人的に確信はしていますが、(本人たちに)確かめた訳では無く、何かしら間違った情報が混じっている可能性も有りますので、そのおつもりで・・お願いします。
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