● 久し振りのティエリー・アルマンです。目茶美味しかったサン・スフルを含む2004年がちっとも売れず、ガッカリしていたんですが、さすがにもう今となれば、その頃の価格のまんまですし、飲んだらファンになってしまうのは判りきったこと・・ほとんど在庫は無くなりました。
しかしながら、品質、ポテンシャルが高いことは十も承知・・ですが、ティエリー・アルマンのコルナスの値上がりにはビックリしてしまいました。
しかしながら世界の評価を見れば、もう納得せざるを得ません。すでに95~100ポイントのボックス相場です・・(^^;; しかも、この先、彼がいつまで造ってくれるかと言うところまで来てしまいました。それまでに是非、美しいコルナスを飲んでみてください!

Thierry Allemand ティエリー・アルマン
地域:Rhone
地区/村:コルナス
造り手:Thierry Allemand ティエリー・アルマン
出会い:
ヴァン・ナチュールの造り手の中でも、意志堅固に独自の道を歩む独立派と言えるでしょう。今では、年に数回大きなヴァン・ナチュールの造り手たちの集まりが催されるようになってきましたが、どこのサロンにも一切参加せず、コルナスにとどまるか、尊敬する造り手を自ら訪ね、イタリアまで足を伸ばしています。

農薬、除草剤、化学肥料を極力使わず、本来土壌が持つ自然の力を生かした方法で、斜面にある小さな畑を丹精こめて栽培してきました。「いまさらビオディナミの認証をとったって、大した仕事をしていない他のヴィニュロンの仕事振りといっしょにされるなんて、まっぴらだね。僕は、多くの人と同じことをするのが嫌いなんだ。へそまがりだからね、だから合田さんと仕事するんだ。」 昔ながらの垂直式のプレス機を使ってプレスし、自然酵母で発酵、問題がない限り酸化防止剤非使用で醸造され、良年につくられる「サン・スフル」のキュヴェはSO2を加えずに瓶詰めされます。
ティエリー・アルマンのワインを味わえば、シラーという品種の概念が覆されます。強くて、タニックで、最初の一口で拒否されてしまいそうな北ローヌのシラーのイメージとは正反対で、まず温かみのある優しさで武装解除されます。が、込められたエキスは途方もなく、深い果実味が湛えられ、誠実さと偉大さが備わった堂々とした味わいです。ミネラリーなフレーヴァ-のおかげで重さよりもフレッシュさが印象的です。酸化防止剤非使用で醸造されたワインにありがちな、「欠点に通じる汚さ」は皆無で、完成度の高さに圧倒されますが、アフターは優しさを感じさせてくれます。良年は、気品も備わり、最上のクラスのワインとなります。ティエリー・アルマンをラシーヌのリストにご紹介できることほど誇らしく、幸せなことはありません。BelieveMe !!!
創業年:1981年
歴史:ティエリー・アルマンは、ワイン業とは関係のないファミリーに生まれました。生家はバルタザールやオーギュスト・クラップが並ぶルート・ド・コルナス沿いにあります。畑に囲まれた村で育つ中、ワインの世界に興味を持ち、10代で地元の造り手に住み込みで働き始めました。10年後、20代の終わりに打ち捨てられていた畑を購入しました。その翌年の1982年がファースト・ヴィンテージです。当時の生産本数はわずか300本程度でした。
以来、大変苦労をしながら少しづつ畑を広げていきました。先祖から相続した畑や財産もなく、ゼロからワイン造りを始めることは困難の連続だったと聞いています。お母さんの言葉を借りれば、
「小さいときから何にも興味を示さなかったので大変心配したんですよ。でもワイン造りには精魂をかたむけて努力してきました。映画にも、ディスコにも、若い子たちがするすべての楽しみを何もしないで、畑を買ったの。」
現在は3.4ha、年間生産量が12000本です。
栽培品種:シラー、マルサンヌ
自社畑面積:3.4ha
【ナチュラルなのにピュア!そして妖艶!コルナスがコート=ロティを凌駕出来るA.O.C.で有ることを知りえるアイテムです!】

素晴らしいですね。ナチュラルさでアピールできるワインで有りながら、全く危険性の無い美しいディテールです。
この、コルナスと言うアペラシオンは、同じくシラーで醸されるコート=ロティと同格、もしくは超えうるものだと言うことを見事に証明しています。
このレ・シャイヨは花崗岩質に粘土の加わった土壌で、やや粘土の影響を受けたネットリさを感じる深く複雑な味わいです。レイナールは花崗岩質がほとんどで、レ・シャイヨよりもエレガントでやや軽く華やかなニュアンスになります。サン・スフルも造りますが、よりピュア、柔らかでより軽やかに感じます。寝かせるとそんなに差は感じないかもしれません。
久しぶりにレ・シャイヨ、飲んでみました。レ・シャイヨ2016はヴィノスで95~97ポイント、レイナール2016は96~98ポイントと仰天ものの評価ですが、実はこれ、毎年のように95~100ポイントの間のボックスの動きなんですね。
ところが・・当のティエリー・アルマンさん、
「・・もう引退して南イタリアにでも行って余生を過ごしたい・・」
なんて言ってるんですね。どうやら後継者も決まっていない様子もうかがえ、この先どうなってしまうのかと周りが不安視しているようです。
実に美しいガーネットです。深いですね・・レイナールより、粘土の影響を感じさせる重厚さが有りますが、その辺り、海外のメディアがレイナールを高く評価するのが良く判りません。日本人なら別ですが・・。個人的には「同格」で有って、表情の出方が違う・・むしろ、「ムーリンヌ」と「ランドンヌ」的な違いと言って良いかもしれません。
今飲んでも滅茶美味しいんですが、おそらく誰が飲んでも、
「それは勿体無い・・」
と感じるに違い在りません。ポテンシャルの凄さが伝わってくるから・・に他ならない出来事です。
濃いめのシラーはリーズナブルなクラスのものでも幾らでも有りますが、これほどまでに深淵さを見せるものは有りません。比較するのであればやはり、コート=ロティの逸品が対象になるでしょう。
今飲んでも美味しいです。でも・・やはりそれはお勧めしません。元々数の無いティエリー・アルマンのワインを無駄に減らしてしまうことになりますし、この先、いつまで続くかも判りませんし。
なので、少なくとも5年・・できれば10年、寝かせてください。ゴージャスで官能的なコルナスに出会えるでしょう。お勧めします。
【この色合いを見て「濃い」と言えるだろうか?・・目茶美しい絶品シラーのコルナスです!】
以下は以前のレヴューです。

皆さんはどうしてもピノ・ノワールが飲みたいようなので・・・美しいシラーの調べなどはアウト・オブ・眼中なのかもしれませんが、この美しい・・全く甘く無い、ピュアなエキスの味わいそのもののコルナス・レイナールを飲んでしまえば、なぜローヌでシラーが高貴種と言われるのかが理解できると思うんですね。非常にピュアで、ジューシーさなどゼロ、そして純粋無垢なワインです。白無垢の着物を着せたい位です。
どうでしょう・・この色合い。単に濃い色なんじゃないことが見えるんじゃないかと思います。とことんまで美しい赤紫・・透明感が凄いですね~。
で、その透明感は微細なグラデュエーションで描かれていることに気がつかれるでしょう。「ペタ~」っと塗りつぶしたんじゃない、細やかな色合いを照り良く映し出していると見えます。
そして、グラスのボウルの下の模様も薄く透けて見えるはずです。濃い色調に見えるかもしれないが、しかしそれは、淡い色調を何層にも積み上げて出来ていることが想像出来るんですね。
色合いは味わいをそのままに映し出します。見え辛ければ、良く見つめると少しずつ見えてきます。
無理に創ったような味わい、表現は全く有りません。ただあるがままの葡萄の姿を、純粋無垢にワインに転化しただけの味わいです。
その姿が実に美しいです。エキスそのものの味わいで有り、やはりどこまでもピュアです。奥底から滲み出してくるようなナチュラルさが有ります。花崗岩質ならではのやや軽めながらもフィネスたっぷりのミネラリティが、全く残糖的な甘さを持たないワイン全体を支えています。純な表情は時間の経過でその姿を徐々に官能的に変えている最中です。素晴らしいワイン・・コルナスです。
実はこのコルナス・レイナールと言うティエリー・アルマンの最高キュヴェには、毎年は造れない「サン・スフル」が有ります。2011年はその希少なサン・スフルを造ったんですね・・。・・しかしこれが実に高価でね・・扱うかどうか躊躇するようなプライスなんですね・・。
この「サン・スフルでは無いコルナス・レイナール」を飲めば、
「これで充分じゃないか!これ以上、何を求めようというのか?」
・・と言う気持ちと、
「これほどまでに美しく深い・・しかも軽く複雑性に満ちているのに、これ以上が有るのなら・・」
と言うような欲望も生まれてきてしまいます。ただ今葛藤中・・。
しかしまず、このとてもリーズナブルなコルナス・レイナールを飲んでみることが先決でしょう。今も美味しく飲めますが、3~5年後の成長は物凄いことになるでしょう。お奨めします。是非飲んでみてください!