-----以前のヴィンテージのレヴューです。

ダンセールのブルゴーニュ・ブランです。国内でも滅多にネットには出てこないアイテムです。多くのワイン屋さんもまず・・飲まれたことさえ無いんじゃないかと思います。日本の正規品は極一部の酒屋さんルートにのみ少量流れてますが、彼らも身を削ってまで飲まないので、どんなワインなのか、どんな造り手でどんな感性だと思われるか、ほとんど知られていないと思います。
noisy も、1999年頃の彼のワインを飲めただけ・・それもご紹介時には間に合わず、ずいぶん経ってから飲んだので、テイスティングコメントさえ残ってはいません。そんな意味でも、日本ではアンダーグラウンドな存在として見られるし扱われてしまっているのは残念です。でも、世界ではバリバリの第一線の生産者です。そんな生産者は結構・・居ますよ。アルノー・アントもそうなっちゃってますよね・・。
で、今回はちょっとだけまとまって仕入れられたので、内心ホクホクしながら・・しっかり飲ませていただきました。
<-- こんな感じの色合いです。思ったより黄色が強く無いですね。
ザックリまとめますと、非常に洗練されつつもクラシックな造りを継承しつつ、近代的な設備の恩恵を上手く生かしつつ、個性をも感じさせてくれるものでした。ピュアで少しナチュラルが入るかな?・・と言う感じで、ビオでは無く、でも自然派の考え方をどこかに持ち、非常にクレバーな造り手だと思います。
抜栓してグラスに注ぐと・・あくまで現時点の状況ですよ・・少し「カチッ」と頑ななニュアンスです。香りも繊細なニュアンスを持ったミネラリティが「ふわっ」とはしていますが、果実のニュアンスは極少です。
「・・あらら・・硬った~いな・・ん?・・何か、ネゴシアン・ルロワのACブルみたいな風情?」
そうなんですよ。コンディションが良くやや若いルロワのブル白にそっくりのニュアンスです。表面に卵の殻のようなカッチリさを纏いつつ、酸度はしっかりは有るものの決して突出せず強く無く・・中域も今一つ膨らまず、でも健康で、先行きの上昇具合を連想させる仕上がりだったんですね。エキス感はしっかり有るものの、今一つね・・不満も感じる時間帯です。
「ん・・・こんなんだったっけかな~・・」
と思いつつも、ここからの伸びが必ず有ると踏み、食事をしながら飲んでました。
15分ほどすると・・
「おっ!・・来たかやっぱり!」
そう・・いきなり中域がゴムマリのように膨らんで来ます。ぶわ~っと・・です。結構イキナリです。それとともに白や黄色の柑橘系フルーツのニュアンスが零れてきます。
「(来た!来た~!)」
と・・嬉しい気持ちがやはり・・ゴムマリのように弾んで感じられます。
「いいね~!」
そうなんですね・・結構、透かした感じの美男子だったんですね~。一旦そっぽを向いちゃうんですが、じっと待っているといきなり、「よろしく~!」と言ってくるような感じなんです。
本拠はシャサーニュなんですが、シャサーニュのシャルドネに良くあるような、甘いニュアンスは全くありませんし、集中はしていてもどこかザラザラした舌触りで滑らかでは無い・・と言うような部分が有りません。
もっとも抜栓直後はややもどかしさを感じるくらいにドライでやや薄辛く、膨らみが無いので平板に感じてしまってました。短い時間で中域の膨らみからの見事な果実感の出現は、やはりこの造り手が、
「どんなワインにしようと思っているか」
が感じられました。
樽も使うのでしょうが化粧品のようにはせず、本当に自然な姿をそのままにしたいのでしょう。醸造は過度な酸素との接触を避けてピュアに仕上げ、飲むタイミングによる硬さを感じさせないように、もしくは抜栓後の変化を助長するようにしていると感じられます。新樽系を重要視すると香りはさっさと開きますが、味わいやボリュームはそれに付いては来ないですから・・。
とても美味しいシャルドネでした。もっとも若干待たされるかもしれませんが・・。ミネラリティがしっかりしていると濃密さはドライさに隠れがちですが、膨らんでくるのを待ってみてくださいね。ダンセールが何故騒がれたのかがきっと判るかな・・と思います。希少なワインです。ぜひ飲んでみてください。お勧めします!