● 昨年初めて2019年ものをご紹介させていただいたヴァンサン・レディの2020年ものをご紹介させていただきます。
当然ながら濃密なヴィンテージなんですが、やはり感じた通り、ヴァンサン・レディさん・・凄いです・・
「もしかして四半世紀早くデビューしていたら、ルーミエさん、ルジェさんクラスになっていたかも・・」
とさえ感じる・・感性の素晴らしさを感じます。
結構に様々な手法を駆使して、ワインそれぞれに個性を感じさせます。そしてもちろん、テロワールの具現も素晴らしいです・・。
2020年ものは濃く見えるが、けっしてダルい味わいでは無く、流れるような美しさを見せてくれます。そして・・まぁ・・余り言いたくないんですが、
「皆さんがおそらく眼中に無い、ショレ=レ=ボーヌやサヴィニー=レ=ボーヌがとんでも無く旨い!」
です。
A.C.ブルも実はクロ=ヴージョの国道の反対側と言うロケーションで、完全除梗してしなやかさを出していますし、看板の「レ・ポレ」は半端無い出来・・凄いです。アルコール度15パーセントもある化け物ですが・・それを感じさせないんですよ・・。
そしてどうやら、2021年ものはジャスパー・モリスさんにロックオンされたんじゃないかと・・見ていますので、もしかしたら世に認められて大化けする可能性も・・などと思っています。
しなやかで瑞々しく美しい味わい・・の下級キュヴェと、とんでもないポテンシャルを感じるトップ・キュヴェです。お勧めします。ぜひご検討くださいませ!
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今やブルゴーニュワインは高価な飲み物になりつつ有ります。気候の変化が植生をいじり始め、世界情勢が対立構造を深めた性で為替も変動を大きくし食料問題をも引き起こしています。そしてまた新型コロナウイルスと言う厄介ものを背負ったまま、日本はバブル崩壊後の金融機関保護、大企業保護に動いたまま身動きが出来ない状況で、サラリーも全く増えて行かない・・海外からは完全に置いて行かれたとみるべきでしょう。
そんな中ででも、
「やっぱり美味しいブルゴーニュワインを飲みたい!」
「心や身体にスッと入って来て輝きを見せながら美しく収束する・・ピノ・ノワールが大好き!」
「・・でももはや有名ドメーヌの高いワインには手が出せなくなってきた・・」
みたいな・・気持ちが生まれて来ていると思うんですね。

まぁ・・そうは言いつつも、ルーミエやルソーやルジェのワインの案内を見てしまうと、ついつい「ポチっ」とやってしまって、後になって・・
「・・どうやってカミさんを誤魔化すか・・」
と嬉しいやら何やら困惑の自分に、何やってるんだろう・・なんて思ってしまう訳です。
でもヨクヨク考えてみれば、ルーミエさんだってワインを飲み始めた頃はまるで知らず、たまたま飲んでみたら凄く美味しくてハマった・・んですよね。
だから noisy も頑張って、どんどん素敵な造り手さんを探して、飲んで、ご紹介して・・を延々繰り返して来ました。今や・・それらの造り手さんたちは大人気になってしまい、いつの間にか Noisy wine から姿を消した・・つまり、Noisy にも分けていただけないような状況になってしまった・・ほど、売れるドメーヌになったとも言えます。
で、そんな時にはテイスティングを繰り返して、
「これは行ける・・かも!」
「・・将来性が・・ある!」
と見込んだ生産者さんをご紹介している訳でして・・・そんな中で久しぶりに「ニュイ」の新しいドメーヌをご紹介出来ることになりました。

その名は「ドメーヌ・ヴァンサン・レディ」です。ニュイ=サン=ジョルジュ村のドメーヌで、2007年スタートと言うことです。日本には今までも一度、ちらっと入ったことは有ったようですが、傷跡さえ残せずにいたようです。
ですが、ニュイの大御所の一人、アラン・ミシュロを叔父に持っているそうでして、ニュイ=サン=ジョルジュの素晴らしい「1級レ・ポレ・サン=ジョルジュ」を所有しています。まぁ・・叔父さんに何とかしてもらったのかなぁ・・などと邪推していますが・・。
で、その「1級レ・ポレ2019」が相当・・旨いんですよ。ここは、ニュイ=サン=ジョルジュ村の南のドンケツに有る最高の区画「1級レ・サン=ジョルジュ」の北に有り、南から、
「レ・サン=ジョルジュ」-->「レ・カイユレ」-->「レ・ポレ」
と連なっている・・最高のロケーションで有ると言えます。
あ、ちょっと脱線しますが、あのアンリ・グージュの「クロ・デ・ポレ・サン=ジョルジュ」は「レ・ポレ・サン=ジョルジュ」の北に接していて、実はこの2つを合わせて、
「レ・ポワレ」
と言う区画名になっているんですね。ちょっと複雑では有りますが、そこを判っていないとニュイ=サン=ジョルジュ村の地図をいくら探しても、クロ・デ・ポレもレ・ポレも見つけられないと言う・・寂しい結果になってしまいます。
で、このレ・ポレは最高に旨いです!・・そして、そのV.V.が造られていて、そのキュヴェがこのドメーヌのトップ・キュヴェと言うことになります。
また、オート=コートの赤白、ショレ=レ=ボーヌ、サヴィニー=レ=ボーヌもそれぞれに個性を発揮していて、合格です。リーズナブルですし・・他のドメーヌとの違いも結構有って、
「これからのニュイの群雄割拠な状況に割り込んでゆく可能性が有り!」
と見ています。
また今回は入って来ていませんが、どうやらクロ=ヴージョの低地にA.C.ブルの畑も持っているようで、これも楽しみにしています。
スタイル的にはちょっと面白くて、
「新樽嫌い」
だそうです。「樽からのタンニンをワインにまとわせるのが怖い・・」みたいな言い方をしています。なので、
「ピノ・ノワールには新樽を使わない・・すべて古樽を使用」
のようです。
ですが、「新樽嫌い」のクセにオート=コートの白にはビッチリ・・樽の影響が見られるんですね。それでも決して樽に負けない見事な味わいでは有るんですが、
「ブルゴーニュの古くからの技法で、先に新樽を一度白ワインに使い、その後ピノ・ノワールに使用する」
みたいなことをやっているはずです。
まぁ・・現状、インポーターさんも初めての輸入で余り資料を提示できないようで、仕方が無いのでアチコチのネットを探りまくって、そんなことだろうと当たりを付けました。
味わい的にはエレガント系で綺麗系でエキス系・・酸が出っ張らない穏やかな膨らみが見事ですから、飲んでみていただけましたら、「好きかも!」と言っていただけるんじゃないかと思います。
そんな訳で初のお目見えです。まだ誰も目を付けていないので・・あ、日本でも・・そして海外も・・です。フーリエやセシル・トランブレイが大ブレークしたようになってくれたらなぁ・・と思いますが、そうなってしまうと・・
「また毎年30%ずつ減らされる」
ことになりかねないので痛し痒し・・。でも今のところはリーズナブルですし、知られていないドメーヌと言うことで、
「ブルゴーニュワインフリークたちの心をくすぐることが出来るかもしれない」
造り手だと思います。是非ご検討くださいませ。
■ エージェント情報
◇ゼロからスタート、センスが光るナチュラル志向の若きヴィニュロン
ニュイ・サン・ジョルジュの名手として知られるドメーヌ・アラン・ミシュロの立役者、アラン氏を叔父に持つヴァンサン・レディが2007年にゼロから立ち上げた新しいドメーヌで本拠地はニュイ・サン・ジョルジュ。家系より相続したレ・ポレ・サン・ジョルジュ以外は少しづつ畑を買い足し、現在は合計4.1haを所有し、細部まで目を向けて栽培から醸造まで全ての作業を基本1人で行う。購入した畑はAOPブルゴーニュ、オート・コート・ド・ニュイ、ショレ・レ・ボーヌ、サヴィニー・レ・ボーヌと著名なアペラシオンではないが、知名度や格付けよりも樹齢や土壌、方角といった畑の区画そのもののポテンシャルに着目している。
ボーヌの醸造学校で学んだ後に同じニュイ・サン・ジョルジュ村のスター生産者であるドメーヌ・レシュノーの下で修業を積む。その縁で現在でも使用する樽は全てレシュノーで数年使用した樽を譲り受けている。平均樹齢は40年以上の畑では2013年より有機栽培を実践し(※2021年産より認証取得)、自然と収量を制限する事に注力。全房発酵を積極的に実践し抽出は優しく行う。伝統手法を重んじながらも自然な造りを基本とし、テロワールを最大限に引き出すには新樽からのタンニンは不要という考えから古樽のみを使用し、滓引きは行わずに18ヶ月のシュール・リー熟成。清澄・ろ過も行わずにSO2の添加を極力抑えた状態で瓶詰めされる。
仕上がりワインはテロワールとヴィンテージの特徴を反映させたピュアかつ完熟した果実感があり、キュヴェによってはナチュラルワイン特有の揮発酸が若干感じられるがネガティブな要素ではなく、活力に溢れ絶妙なバランスを保っている。
その個性豊かなスタイルは「ベタンヌ・ドゥソーヴ」2019年版にて年間最優秀発見生産者として掲載されており、年々フランス国内での人気が高まっている。まだまだ発展途上ではあるが将来がとても楽しみな生産者。
【これは・・樽の影響がめちゃ少ないクロ=ヴージョ的・・濡れて柔らかで果実がしっかり・・何が似てるかって言ったら・・困ってしまいますね。】

なるほど・・高目の値付けだし、人気のあるのも頷ける仕上がりです。
昨年の2019年ものの時には、noisy も出遅れたのも有って・・入手できなかった経緯が有ります。それに、上級キュヴェのオート=コートとの価格差が余り無いのも・・有りますよね。
ですがオート=コートは準村名ですがニュイ=サン=ジョルジュのさらに南側です。こちらはA.C.ブルとは言え、ヴージョの国道の東に接する畑です。
「言ってしまえば、畑の反対側はグラン・クリュのクロ=ヴージョ!」
ですから、その辺の事情も有ってか・・余りオート=コートとの差が無いのかもしれません。
で、このキュヴェは完全除梗したキュヴェのようです。ふんわりと柔らかなチェリーな果実がピュアに、しっかり存在しています。
2020年的な果実の濃さも有りますが、
「ヴァンサン・レディ的なスッキリと綺麗に収束する感じ」
が有って、全体のバランスは非常に良いです。

「ん・・これで新樽とか、やや焦げた樽由来の表情が有ったら?」
と考えますと、道を挟んだ反対側にあるあのグラン・クリュを考えてしまいますよね。
その昔、クロ=ヴージョの最下部で、素晴らしいクロ=ヴージョをリリースする生産者さんがいました。ジャン・ラフェさんです。
彼はまぁ・・確かに弱いヴィンテージも有りましたが、ご機嫌にエレガントで超ふんわりしたクロ・ヴージョを、
「・・えっ?・・こんなところから?・・A.C.ブルと変わらないじゃん・・」
みたいな低地で造っていました。
そのことを考えますと・・彼の少し弱いヴィンテージは、
「下手すればこのA.C.ブルの方が・・(^^;;」
と・・考えてしまいます。
でもまぁ・・ヨクヨク考えてみましたら、その頃のジャン・ラフェさんの3種類ほど異なるエチケットが有ったクロ=ヴージョは6~8千円でしたから、
「今も価格は・・変わらない?」
かもしれません。
なんでジャン・ラフェを思い出したかと言いますと、国道の反対側が・・と言うことも有りますが、
「滑らかですっきり、でも微細な抑揚がある素晴らしいクロ=ヴージョ」
と言うことも有ったと思います。飲んでみてください。ヴァンサン・レディ...只者では無いと思っていただけるでしょう。お薦めです!
【2020年ものは全房との相性抜群!樹齢70年超の濃密な葡萄を軽やかに、果実の美味しさをたっぷり乗せた、準村名とは思えない重厚さも持った素晴らしい出来です!】

ちょっと長ったらしい名前なんですが、昨年ご案内させていただいたオート=コート・ラ・ヴァシュロットと同じ畑で、
「樹齢70年超の古木の葡萄のみを全房発酵で」
行った特別なキュヴェのようです。
ですので、2020年ものの濃密な味わいが・・何故か非常に塩梅が良いところにバランスしていまして、非常に飲みやすく、しかも複雑性たっぷりにエレガンスも有り、
「自然派をかなりアピールしているようにも取れるがアヴァンギャルドではなく、非常に心地よい」
のが特徴です。
少し濃い目に見えるかと思いますが、若い方は・・
「ん?・・濃いの?・・これで?」
とおっしゃる方もおられると思いますよ。

言ってみれば・・品種は違いますが、
「ジャン・フォワイヤールのモルゴン・コート・ド・ピィ・キュヴェ3.14 に近い濃度」
を持っていて、
「キュヴェ3.14 の真っ赤な果実感をやや黒味を加えたような感じ」
にしたのと・・似ているんじゃないか?・・と感じました。まぁ・・あちらはガメですが・・むしろ3.14の方が高いんじゃないかな?・・違います?
で、ここもショー村ですからニュイの上方に有って、2020年でも涼やかだったんでしょう。それでも濃度はしっかり有るところを、全房発酵が適度なスピードと抽出を促し、
「超絶にバランスが良い」
と感じました。
まぁ・・noisy はもっと淡くて良いですが、一般的にはこの位がベストじゃないかと思います。
いやぁ・・遅れて来た凄腕・・じゃないかと思います。
「ヴァンサン・レディ、恐るべし!」
まだ余り誰もマークしていないと思います。ぜひ飲んでみてください。超お勧めします!
以下は2019年の普通のラ・ヴァシュレットのレヴューです。
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【涼やかな高地のニュアンスが有りつつ、尖った酸が見当たらない、ふんわりと優しいバランスのエレガント、ピノ・ノワール。それがヴァンサン・レディです!】
ヴァンサン・レディを知るには良い選択になると思います。まぁ・・おそらく誰もが初見でしょうから・・
「どんなワインかも判らずに・・買えるか!」
と思っていらっしゃるでしょう?
昔は八百屋さんに行けば、
「どのスイカが・・美味しいか教えて!」
なんて言えば、ポンポンたたきながら持ち上げたり何なりして、
「・・坊主、これが良いよ」
・・なんてね。・・そのうちに自分でも出来るようになって、
「おじちゃん、・・これ・・スカ・・だよね?」
なんて・・ね・・。
肉屋さんに行けば、恰幅の良いおじさんが包丁で切ってくれる肉を包んでもらってね・・
「(きっと・・毎日、美味しい肉を試食してるんだろうなぁ・・)」
noisy が子供の頃は肉は高級品でしたから・・真っ赤なウインナーが精々でした。四角いハム(名前さえ知らない)やロースハムなんてね・・母親が買って来いなんて言うはずが無いので食べたことさえなかったですよ。10円か20円の揚げたコロッケをね・・寄り道して食べたりしたのを覚えてます。
ですが、八百屋さんも肉屋さんも魚屋さんも・・皆、商売ものに手を付けて食べていたんですね。そして、その毎日の積み重ねが「目利き」を生み、自身を高めることに繋がったはずです。
ワイン屋は・・ま~・・自腹を切ることが嫌いな方ばかりでして・・(^^;; 他人様のふんどしで相撲は取るものの、自分では飲まないんですね。それじゃいつまでたっても毛の生えた初心者だと思うんですけどね。
で、飲みまくっていたら・・いや、テイスティングを散々やっていたらいつの間にか・・noisy が出来上がっていた訳です。勿論、一人でやって来た・なんていうつもりなど毛頭ありません。周りの方に随分助けられましたし、仲間がいたからやってこられましたし、お客さんと一緒に成長している実感が有った訳です。

どうでしょう?・・涼やかな赤紫を積み重ねた色彩ですね。中域がぶっとい・・感じには見えないと思います。澄んでいて、抑揚が有りつつ・・暑苦しく無い感じがすると思いますし、グラスを斜めによぎる脚がグラを感じさせます。
オート=コートと言うと、一般的には酸が目立つ感じがするかと思うんですが・・、ヴァンサン・レディのラ・ヴァシュロットは実に酸バランスが良く、柔らかいです。アロマもスッと立ち上がって来て、結構な石灰系ミネラリティが多いニュアンスを感じます。
この「ショー村」をGoogleマップで見ると、何か所かで石灰の露出した場所が見受けられます。村の南西側に台地が有って、そこに南西に開けた斜面が有り、
「まるでコート・ド・ニュイの村を見るような見事な斜面」
を見ることが出来ます。
無いのは・・「クロ」ですね。褐色石灰岩を積み上げたクロは見当たらないし、畑の名前を書いた石碑、石門も有りません。でも、傾斜が・・道を挟んで東側はやや緩く、西側がキツクなっていて、この辺りは村名と1級を分ける国道のようにさえ・・見えます。
ヴァンサン・レディは、畑の場所や傾斜などには相当こだわっているようで、
「より有名なアペラシオンであまりよく配置されていない区画よりも、より少ないアペラシオンで適切に配置された区画を持つ方が良い。」
「私のぶどう畑はショーとヴィレ・ラ・フェイの間にあります。中腹にあり、オート=コート・ド・ニュイの最高のスポットの1つです。土はあまり深くありません。岩にとても近い。粘土と石灰岩です。私はそれを見つけることができてとても幸運でした。」
と言っているようです。
この20年間の気候の変動は、将来のブルゴーニュワインのヒエラルキーさえ変えかねない・・そんな気がしています。もしそんなことが起きるとすると、その震源は今まで余り光が当てられなかった場所になるはずです。
そしてもしかしたら・・ヴァンサン・レディも、その震源にならないとも限らないかな・・とも思います。2007年に開業した若いドメーヌですが、将来性も充分感じられるかと思います。是非飲んでみてください。お勧めします!
【少なくとも・・少なくともですよ、「こんなに素晴らしいショレ=レ=ボーヌ、飲んだことない!」と言っていただけると思います!激推し!】

まぁ・・サヴィニーのコラムでも書かせていただいたんですが、ショレ=レ=ボーヌやサヴィニー=レ=ボーヌのワインは、なんでしょうね・・飲まず嫌いと言うよりは、
「・・ん~~・・酸っぱい・・(薄い・・)」
などとご経験から思われていると思うんですね。フレデリック・コサールでさえ・・サヴィニーは売れないですからね。あれは結構、濃い目なんですね。
ショレと言えばご存じなのはきっと「トロ=ボー」さんでしょう。あのドメーヌこそ、昔は淡くて薄くて硬くて酸っぱかった・・(^^;
でも今はどうです?・・飲まれて無いかもしれませんが、相当美味しくなって来ました。でも、このヴァンサン・レディのショレ=レ=ボーヌ2020はきっと、
「もっと美味しい!」
です。
桜と言うかさくらんぼ・・と言うレベルはアロマにはわずかに有りますが、やはり品の良いチェリーかな・・実にリアリティが高いです。
そして濃い目には出ているんですが瑞々しく、ミネラリティがしっかり支えてくれています。
で・・このショレのレ・ボーモンは、
「ショレ=レ=ボーヌと言っても、ほとんどサヴィニー=レ=ボーヌ!」
でして、
「・・なんでここがショレなの?」
と・・(^^;; そんなロケーションです・・ここは深くは追いませんが・・。

甘みはほとんどなく、ドライなのに・・
「酸バランスが途轍もなく素晴らしい!」
ので、
「うまみ成分も嫌味無くしなやかに流れるような感じ」
に感じます。
そして余韻・・静かなのに燃えているようなエナジーを感じます・・この人、ヴァンサン・レディさん・・いや、末恐ろしいと思ってます。こんなワインが造れるのなら、
「ブルゴーニュのトップ10に入れる能力を持っている!」
と言わざるを得ないんじゃないか?・・とさえ思っています。
この先、どんなワインを造ってくれるのか、そしていつか海外メディアの目に触れ、持ち上げられる日が来るのか来ないのか?・・判りませんが、
「価格もあるが、noisyも見守っていきたいと思っているドメーヌの一人」
です。
まぁ・・今回のヴァンサン・レディの2020年ものも、noisy の予想をはるかに超える値上げになっていましたので、
「せっかく2019年ものである程度良いスタートが切れたのに、ここで普通の値付けをしたのでは上手く行かないのでは?」
と言うような心配も有って、下限ギリギリの値付けになっています。
言ってみれば、
「この価格でも滅茶安い」
ですし、
「価格に見合った・・もしくは価格以上のポテンシャルを持っている!」
と判断した訳です。ぜひこのショレ=レ=ボーヌ・レ・ボーモン
以下は以前のレヴューです。
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【実はこのショレ=レ=ボーヌ・レ・ボーモンは、あの、目ちゃんこ美味しいマリウス・ドラルシェのペルナン=ヴェルジュレス・レ・ブティエールに接する畑・・なんです(^^;;】

ドラルシェの2017年、ペルナン=ヴェルジュレス・レ・ブティエール..美味しいでしょう?・・何とも色っぽく熟した超エレガントなピノ・ノワール。全く濃く無く、しかし官能に直結して訴えてくる見事な味わいに仕上がっていました。
言ってみれば、「濃度(濃さ)」は、本来持っている様々な表情をマスキングします。その奥にあるものを見つけようとしないなら、全く見当たらないんですね。
ですが若い時の「濃さ」と「若さ(フレッシュさ)」は、マスキングと未生成になりますし、適度に熟してきてもその「濃さ」は中々・・奥に行ってはくれないものです。
なので、2017年と言うヴィンテージで熟し始めて来たエレガントなレ・ブティエールは、素晴らしい味わいになっていた訳です。
で、今回のヴァンサン・レディのショレ=レ=ボーヌ・レ・ボーモン2019ですが、実は・・
「レ・ブティエールと言う区画とすると、隣同士!」
なんですよ。村の名前も違いますから気付かないかもしれませんが、区画同士がお隣です。もう少し細かく言いますと、
「レ・ブティエールと言う区画はアロース=コルトンとペルナン=ヴェルジュレスにあり、そしてサヴィニー=レ=ボーヌにはレ・ブティエールに接したオー・ブティエールが存在する」
んです。なので、このショレのレ・ボーモンのお隣が3つの村に有るレ・ブティエール(+ オ・ブティエール)と接しているんですね。
で、言ってみれば、
「ドラルシェのペルナン=ヴェルジュレス・レ・ブティエールはショレ=レ=ボーヌ的な繊細で軽妙なワイン」
でもあり、ドラルシェのアロース=コルトンとも地続きでしたよね?ですが、アロース=コルトンとペルナン=ヴェルジュレス・レ・ブティエールは隣に有るとは思えないほど違います。より豊かなんですね。
ですが、こちらのショレ=レ=ボーヌ・レ・ブティエールは・・エレガントで優しく、レ・ブティエールの持つエレガントさを2/3ほど、アロース=コルトンの豊かさを1/6ほど持っている・・そう思っていただけますと近い味筋じゃないかと思います。
そもそもショレ=レ=ボーヌって、ホントに売れなかったんですね・・。トロ=ボーも熟すと美味しいんですが、ショレ=レ=ボーヌ..売れないので、シャルドネばかりを探して販売させていただいてました。トロ=ボーのA.C.ブルのシャルドネ、ホント、名品です。そう言い続けていたら、最近は全く買えなくなってしまっています。

このレ・ボーモン、ヴァンサン・レディの手によりますと、
「ショレ=レ=ボーヌらしからぬ酸の柔らかさ」
を感じられると思います。
「ショレ=レ=ボーヌって、もっとずっと軽くてスレンダー・・だよね?」
と思われるかもしれませんが、ヴァンサン・レディのピノ・ノワールって、酸の当たりがマイルドでふんわり優しいんですね。これはすべてのキュヴェに言えます。
その上で、さくらんぼ的な果実..チェリーとは言いたくないかなぁ・・とベリーが少し、中域はややスレンダーながら非常にバランスが良く、ミネラリティも充分に感じられます。
「ちょうどアロース=コルトン、ペルナン=ヴェルジュレス、ショレ=レ=ボーヌのそれぞれの特徴を併せ持った味わいがする」
微妙な表情のワインなんですね。
まぁ、ショレ=レ=ボーヌ自体は複雑性はやや乏し目では有りますが軽妙な美味しさが有り、しかも「早く熟し始める」ことが、直近の美味しさを生んでくれる訳です。
今飲んでも満足できますし、2~3年でピークに近い形になりますから、実に有難い・・んです。
なんでも複雑で濃くて要素が凄いワインばかりじゃ・・開けた時にこっちを向いてくれるかどうかが「賭け」になってしまいます。早熟さも魅力の内です。是非飲んでみてください。お勧めします!
【・・どうやらジャスパー・モリスさんはこのヴァンサン・レディを「ロックオンした!?」かもしれません・・2021年のこのワインに92~94ポイント!】

うわ~・・これはとんでも無い出来のレ・ポレです・・これで若木なのかと・・。
若木とは言っても樹齢はほぼ50年で、もう普通に
「ヴィエイユ・ヴィーニュ」
を名乗れます。
ですが樹齢90年にもなるキュヴェ・ヴィエイユ・ヴィーニュが有りますんで・・若木なんですね。
もう・・これを飲んで・・イメージが出来ちゃいました。
「彼があと35年早く世に出ていて、同じワインようなレ・ポレをリリースしていたら、クロード・デュガ伝説は無かったかも・・」
と。
それほどに濃密で、しかも・・
「雑なところが全く無い!」
んですよ。
そして、
「なんとアルコール分は15パーセント!」
です・・が・・

「飲んでいても余りの精緻な味わいに気付かないだろう」
と思います。
まぁ・・飲み始めて1時間ほどして、
「ん?・・いつもより多く飲んだ・・かぁ?」
と、自身の酔い具合に気付くか、品温の上がりで「あれっ?」と感じるか、判ったとしてもそんな感じです。
ですから、
「この赤い果実をとことん積層させ、レ・ポレやレ・サンジョルジュ、レ・カイユなどが持つエレガンスを含むポテンシャルをたっぷり内包している1級ニュイ=サン=ジョルジュの美味しさ」
に気付いたら、
「・・凄い!」
と思っていただけるはずなんですね。
いや・・半端無いです。このワイン、素晴らしいですし今から飲んでも行けますが、
「あと4~5年寝かすと大化けする」
可能性を持っていると思います。
で、実は敢えて掲載しなかったんですが、ジャスパー・モリスさんはこの2020年ものも評価していたんですよ。それが、
「88~91 Points」
と、めちゃ低いんです。
ところが2021年ものもすでに評価していまして、それが、
「92~94 Points」
なんですね・・すっごい、違和感を感じました。
まぁ・・2021年ものは、このような濃度は出るはずが無く、どちらかと言いますとジャスパーさんは濃い目がお好きだと・・理解しているので、違和感が強い訳です。
と言うことは、
「あれ?・・2021年もので・・ロックオンした?」
みたいな・・(^^;;
この化け物みたいなレ・ポレ2020...ヴァンサン・レディを知るには良いアイテムです。
全くの自然派、そして・・脅威の表現力を持った生産者さんだと思います。ご検討くださいませ!
以下は以前のレヴューです。
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【海外メディアからも評価が出て来ないほど・・実は希少?・・飲めていませんが、2020年のヴァンサン・レディの販売が好調なようなら何とかして飲みます!】
2020年のヴァンサン・レディはご多聞に漏れず濃い目ですが、中でももっとも濃密な・・V.V.では無い1級クロ・デ・ポレもどこかサラリとして優しく、きっちり膨らみながらも強さを感じさせないのは、noisy的にも非常に高評価な部分です。
それに・・おそらく醸造方法を一部変えているはずの、ショレ=レ=ボーヌやサヴィニー=レ=ボーヌは、濃いと言うほど濃くなく、しかもエキスが集中していて絶妙に旨いんですね・・。
まぁ・・こう言っては何ですが、
「ショレ=レ=ボーヌがめちゃ美味しい!」
なんて言う時代が来るとは・・思ってもみませんでした。
昔は・・ふんわりと「桜の花のニュアンスのアロマが・・」なんてね・・滅茶淡い色彩を見ながら桜餅やサクラソウを連想したりしていたのが思い出されます。
こちらはレ・ポレのV.V.ですから、その延長上の味わいになっているのは間違い無いでしょう。ですので、
「通常キュヴェより上級の集中度と複雑性、エレガンスを持っている」
と思っていただいて結構かと思います。
また、今でも一応美味しく飲める通常キュヴェの1級レ・ポレを先に飲み、こちらは後に取っておいてください。もしテイスティングできるようでしたら再アップいたしますのでどうぞよろしくお願いいたします。
以下は以前のレヴューです。
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【今はまだ全貌を見せない、ちょっと締まっている2019年のトップ・キュヴェ!・・将来はお宝になるかも・・しれません。】
目が詰まってますね・・でも、決して濃い訳じゃないんですよね・・。良いワインって皆そうでしょう?・・仮に濃度は有ったとしても、それを感じさせないんですね。
で、やはり素晴らしいニュイ=サン=ジョルジュのワインには共通の、素晴らしいアロマが有ります。ちょっとお花畑にいるような・・香水に近いニュアンスがそこはかと無く漂うんですね。
ですが・・それがまた、実に「自然さ」に繋がっています。おそらくそれは受け取る側の問題と思われ・・まぁ、どうしても、
「新樽由来のワイン」
に慣れっこになってしまっているんですよ。
なので、もっと直接的で香水的なアロマ・・ポンっと飛び出してくるようなアロマに慣れているところに、このように何ともニュートラルとしか言いようの無いアロマの上がり方をして来ますと、むしろ、
「初見」
に思えてしまうんですね。
でもそれはきっと間違いで、この方が正しいアロマなんだろうと思いなおす訳です。

さらには、ちょっとグラスを振っていますと・・綺麗な血っぽい感じもします。濡れた感じで・・何とも妖艶なニュアンスです。ただしそれはまだ蕾で、熟して行くとともに成長して完成するのでしょう。
そもそもニュイ=サン=ジョルジュと言うアペラシオンは、中々に難しいと思っていました。優秀な生産者さんはそれなりにいらっしゃいますが、ずば抜けた人がいなかったと思うんですね。
ところが昨今は状況がだいぶ変わって来たと思っています。勿論メオ=カミュゼもそうですし、アンリ・グージュの激変ぶりにはビックリさせられました。シュヴィヨンも良いですよね・・レシュノーはどうかな?・・と言った具合。群雄割拠と言える状況になってきています。
ただし、彼らはニュイ=サン=ジョルジュにそれなりに多くの区画を持っています。ヴァンサン・レディの場合は・・このレ・ポレだけです。少数精鋭ですが、それはヴァンサン・レディも、広い畑は不要・・との考えがあるのも一因なのかもしれません。
確かに、叔父のアラン・ミシュロはニュイに多くのリューディを持っています。大御所とされてきましたが、ん~・・そこまで持ち上げるのは・・とも感じていました。しかしながら親類筋のヴァンサン・レディの出現によって、アラン・ミシュロも変わってくるかもしれません。期待しましょう。
こちらのV.V.ですが、ご覧の通り「まだちょっと抜けて来ない色彩」をしています。なので、もう少し待った方が良いと思います。
今飲んでめっちゃ旨い・・40年の若木・・(^^;; のレ・ポレ・サン=ジョルジュ2019年を先に楽しみ、こちらのV.V.はしばらく放置することをお勧めします。ご検討くださいませ。
【サヴィニー=レ=ボーヌのややソリッドな豊かさ・・微妙な複雑性を柔らかに、細やかに、優しく描いた秀作です!】

これは美味しい!・・綺麗に丸いパレットを描いてくれます。そのエッジの丸さ・・と言いますか、酸のふくよかな柔らかさが心地良いですし、全てが見事に調和した味わいを見せてくれます。
サヴィニー=レ=ボーヌと言いますと、フレデリック・コサールのレ・ゴラルドが親しみやすいかなぁ・・と思いますが、レ・ゴラルドはサヴィニーの村の西の外れに有りますので、結構・・この1級ラヴィエールの下部の畑とは離れています。
むしろこのレ・コンナルデスとオ・プティ・リアルドは村の中央近辺に有り、アロース=コルトンに非常に近いロケーションです。
また、サヴィニー=レ=ボーヌの最高の畑は「1級オ・ヴェルジュレス」で、1級ラヴィエールと隣り合わせですし、「オ・ヴェルジュレス」の名の通り・・ペルナン=ヴェルジュレスにも非常に近いです。
ですが・・今回、ショレ=レ=ボーヌもご案内させていただいていますが、やはりこのサヴィニー=レ=ボーヌV.V.とは大きく味わいを異にしています。ショレはややスレンダーで、縦に扁平した丸・・「小判型」と言えば判りやすいかな・・と思いますが、そんなパレットを描きます。
一方こちらのサヴィニー=レ=ボーヌV.V.は真円に近く、しかも造形と言いますか造り込みと言うか、そんな部分が精緻で美しく厚みが有ります。
コサールのゴラルドと比較しますと、熟度はゴラルドに分があり、繊細さや美しさ、エレガントさはこのヴァンサン・レディのサヴィニー=レ=ボーヌV.V.が一歩先を行っている感じです。
ですが・・このところのフレデリック・コサールのゴラルドを飲むのは、入荷数が激減で至難の業になっていますから、直近のゴラルドとの比較にはならないのでご容赦ください。

色合いも深い赤、何本も足が見えるように・・決して遅熟の葡萄にはしていないはずですが、仕立ての良い畑由来だなぁ・・と感じます。
果実はチェリー・・そしてほんのり深紅のベリーが混じります。僅かに鉄っぽいニュアンスが感じられますが、ジュヴレのような重い感じでは無く、もう少し優しい感じです。
非常にバランスが良くて今でも美味しく飲めてしまいました・・。
まぁ・・古樽熟成ですから・・とは思うんですが、余りそんな感じもしないんですよね。さりとて新樽バリバリな感じは皆無・・です。なので、
「・・ん~・・どうやっているんだろう・・」
と、ちょっと頭を悩ませています。今でも実に良いバランスをしています。
ある意味、ニュイ=サン=ジョルジュ1級レ・ポレの完成度が異常に高いので、そちらをお勧めしたいんですが・・まぁ、価格もまぁまぁしますからね。なので、
「もしレ・ポレ・サン=ジョルジュに手を出せればそちらを、予算オーバーならサヴィニー=レ=ボーヌV.V.を」
と言うのが目安になろうかと思いますが・・いかがでしょうか。
ちょっと昨今では珍しい・・オーソドックスには思うものの、実はナチュールで有るし、全量では無いとしても全房発酵も取り入れていて・・酸の伸びやかさ、優しいバランスを生み出しているのは、
「もしかしたら最新の造りにトライ中なの?」
とも思い始めています。
濃くも無く、薄く無く、エキス系のエレガント系で有りながら・・でも密度や濃度にこだわっている風にも感じず・・美しさにはたっぷりこだわっている感じがするヴァンサン・レディです。飲んでみてください。お勧めします!
【実はこのショレ=レ=ボーヌ・レ・ボーモンは、あの、目ちゃんこ美味しいマリウス・ドラルシェのペルナン=ヴェルジュレス・レ・ブティエールに接する畑・・なんです(^^;;】

ドラルシェの2017年、ペルナン=ヴェルジュレス・レ・ブティエール..美味しいでしょう?・・何とも色っぽく熟した超エレガントなピノ・ノワール。全く濃く無く、しかし官能に直結して訴えてくる見事な味わいに仕上がっていました。
言ってみれば、「濃度(濃さ)」は、本来持っている様々な表情をマスキングします。その奥にあるものを見つけようとしないなら、全く見当たらないんですね。
ですが若い時の「濃さ」と「若さ(フレッシュさ)」は、マスキングと未生成になりますし、適度に熟してきてもその「濃さ」は中々・・奥に行ってはくれないものです。
なので、2017年と言うヴィンテージで熟し始めて来たエレガントなレ・ブティエールは、素晴らしい味わいになっていた訳です。
で、今回のヴァンサン・レディのショレ=レ=ボーヌ・レ・ボーモン2019ですが、実は・・
「レ・ブティエールと言う区画とすると、隣同士!」
なんですよ。村の名前も違いますから気付かないかもしれませんが、区画同士がお隣です。もう少し細かく言いますと、
「レ・ブティエールと言う区画はアロース=コルトンとペルナン=ヴェルジュレスにあり、そしてサヴィニー=レ=ボーヌにはレ・ブティエールに接したオー・ブティエールが存在する」
んです。なので、このショレのレ・ボーモンのお隣が3つの村に有るレ・ブティエール(+ オ・ブティエール)と接しているんですね。
で、言ってみれば、
「ドラルシェのペルナン=ヴェルジュレス・レ・ブティエールはショレ=レ=ボーヌ的な繊細で軽妙なワイン」
でもあり、ドラルシェのアロース=コルトンとも地続きでしたよね?ですが、アロース=コルトンとペルナン=ヴェルジュレス・レ・ブティエールは隣に有るとは思えないほど違います。より豊かなんですね。
ですが、こちらのショレ=レ=ボーヌ・レ・ブティエールは・・エレガントで優しく、レ・ブティエールの持つエレガントさを2/3ほど、アロース=コルトンの豊かさを1/6ほど持っている・・そう思っていただけますと近い味筋じゃないかと思います。
そもそもショレ=レ=ボーヌって、ホントに売れなかったんですね・・。トロ=ボーも熟すと美味しいんですが、ショレ=レ=ボーヌ..売れないので、シャルドネばかりを探して販売させていただいてました。トロ=ボーのA.C.ブルのシャルドネ、ホント、名品です。そう言い続けていたら、最近は全く買えなくなってしまっています。

このレ・ボーモン、ヴァンサン・レディの手によりますと、
「ショレ=レ=ボーヌらしからぬ酸の柔らかさ」
を感じられると思います。
「ショレ=レ=ボーヌって、もっとずっと軽くてスレンダー・・だよね?」
と思われるかもしれませんが、ヴァンサン・レディのピノ・ノワールって、酸の当たりがマイルドでふんわり優しいんですね。これはすべてのキュヴェに言えます。
その上で、さくらんぼ的な果実..チェリーとは言いたくないかなぁ・・とベリーが少し、中域はややスレンダーながら非常にバランスが良く、ミネラリティも充分に感じられます。
「ちょうどアロース=コルトン、ペルナン=ヴェルジュレス、ショレ=レ=ボーヌのそれぞれの特徴を併せ持った味わいがする」
微妙な表情のワインなんですね。
まぁ、ショレ=レ=ボーヌ自体は複雑性はやや乏し目では有りますが軽妙な美味しさが有り、しかも「早く熟し始める」ことが、直近の美味しさを生んでくれる訳です。
今飲んでも満足できますし、2~3年でピークに近い形になりますから、実に有難い・・んです。
なんでも複雑で濃くて要素が凄いワインばかりじゃ・・開けた時にこっちを向いてくれるかどうかが「賭け」になってしまいます。早熟さも魅力の内です。是非飲んでみてください。お勧めします!
【涼やかな高地のニュアンスが有りつつ、尖った酸が見当たらない、ふんわりと優しいバランスのエレガント、ピノ・ノワール。それがヴァンサン・レディです!】

ヴァンサン・レディを知るには良い選択になると思います。まぁ・・おそらく誰もが初見でしょうから・・
「どんなワインかも判らずに・・買えるか!」
と思っていらっしゃるでしょう?
昔は八百屋さんに行けば、
「どのスイカが・・美味しいか教えて!」
なんて言えば、ポンポンたたきながら持ち上げたり何なりして、
「・・坊主、これが良いよ」
・・なんてね。・・そのうちに自分でも出来るようになって、
「おじちゃん、・・これ・・スカ・・だよね?」
なんて・・ね・・。
肉屋さんに行けば、恰幅の良いおじさんが包丁で切ってくれる肉を包んでもらってね・・
「(きっと・・毎日、美味しい肉を試食してるんだろうなぁ・・)」
noisy が子供の頃は肉は高級品でしたから・・真っ赤なウインナーが精々でした。四角いハム(名前さえ知らない)やロースハムなんてね・・母親が買って来いなんて言うはずが無いので食べたことさえなかったですよ。10円か20円の揚げたコロッケをね・・寄り道して食べたりしたのを覚えてます。
ですが、八百屋さんも肉屋さんも魚屋さんも・・皆、商売ものに手を付けて食べていたんですね。そして、その毎日の積み重ねが「目利き」を生み、自身を高めることに繋がったはずです。
ワイン屋は・・ま~・・自腹を切ることが嫌いな方ばかりでして・・(^^;; 他人様のふんどしで相撲は取るものの、自分では飲まないんですね。それじゃいつまでたっても毛の生えた初心者だと思うんですけどね。
で、飲みまくっていたら・・いや、テイスティングを散々やっていたらいつの間にか・・noisy が出来上がっていた訳です。勿論、一人でやって来た・なんていうつもりなど毛頭ありません。周りの方に随分助けられましたし、仲間がいたからやってこられましたし、お客さんと一緒に成長している実感が有った訳です。

どうでしょう?・・涼やかな赤紫を積み重ねた色彩ですね。中域がぶっとい・・感じには見えないと思います。澄んでいて、抑揚が有りつつ・・暑苦しく無い感じがすると思いますし、グラスを斜めによぎる脚がグラを感じさせます。
オート=コートと言うと、一般的には酸が目立つ感じがするかと思うんですが・・、ヴァンサン・レディのラ・ヴァシュロットは実に酸バランスが良く、柔らかいです。アロマもスッと立ち上がって来て、結構な石灰系ミネラリティが多いニュアンスを感じます。
この「ショー村」をGoogleマップで見ると、何か所かで石灰の露出した場所が見受けられます。村の南西側に台地が有って、そこに南西に開けた斜面が有り、
「まるでコート・ド・ニュイの村を見るような見事な斜面」
を見ることが出来ます。
無いのは・・「クロ」ですね。褐色石灰岩を積み上げたクロは見当たらないし、畑の名前を書いた石碑、石門も有りません。でも、傾斜が・・道を挟んで東側はやや緩く、西側がキツクなっていて、この辺りは村名と1級を分ける国道のようにさえ・・見えます。
ヴァンサン・レディは、畑の場所や傾斜などには相当こだわっているようで、
「より有名なアペラシオンであまりよく配置されていない区画よりも、より少ないアペラシオンで適切に配置された区画を持つ方が良い。」
「私のぶどう畑はショーとヴィレ・ラ・フェイの間にあります。中腹にあり、オート=コート・ド・ニュイの最高のスポットの1つです。土はあまり深くありません。岩にとても近い。粘土と石灰岩です。私はそれを見つけることができてとても幸運でした。」
と言っているようです。
この20年間の気候の変動は、将来のブルゴーニュワインのヒエラルキーさえ変えかねない・・そんな気がしています。もしそんなことが起きるとすると、その震源は今まで余り光が当てられなかった場所になるはずです。
そしてもしかしたら・・ヴァンサン・レディも、その震源にならないとも限らないかな・・とも思います。2007年に開業した若いドメーヌですが、将来性も充分感じられるかと思います。是非飲んでみてください。お勧めします!
【「新樽の影響を葡萄に与えたくない・・」とヴァンサンは言っているようですが、それはピノ・ノワールだけ・・??シャルドネにはお化粧が必要と考えているのでしょう。20年前のブルゴーニュのシャルドネを思わせますが、意外や意外・・結構に旨いです!】

1990年台はバリック(新樽)を使用することがステータスで、それはピノ・ノワールも全く同様でした。全ての葡萄に新樽を当てるとPKさんが喜ぶので、みな挙って・・バリックに入れたものです。
ですが猫も杓子も構わずにやったもんですから、葡萄にそこまでパワーが無いエレガント系のワインは、樽の影響を受け止めることが出来ずに、多くの造り手が「樽臭いだけ」のワインにしてしまう状況を生みました。
「じゃぁ・・葡萄を遅熟させよう・・」
と言うことで熟度・糖度を上げて対応したのが2000年過ぎまで続いたでしょうか。
「これは・・ボルドーか、ローヌか?」
と思えるようなブルゴーニュ・ピノ・ノワールが席巻したんですね。異常な世界でしたが、誰もそれが普通だと考えていたんだと思います。
ですが・・自然派が台頭してくると、やはりブルゴーニュワインらしいエレガンスを無くしていることに気付いたんだと思います。それが今の「エレガント系のブルゴーニュワイン」を取り戻しつつある状況に繋がります。
シャルドネはどうでしょうか。30年前までは、
「ムルソーは樽香がぷんぷんしていて当たり前」
と言われたものです。出来の良いムルソーは、数年の熟成で樽の要素を完全に一体化し、何とも大柄で派手だが滑らかでオイリーな味わいを醸し出していました。出来の悪いものは新樽に負けてしまい、何とも情けない感じのアロマをただ放出しているだけ・・でした。
しかし、現在でもブルゴーニュ・シャルドネは新樽が無いと成り立たない訳ですね。ヴァンサン・レディのテクニカルには、
「レシュノーから数年使用した樽を譲り受けている」
と書かれていますので、きっとそうなのでしょう。ですが、昔からのブルゴーニュの手法には、
「新樽を使うには、まず白ワインを通す」
と言うのが有ります。白ワインに真新しい樽の要素を受け取って貰うんですね。その後、その白ワインを通した樽をピノ・ノワールに当てる訳です。エレガントなピノ・ノワールのワインにするために・・です。

何ともそれなりに黄色の強い、奥に緑を抱えた素晴らしく濃い色合いをしています。アロマもしっかり・・樽の香りが結構します。
しかし、特別に熟度を高めている感じでは無いものの、その樽をしっかり受け止めていて要素を取り込んでいるのが判ります。まだ2019年ものですから、バリックのアロマをそのままに感じる部分も有りますが、
「1990年台に大流行りの美味しいシャルドネ!」
と言うような雰囲気がバリバリなんですね。
まぁ・・例えばいつも言ってますが、1990年台のコント・ラフォンのムルソー張り・・です。コント・ラフォンなんかそう簡単には飲めなかったですから、それもちゃんと熟成されたものなどはね・・。
「正規ルートの品はフィルター掛けちゃうから・・ブローカールートから質の良いものを選ぶ・・」
とか、
「ボトルを透かして見てポワン..ポワン・・とした灰色の小さく丸い澱が浮かんでいるものがより旨い」
とか・・言ってましたっけ。・・あ、すみません・・脱線しました。
グラスの淵をご覧ください。やや太めの「涙」が真っすぐに走ってますね。粘度の高いワインのなせる業です。なので、おそらくこのオート=コートの白は新樽を当てていると思います。
言ってみれば、
「メオ=カミュゼのクロ・サン=フィリベールに対抗できるオート=コートの白」
です。
メオほど完成度が高いか?・・と言われますと、
「もう少し足りないかもかなぁ・・」
と答えざるを得ないでしょうか。
しかしながらブルゴーニュワインの歴史を感じつつ、今を知るには良い1本でも有ります。...ヴァンサン・レディは、なんと、
「アルザスからピノ・グリをオート=コートに持ち込んで植えた」
そうですよ。
しかもこのオート=コートの畑は「ショー村の東南を向いた粘度石灰の傾斜台地」だそうで、相当・・良さそうなんですね。なので、将来も期待できると思っている訳です。
あ・・そうそう、本当に久しぶりに新井順子さんから連絡が有りまして、
「ブリュノ・デュシェンの新酒を送ります」
と言うことで、デュシェンのヌーヴォーをご案内できることになりましたが、かの順子さんは、
「ブルゴーニュからロワールにピノ・ノワールを持ち込んで散々な目に逢われた」
のは記憶に新しいかと思います。
まぁ・・アルザスとロワールではちょっと違うのかもしれませんが、厳しい世界ですよね。
また脱線してしまいました。すみません。
で、このオート=コートの白、今飲んでも樽の効いたふんわり滑らかでオイリーな味わいが見事ですが、数年置いても面白いでしょう。是非飲んでみてください。まだほとんど誰も知らない・・ドメーヌ・ヴァンサン・レディです。彼はちょっと老け目に見えるかもしれませんがまだ若いはず・・です。