【政治的?・・か思想的か、社会に疑問を投げかけているのか・・それにしても印象的なエチケッタですが、高貴種セミヨンを本家ソーテルヌよりも見事に仕上げていると言えるかもしれません!】

セミヨンをアンフォラで仕上げた見事なビオの白ワインです。しかも、
「So2無添加!」です・・
「(・・有り得ね~~!)」
とソーテルヌ近郊の生産者さんは内心、驚いているに違い無いと思います。
だって・・ソーテルヌの美味しさは
「硫黄有りき」
で成り立っているようなものですから・・。このサム・イロンは甘く無い、ドライな仕上げではありますが、特に甘く仕上げる白ワインでSo2無しは、恐怖でしかないんじゃないかと思います。ドライで有っても、様々な菌・・それこそ貴腐菌をワインに生かそうと思ったら(貴腐葡萄では無く・・)どうなってしまうのか・・
ですがその前に、このエチケッタですね。このワインは「サム・イロン」と言う名前でして、フラ・イ・モンティのアシスタント・セラーマスターの移民の方をイメージした、
セミヨン-->セミ・ヨン-->サム・イロン
みたいな言葉遊びの命名だそうです。
フラ・イ・モンティのワイン造りも移民の方の力がなければ成り立たない・・と言うことらしいですし、他の多くのカンティーナも同様だそうです。
日本でも・・まぁ・・ただ居座っている不良外国人は別にしても、多くの海外労働者がいらっしゃらなければ、
「牛丼もうな丼も・・コンビニの卵サンドイッチも作れない」
と言う状況のようです。
昨年末から Noisy wine で再び働き始めた甥っ子の Oisy が10年ほど前に勤めていた時には、仕事を終えた Oisy が店の外で何か声を出しているので行ってみると、どう見ても外国人の方・・日本語も全くと言って良いほど判らない方でしたが、身振り手振り、片言の英語で話しを聞いてみるとどうやら、
「Noisy wine から少し行ったところにある工業団地で働いているが、休日なので浅草に出かけたところ、帰り道が判らなくなって寮に帰れない」
らしいと言うことなんですね。
Oisy に、
「・・どうする?」
と言ったところ、
「送って行ってあげたい」
と言うので、車で工業団地の中を走り回って、迷子の外国人の方の記憶に有りそうな場所を見つけました・・パン工場にお勤めの様でした。

もう10年も前の話しですが、昨今は牛丼屋さんもコンビニエンスも・・うちの前の角X魚類の誘導員さんも外国の方が多いです。そもそも東京は外人さんでいっぱいです。
日本では、職業訓練と言う名目で労働力を確保していたのを、ようやっと少しまともな方向に動いているようです。
フラ・イ・モンティも似た部分が有るのか、そしてそれを言いたいのか・・もっと進んで思想や政治に絡んで表現しているのかは不明ですが、
「仲良くやろうよ・・」
みたいなものかな・・とも感じます。
で、このセミヨンですが・・いや、物凄く良いです。セミヨンは・・ご存じないかもしれませんが、
「A.O.C.ボルドーの辛口白では高級品」
ですし、当然ながら村名のソーテルヌはさらに高級品で、主品種はセミヨンです。ソーヴィニヨン・ブランが入ることも有ります。
質感で言いますと、そんなソーテルヌの高級シャトーが造るドライなセミヨンよりもポテンシャルは高いかと・・さえ感じます。品格としますと少し不足するかもしれませんが、
「ナチュール・・ビオでSo2無し、そしてこの素晴らしい濃い目のゴールドの色彩」
から言っても、相当出来が良いのは伝わって来るかと思います。
蜜っぽいアロマとセミヨンの薄くソリッドなニュアンス、しかしアンフォラでのベクトル変換が済んでいる性でしょうか、ふんわりとして、訴えかけてくる表情がストレートです。非常に心地よい飲み口です。ドライですが甘やかなニュアンスが有り、余韻が非常に長いです。酸もしっかり有りますが、優しく滑らかです。樽は無いですね。
お茶とか紅茶とかも有りますが、果実のフレーヴァーも白、黄色、薄い赤まで非常に多様・・ちょっとこれは飲んでみるべきでは?・・と思います。
まぁ・・ちょっと絵面の捉え方も有るかと思いますが、ワインとしますと大成功だと思います。貴重なセミヨン、飲んでみてください。お薦めします。