● 快活でフレッシュ、スッキリした愛らしい酸、新鮮果実が売りで、どちらかと言えばドイツ寄りとも言えるオーストリアの白ワインに有って、あの自然派の大御所、ガイヤーホフと肩を並べるほどの素晴らしいヴェルトリーナーをご紹介します。
造り手としての歴史は長いんですが当主の急逝により売却され、それからまだ10年も経っていないと言うから驚きです。フランツ・アントン・マイヤーです。

フランツ・アントン・マイヤーは比類なき個性であるレス(黄土)土壌を持つヴァーグラムに4世代続くヴァイングート(ワイナリー)です。優れた多様性を持つ正真正銘のワイン。115年続く伝統は今、そしてこれからの未来へと続いてゆくのです。
フランツ・アントン・マイヤーの歴史は、少数の専門家のための革新的なワインではなく、オーストリアのワイン文化に根ざした、多くのワイン愛好家によって綴られてきました。私たちは、自然に忠実な、そして同様にブドウ畑にとって誠実な仕事を心がけています。ブドウ畑へのきめ細かいアプローチがそれを物語っています。剪定、ワインの瓶詰め、選別、収穫といった仕事は、自然と共に協働することなのです。
モダンで最新のワイナリーは2007年から2008年にかけての冬にフランツ・アントン・マイヤーによって設立されました。ブドウの圧搾機、熟成用のステンレスタンクや木樽、ボトルの保管スペースも充分です。非常に厳しく選果したブドウと、近代的な設備を用いることによって、私たちはワインをより特徴的に際立たせることが出来るのです。クラシックで典型的でいながら、同時に個性を備えたワインが生まれるのです。
1896年から長い歴史を持つフランツ・アントン・マイヤーは2013年4月、当主の急逝に伴い全てを売却しました。受賞歴の高い企業によって、フランツ・アントン・マイヤーは新たな未来を約束されたのです。故フランツ・アントン・マイヤーJrは生涯、ワインを楽しんで貰いたいと望んでいました。この意志はこれからも新しいチームによって、次世代まで継承されていくのです。
ヴァーグラムはドナウ河両岸からクレムス下流に広がる高さ40メートルの細長いテラス状のエリアです。ヴァーグラム(Wagram)という名前は“Wogen“『雨』という言葉が転じた川岸を意味する言葉から来ています。
海底の沈殿物と氷河時代、原始ドナウ川の浸食と堆積の繰り返しによってこの地は生まれました。特に遠くから見ると峰に見えるヴァーグラムカント(Wagramkante)と呼ばれる北側のテラスは太古の沈殿物から成る急斜面です。
■ヴァイングート フランツ・アントン・マイヤー
レス土壌。2007年、この肥沃な土から成る丘の連なるドナウ河流域に“ヴァーグラム“のDACが認可されました。厚さ15メートルに及ぶレス土壌はこの地の原種、グリューナー・ヴェルトリーナーを代表とするブドウに最適です。どこかブルゴーニュワインを彷彿とさせるリースリング、アロマティックなゲルバー・ミュスカテラー、そして冷涼な気候から生まれる赤ワインは綺麗な果実味を持っています。
2008年、クレメンス・シュトローブルは自らのワイナリーを設立しました。そして2011年にファースト・ヴィンテージと共に操業を開始しました。小規模なブティック・ワイナリーであるクレメンス・シュトローブルの生産はグリューナー・ヴェルトリーナー、リースリングが大部分を占めています。
しかしながら、ヴァーグラムは最上の赤ワインを育む地域でもあります。オーストリアのツヴァイゲルトとエレガントなピノ・ノワールがそれを証明してくれます。クレメンス・シュトローブルでは生態系に忠実な栽培プロセスから始めました。妥協を許さず細心の注意を払った仕事はワイナリーだけではなく葡萄畑も同様なのです。
ワインに用いられる葡萄はすべて、非常に高い成熟度を備えた自社畑からのものとなります。葡萄はすべて手摘みで収穫され、小さなケースに入れて温度を低く保ちます。すべては葡萄のコンディションを完璧に保つためなのです。自然に発酵が始まる前に優しく破砕します。すべての葡萄は品種毎に選別されステンレスタンク、木樽で熟成されます。
瓶詰め前にクレメンス・シュトローブルとワインメーカーのジェラルド・シュナイダーが各キュヴェからなるワインの構成を決定します。飽くなき努力、探求の喜びがワインに唯一無二の個性を与えるのです。
【信じられないかもしれませんが、ブルゴーニュのシャルドネ風な大柄な構造、清楚さの有る素晴らしいワインでした!超お勧めです!】

オーストリアの白です。グリューナー・ヴェルトリナー(ヴェルトリーナー)では無くて、近年どんどん少なくなってきていると言われる「ローター・ヴェルトリナー」です。
この品種は各ヴェルトリナーの起源種で、比較多産です。そして、グリューナーの方が土地に有っていると言う理解がなされ、また病気にも弱いので、栽培面積が激減しているそうです。
ですので、このローター・ヴェルトリナーで高質なワインを造るには、かなりの努力が必要とされるようで、一般には「さっぱり系の味わい」になることが多いそうです。noisy もこの辺りは非常に理解が浅く、まして・・
「こんなローター・ヴェルトリナーを飲んでしまうと、多産種などとはとても思えない・・高貴種としか感じられない」
とさえ思ってしまいます。
実はあの素晴らしいグリューナー・ヴェルトリーナーを造るガイヤーホフも、同じニーダーエスタライヒ州なんですね。でもクレムシュタールでして、どうでしょうか・・ドナウ川のかなり上流でして70kmほどは離れているんじゃないかと思います。そして川の南側にある丘陵ですから、ドナウの影響はそれほどでも無いかと思われます。(単に思うだけです・・)
一方、フランツ・アントン・マイヤーはウィーンから非常に近い・・10kmほどじゃないでしょうか。ドナウを南に見る北側の丘陵に有ります。なので、南を向いた畑ならドナウ川の影響を受けやすく、当然ながら湿気による葡萄の病気にも掛かりやすいでしょう。なのでその対策をしつつ、収量を制限しつつ、高級ワインを目指す・・と言うことになろうかと思うんですね。
高級ワイン・・と言ってしまいましたが、ハッキリ言って、素晴らしいブルゴーニュのシャルドネと同等に見て構わない品質でした。中域がふっくらとしていて、マッタリと粘性が有り、ミネラリティもバッチリ・・奥には蜜っぽさ、鼻に抜けてゆく香りには、適度に使用されたと思われる新樽の影響・・ナッツっぽいアロマと、90年台に流行ったような大柄なシャルドネのニュアンスが滑らかに感じられます。そしてそれがまるで嫌味を持たず、見事に一体となっているんですね・・。余りの美味しさに、ほぼローター・ヴェルトリナーのことを知らない noisy
は、
「こりゃぁ高貴種に違いない・・」
と思っちゃった位です。基本は多産種だなんて・・飲んだ人は絶対に思わないでしょう。非常にリッチな味わいですが清楚さをしっかり保ち、長い余韻で楽しませてくれます。
このワインは見っけもんでした!・・数は沢山は無いので、ガイヤーホフとの比較も楽しいでしょう・・お早めにご検討くださいませ!