[ oisy wrote ]● とんでもないことをやっています、ジャコモ・バラルドをご紹介させていただきます。noisyからのお達しで「次はジャコモ・バラルドな」と言われたときはまさかこんなハードな向き合い方を要求されるテイスティングになるとは思ってもいませんでした・・・
しかしおかげさまで「畑内発酵」、恐らくnoisyも、オルヴォー村岡さんも辿りつけていないその真髄に辿り着いてしまったかもしれません。いや、あくまでオイジーの推測の域は出ないんですが・・・「畑内発酵」と聞くと、
「なんや、ずいぶんアヴァンギャルドそうな造り手さんやな~」
と思ってしまいませんか?オイジーも最初はそう思ってました。でも本当は「真逆」だったんです。その真髄に触れたオイジーから見たジャコモの印象は「超理論派」です。加えて言うなら
「確信が持てれば、前例にないことでもやってしまう豪胆さ」
も持ち合わせていると感じます。時代を造るのは彼のような人物なのだと、オイジーは思います。
ちなみにそんな彼の造るワインは、めちゃクリーン!で、めちゃピュア!で、ミネラルの充足したエキス系!で、超安定!しているんです。なぜまだまだペーペーであるオイジーが推論ではあるが、ここまで理解できたか・・・それは恐らく「元エセ料理人」であることが関係しているかもしれません。ワインでないにしろ「実際に発酵をさせたことがある」という経験が理解に役立ちました。キーワードは「パン作り」です。そして、恐らく「畑内発酵」の真髄は「徹底的なクリマ主義」です。究極・・・といってしまっても過言ではないかもしれません。そしてこの真髄に近づいたオイジーが思ったことは、
「とんでもないことをやってやがる・・・!」
です。正直、この事実に気付いたとき、震えました。だって発酵してるの「外」なんですから。
詳しくは「0.0k」のコラムに書きましたので、「畑内発酵」の真髄についてのオイジーの見解を知りたい方はぜひ読んでみてください。興奮と勢いで、筆が止まらず、4000文字を超えてしまいました。読むのも大変になってしまい申し訳ありません。でもこれはちゃんと説明しないと「畑内発酵」というワードが持つ、「アヴァンギャルドな雰囲気」でワインが間違った評価をされてしまうのではないか、と危機感を持ったからです。
ひとつだけ申し上げますと、恐らく「畑内発酵」の出発点は「発酵で使うセラーの影響を受けたくない」です。「畑で発酵したい」が出発点ではないと思います。それではどうぞよろしくお願いいたします。
[ noisy wrote ]● ついに本性を現し始めた??ジャコモ・バラルドをご紹介させていただきます。ヴァーゼンハウスと同期の彼も、やはり唯者では無かった・・(^^;;
まぁ・・白も赤もオレンジも・・いや、もはやオレンジとは言いたく無いんですが、
「千変万化」
「畑内発酵」
「ブルゴーニュ」
を合言葉にしてご紹介させていただきますが、白は「イル・ペルゴラ」の半端ない素晴らしさ、赤はサンジョヴェーゼの凄い可能性を見せる全てのキュヴェ・・を是非知っていただければと思います。
畑内発酵って・・実はnoisy もほとんど理解出来ていませんが、今回到着したジャコモ・バラルドのすべてのキュヴェをテイスティングし、ほんの少しだけ判った気でいます。どうぞよろしくお願いいたします。
-----
身体と脳は「イエス!」としか言っていないのに・・、でもプレゼンをする仕事としては何とも悩ましくも有り、何とも有り難いような複雑な心境になってしまうトスカーナの新しい生産者のワインをご紹介させていただきます。
おそらくですが、日本でも・・「存在さえ全く知られていない」し、ましてや飲んだことのある人はnoisy を含めて片手に余るかと思いますが、世界中を見渡してみると・・ポツポツとネットに情報をアップしている方も少しだけいらっしゃる・・そんな感じの、
「自称ヴィニュロン、ジャコモ・バラルド」
です。
何が悩ましいか?・・といいますと、まずは彼のスタンス・・ですね。それはもう、ただただ凄いとしか言いようがないんですよね。トスカーナにブドウ園を入手し、ワインを造っているだけに留まらず・・何と南半球のニュージーランドにまで醸造に行ってしまっているんですね。なので、
「人の二倍の年二回の仕込み!」
をしています。なので、通常は30~35年ほど醸造年数があるとして、年数と同じだけの仕込み回数を一生の間に経験できますが、
「ジャコモ・バラルドはこの調子なら60~70回可能??」
なんですね・・。
まぁ・・ジャコモさん、バイタリティが半端ないんですが・・あ、そうそう・・彼の写真を・・

noisy 的にはF1レーサーだったジャン・アレジさん似のイケメンに見えますが・・あ、そうそう・・、この写真を良くみてください。何をやっているか・・お判りでしょうか?・・そう・・
「何と・・畑で醸造し始めちゃってます!」
何と、ヴィンヤード・ファルメンテーション・・も、しちゃってるんですね。これはニュージーランドで修行・醸造していることで得たスキルのようですよ。
あ。・・そうそう、「ジャコモ・バラルドの修行」と言えば・・これも大事です。なんと彼は、
「ヴァーゼンハウスと同期?」
らしいんですね。あのドメーヌ・ド・モンティーユで修行をしておりまして・・なのでヴァーゼンハウスの2人ともお友達なんですね。何しろ、なぜ彼のワインが日本に入れられるようになったか・・という点でも、
「ヴァーゼンハウスの正規代理店で、彼らのワインの隣に僕のワインが並ぶなんて物凄く光栄!」
と言うことらしいんですね・・。
さらにはそんな彼ですから、これらのトスカーナワインは南部のサン=カシャーノ・デイ・バーニで生まれますが、それぞれ多くても1000本前後しか無い・・でも、ブドウ園は結構お持ちなんですね・・なので、収量はかなり低い・・。
ここまで申し上げますとお判りでしょう・・そう、noisy も・・良いのは判っていても下手な表現はできないし、彼の言葉の端々からは「クリマ」という単語が出てきますから、
「ブルゴーニュ的な感覚でトスカーナワイン、もしくはサンジョヴェーゼをアピールしたい!」
と考えているのが判ります。

ですから、「ブルゴーニュ」「自然派(彼はこの言葉が好きではないようで、この言葉ですべてを代弁して欲しくないようです)」「イタリア」と来て、「大物新人らしい・・」と畳み込まれたら・・そりゃぁ・・noisy の出番・・と、きっと思われているに違いない・・と言うような、本当は誰もそんなことは思ってもいないのに勝手に自分を追い込んでしまう面倒くさい性格の noisy のプレッシャーになってしまっている訳です。
しかも、このジャコモ・バラルドのトスカーナワインったら、
「ブルゴーニュワイン以上に繊細」
に仕上がっていたもので・・しかも、
「到着間もないワインが7種類。しかもそのうち、ブドウ園違いのサンジョヴェーゼが3種類!」
も有ったもんですから、クリマ≒ブドウ園と言う部分でその繊細な質がそれぞれ異なることは誰にでも判るとしても、言葉にするのは非常に難しい・・と言う難題を抱え込んだわけなんですね。
ですので、この2022年の5月に各1本ずつテイスティングさせていただいたんですが、自身の中で上手く整理が仕切れず、結局この8月にまた1本ずつテイスティングする羽目になってしまった訳です。12本の仕入れで2本もテイスティングするなんぞ・・何やってるんだか・・と言うことになってしまいますが、
「それをやったお陰でこの短い期間での成長や変化を感じられ、ようやっとプレゼンできる自信が付いた。」
と言えるかと思います。
2022年9月1日にこの記事を書いていますが、この何時間か後にはもう・・新着をアップします。でも今日は夕方から物凄い雷雨で、
「何と記事執筆中に停電発生!」
と言う苦難を乗り越え、きっと無事新着がアップされることと信じています。
それを言わずとも、この非常に希少ながら誰も知らないトスカーナワインは、
「色んな意味でヴァーゼンハウス並み!」
です。彼のワインには、すべてのボトルに、
「ジャコモ・バラルドの指紋」
が印刷されています。それをどのように感じるかは・・飲み手に委ねられています。是非コラムをお読みの上、ご検討いただけましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
◆Giacomo Baraldo のHP
https://www.giacomobaraldo.it■エージェント情報
弊社初の取り扱いとなりますイタリアワイン Giacomo Baraldo(ジャコモ・バラルド)のご案内となります。日本でも活躍の目覚ましい Domaine de Montille(ドメーヌ・ド・モンティーユ)にて研鑽を積んだ造り手。ボルドーのマルゴーやグラーヴ、そしてブルゴーニュ。南半球のニュージーランドでは今でもワインを造っています。イタリアワインの販路を持たない弊社ですが、彼の造り手としての評判、畑の中で発酵させる未聞の手法、自らを “No Natural” 自然なままではなく人の力でワインは導くという主張にも共感出来るものがありました。
取り寄せたワインを試飲。力強く塗りつぶすようなサンジョヴェーゼではなく赤と黒のグラデーションで描くような世界観。この品種で精神に訴えかけうるベクトルは極めて希少です。
目の前がハレーションを起こして突き抜けるような眩しい白ワイン。価格は決して安くはありませんが、比類のない個性に心を動かされました。生産量も非常に少なく入荷数量も30~90本のごく少量となります。今後も育てていく可能性を秘めた造り手です。どうぞご検討のほどよろしくお願いいたします。
----
■テクニカル
サン・カシャーノ・デイ・バーニは、シエナ県の最南端にある小さな素晴らしいトスカーナの町です。ウンブリアとラツィオ(どちらも10 km未満)に隣接し、ヴァルを分割するチェトーナ山(1148 m asl)のエリアにあります。この山の形成は、ジュラ紀(2億2500万年前)にさかのぼります。その後、海底が徐々に落下し、アペニン山脈が浮上した断層があります。
町はその温泉水で有名です。約40°Cで42の泉があり、毎日の水の流量(550万リットル)はヨーロッパで3番目の規模となっています。フィレンツェの言語学者ドメニコ・マリア・マンニによれば、キューシ市のエトルリア人の首長(ルクモーネ)であるポルセンナが、当時「バグニ・キウージーニ」と呼ばれていた、紀元前VI-V世紀頃の浴場を創設しました。非常に人気があり、有名なローマの人物に高く評価されました。
この小さな土地は、何年にもわたってブドウ栽培に厳しく、未開の地でした。今日、ブドウの木を育て言えることは、ユニークで典型的なワインを生産するためのけた違いに理想的な「気候」を持っています。
私たちは90年代に設立した家族経営の会社です。当初はブドウ栽培やワインを扱ったことのない父のシルヴェストロによって経営されていました。森、牧草地、数ヘクタールの耕作地がありました。今日では、私たちは12ヘクタールを所有し、そのうち3.5ヘクタールにブドウの木が植えられています。
それは私の18歳の誕生日のことでした。家族とのランチのお祝いの時に、私はワインへの天啓を受けたのです。父は、1997年ヴィンテージのサッシカイアと2000年ヴィンテージのコンテルノ・ファンティーノのバローロ・ソリ・ジネストラのマグナムを開けました。ある意味ワインに対して「処女」だったので何を飲んでいるのか分かりませんでした。その時はあまり理解出来ていなかったアロマやフレーバーの爆発が、私をワインやブドウへ導く情熱の始まりとなりました。
◆2009年初め
高校で勉強した後、ペルージャ農業科学大学のブドウ栽培とワイン醸造学のコースに入学することを決心し、2009年に父とジョー(ニューヨークの親愛なる家族の友人)と一緒に最初の苗木を植えました。サンジョヴェーゼ、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンのBossolo(ボッソロ)と呼ばれるブドウ園。San Casciano dei Bagni(サン・カシャーノ・デイ・バーニ)の町の真下にある半ヘクタールの小さな区画で、私のクリュとなるワインのひとつ Il Bossolo(イル・ボッソロ)を生産しています。大学で勉強し、イタリアで収穫を数回経験しました。そして確信したのです。
「海外に行って、他の文化やワインの文脈と経験を交換するだけで、ワインの世界をより深く理解できるはずだと。」
私は手始めにボルドーに出発し、それからニュージーランド、アルゼンチンのパタゴニア(今でもよく行く場所)、特にブルゴーニュに行きました。ブルゴーニュでは幸運にもドメーヌ・ド・モンティーユで働き、素晴らしいワインを作り、ワインに永遠の恋をしました。これらの特別な場所での経験のおかげで、私の夢はより強くなり、ブドウ栽培の歴史的な伝統がなかったような遠隔地でプロジェクトを実行する意欲が高まりました。2016年、私はヴィニュロンになることを決意しました。
勉強と海外での経験の両方で得た知識をバランスよく注意深くアウトプットしたおかげで、すべてのブドウ品種と土地を尊重した伝統と革新を組み合わせたワインを造ることが出来たのです。
◆2017年新しいプロジェクト
翌年、私はサンジョヴェーゼをイル・ボッソロの区画全体に接ぎ木し、新しいプロジェクトの開発を開始しました。近くのピアッツェ村(VignaPozzoneとVignaCaccialupi)で70年代から2つの古いブドウ園を回収し2つの新しいブドウ園へと再生する準備をしました。チェトーナ山(Vigne de l'affacciatoio)の西側の斜面。1つはシャルドネ、もう1つはグレケットです。
◆私たちの原則 伝統、革新、独占性
私の畑の基本原則は、ブルゴーニュワインの考え方と、さまざまなアペラシオンでのその分類に強く結びついています。各ブドウ園は、専用のラベルが付いた1つのワインを産みます(私が作る2つのブレンドを除く)。
このように、時には非常に細心の注意を払うことで、単一畑の個性が強くワインに現れます。すべてのヴィンテージで、常に創造性を発揮しながら、ブドウ品種とテロワールの関
係を強化することに注力しています。
“古いことを新しい方法で行うこと、それがイノベーションなのです”
農業は、作物の質や量を増やすことを目的として、“植物生産の自然要因を変える技術”を以てある植物種の成長を促す人間の活動です。この仮定から考えれば、今日耕作されているすべての農業種は為すがままの自然ではありません。私たちが賞賛し、多くの人の自然との一体感を引き起こす農業景観は、実際には非常に人工的(人工)であることがわかります。何世紀にもわたる人間の働きのおかげで、自然はとても素晴らしいものです。
私のブドウ栽培は、自然でも、有機的でも、バイオダイナミック農法でも、従来型でもありません。私の働き方は職人技であり、私の考え方は私の専門的な経験、現場での観察、大学で
の研究から生まれています。伝統と革新が進歩の原動力であると私は心から信じています。
革新は未来と変化を意味し、変化は好奇心を意味し、好奇心は私たちが進歩し改善することを可能にするエネルギーである生命の生命力の1つです。自然、環境、そして私たちの周囲の生態系を尊重することは、私にとって、農業だけでなく人間の活動においても行うべき最も重要なことです。
私たちのすべての土壌は、イガマメ、野生の大根、タンポポ、イヌホオズキ、野生のマスタードなど、蔓延する自発的なハーブで覆われています。土壌の構造と肥沃さ、そして雨季の土壌流出を防ぐために最も重要なひとつです。
草刈りと植栽は、その都度、ヴィンテージ、土壌の物理的必要条件に応じて行われますが、肥料は土壌と植物の必要性に依存します。ブドウ園では、プラスチック素材を一切使用していません。ブドウ園の仕事のほとんどは、手動および機械的に行われます。
生育期のブドウ園管理は迅速に行われ、芽の選択、葉の剥ぎ取り、ブドウ園のトッピング、間伐はすべて季節の傾向に応じて行われます。すべての噴霧操作のカレンダーは、ヴィンテージ、気象条件、植物のさまざまな段階に基づいて行われます。収穫は手作業で行われ、品種、ブドウの木、ヴィンテージにもよりますが、収穫量は一本の樹で約1~1.3kgです。
◆私独自のワイン造り
私は非常に技術的なバックグラウンドを持っており、化学が大好きです。すべてが化学であり、地球上に存在するものはすべて、それ自体が原子によって構成されている分子によって形成されているため、必然的に化学です。物質の特徴を決定するのは、その分子をどのように取得するかに関係なく、その分子構造です。
特定の物質のリスクと品質は、その天然または人工の起源から独立しています。大学での研究と海外での仕事の経験から得られた私のワインのノウハウは、ワインに対して非常に直接的で実践的なアプローチをとるようになりました。「実験」、「革新」、「職人」という言葉が大好きです。“自然”だけでは不十分です。ワインは自然以外のものだと思います。
自然には存在しないので、ブドウを植え、最適な熟度でブドウを収穫し、それらをワインに変えるのは人間です。この通過する果実をほぼ無限でスリリングなものに変えたのは私たち人間です(ブドウの自然な進化は、それ自体を再現するために種子を分散させることです)。素晴らしいテロワールと熟したブドウだけで素晴らしいワインを作るのに十分だとは思いません。
まず第一に、私の意見では、謙虚さ、忍耐力、好奇心、学びたいという願望、そして自己批判が必要です。
次に、いくつかのテクニック、インスピレーション、創造性、正しいタッチ、そしてそれを行うことによってのみ獲得できる他の何百万ものものが必要です。気を散らすものや即興は許可されていません。
『私のワインはすべて、瓶詰めまでのさまざまな作業で硫黄を使用して、固有の酵母で作られています。赤はろ過しませんが、白は軽くろ過します。』
◆想像性、独自性、職人技
私がワインの隣に置くのが好きな言葉は、創造性、独自性、職人技であり、英語では「Handcraft(手造り)」と呼ばれています。私は自分自身を、原材料、知識、情熱、道具を使って、魂と物語を持ったワイン、私が住んでいる場所を反映したワイン、すべてのヴィンテージで、何らかの形で私の個性を含む製品を変革し、作る職人だと思っています。そしてそれは、交換、楽しみ、共有の絶え間ない源です。
【ちょっとありえないほど多彩な果実と花が香る、ゴールデンで満たされた味わいにはきっと満足感しかない・・?はずです!】[ oisy wrote ]
[ oisy wrote ] めちゃアロマ豊かです・・!アカシアの花、アプリコット、蜂蜜、杏、白桃、洋梨、りんご・・フルーツだけではなく、「花」を感じさせるアロマです。これらがミネラルの立ち上がりとともに押し寄せて来ます。
おや、ラベルのデザインも花ですね。これは水仙でしょうか。そこにミツバチがとまっています。どのような意図でこのデザインにしたのかはわかりませんが、香りのイメージに良くリンクしています。
そして注目すべきはこれだけナチュラル系のアロマが豊富なのにめちゃクリーン!・・なんですよね。ワインとしてバランスを崩しているところが一切ない。揮発酸も、余計な酸化のニュアンスも一切ありません。素晴らしいです。
色合いは輝きのある黒とオレンジを含んだ黄色・・・ゴールデンと言っていい色彩です。
味筋はドライです。しかし、エキスの密度の高まりによる甘やかさがあります。残糖による「甘さ」ではないです。念の為・・・
オイリーとはまたちょっと違うんですが粘性があります。わずかなトロミがあるといった方がいいかもしれません。味わいの中の果実はグレープフルーツ、りんご、といった様相でドライな果実のコクを感じ取ることができます。香りの中のフルーツとはまた違ってくるのが、どれだけ要素が多く詰まっているかを感じていただけるでしょう。
余韻にも果肉の風味、果実の甘やかさ、そしてやはりミネラルが押し返してきます。
トレッビアーノはニュートラルな品種だと思っていましたが、こんなに情報量の多いものには出会ったことがありません。マルヴァジアの比率が高いのでしょうか。しかしそれだけでは語りきれない多彩なフルーツと花のアロマを感じます。
ボディ感もあって充足して、複雑性もありますからかなり満足感のある味わいではないでしょうか。
これだけ多彩だとマリアージュは何を合わせたらいいんだろうかと思いますが、それぞれ合う要素が食材に合わせて出てくると思いますから、意外となんでも合う、と思います!
ちょっとありえないほど多彩な果実と花が香る、ゴールデンで満たされた味わいにはきっと満足感しかない・・?はずです。ぜひご検討ください!
[ noisy wrote ] 以下は以前のレヴューです。
-----
【全くシャバくない、でも濃密過ぎないエレガンスを持った、中々見つけることが出来ないタイプの白ワインでしょう!「完成度高し」と言えるトスカーナの自然派の白です!】
凄い色ですね~!・・めっちゃ黄色が強くて照りが有り、一瞬・・
「・・あれ?・・これって貴腐ワインだったけ?」
と見た目で驚いてしまいます。
やや粘性の有る黄金色の液体は、ドライなんですが・・凝縮感はたっぷりあり、そのイメージと高いが酸っぱくない滑らかな酸バランス、そして蜜っぽいニュアンスをアロマから受け取りますから、甘みが有ると勘違いしてしまいそうになります。
そして単に凝縮している・・と言うような感じでは無く、細い糸を撚り合わせて絹糸ほどに仕上げたような、そしてそれをさらに撚って口内に持ってきたかのような質感を感じさせます。
果実も蜜、花、果実、柑橘とゴージャスさを感じさせますが、決して鈍重にはなっておらず、低域から押し上げてくるような感じも持ちつつ、軽妙さを持っているとも言えるようなニュアンスなんですね。

ですから、イタリア中部で良くあるタイプの濃いけれどシンプル・・では決してありません。中盤以降・・余韻には、充実した果実の質感を高めるような、そして良く熟したその果実のリアリティを感じさせてくれるような五味、それぞれの深い味わいを嗅ぎ取り、味わうことになります。
「ジューシーなタイプです!」
などとは決して言うことのない、上質な白ワインです。
まぁ・・この色彩と景観をご覧になられて・・
「・・あ、トスカーナのシンプルな白ワインね・・」
とは断じないとは思いますが、
「深く複雑でネットリしているけれど、決して重すぎず、サラリとした部分も感じられる」
ちょっと余り無いタイプです。
また自然派系ですが、決してアヴァンギャルドな感じ、攻め過ぎたような感じに取れる部分が無いんですね・・。その辺も評価が高いです。是非飲んでみてください!お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
-----
【トスカーナの白ワインの常識をかなり超越??厚みのあるボディ、比較重厚ながら繊細な果実、エキスの充実した本格派の白です!】
トスカーナの白・・と言えば何を思い出されるでしょうか。大御所たちは結構にリリースしています。かつてのスーパータスカンと呼ばれた中では、オルネライアはポッジョ・アッレ・ガッツェや高級なオルネライア・ブラン、アンティノリはリーズナブルなヴィッラなど・・それなりには成功しているのかもしれませんが、どうなんでしょうね・・今一つ、ピンとくるものは無いかもしれません。ポッジョ・アッレ・ガッツェなんぞ、バランスも良いし美味しいですけどね。でもナチュラルでは有り得無い・・そんな感じはします。
ナチュラル系だとどうでしょうね・・今や飛ぶ鳥を落とす勢いの「マッサヴェッキア」は、白も大人気です。昔は余りに売れずに何とかしようとリアルワインガイドに持ち込ませていただいてましたし、その頃の余りがその辺にゴロゴロと転がっている・・誰も買ってくれない時代でした。今や、その辺に置いておくと大変なことになってしまう・・と思いますし、発注しても塩対応されてます・・。あんなに頑張ったのに・・(^^; でもマッサヴェッキアはちょっとナトリウム系のミネラリティが多く有り、でもコアがはっきりはして無いですよね。まぁ・・それがマッサヴェッキアの特徴とも言えます。
なので、トスカーナの白としましては、比較的リーズナブルなクラスのテーブルワイン系はそれなりに充実していて選び放題では有りますが、ミドルクラス以上の選択はなかなか厳しい感じ・・あまり成功していないようにも感じられます。
まぁ、葡萄的にも多産種のトレッビアーノにマルヴァジーア、ヴェルメンティーノが主体になることが多く、何かと問題があるんじゃないかとも思います。この「リスヴェリオ」も同じようにトレッビアーノにマルヴァジーアです。
しかし・・しかしですよ。マヌエル・プルチーニ のシルカやマロカをお飲みになられた方は、トスカーナの多産種の白の
「新たな可能性」
に気付かれたに違いない・・そう思うんですね。
「ん?・・トレッビアーノ?・・いや、シャルドネなら良いんだけどね・・」
としか思えなかったものが、
「・・これ・・トレッビアーノなの?・・そう・・意外だなぁ・・」
に代わって来ていると思います。

コルクを抜いたそばから膨らみの有る柔らかなアロマが飛び出してきます。少しカチッと硬質な感じのミネラリティに黄色いフルーツが溶け込んでいる感じです。
ノーズの気持ち良さを感じつつ口に含むと、舌の上にわずかに重さを感じさせるような「厚み」の有るボディ感が口内を包みます。とてもエキスがたっぷりな味わいで、トスカーナでありがちな、
「促成栽培・促成醸造系?」
のやや軽い白ワインとは一線を画す、何かの意思を持っているような液体のエキスです。
中域は膨らみ切りませんが適度に膨張、黄色い果実、わずかにオレンジ系に色付いた果実のイメージを感じさせてくれます。余韻は少しオイリーさを含み、上級な白ワインのエキスを感じさせます。
この味わいは見事だと思うんですね。王道な白ワインのようにも感じますし、それだけでは語れない新しさも有ります。非常にナチュラルに造られた白ワインで有りながら、むしろそれを隠しているようにも見えますから、まるで相反するような感覚を飲み手に与えてくれる白ワインでも有ります。
何せ・・noisy も最初から申し上げているように、
「ジャコモ・バラルドのワインのテイスティングは、すべてのキュヴェを2本開ける羽目になってしまった・・」
訳でして、3カ月前の1度目のテイスティングでは、ハッキリした言葉・・と言いますか、レヴューのイメージを描くことが出来なかった訳です。まぁ、だからと言って2度目のテイスティングですべて理解できたのか?・・と問われてしまいますと、
「完全には無理だとしても7~8割は理解できたんじゃないか?」
と思っています。
それでもジャコモ・バラルドのワインは、むしろ白ワインは判りやすかったんですね・・あ、一アイテムを除いて・・(^^
「リスヴェリオは素直に美味しいと言えるトスカーナの比較的リーズナブルな白」
と言えます。
多産種だろうが・・樹の年齢、風通し、収穫見込みなどからコントロールさえちゃんと出来れば、
「テロワールを生かせた秀逸なワインになる・・」
と言うことなのでしょう。
noisy が7~8割の理解度・・と言わせていただいたのは、このトスカーナはシエナの最南端辺り、ルピアッツェのテロワールがまだ良く判らない・・それが大きい訳ですね・・。少しずつ勉強したいと思っていますが、
「そう思わせるほど、実は情報量が多い味わい!」
をしています。是非トライしてみてください。お勧めします!
【素晴らしい・・!硬質的なミネラリティと密度感を持ち合わせた、シン・トスカーナ・シャルドネです!】[ oisy wrote ]
[ oisy wrote ] 素晴らしいシャルドネです・・!ちょっと驚くくらい高質で、硬質なミネラリティを持っています。(いや、駄洒落じゃないですよ!)
そのミネラリティも液体中に充足・・いや充満しているといって良いでしょう。
この秀逸なミネラリティをもう少し注意深く見ていくと、石のような鉱石的な部分を強く感じます。それにシャブリのようなヨードのような要素も少量持ち合わせていると感じます。多層的で複雑性に富んでいます。全てはこの写真のグラスに映る、深い輝きに反映されているかのようです。
そして、密度が素晴らしいんですよね・・!凝縮感の高まりから粘性を持っています。その凝縮した液体とミネラルがよく結合していて、素晴らしいオイリーさを持っています。
さらに冷やかさを持ち合わせているのが素晴らしい。けして熟度が高いだけの凝縮感ではなし得ない、冷やかで上質なエキスへと昇華しています。冷やかなんですが、緯度感ではブルゴーニュより南と感じます。これは標高のなし得る部分も大きいと思います。
香りとしてはレモン、リンゴなどの黄色と白の果実が主体です。色味としては黒も入った黄色といった感じなんですが、これは密度の現れではないかと思います。
スタイルとしてはオーセンティックと言って良いとお思います。畑の豊かさは感じつつも、クリーンで、超安定しています。まるで自然派、ビオの栽培を取り入れたボーヌの大御所の生産者のような風格です。余韻に残る粘性を持った果実エキスと硬質ミネラリティの残響が、この評価を確たるものにしてくれます。
ブラインドでトスカーナのシャルドネと回答するのは非常に困難・・・だと思います。
いやジャコモ・バラルド恐ろしいですね。白も赤もトスカーナではトップクラスの・・いや比較対象がいないようなことやっているのでやめましょう。
しかし先鋭的なことをやりつつも古くからのワインファンに決して裏切るようなことはないクリーンな彼のスタイルは素晴らしいですね。今までのやり方を破壊して1から作り直すようなチャレンジではなく、「温故知新」、過去の知見や教訓から学び、その上で新しいことにチャレンジするということが彼の言葉からも、ワインからも感じられます!
素晴らしい・・!硬質的なミネラリティと密度感を持ち合わせた、新トスカーナ・シャルドネです!ぜひご検討ください!
[ noisy wrote ] 以下は以前のレヴューです。
-----
【硬質なミネラリティと良く熟した果実!とても美味しくしかも高質だけれど大量に生産しているトスカーナの大御所たちには決して造れないだろう・・手造りの果実の味わいがここにあります!】
こちらはシャルドネです。トスカーナでもフランス品種の白ワインがそれなりに造られており、一世を風靡した大御所たちも挙って白ワインを造っています。
それでもシャルドネに手を出しているのは少数派でしょうか・・ソーヴィニヨンが多いかもしれませんし、そこに何かセパージュしてリリースしていることも有ります。
オルネライアもそうですね・・とても美味しいですけどね。やはり物凄い完成度の高さを感じさせてくれます。ポッジョ・アッレ・ガッツェも・・そうそう、今では「オルネライア・ブラン」まで有ります。
それらはもう・・
「流石!」
としか言いようの無い仕上がりですが、どうでしょう・・もしかしたらちょっと・・「工場」的なニュアンスを嗅ぎ取られる方もいらっしゃるかもしれません。
このジャコモ・バラルドの場合は・・
「ワイン工場?・・いや~・・どこにも感じないでしょう!・・敢えて言うならば農夫さんちの納屋?」
でしょうか。

不思議なのは、ビオ系なのに余りビオ的なものを感じさせないんですね。
じゃぁ・・ピュアでクリーン一辺倒か?・・と聞かれれば、
「ピュアでクリーンなんだけれど・・農産物を強く感じる」
訳ですよ。
ですから、その辺りが滅茶・・不思議です。
シャルドネらしい美しさをしっかり持ち、硬質なミネラリティを多分に感じます。柑橘系果実の熟した美味しさに、蜜や様々な有機物のニュアンスが混じります。低域からの押し上げはもしかしたらジャコモ・バラルドの白の特徴かもしれませんが、一般的なトスカーナの白のようなシンプルな味わいにはなりません。
そして明らかに前年のラファッチャトイオよりも出来が良いです。まぁ・・写真をご覧いただけましたらその辺りもバレバレですが、むしろ昨年ご案内の2019年ものが少しですがシャバく見えてしまいますよね?
それにイタリアワインですがシャルドネと言うことも有り、また冷涼感も感じられますので、フレンチワインファンにも楽しんでいただけるかと思います。是非ご検討くださいませ。お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
-----
【滅茶苦茶繊細で複雑!キラキラと口内で鉱物が光っているような独特のニュアンスです!・・これは旨い!是非飲んでみてください!】
素晴らしいですね・・これぞジャコモ・バラルドの白!・・と言いたくなるような素晴らしい出来でした!
まぁ・・何せ北半球と南半球を行ったり来たりの二期作です。想像するに4~9月はイタリア、10~翌3月はニュージーランドで栽培、醸造に頑張っているのでしょう。もちろん、一人では全部こなせないはずですから、信頼できる人に任せている部分も多いでしょうが、そこで得られたスキルは相当のものと想像されます。コロナなどに罹っている場合じゃ・・無いですよね。でも、ジャコモの生み出すインは美しく、自然なニュアンスを持ちつつも感性のワインだと感じます。ジャコモ本人は・・相当なアヴァンギャルドな方だと思います。
こちらはサン=カッシャーノ・デ・バーニの南西に開けた標高600メートルの畑のシャルドネです。風通しも良く涼しげなのでしょう。非常に冷ややかな酸が感じられます・・が、酸っぱくは無いです。その冷ややかさの中に、「ふつ、ふつ」もしくは「キラ、キラ」と、非常に小さな味わいを持った粒子が浮かんでいて、それが口内で大人し気に弾ける感じ・・がします。
あ、そうそう・・イメージ的には「パチパチキャンディ」を少し大人しくしたような感じで、「パチ、パチ」・・でしょうかね。普通だと、1本もしくは数本の糸や絹糸みたいに感じられる場合が多いんですね・・。パチパチキャンディのパチパチはおそらく炭酸ガスなんでしょうが、ラファッチャトイオの「ふつ、ふつ、キラ、キラ」は炭酸ガスとは違います。何とも繊細で、この畑のテロワールの複雑性を感じさせる見事な味わいです。

色合いの鮮やかさはリズベリオの方が判りやすいです。黄色が豊かで鮮やかです。こちらはシャルドネっぽい・・いや、シャルドネですから当たり前ですが、穏やかで自然に近い色合いです。バリックでマロラクティックをしていますが、樽っぽい感じは余りしないですね。
果実は黄色味を帯び、蜜っぽさも感じられます。オイリーとまでは行きませんが、例の「ふつ、ふつ」が弾けるとそのようなニュアンスの放出も感じるかもしれません。スケール感も結構に雄大な感じで、構成の大きさも感じます。
なので、こちらもちょっと「不思議系」では有るのかもしれませんが、シャルドネの味わいに慣れた Noisy wine のお客様にはきっと受け入れられる味筋じゃないかと思いますよ。ブラインドで飲まれたら・・少し熟し始めのブルゴーニュのシャルドネ...村名か1級クラスと言ってしまう方も多いかもしれません。
まぁ、標高が600メートルと、相当高いところにあります。写真を見つけたので貼っておきますね。なんとも乾いた感じで空のブルーと大地の白っぽさ、そしてブドウの樹の下草の深い緑が印象的です。

これだけ白っぽく見えるんですが、造り手のサイト情報ですと、
「Argilla Limosa rossa con moltissima presenza di roccia calcarea」
と土壌を記載しておりまして・・直訳しますと、
「石灰岩を多く含んだ赤いシルト」
とのことなんですね。シルトと言うのは「砂より小さく粘土より粗い砕屑物のこと」で、砂と粘土の間の細かさの土です。ウィキペディアによりますと、
「泥(粒径が1/16mm以下のもの)の中で、粘土(粒径が1/256mm以下)より粒が大きく粗いもの(粒径1/16mm - 1/256mm)をシルトと言う。」
とのことです。
なので、例の「ふつ、ふつ、キラ、キラ」は、その粒径が 1/16mm ~ 1/256mm ほどの、粘土までは細かくない強石灰土壌が由来..なのかもしれません・・(^^;; 今回はちょっとだけ学術的に高尚に仕上げてみました・・。
冗談は抜きにして、あまり無い感覚をもたらしてくれる・・でもとても日常的な感覚で飲める高級シャルドネです。しかもトスカーナ!・・信じられないかもしれませんが凄く美味しいです!飲んでみてください。お勧めします!
【ジャコモのスタイルを知るにはこれだ!密度のある激クリーンなエキスの質感にきっとノックアウトされてしまうはずです!】[ oisy wrote ]
[ oisy wrote ]
上級キュヴェ、0.0kから順にテイスティングして、現在、最後にこのイル・ボッソロットをテイスティングしています。
全てのワインをテイスティグした上で、このイル・ボッソロットはジャコモの共通したスタイルを感じることができる!・・と言えます。
使用品種は唯一のブレンド。メルロー、サンジョヴェーゼ、カベルネソーヴィニヨン、今はあまり言わないのかもしれませんが、いわゆるスーパータスカン系の品種ですよね。
でもそれらの力強いスタイルとは全く違い、激・エレガント系です。これらの品種を用いてもこのスタイルでいくのがジャコモのスタイルなのでしょう。
そしてめちゃうまいです・・・まずエキスの抽出がめちゃくちゃキレイ。石灰系ミネラルに満たされた赤い果実のエキスです。エレガントさも纏っています・・そこに極わずかなオレンジピール、スパイス、野趣味。この辺りは品種特性もあるのかな。とても穏やかですね。全くハリの失われていない酸、やわらかく、丸みと密度感のあるエキス、複雑性も持ち合わせています。
そして全く刺々しさがなく、きめ細かくクリーン、限界までシルキー・・!液体が持つ特徴は上級キュヴェと共通していて、ジャコモのスタイルを十分に味わうことができます。
セパージュ的にはメルローが一番多いのだと思います。しかし、このワインの中心にいるのはサンジョヴェーゼです。サンジョヴェーゼの土台に、メルローとカベルネが組み合わさっていると捉えた方が正確だと思います。
そしてジャコモは恐らく、サンジョヴェーゼの可能性を最大限引き出したいと考えているんだと思います。そしてそれは既に成功していて、彼のサンジョヴェーゼには素晴らしいエレガンスと質感があります。それはこのワインからも十分に汲み取れます。このセパージュでこれだけ違和感なくエレガントなスタイルになるのが本当に驚きです。
スーパータスカン的ブレンドで作る超・エレガントなワインです。密度のある激クリーンなエキスの質感にきっとノックアウトされてしまうはずです!ぜひご検討ください!
[ noisy wrote ] 以下は以前のレヴューです。
-----
【ブルゴーニュ的硬質なミネラリティとフランス品種がサンジョヴェーゼの健気さを包み込んだ、ちょっとブルゴーニュワインを感じさせる味わいです!】
サンジョヴェーゼはトスカーナを代表する品種です。多くの村で算出され、非常に多くのアイテムが存在しています。
有名なのはキャンティ、キャンティ・クラッシコでしょうか。高級な部類ではブルネッロが有ります。
この葡萄、まぁ・・もしテクスチュアを特に気にするような方だと・・余り好きにはならないかもしれません。ピノ・ノワールのような滑らかなテクスチュアとはちょっと違い、もっと起伏を感じる・・悪く言えばゴツゴツとした感じでしょうか。もっとも熟成してくるとそれも気にならなくなる訳ですが、リリース直後は中々難しいのかもしれません。そんな意味も有ってでしょうか、大昔はキャンティにはかならず白葡萄を混ぜた歴史が有ります。ですが飲みやすくはなりますが、深みが・・相殺されてしまうかな・・。
こちらはメルロを主体でしょうか。サンジョヴェーゼにカベルネ・ソーヴィニヨンを補助的に使っているようです。ですので、サンジョヴェーゼが大きく前には出て来ないんですが・・でもサンジョヴェーゼを感じるんですね~・・。本人は大人しくしているつもりでもどうしても目立ってしまういけ好かない奴・・っていましたよね・・学生の時分。そんな訳で noisy も出来るだけ目立たぬように、釘を出っ張らせないように・・日の当たらないところにいるようにしているつもりでいます。

見た目からして余りトスカーナワインには見えないかもしれません。ボルドーにも・・ボトルはともかく、見えないと思いますが、ジャコモ本人がボルドー瓶を使用していることから・・まぁ、メルロとカベルネを使っていますから・・そんなところにも造り手の意識が見えて来ます。
飲んでみますと・・確かに単一品種と言うよりはセパージュされたワインなんですが、一歩引いて見てみるとブルゴーニュ・ピノ・ノワール風なイメージを受けます。彼の心の中にはやはりブルゴーニュワインが有るのかもしれません。
滑らかでスイっと入って来て、適度の振幅をやや複雑なニュアンスで振れさせ、滑らかに静かに消えて行きます。集中していますが瑞々しく、伸びやかです。トスカーナっぽい暖かさや濃さ・・は余り無く、むしろ冷涼で適度な濃度です。綺麗さを感じますね。
面白いのは余りビオっぽく無い・・(^^;; 相当・・そちら系のはずなんですが、柔らかでスピードのあるアロマ以外は・・自然派を感じさせる部分は少ないです・・がかなりの自然派です。飲んでみてください。美味しいトスカーナの赤です!お勧めします。
以下は以前のレヴューです。
-----
【どこにいてもブルゴーニュと一緒に・・?と言うジャコモ・バラルドのワインを知る一本はこれ・・です。】
サン=カシャーノ・デイ・バーニにあるヴィーニャ・ボッソロと、ピアッツェにある他の畑のブドウのブレンドのようです。ロッソでこのアイテムだけはブレンドしていまして、メルロとカベルネを入れています。
おそらくピアッツェにあるブドウ畑は後で購入しているため、以前からサンジョヴェーゼ以外の品種も植わっていたのでしょう。で、サンジョヴェーゼは「クリュ指名」にし、他の品種を「ベースのワイン」としてリリースしているのかな?・・と想像しています。
このワインを一言で言ってしまうとすれば、
「ジャコモ・バラードが何を考えているか・・何となく伝わってくるワイン」
だといえるかもしれません。
ただしそれは・・他の上級ワインもある程度飲まないとハッキリはしないかもしれません。
そもそも、このボッソロットもそうですがジャコモ・バラルドの赤ワインは、グラスの写真を見て・・例えばトスカーナのワインに見えますか?・・多分、そうは見えないと思うんですね。
むしろフレンチワインに似た色彩をしている・・・と感じると思いますが、その中では最もブルゴーニュワインらしくない色彩で、ちょっとボルドー的な感じが混じっている感じ・・でしょうか。
それにはやや色の出やすいメルロやカベルネが入っているから・・でしょう。
なので、色彩的にも似ているキャンティ・クラシコと比較してみると良いかと思うんですが・・でも飲んでみますとなぜか余り似ていないと思ってしまいます。なぜって・・結構にエレガントさが前に出て来ていますし、質感が相当に感じられるんですよね。

もちろんですが、キャンティ・クラシコやトスカーナのI.G.T.の中には、相当に出来の良いものが散見されます。それらはすでに周知され、皆さんも時折飲まれているはずなんです。
でも・・ちょっと違うんですよ。それが前述の、「ジャコモ・バラルドが何を考えているか」に繋がっている・・彼の心の中にある「ブルゴーニュ」、そして「クリマ」を感じさせてくれる・・ことに繋がっているような気がします。
この5月にテイスティングさせていただいた時よりも、さらに滑らかに、伸びやかに、丸みとバランスを増大させて来たのを、つい先日、8月最終週に確認させていただきました。やはり、アイテムが変わっても味わいの方向性には全くブレがありません。
あの同僚でも有ったヴァーゼンハウスもそうです。全くブレない・・ですよね?
ヴァーゼンハウスはシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)ですから、そもそもはサンジョヴェーゼと一緒にはなりません。でも・・同じものを感じる訳です。
何より、ヴァーゼンハウスだって・・そりゃぁもう・・最初は大変でした。
「1万円以上もするドイツのピノ・ノワールやピノ・ブランを誰が買ってくれるの?」
「ワイン屋がテイスティングしても誰も買わなかったドイツワイン・・」
でしたから・・。
でも、ワインにポテンシャルが有ったからこそ、皆さんに受け入れていただけたと思っています。ですから、
「このジャコモ・バラルドもヴァーゼンハウスと同様の意思とポテンシャルを感じる」
のは間違い無いと確信しています。是非・・このリーズナブルなシエナ最南のトスカーナワイン、ジャコモ・バラルドの意思を確認していただけましたら幸いです。お勧めします!少量です!
【畑内発酵25%ブレンド!赤い、小さな果実が詰め込まれた超エキス的なサンジョヴェーゼです。】[ oisy wrote ]
[ oisy wrote ]
めちゃめちゃピュアでクリーンなエキスです・・!これほどまでに雑味、エグ味がないサンジョヴェーゼを作れることに驚きしかありません。
透明感のある、赤が積層した深い赤。赤い果実の甘やかさを含んだエキシーな香り。他のクリュシリーズにはあまり無い濡れ感、梅きのこ感。恐らくこのあたりは畑内発酵の効能もあるのかと。
むちっとした、ハリのある液体。味わいの中の赤い果実感も一番高いと思います。たおやかで、艶やかで、シルキー。曇りの無い純で、新鮮な赤い果実のエキス感を感じます。チェリーや、ラズベリーなどの小さな赤い果実。余韻も実に伸びやかです。
イル・ボッソロ、イル・ポッツォーネ、カッチャルピの3つのクリュシリーズ。これはやはりどれもが特徴があります。あえてブルゴーニュ的に言うと、スタイルとしてはどれもがシャンボール的だと思います。そしてシャンボールの中での畑の特徴の違い、と捉えた方がニュアンスが近いと思います。
そしてここに、ジャコモが「畑内発酵」を始めた理由があるのではないか?と思います。どういうことかと言いますと、オイジーの理解では「畑内発酵」は「畑」の違いをより明確にする意図があると考えています。(0.0kのコラムにより詳細を書いています。)
そしてこの違いは非常に繊細なんですね。恐らく蔵で発酵させると同じ「蔵付き酵母」によってマスキングされてしまうほどに。
ですから畑ごとの葡萄に付着している野生酵母のみを使って発酵させることによって、より畑ごとの個性を明確にすると言うのが最終目標なんだと思います。酵母だけでなく、気候条件なども。
気候条件がより反映されるというのはやはり畑で発酵させていることに由来します。昼夜の温度差、風、その他畑に存在するもの全てが発酵に影響するからです。そして恐らく発酵も夜には冷えて止まったり、一筋縄ではいかないと思います。
しかしそれがより「クリマ」を表現するということなのでしょう。そしてそれは味わいの中にも感じられる、と思います。もちろん畑内発酵100%の「0.0k」ほどではないですが、こちらも25%ほどのブレンドということですので、畑内発酵の可能性の一端を垣間見ていただけるのではないかと思います。
赤い、小さな果実が詰め込まれた超エキス的な畑内発酵25%ブレンドのサンジョヴェーゼです。ぜひご検討ください!
[ noisy wrote ] 以下は以前のレヴューです。
-----
【激旨サンジョヴェーゼ!・・25%畑内全房発酵が生み出しているに違いないシルキーなサンジョヴェーゼに驚いてください!】
ボッソロットも美味しいんですが、このイル・ボッソロはジャコモが「クリュ」だと言っているだけに、頭一つ抜けている感じがします。
本来・・内向的な性格(だと勝手に思っているだけですが)のサンジョヴェーゼですが、インポーターのM氏も言っているように「抜け感」が有って、しかもテクスチュアが滑らかなんですね。
サンジョヴェーゼはもっとテクスチュアに起伏を感じる場合が多いんですが、抜け感?・・石灰系ミネラリティがたっぷりなことが原因なのか、もしくは畑内での全房発酵発動のお陰なのかは判断付きませんが、
「自然な暖かさの中に冷涼感有り」
と言う、しかもテクスチュアが滑らかで、コアが有って一体感に満ちている・・と感じます。
そもそも畑内発酵って・・
「いつまでやるの?」
と言う部分が noisyには今のところ不明でして、畑内発酵と言うのは簡単ですが、全く理解できていません。
ですから多くは語れない・・いや、語るなと言われそうですが、ご紹介するのだから少しは判っていないと・・とも思うんですよね。

まぁ・・少なくとも醸造開始時期には畑にいらっしゃる訳ですから、
「自然酵母は元気いっぱい!」
に違い無い・・この部分は何となくですが・・飲んでいて感じることが出来ます。
そして前述しましたが、全体としては冷ややかなんだけれど、どこかに「ほんのり」と温かさを感じるんですね。
そして、ブルゴーニュワイン的にエレガントなチェリーな果実味と、単一品種ならではのエレガンスと一体感、正に自然な膨らみと美しい余韻・・。
M氏はモレ=サン=ドニ中腹と表現していましたが、noisy的にはやはりシャンボールかな・・と。ほんのり出てくる「野性味」をモレと言うことは可能かと思います。
さらには多くのサンジョヴェーゼが起伏の大きい、ややザラっとしたテクスチュアを見せるのに対し、やはり非常に滑らかです。良く出来たサンジョヴェーゼかと思います。是非飲んでみてください。お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
-----
【これはもう・・シャンボールっぽい強くて白い石灰!・・サンジョヴェーゼでこんなにテロワールの違いを楽しめるなんて!しかも「畑内発酵20%」・・今までにあったでしょうか!?】

クリュ・ボッソーロです・・。ちゃんと彼のホームページには、
「畑-->Vigna “Bossolo”」
「ワイン-->Cru “il Bossolo“ 2018 Toscana Rosso IGT」
として紹介されています。もっと萎びた感じのホームページかと思ってアクセスしてみましたら思いの外、綺麗にデザインされた美しい写真が見られるページだったのでちょっとびっくりしました。造り手紹介の部分にもリンクがありますが、このイル・ボッソロは、
https://www.giacomobaraldo.it/vini/cru-bossolo-2018-toscana-rosso-igt/
をコピー&ペーストで行けますので・・美しくて大きい写真をご覧ください。
流石にクリュを言い出す方ですから、ブルゴーニュワインについては相当にお勉強されている様子が伺えます。彼のお写真を拝見させていただくと、ジャン・アレジ氏似のイケメンなので、イタリアでもニュージーランドでもモテてモテてしょうがないんじゃないか・・などとも思ってしまいますが、
「ワインの二期作!」
を北半球と南半球でやっていたら・・とてもそんな暇は・・いや・・余力は無いかもしれません。もっともワイン造りは一人でやるものではないので、実際のことは判りませんよね・・(^^;;
このイル・ボッソロは、彼らが2009年に植え付けた畑ですので、後で購入した他の畑より相当若いです。でも、トスカーナは暑いので・・もうすでにブドウの寿命の半分くらいを生きてしまっている可能性も有ります。

この日照のすばらしさ!・・ここがヴィーニャ・ボッソロですね。シエナ県の南の端です。内陸ですが・・美しいですね。空の青と大地のやや赤く白っぽさのにじむ茶、ブドウの強い緑がこの畑を表しているかのようです。
飲んでみますと・・
「これはシャンボール村名!」
と言いたくなるようなニュアンスなんですね・・結構にライムストーンがしっかり・・です。アロマも石灰に乗って美しくたなびきます。結構にしっかりブルゴーニュらしい・・と感じてしまうんですよ。
で、おそらく・・想像でしかありませんが、その由来こそが・・
「畑内発酵!」です。
ニュージーランドあたりでは最近結構に見られる醸造方法ですが、なんと、
「畑で醸造を始めてしまう!」
と言う暴挙・・いや、新しい試みなんですね。
そうそう。これ・・です。

「・・おいっ!」
ですが、畑で発酵を行う利点も多くあるかとも思います。まぁ・・本人は嫌がるかもしれませんが、ある意味、
「究極の自然な方法」
ですよね。
当然ながら雨や天気が良くないときは出来ません。でも、それこそ迅速に、自然酵母で・・しかも温度を自然なままに置いておける訳です。
で、しかもこれをやりますと・・どうやら、
「アルコール分の上昇を適度に抑えられる」
らしいんですよね・・。
なので、もともとエレガントなサンジョヴェーゼでは在りますが、アルコール分も高くならず・・しかも単一品種ですから・・飲む方としますと、ついつい、「ピノ・ノワール」を脳裏から引っ張り出してきてしまうんじゃないかと思うんです。

しっかし、
「突っ込みどころが満載!」
なジャコモ・バラルドのイル・ボッソーロですが、
「めちゃんこ美味しい!・・エレガント系でエキス系!・・言ってみればシャンボール!」
ですから・・きっと皆さんも、
「・・おいっ!・・」
と、突っ込みを入れたくなってしまうんじゃないかと思うんですね。
しかもこのワインでさえ、
「ボトル1347本、マグナム48本」
しか無い・・(^^;;
この後にご案内予定になっている、フェルム36の矢野さんのワイン並みの数量・・です。
是非この機会に、
「畑内発酵=ヴィンヤード・ファルメンテーション」
の威力もお確かめください。非常に少ないです!お勧めします。
【めちゃシルキーな上澄みエキス、シャンボール的な石灰ミネラルの充足に、「凄み」の予感!これはすごいぞ!】[ oisy wrote ]
[ oisy wrote ] 待て待て待て待て・・・これはすごいぞ。完全に石灰系ミネラルと一体化した、赤く輝く果実のエキス。まるでエキスの上澄みを掬ったような、「ルビー」のように赤く輝くエキス。
香りは赤い果実のニュアンスに支配され野趣味はほぼなく、めちゃキレイな赤い果実。色気、エレガンス、果実のあまやかさも既に出現し始めている。雑味は一切なくシルキー。めちゃくちゃシルキー。故に純でピュア、そして「潤い」があります。
ミネラルの充足感が非常に高く、溢れようとして膨張感を持っています。故にハリがあって、むっちりしている。この辺はテクニカルで素晴らしい表現をしていると思います。まさに「爆発的な果肉の風味」です。
なので、非常に若々しいですね。人間で言えば10代くらいでしょうか。あと7、8倍は生きると考えると飲み頃は30年は続くと考えます。
お察しの方もいるかと思いますが、このニュアンスは完全にシャンボール=ミュジニー。オルヴォー村岡さんのいうように一級クラスというのが妥当だと思います。そしてある意味シャンボールより深みを兼ね備えているんですよね。テクニカルを見ると石灰一辺倒じゃないというところが現れているのかと思います。これだけ個性があると、ジャコモがクリマにこだわりたいという気持ちがよ〜くわかります。
そして最近のオイジーの研究結果では「凄み」が出るワインって
「黒が入った赤、そして内からの輝きによってルビー色」
の中に
「極わずかな紫が入る」
という傾向があると思っているんですよ。
抜栓仕立ては気づかなかったんですが、数日経つとちょっとそのニュアンスがあることに気づいたんですね。ですからまだ閉じているんだと思います。もしかしたら後2〜3年経ったら「凄み」出てきそうだなとも感じるんですよね。
後ですね、これは批判されるかもしれないんであまり言いたくないんですが、正直香りの出方はちょっと違うし、今はそこまでではないですが、エキスの質感、特に「上澄み」を掬ったかのような激・クリーンでありながらのむっちりとしたエキスはギルベール・ジレが脳裏をよぎったんですよね・・・まあ人の感性なんでブレもあると思って聞き流していただいて結構です。
しかし両者とも理論派のようですし、おそらく同世代でしょう。なんか似てる部分があるような気がするんですよね〜。
めちゃシルキーな上澄みエキス、シャンボール的な石灰ミネラルの充足に、「凄み」の予感を感じさせるワインです。ぜひご検討ください!(人気出ないようにこっそり楽しみましょ)
[ noisy wrote ] 以下は以前のレヴューです。
-----
【ややコッテリとした肉付きの良い、旨味のある複雑な味わいです!ミネラリティもしっかり!・・流石「クリュ」の仕上がり!】

サンジョヴェーゼの持つ素朴な美味しさを最大限に「前」に配置出来た素晴らしい味わいをしているポッツォーネ2019年をご紹介させていただきます。
イル・ボッソーロの美しさも良いんですが、ポッツォーネのややコッテリと感じさせる粘性、その粘性の中の旨味、酸バランスの素晴らしさにグッと来てしまいます。
2018年ものは・・タイミングかもしれませんが、そこまでコッテリさを感じませんで、もっとスタイリッシュなシャンボール=ミュジニー的な部分を出していたと思います。
2019年ものは色彩からも・・照りが有り、グラデュエーションもハッキリ出て、いかにも美味しそう・・と言いますか、出来の良さを見ることができるような気がします。
あのヴァーゼンハウスと同期でブルゴーニュの重鎮で一緒に修行していたジャコモは、心はブルゴーニュに有ると言うだけ有って・・まぁ・・このワインはサンジョヴェーゼではありますが、彼の心のピノ・ノワールを転写しているようにも感じます。
2018年ものに有ったやや武骨な部分・・いや、熟成不足か休養不足も有ったと思いますが、そこは何とまったく感じないレベルになっています。

イル・ボッソーロが持つ温かみの中の冷ややかさは、このイル・ポッツォーネには無く、むしろ温かみの心地良さ、その温度感での旨味と複雑性、伸びやかさがとても自然です。
どうなんでしょう・・これは判っていませんが、このワインは畑内発酵をしていない・・その性でイル・ボッソーロのようにはならないのか、単に畑の個性の違いなのかは・・もう何年かお付き合いしてみないと判断できないかと思いますが、
「むしろブルゴーニュ的な・・畑の違いを楽む!」
的な面白さが感じられます。
言ってみればイル・ボッソーロとイル・ポッツォーネでは性格が似ているようで結構に異なりまして・・インターネット時代ですから、もっと情報が有れば面白いのにと・・思う訳ですね。
話しは飛びますが、このジャコモ・バラルドのインポーターのM君が、コロナ明けでフランスに行くと言うので、
「ゴープロ、持って行ったら?」
と言ってみると・・
「ゴープロって何ですか?」
と宣うので・・
「ゴープロ、知らないの?」
とちょっとビックリ。
まぁ・・手のひらサイズのアクションカメラのことなんですが、noisyとしては造り手さんが許せば扱いやすいのかな・・などとも思っていまして、散々色々な話しを外国語でしてその記録にも良いし、畑に行ったらそのままで色々なことが判ります。
でも・・判り過ぎるのもどうやら余り良く無いし、記録にずっと残るのもあまり良く無いらしく、造り手さんの中には余り良く思わないところもあるそうなんですね。
ですから、了解をいただいて畑の風景などを360度で撮影できると、そこからの進展が期待も出来るし、お客様へのプレゼンにも役立つかな・・などと思ってはいる訳です。・・中々難しいものですね・・。
と言う訳で、M氏も言っておられるように、イル・ポッツォーネ、イル・ボッソーロ、カッチャルピは個性違い・・です。是非その異なる個性の高い完成度の2019年ものを比較でお楽しみください。お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
-----
【こちらは彼の中では「クリュ・ポッツォーネ」!・・伝統的なサンジョヴェーゼ風の乾いた砂地にほんのりガレストロも?・・素晴らしいバランスをしています!】

カッチャルピがヴォーヌ=ロマネ風・・ピノ・ノワールに似たニュアンスを多く感じさせますが、こちらは当初、
「これはまさにサンジョヴェーゼ的」
と感じさせてくれました。5月の時点です。砂っぽい感じにちょっと「こってり」が混じり、結構に石灰が強めの「クリュ・ボッソロ」のシャンボール=ミュジニー風とも異なるイメージでした。
それにしてもドライで超繊細・・飲み進めるに連れ、ブルゴーニュ的に感じられる深めの粘土の粘性も出てきて・・
「・・あらら・・」
と、しっかり惑わせてくれます。
そんな訳で、
「これは・・どうプレゼンすれば良いのかなぁ?」
と、ラビリンスの輪の上をずっと回っているような感覚になってしまいまして、それがまた・・2本目のテイスティングに繋がって行ってしまった訳なんですね。

で、こちらが「ポッツォーネ」の畑です。ま~・・乾いてますね~・・ちょっと湿っぽさを感じる盆地風のヴィノ・ノビレの方とは相当に違い、
「滅茶乾いた土地のニュアンス」
が、もしかしたら砂地のような感覚を生んでいるのかもしれません。ガレストロっぽさも感じたとは言え、写真を見る限りガレストロでは無い・・ですね。最も、もっと風化していればこんな感じにもなるかもしれませんし、この下の地層がどうなっているかは・・不明です。あくまでガレストロっぽいこってりさがほんのり載った感じ・・です。
この畑も1970年から・・となっていますが、植え替えをしていないとなりますと・・
「ほんと?」
緯度が低くて気温の高い、蒸し暑い土地の多いトスカーナ近郊は、30年も経つと植え替えるのが普通ですから・・樹齢50年だとすると、
「考えられないほどのヴィエイユ・ヴィーニュ」
と言うことになるかもしれません。

ちょっとくすんだ感じの、決して濃くないサンジョヴェーゼですが、これはレ・ペルゴール・トルテと比較してみたくなる見事なバランスをしています。まぁ・・キャンティ・クラシコはだいぶ北ですから離れていますが、質感は結構に近いかと思います。最近はレ・ペルゴール・トルテは飲めてないんですけどね。昔は「エチケットの女性の絵」がヴィンテージでどう変わっているか・・なんて興味も有ったくらいですが。
で、エージェントさんは、このポッツォーネが最も豊かだとしていますが・・どうでしょうかね・・noisy 的には「カッチャルピ」の方がわずかに豊かさではうっちゃるかな?・・色はポッツォーネの方が濃いと思いますが、その辺は取り方次第かもしれません。
そして上にも書かせていただきましたが、変化の具合が凄いです。結局は「砂」から始まって「粘土」まで・・途中に片岩、凝灰岩・・石灰岩まで・・そこに金属系のニュアンスが彩を添えてくれる訳です。高貴なサンジョヴェーゼが持つ千変万化なアロマ、味わいを見せてくれます。
このポッツォーネ、本人が「クリュ」と言い出すくらいですから、相当に自信を持っていると思います。素晴らしい出来でした!今飲んでも十分・・楽しめると思います。ご検討ください!
【なんてこった!一点の曇りもない「絹ごしのテクスチェア!」めちゃエキスの質感高い、THE・エレガント・サンジョヴェーゼです!】[ oisy wrote ]
[ oisy wrote ]素晴らしい・・・これぞ新時代のサンジョヴェーゼなのではないかと思ってしまいます。
系統で言えば、エレガント系でしょう。赤く、均一な透明感のあるエキス。液体はまさに艶々。口に含めばその石灰系ミネラルが充満したツヤツヤのハリを感じることができます。ええ、このミネラルのいきわたりはブルゴーニュでもかなりのレベルでないと感じられることは難しいのではないでしょうか。
石灰系ミネラルのおかげで淡い色合いですが、そのエキスはかなりの「密度」を持っていることがわかります。「隙」も「曇り」もない満たされた液体です。目の詰まったエキスとでも言ったほうが伝わりやすいでしょうか。
そして「雑味」の出やすいサンジョヴェーゼにおいて、一点の雑味もない、めちゃくちゃシルキーな液体です。まさに「絹ごしのテクスチェア」といって差し支えないでしょう。
香りは・・・赤い果実です。これまた「わずかな野趣味」がノリやすいサンジョヴェーゼにおいてここまで「ピントがあった赤い果実」というのは非常に珍しいでしょう。「果実のあまやかさの出現」も感じられますがまだ内包的です。
トスカーナらしくありがたいことに瓶熟してのリリースですが、オイジー的には飲み頃は「2026年〜」と予想します。今飲んでもおいしく飲めないことはないです。しかしまだハリは強く、と硬さがあり、何より「あまやかな果実の香り」はまだ控えめです。加えて「口内に残るあまやかな結晶」の出現には至っていません。が時間の問題だと思います。その出現が早くとも2026年ごろと予想します。
しかし「渋みの角を取れるのを待つ」ようなタイプではないので、若々しいハリがある姿を楽しみたいなら早めに開けても良いのかもしれません。最近はそのような楽しみ方が好きな方も多いということを知りました。オイジーもその趣向はなんとなくわかります。ただし、一般的なサンジョヴェーゼのようにいつ飲んでもそれなりに美味しいというタイプではなく、ブルゴーニュのように開いたり、閉じたりを繰り返すタイプだと思います。ですので運によってしまうところもあるかもしれません。
そして飲み頃は2050年ごろまで続くと予想します。。ミネラルの素性と総量からの予想です。酸の総量も申し分ない。経験不足でそれ以上は申し上げられませんが、もしかしたらもっと行くかもしれません。
総じて申し上げますと、「コスパ良すぎない?」ということです。このポテンシャルでこの価格なんて通常ありえないと思います。まあポテンシャルだけで価格が決まらないのがワインの常ではありますが・・・こういうワインはひっそりと楽しむに限る!のかもしれません。
めちゃエキスの質感高い、THE・エレガント・サンジョヴェーゼです!ぜひご検討くださいませ。
[ noisy wrote ] 以下は以前のレヴューです。
-----
【ヴォーヌ=ロマネっぽさは2019年も健在!・・旨いです!】
良くワイン仲間、ワイン屋仲間で話題にもなるんですが、造り手の個性が先か、テロワールが先か・・まぁ、
「卵が先か、鶏が先か?」
みたいな話しで、結局のところは「良く判らない」と言う結論になることが判っていての・・しょうもない論戦と言うことになることが有ります。
noisy 的に言ってみれば・・
「造り手もテロワールの内」
などと言うことになる訳ですが、結局・・ブラインドテイスティングで、造り手までを明快に答える場合は、造り手の個性を知らなければ答えようが無い訳ですし、さらにはそのテロワール(この場合は畑の個性のみ)を知らなければ、ブラインドテイスティングにもならない・・そんな結果になってしまう訳です。
言ってしまえば、「造り手の個性」+「(畑の個性の)テロワール」と言う「式の答え」を求められている場合、その足し算のそれぞれを一緒にしたものを知らないと、答えを言いつつも・・自身の記憶力の悪さと、言った答えが持つ矛盾に苛まれることになってしまう訳です。
まぁ・・noisy は、ワインは畑の土壌の味が基本だと思っていますが、やはりその造り手のクセとか、独特さも大きな要因ですから、その両方を理解したいと・・鶏卵論争は棚の上に置いて、そう思っています。

このワインにはnoisy はどうしてもヴォーヌ=ロマネ的なものを感じます。それは noisy がブルゴーニュ好きだからそんな言い方になる・・と言うのも有ります。
もしイタリアの方にそんなことを言えば、
「・・ふざけるな・・」
と怒られるかもしれませんが、きっとジャコモは許してくれるでしょう・・このワインを飲むとそんな気さえしてきます。
熱量、酸の温かみ、エレガントながらの集中力、その気になった時の物凄い芳香と伸び・・決して強く無く、でも誰よりも強く、弱さをネガティヴにしない可憐な表情を見せてくれる・・正にヴォーヌ=ロマネ的なワインです。
こちらもサンジョヴェーゼがほとんどのワインですが、中々このようにシルキーなテクスチュアにはならないのが若いサンジョヴェーゼです。
非情な手仕事でしか生まれない・・効率の悪さが生む・・えげつない努力からしか仕上がらないとさえ感じます。飲んでみてください。お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
-----
【ブルゴーニュで言ったら1級格!彼の中にある正式名称は「クリュ・カッチャルピ」・・ヴォーヌ=ロマネ的な優しさと品格の高さを感じる、ボトル600本+マグナム18本しかないサンジョヴーゼです!素晴らしい!】

素晴らしいです!・・まさに彼の意識がそのままワインの出来に投影されているかのように、非常に判りやすく伝わってきます。
noisy もイタリアワインを扱い始めて相当に長い時間が経ちました。90年代にフランスワインが高騰し、デイリーにも困るような状況になった時、イタリアワインに随分と助けられました。何しろ安かったですし・・サッシカイアが1万円しない時代でした・・し、デイリーは2千円も出すと、
「濃くて判りやすくてバランスが良い」
ものが購入できたんですね。でも数年の間にこちらも高騰してしまいまして・・ブームは過ぎ去ったように思います。
そんな中でも大好きだったのが、「レ・ペルゴール・トルテ」・・モンテヴェルティーネの手になるサンジョヴェーゼでした。古くからの noisy のお客様はおそらくご存じじゃないかなぁ・・と思います。クラスはテーブル・ワインですが、普通のトスカーナワインが、「濃くてやや甘みが有って判りやすい」ものだったのに対し、「ドライで超エレガント」な孤高の味わいでした。今やもう・・信じられないような価格になっちゃってますでしょう?・・何だかな・・です。
このジャコモ・バラルドの「クリュ・シリーズ」、・・まぁ、このワインの他には、頭に「イル」が付く2つのワインがそうですが、彼の中では完全に「ブルゴーニュのクリマ」を意識したものだと思います。

2枚目の写真の畑が「カッチャルピ」です。痩せた土地で風通しの良い涼し気で乾いた傾斜地・・に見えます。細やかな石灰と粘度が交じり合い、様々な金属がミネラリティとしてバランス良く存在する畑なのでしょう。まるでヴォーヌ=ロマネ・・敢えてもっと言い切るなら、レ・ショームとかクロ・デ・レア・・でしょうか。
この3カ月ほどの間に物凄くバランスが取れて来まして・・まぁ、5月に飲ませていただいた時も、
「・・これは白眉・・」
と感じていました。
その成長具合でまたさらに、
「ブルゴーニュワインっぽさ」
を感じられまして・・ジャコモ・バラルドさんは・・まぁ、化学が得意と言いながらも、結構に感性の人なんじゃないか・・スキルを得るために信じられないほど馬力を掛けられる方なのかなぁ・・と思っています。

この色彩を見たら・・ブルゴーニュワインファンもきっと心を奪われるんじゃないかと思うんですよね。
ですが Noisy wine のページは国ごと、造り手ごとに分かれてますので、「結果的に見ない人」もいらっしゃるかなぁと。
サンジョヴェーゼって若い時は、テクスチュアがちょっとザラっとしてるでしょう?・・ですが、5月の段階と今を比較しますと、物凄い勢いで滑らかになって来ているんですね。
ですから、今飲んでも滅茶!・・素晴らしいですが、この暑さがちょっと懐かしい感じになった頃には、ほぼ仕上がると思います。クラス的には1級格!・・と言いたいですね。リキミの無いサンジョヴェーゼですから、
「超繊細系、超ドライ、超エキスな味わい!」
です。これはぜひとも飲んでみて欲しいブルゴーニュワイン・・と言ってしまいたいトスカーナの貴重なサンジョヴェーゼです。レ・ペルゴール・トルテを超えてるかな・・と思いますが、最近は飲めていないので・・高いですしね!・・そこから言ってもリーズナブルです!ご検討くださいませ。
【「畑内発酵」ってもしかしてとんでもないことなのでは・・?赤く、赤く、輝く・・・!雄大で淀みないエレガンスを内包する、エレガント・サンジョヴェーゼです!】[ oisy wrote ]
[ oisy wrote ] 以前のNoisyのコメントにある、「大樽のやや瓶熟したバローロ」という表現以上に適切な言葉が出て来ず戸惑っています・・・
そして「畑内発酵」とはなんぞや・・?もしかして「畑内発酵」と聞くとなんや感性で仕込むアバンギャルドなタイプか・・?と思ってしまいませんか?少なくともオイジーは言葉の印象でそう思ってしまいました。しかしその実態は真逆のものかもしれません。
彼のホームページやインスタグラムを読み漁って畑内発酵の一端を少しだけ理解できたような気がします。そこで気づいたのは、実は「畑内発酵」というのはめちゃくちゃ科学的な理屈に基づいたアプローチなのではないか・・?ということです。レビュー後半に記載していますので、気になる方はぜひ最後までお読みください。サンジョヴェーゼでありながらどこまでも赤く、淀みがありません。雄大で、深く、濡れ感があり、密度高いエキスの構造です。そして透明感のある、輝きを内包感した赤は、ブルゴーニュ的でもあると言えます。
でもこれはトスカーナのサンジョヴェーゼなんですよね・・・脳がバグる・・というのも納得です。
先日10年前にたまに一緒に飲んでいた方とお会いしました。10年前のオイジーは生意気にも「熱くサンジョヴェーゼの可能性を語っていた」、らしいです。
確かにその時は、イタリアワインバーで働いていた直後で、毎日山のようにサンジョヴェーゼを飲む生活から抜け出し、Noisy wine でブルゴーニュワインをテイスティングしまくっていた時期ですから、オイジー自身もイタリアワインにどっぷりつかった頭でブルゴーニュへの理解を深めている段階でした。
そのタイミングで思ったのは、「サンジョヴェーゼはもっとエレガントになるのでは・・?」ということです。
ブルゴーニュと比較すると、特にサンジョヴェーゼには粗さが目立つものが多く、もったいないなと思うようになっていったんですね。そのあたりが生意気にもサンジョヴェーゼの可能性を語る遠因になっていたんだと思います。しかし拙いながらに自分なりにサンジョヴェーゼの可能性のイメージ像が出来上がっていたんですよね。
で、この「0.0k」を飲んだ時、その時感じていた「サンジョヴェーゼの可能性の先」にあったワインのイメージと見事にリンクしたんです!
雑味ないことによって畑の個性が際立ち、エレガントで、非常に伸びやかで艶やかな赤いワイン。
質の良いピュアな酸と、ドライだがエキスの質感のやわらかさがあり、サンジョヴェーゼにおいて意外と難しいシルキーであるということも特筆すべきであると感じます。
余韻まで続く赤い果実のエキスと、濡れ感、極少量のきのこ、紅茶。
いやはや・・・めちゃくちゃ美しいです。
瓶熟感はあるといっても。複雑性を兼ね備えたエレガンスはまだ内包的であるといえます。時間とともにあまやかな果実香を放ちはじめるのが目に浮かぶようです。
そして、「畑内発酵」です。このワインは唯一の「畑内発酵100%」のキュヴェです。「畑内発酵」という言葉があまりにも意味不明でジャコモ・バラルドのホームページに何かヒントは落ちていないか、としらみつぶしに見ていたんですが、本当に畑の中に、発酵桶を置いて発酵をしているんですね。畑の野生酵母による発酵によってテロワールの表現をより明確にする・・・そんな意図で行っているらしいのですが、読み込んでいくとあれ?と思ったんですね。通常の発酵といえば当たり前ですが、蔵(セラー)の中で行われますよね。ジャコモはもしかして通常発酵プロセスで使われる「セラーの影響を受けたくない」から、畑内発酵を始めたんじゃないのか?と。「セラーの影響を受けない」ための手法が「畑内発酵」なのではないかと・・・
例えば日本酒造りでは蔵に住み着いている「蔵付き酵母」によって発酵されることがあります。その蔵に住み着いている酵母は「蔵の味」を表現します。ワイン造りにも同様に使われ、一般的な野生酵母として扱われます。
一方で、「ブドウに付着している野生酵母」もいます。このフルーツについている酵母は、パン作りなどでも使われ、「天然酵母パン」などとして販売されています。
一般的なワインの仕込み方通り、セラーで発酵させるとしましょう。収穫が終わり、ブドウを選別し、プレス。無事発酵が始まりました。さて、この時発酵が始まったのは「蔵付き酵母」によるものなのでしょうか?はたまた「ブドウに付着していた野生酵母」なのでしょうか?答えは
「わからない」
のではないかと思います。もしかしたら何かしらの検査でわかるかもしれません。しかしヴィニュロンの意思でコントロールすることは恐らく難しいのではないかと思います。
しかしこれが「畑の味」を表現したいとなったとき、使用したいのは「畑に存在する野生酵母」であるはずです。「蔵に住み着いている蔵付き酵母」で発酵してしまえば、全てのキュヴェが同じ酵母で発酵されてしまうことになり、より「似通ったニュアンス」になってしまう恐れがあります。つまり「セラーの味」に上書きされてしまうと・・・
畑の味を表現したいならこれは避けたいはずです。「畑内発酵」とはクリマごとの特徴をより際立たせるために、ジャコモが考え抜いた結果辿りついた手法なのではないでしょうか・・?。その証拠に彼の造るNZワインの説明文にこんなことが書いてあったんですね。
「このワインの特徴は(そしてこのプロジェクトの真の原動力は)、アルコール発酵がブドウの木の畝の間で直接行われるため、発酵プロセス全体がセラーの環境の影響を受けずに行われることである。」
つまり「畑内発酵がやりたい」ではなく「セラー内の酵母の影響を受けないためには畑内発酵をやるしかない」だった訳です。後者は必要に迫られた上での選択肢なわけで、両者の間では非常に大きな差があると思います。
しかしですね、「畑内発酵」、これはとんでもないことだと思います。まず「温度管理」がめちゃくちゃ難しいと思います。セラーなら一定の室温で管理することも容易いですが、畑は当たり前ですが、「外」です。空調はありません。ですから、温度管理はできません。ましてやジャコモの畑は標高600m。昼夜の温度差は相当なものがあると思います。温度管理は発酵においてめちゃくちゃ重要なファクターです。恐らく発酵も止まったり、進んだりを繰り替えすのではないか?と思います。そして「不十分な状態で発酵が止まり、再開しない」という超リスクを抱えているわけです。ジャコモは「NZで成功した」と言っています。「成功」です。「失敗」するリスクがかなり高いはずです。その中で「成功」をほぼ確信できるまでの手法を確立できたからトライしているのではないでしょうか。
ただでさえ野生酵母の管理は難しいと思います。パン造りでも野生酵母での発酵はゆっくりです。そして不安定です。酵母の種類が多様であるため発酵が予測しづらく、酢酸、揮発酸発生などのリスクも高いはずです。しかしジャコモのワインはめちゃくちゃクリーンで安定しているんです!これはかなり高度な「観察」と「忍耐」と「判断」が求められる離れ業だと思います。正直・・・信じられないです。
さらに言えば、むしろ通常より恐らくゆっくり、変化を伴う発酵により、このサンジョヴェーゼはもしかしたらバローロのような雄大さと、適度な瓶熟感を得ているのでは?と推測されます。つまり、この激・難易度の高い手法を自分の持っていきたい方向にコントロールすることに成功している!そして一歩間違えば大きなマイナスにもなりかねない環境を最大限活かし、大きくプラスの方向に持っていけているのではないか・・・?と。
あくまで大部分はホームページに記載されているジャコモの言葉の断片からのオイジーの勝手な推測に過ぎないので確かなことは言えません。ですが、実際に彼のワインを飲んで、彼の言葉を読んだからこそ、当たらずとも遠からずなのではないかな、と思います。もしこの考察が当たっているならば、一度ジャコモと握手したいですね。(笑)それくらい真剣に彼のワインと向き合いました。ちなみにジャコモのホームページには以下のように記載されています。「ブドウはブドウ園に存在する土着の酵母によってのみ発酵され、基本的な役割を果たす自発的な環境にあります。収穫時期が暖かいと、発酵の温度と速度が上がり、抽出量が増え、ジューシーなワインが得られますが、逆に、寒くて穏やかな夜間の気温は、マセラシオンがはるかに長く遅くなり、ワインがより新鮮でエレガントになります。」
つまり、野生酵母だけでなく、発酵中の外気温や湿度、風などまでもワインに反映させることができるわけです。ですから「畑主義」というより「クリマ主義」と言った方が適切なのではないかと思います。いやまさに、言うは易く行うは難し、ですが・・・
また、「私は技術者であり、科学が大好きだ」と公言しています。おそらく理屈で納得できない手法は使わない質でしょう。ジャコモの所有している畑はなかなか個性に富んだ土壌が多いようです。その個性を最大限発揮するには・・・を理論的に突き詰めた結果が「畑内発酵」だったのではないでしょうか。理論はできたとしても実行するのは非常に勇気のいることだと思います。特にこの伝統が重んじられるワイン造りにおいてはなおのこと。恐らくニュージーランドでのチャレンジが、この試みを実現するために重要なんでしょう。オイジーも前職でよく行っていましたが、ニュージーランドは若い国ですから新しいチャレンジに比較的寛容です。ジャコモは二代目のようですから、もしかしたら「畑内発酵をやりたい!」といきなり言っても古株の従業員などは「そんなの聞いたことがない!」とか言って協力的ではないかもしれません。しかし「ニュージーランドで成功したから!」と言えば周りも「それならやってみるか・・・」となるのかもしれません。まあこの辺はオイジーの妄想なので定かでは無いですが。
なんとなく彼の思想が見えてきませんか?決して感性だけではない、自然派のアプローチを交えながら科学的に、良いワインを造る様が・・・
そして「クリマ」ごとの特徴を明確にしたいという彼の強い強い意思が・・・
赤く、赤く、輝く、新時代のエレガンス系サンジョヴェーゼです!ぜひご検討ください。
[ noisy wrote ] 以下は以前のレヴューです。
-----
【畑内発酵100%のサンジョヴェーゼです!!・・なんだこれ?・・】--以前のレビューです。 大樽系のバローロです・・と言いたくなるような、
「雄大さ」「熟成感」「浮遊感」「温かみのある温度感」
に溢れた・・若いワインに今までに感じたことが無い、初体験なイメージを受けました。
まぁ、20~25%ほど畑内発酵分を混ぜ込んでいる「イル・ボッソロ」が有りますが・・勝手に解釈しますと、
「イル・ボッソロもその20~25%分は、この 0.0k と一緒に畑で造られた分」
と言うことになるのでしょう。
言ってしまえばイル・ボッソロは0.0k にならなかった畑内発酵分を含んだワインで、この0.0k のセカンド的なワイン・・なのかもしれません。
ですが面白いのは、判りやすさはイル・ボッソロ・・だと思うんですね。畑内発酵分を含んでいない3/4分が有るので、むしろ完成された美味しさを感じるんです。
この 0.0k は、雄大さが半端無く、しかも若いのに熟成感が有り、結構に「脳がバグる」感じさえ・・するんですね・・。

「そうか~・・これが畑内発酵100%のサンジョヴェーゼか~!」
と素直に思えば良いのに、美しい女性に初めて会った時のドギマギ感??・・に近いようなものに支配されたような感覚がしました。
だって・・いや、インポーターの担当、M氏も書いていますが・・
「・・え?・・バローロ?」
ですよ・・感覚は。
それも大樽系のバローロがやや瓶熟した感が・・するんですよ・・。
大きな樽の中で、ゆっくりと対流し続け熟成を重ねたワイン・・そんな感じなんですよ。
やはりキノコっぽい感じも有り、複雑に入り組んだアロマが有り、未だに粒しか感じさせない・・未開放の要素有り・・で、何せ「トスカーナのサンジョヴェーゼ」で脳が支配されてしまっていましたからね・・バグってしまった訳です。
だからテクニカルは知らない方が良いんですね・・noisy は絶対、テイスティング前には読まない訳ですが、ジャコモ・バラルドはトスカーナだと知っていますから、そうなってしまった訳です。
ジャコモの自慢のクリュワイン、イル・ボッソロ、イル・ポッツォーネ、カッチャルピは素晴らしいですが、それらの素晴らしさを置いてけ堀にする雄大さを持っています。今はまだこのワインの全てを語れないかな・・と感じますが、イル・ボッソロが持つ・・
「温かさの中の冷たさ」
がこの「0.0k」に感じられる時が来た時、このワインの飲み頃が来ると思います。半端無い味わいでした。時を見ながら飲んでみてください。お勧めします!
【全くシャバくない、でも濃密過ぎないエレガンスを持った、中々見つけることが出来ないタイプの白ワインでしょう!「完成度高し」と言えるトスカーナの自然派の白です!】

凄い色ですね~!・・めっちゃ黄色が強くて照りが有り、一瞬・・
「・・あれ?・・これって貴腐ワインだったけ?」
と見た目で驚いてしまいます。
やや粘性の有る黄金色の液体は、ドライなんですが・・凝縮感はたっぷりあり、そのイメージと高いが酸っぱくない滑らかな酸バランス、そして蜜っぽいニュアンスをアロマから受け取りますから、甘みが有ると勘違いしてしまいそうになります。
そして単に凝縮している・・と言うような感じでは無く、細い糸を撚り合わせて絹糸ほどに仕上げたような、そしてそれをさらに撚って口内に持ってきたかのような質感を感じさせます。
果実も蜜、花、果実、柑橘とゴージャスさを感じさせますが、決して鈍重にはなっておらず、低域から押し上げてくるような感じも持ちつつ、軽妙さを持っているとも言えるようなニュアンスなんですね。

ですから、イタリア中部で良くあるタイプの濃いけれどシンプル・・では決してありません。中盤以降・・余韻には、充実した果実の質感を高めるような、そして良く熟したその果実のリアリティを感じさせてくれるような五味、それぞれの深い味わいを嗅ぎ取り、味わうことになります。
「ジューシーなタイプです!」
などとは決して言うことのない、上質な白ワインです。
まぁ・・この色彩と景観をご覧になられて・・
「・・あ、トスカーナのシンプルな白ワインね・・」
とは断じないとは思いますが、
「深く複雑でネットリしているけれど、決して重すぎず、サラリとした部分も感じられる」
ちょっと余り無いタイプです。
また自然派系ですが、決してアヴァンギャルドな感じ、攻め過ぎたような感じに取れる部分が無いんですね・・。その辺も評価が高いです。是非飲んでみてください!お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
-----
【トスカーナの白ワインの常識をかなり超越??厚みのあるボディ、比較重厚ながら繊細な果実、エキスの充実した本格派の白です!】
トスカーナの白・・と言えば何を思い出されるでしょうか。大御所たちは結構にリリースしています。かつてのスーパータスカンと呼ばれた中では、オルネライアはポッジョ・アッレ・ガッツェや高級なオルネライア・ブラン、アンティノリはリーズナブルなヴィッラなど・・それなりには成功しているのかもしれませんが、どうなんでしょうね・・今一つ、ピンとくるものは無いかもしれません。ポッジョ・アッレ・ガッツェなんぞ、バランスも良いし美味しいですけどね。でもナチュラルでは有り得無い・・そんな感じはします。
ナチュラル系だとどうでしょうね・・今や飛ぶ鳥を落とす勢いの「マッサヴェッキア」は、白も大人気です。昔は余りに売れずに何とかしようとリアルワインガイドに持ち込ませていただいてましたし、その頃の余りがその辺にゴロゴロと転がっている・・誰も買ってくれない時代でした。今や、その辺に置いておくと大変なことになってしまう・・と思いますし、発注しても塩対応されてます・・。あんなに頑張ったのに・・(^^; でもマッサヴェッキアはちょっとナトリウム系のミネラリティが多く有り、でもコアがはっきりはして無いですよね。まぁ・・それがマッサヴェッキアの特徴とも言えます。
なので、トスカーナの白としましては、比較的リーズナブルなクラスのテーブルワイン系はそれなりに充実していて選び放題では有りますが、ミドルクラス以上の選択はなかなか厳しい感じ・・あまり成功していないようにも感じられます。
まぁ、葡萄的にも多産種のトレッビアーノにマルヴァジーア、ヴェルメンティーノが主体になることが多く、何かと問題があるんじゃないかとも思います。この「リスヴェリオ」も同じようにトレッビアーノにマルヴァジーアです。
しかし・・しかしですよ。マヌエル・プルチーニ のシルカやマロカをお飲みになられた方は、トスカーナの多産種の白の
「新たな可能性」
に気付かれたに違いない・・そう思うんですね。
「ん?・・トレッビアーノ?・・いや、シャルドネなら良いんだけどね・・」
としか思えなかったものが、
「・・これ・・トレッビアーノなの?・・そう・・意外だなぁ・・」
に代わって来ていると思います。

コルクを抜いたそばから膨らみの有る柔らかなアロマが飛び出してきます。少しカチッと硬質な感じのミネラリティに黄色いフルーツが溶け込んでいる感じです。
ノーズの気持ち良さを感じつつ口に含むと、舌の上にわずかに重さを感じさせるような「厚み」の有るボディ感が口内を包みます。とてもエキスがたっぷりな味わいで、トスカーナでありがちな、
「促成栽培・促成醸造系?」
のやや軽い白ワインとは一線を画す、何かの意思を持っているような液体のエキスです。
中域は膨らみ切りませんが適度に膨張、黄色い果実、わずかにオレンジ系に色付いた果実のイメージを感じさせてくれます。余韻は少しオイリーさを含み、上級な白ワインのエキスを感じさせます。
この味わいは見事だと思うんですね。王道な白ワインのようにも感じますし、それだけでは語れない新しさも有ります。非常にナチュラルに造られた白ワインで有りながら、むしろそれを隠しているようにも見えますから、まるで相反するような感覚を飲み手に与えてくれる白ワインでも有ります。
何せ・・noisy も最初から申し上げているように、
「ジャコモ・バラルドのワインのテイスティングは、すべてのキュヴェを2本開ける羽目になってしまった・・」
訳でして、3カ月前の1度目のテイスティングでは、ハッキリした言葉・・と言いますか、レヴューのイメージを描くことが出来なかった訳です。まぁ、だからと言って2度目のテイスティングですべて理解できたのか?・・と問われてしまいますと、
「完全には無理だとしても7~8割は理解できたんじゃないか?」
と思っています。
それでもジャコモ・バラルドのワインは、むしろ白ワインは判りやすかったんですね・・あ、一アイテムを除いて・・(^^
「リスヴェリオは素直に美味しいと言えるトスカーナの比較的リーズナブルな白」
と言えます。
多産種だろうが・・樹の年齢、風通し、収穫見込みなどからコントロールさえちゃんと出来れば、
「テロワールを生かせた秀逸なワインになる・・」
と言うことなのでしょう。
noisy が7~8割の理解度・・と言わせていただいたのは、このトスカーナはシエナの最南端辺り、ルピアッツェのテロワールがまだ良く判らない・・それが大きい訳ですね・・。少しずつ勉強したいと思っていますが、
「そう思わせるほど、実は情報量が多い味わい!」
をしています。是非トライしてみてください。お勧めします!
【硬質なミネラリティと良く熟した果実!とても美味しくしかも高質だけれど大量に生産しているトスカーナの大御所たちには決して造れないだろう・・手造りの果実の味わいがここにあります!】

こちらはシャルドネです。トスカーナでもフランス品種の白ワインがそれなりに造られており、一世を風靡した大御所たちも挙って白ワインを造っています。
それでもシャルドネに手を出しているのは少数派でしょうか・・ソーヴィニヨンが多いかもしれませんし、そこに何かセパージュしてリリースしていることも有ります。
オルネライアもそうですね・・とても美味しいですけどね。やはり物凄い完成度の高さを感じさせてくれます。ポッジョ・アッレ・ガッツェも・・そうそう、今では「オルネライア・ブラン」まで有ります。
それらはもう・・
「流石!」
としか言いようの無い仕上がりですが、どうでしょう・・もしかしたらちょっと・・「工場」的なニュアンスを嗅ぎ取られる方もいらっしゃるかもしれません。
このジャコモ・バラルドの場合は・・
「ワイン工場?・・いや~・・どこにも感じないでしょう!・・敢えて言うならば農夫さんちの納屋?」
でしょうか。

不思議なのは、ビオ系なのに余りビオ的なものを感じさせないんですね。
じゃぁ・・ピュアでクリーン一辺倒か?・・と聞かれれば、
「ピュアでクリーンなんだけれど・・農産物を強く感じる」
訳ですよ。
ですから、その辺りが滅茶・・不思議です。
シャルドネらしい美しさをしっかり持ち、硬質なミネラリティを多分に感じます。柑橘系果実の熟した美味しさに、蜜や様々な有機物のニュアンスが混じります。低域からの押し上げはもしかしたらジャコモ・バラルドの白の特徴かもしれませんが、一般的なトスカーナの白のようなシンプルな味わいにはなりません。
そして明らかに前年のラファッチャトイオよりも出来が良いです。まぁ・・写真をご覧いただけましたらその辺りもバレバレですが、むしろ昨年ご案内の2019年ものが少しですがシャバく見えてしまいますよね?
それにイタリアワインですがシャルドネと言うことも有り、また冷涼感も感じられますので、フレンチワインファンにも楽しんでいただけるかと思います。是非ご検討くださいませ。お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
-----
【滅茶苦茶繊細で複雑!キラキラと口内で鉱物が光っているような独特のニュアンスです!・・これは旨い!是非飲んでみてください!】
素晴らしいですね・・これぞジャコモ・バラルドの白!・・と言いたくなるような素晴らしい出来でした!
まぁ・・何せ北半球と南半球を行ったり来たりの二期作です。想像するに4~9月はイタリア、10~翌3月はニュージーランドで栽培、醸造に頑張っているのでしょう。もちろん、一人では全部こなせないはずですから、信頼できる人に任せている部分も多いでしょうが、そこで得られたスキルは相当のものと想像されます。コロナなどに罹っている場合じゃ・・無いですよね。でも、ジャコモの生み出すインは美しく、自然なニュアンスを持ちつつも感性のワインだと感じます。ジャコモ本人は・・相当なアヴァンギャルドな方だと思います。
こちらはサン=カッシャーノ・デ・バーニの南西に開けた標高600メートルの畑のシャルドネです。風通しも良く涼しげなのでしょう。非常に冷ややかな酸が感じられます・・が、酸っぱくは無いです。その冷ややかさの中に、「ふつ、ふつ」もしくは「キラ、キラ」と、非常に小さな味わいを持った粒子が浮かんでいて、それが口内で大人し気に弾ける感じ・・がします。
あ、そうそう・・イメージ的には「パチパチキャンディ」を少し大人しくしたような感じで、「パチ、パチ」・・でしょうかね。普通だと、1本もしくは数本の糸や絹糸みたいに感じられる場合が多いんですね・・。パチパチキャンディのパチパチはおそらく炭酸ガスなんでしょうが、ラファッチャトイオの「ふつ、ふつ、キラ、キラ」は炭酸ガスとは違います。何とも繊細で、この畑のテロワールの複雑性を感じさせる見事な味わいです。

色合いの鮮やかさはリズベリオの方が判りやすいです。黄色が豊かで鮮やかです。こちらはシャルドネっぽい・・いや、シャルドネですから当たり前ですが、穏やかで自然に近い色合いです。バリックでマロラクティックをしていますが、樽っぽい感じは余りしないですね。
果実は黄色味を帯び、蜜っぽさも感じられます。オイリーとまでは行きませんが、例の「ふつ、ふつ」が弾けるとそのようなニュアンスの放出も感じるかもしれません。スケール感も結構に雄大な感じで、構成の大きさも感じます。
なので、こちらもちょっと「不思議系」では有るのかもしれませんが、シャルドネの味わいに慣れた Noisy wine のお客様にはきっと受け入れられる味筋じゃないかと思いますよ。ブラインドで飲まれたら・・少し熟し始めのブルゴーニュのシャルドネ...村名か1級クラスと言ってしまう方も多いかもしれません。
まぁ、標高が600メートルと、相当高いところにあります。写真を見つけたので貼っておきますね。なんとも乾いた感じで空のブルーと大地の白っぽさ、そしてブドウの樹の下草の深い緑が印象的です。

これだけ白っぽく見えるんですが、造り手のサイト情報ですと、
「Argilla Limosa rossa con moltissima presenza di roccia calcarea」
と土壌を記載しておりまして・・直訳しますと、
「石灰岩を多く含んだ赤いシルト」
とのことなんですね。シルトと言うのは「砂より小さく粘土より粗い砕屑物のこと」で、砂と粘土の間の細かさの土です。ウィキペディアによりますと、
「泥(粒径が1/16mm以下のもの)の中で、粘土(粒径が1/256mm以下)より粒が大きく粗いもの(粒径1/16mm - 1/256mm)をシルトと言う。」
とのことです。
なので、例の「ふつ、ふつ、キラ、キラ」は、その粒径が 1/16mm ~ 1/256mm ほどの、粘土までは細かくない強石灰土壌が由来..なのかもしれません・・(^^;; 今回はちょっとだけ学術的に高尚に仕上げてみました・・。
冗談は抜きにして、あまり無い感覚をもたらしてくれる・・でもとても日常的な感覚で飲める高級シャルドネです。しかもトスカーナ!・・信じられないかもしれませんが凄く美味しいです!飲んでみてください。お勧めします!
【激旨!そして唯一無二!究極の白ワインを追求したジャコモ・バラルドの傑作です!】

いきなり完成度が驚くほど上がった「イル・ペルゴラ2020」です。ちょっと驚きの美味しさです。そして、
「・・こんなの初めて~!」
と言いたくなるような出会いを感じさせてくれました!
確かに・・2019年ものもとても美味しかったんですが、今思えば・・
「ちょっと変わった造りの美味しいオレンジワイン!」
だった訳でして・・もはやこの2020年ものは、
「他にはない素晴らしく旨い白ワイン!・・」
と言いたくなります。
20%の貴腐の付いたグレケットを混ぜたワインなんですが・・ま~・・驚くほどの仕上がりでした。
言ってみますと貴腐ワインと言えば一般的には甘口で、近年になって辛口も出始めました。まぁ・・甘いと言ってもほとんどが「極甘」ですから、アロマや複雑な味わいは好きでも、中々・・多くを飲むのは厳しいでしょう?それにあの独特の貴腐のアロマは、慣れないと厳しい方もいらっしゃるかもしれません。
ですからこの唯一無二の白ワインも、もしかしたら・・人によっては・・
「ん~・・私にはイマイチ・・」
とおっしゃる方もおられるかもしれません。
しかしながらある程度ワインを飲みこんだ方には、目から鱗が落ちるほどの衝撃を受けられる方もおられると思います。

まさに「香りの宝庫」と言いたくなるような複雑なアロマを持っています。そして味わいも・・アロマと同様に驚くほどに複雑です。
甘いようなニュアンスを持ちつつも基本ドライです。蜜っぽいニュアンスに貴腐葡萄が持つ緊張感を含んだエキセントリックなアロマが入っていますが、ま~・・このバランスがまたすさまじく良く、
「一体化して一本化しているのに滅茶複雑で心地良い!」
です。
除梗しているとのことで梗からのタンニンでは無く、種からの・・実に質の良いタンニンが感じられます。
一般的には漬け込んだ白ワインの場合、どこかそのタンニンからの渋みやエグミが・・味わいの幅を拡げているとは言え・・少しガサツさを伴ってしまい興醒めしてしまうことが有りますが・・このタンニンもまたワインと一体化していて、素晴らしい絵画を眼で味わっているかのような感覚を受けます。
そしてこれはジャコモ・バラルドのワインの特徴のひとつかもしれませんが、
「自然派なのに自然派を意識させない」
「重厚なのに重く無く高域まで伸びて行きサラリとしている」
ので・・また驚かされるんですね。
ここまで完成度が高いと・・すみません、「オレンジワイン」などと言いたくない・・(^^;; そんな気になってしまいます。
やや冷えていても美味しく、温かくても上質です。ある意味、
「白ワインの美味しさをとことん追求した完成度の高い味わい!」
だと思います。
この素晴らしく照りのある深いゴールドを愛でながら、是非味わってみてください。素晴らしいです!お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
-----
【・・おっと!・・こちらは単なるオレンジワインでは有りません!・・何と、20%貴腐の付いたグレケットをマセラシオンした、「辛口1/5貴腐ワイン」です!】

ジャコモ・バラルドの白のトップ・キュヴェ・・と言うことになりましょうか。ですが、こちらのワインのみ、
「ちょっと・・普通じゃぁ無い」
です。
言ってみれば、
「貴腐の付いたグレケットを除梗、マセラシオンして斗瓶で熟成、イノックス仕上げ」
です・・。わからないですよね~・・noisy も相当・・悩まされました。
色はちょっと濃い目の照りのある美しいオレンジ・・です。
「・・オレンジワインで・・良いじゃん・・」
と面倒くさがりの自分が出てくると、
「・・いや・・それだけじゃ語れない、素晴らしい香りは・・どう、説明するの?」
と、ちょっと真面目な自分が邪魔をします。
そもそも・・グレケットって何だよ?・・と思ってませんか?・・そうですよね?・・グレケットはイタリアの中部で良く栽培されている地場品種です。
「グレ・・何とか」
は、「グレーチャ(ギリシャ)に由来する品種の名前」なんですね・・なので、グレコ・ディ・トゥーフォなんかも同様です。味わいは・・まぁ・・酸が有ってフレッシュで・・と言うのが一般の説明になりますが、そんなのは何の役にも立ちません。葡萄はみんなそうですから・・。
で、そのグレケットが20%、貴腐が付いたそうです。それを除梗しまして、果皮・種子ごとマセラシオンしたんですね。なのでこんなオレンジワイン的な色になっています。そしてそれを、
「斗瓶(ダミジャーナ)」
でマロラクティックから熟成をさせ、ステンレスタンクで落ち着かせて仕上げた訳です。

なので、その「貴腐」のニュアンスが有ります。しかも辛口なんですよ。なので、
「甘くない貴腐ワインのニュアンス」
が有ります。ちょっとブルーチーズっぽい感じ・・とか、リースリングの熟成香にも似たペトロール系の香りとか、もちろん・・貴腐香と言っても良い・・イグレックに似たようなニュアンスも有りつつ、蜜っぽいノーズも有ります。
それほど豊かで複雑性の高いアロマを持ちつつ、味わいはバランスが取れてスムーズだったりして・・(^^
「・・あれ?・・キュウリの浅漬けにも合うし、タクアンも良い感じ・・」
なんて・・あまりの懐の深さに驚いてしまいました。もちろん、 Noisy の食卓にはよく出てくる「ホッケの開き」にもバッチリ・・。
それでいて高貴さも有りつつ・・ですから、
「・・あのね・・こんなにプレゼンのムズいワイン、持ち込むんじゃない!」
と・・心の中のエージェントのM 君を、思わず睨んでしまいました。
まぁ・・普通に飲んでおいしいです!・・受け取ろうとすると情報量が膨大なので、脳内の整理が大変です。だから、
「あれには合う、これには合わな・・いや、合う・・かな?」
みたいな方で進めるととてもおいしくいただけます。
おそらくですね・・Noisy wine と、某湘南のWCさんしか販売してないと思います。
「久々に訳の判らない物凄い情報量のワイン!」
に出会いました!noisy には美味しいですが、もちろん・・合わない人もおられるかと思います。オレンジワイン系が大丈夫でしたら勿論OK!貴腐のアロマやリースリング系の熟成香り・・セメダインなんて言う人もいらっしゃいますが、ちょっと違う気もします・・が、そちらがダメなら止めておく方が無難かもしれません。でも、
「こんなワインにはめったに出会えない!」
と思います。是非飲んでみてください。
【ブルゴーニュ的硬質なミネラリティとフランス品種がサンジョヴェーゼの健気さを包み込んだ、ちょっとブルゴーニュワインを感じさせる味わいです!】

サンジョヴェーゼはトスカーナを代表する品種です。多くの村で算出され、非常に多くのアイテムが存在しています。
有名なのはキャンティ、キャンティ・クラッシコでしょうか。高級な部類ではブルネッロが有ります。
この葡萄、まぁ・・もしテクスチュアを特に気にするような方だと・・余り好きにはならないかもしれません。ピノ・ノワールのような滑らかなテクスチュアとはちょっと違い、もっと起伏を感じる・・悪く言えばゴツゴツとした感じでしょうか。もっとも熟成してくるとそれも気にならなくなる訳ですが、リリース直後は中々難しいのかもしれません。そんな意味も有ってでしょうか、大昔はキャンティにはかならず白葡萄を混ぜた歴史が有ります。ですが飲みやすくはなりますが、深みが・・相殺されてしまうかな・・。
こちらはメルロを主体でしょうか。サンジョヴェーゼにカベルネ・ソーヴィニヨンを補助的に使っているようです。ですので、サンジョヴェーゼが大きく前には出て来ないんですが・・でもサンジョヴェーゼを感じるんですね~・・。本人は大人しくしているつもりでもどうしても目立ってしまういけ好かない奴・・っていましたよね・・学生の時分。そんな訳で noisy も出来るだけ目立たぬように、釘を出っ張らせないように・・日の当たらないところにいるようにしているつもりでいます。

見た目からして余りトスカーナワインには見えないかもしれません。ボルドーにも・・ボトルはともかく、見えないと思いますが、ジャコモ本人がボルドー瓶を使用していることから・・まぁ、メルロとカベルネを使っていますから・・そんなところにも造り手の意識が見えて来ます。
飲んでみますと・・確かに単一品種と言うよりはセパージュされたワインなんですが、一歩引いて見てみるとブルゴーニュ・ピノ・ノワール風なイメージを受けます。彼の心の中にはやはりブルゴーニュワインが有るのかもしれません。
滑らかでスイっと入って来て、適度の振幅をやや複雑なニュアンスで振れさせ、滑らかに静かに消えて行きます。集中していますが瑞々しく、伸びやかです。トスカーナっぽい暖かさや濃さ・・は余り無く、むしろ冷涼で適度な濃度です。綺麗さを感じますね。
面白いのは余りビオっぽく無い・・(^^;; 相当・・そちら系のはずなんですが、柔らかでスピードのあるアロマ以外は・・自然派を感じさせる部分は少ないです・・がかなりの自然派です。飲んでみてください。美味しいトスカーナの赤です!お勧めします。
以下は以前のレヴューです。
-----
【どこにいてもブルゴーニュと一緒に・・?と言うジャコモ・バラルドのワインを知る一本はこれ・・です。】
サン=カシャーノ・デイ・バーニにあるヴィーニャ・ボッソロと、ピアッツェにある他の畑のブドウのブレンドのようです。ロッソでこのアイテムだけはブレンドしていまして、メルロとカベルネを入れています。
おそらくピアッツェにあるブドウ畑は後で購入しているため、以前からサンジョヴェーゼ以外の品種も植わっていたのでしょう。で、サンジョヴェーゼは「クリュ指名」にし、他の品種を「ベースのワイン」としてリリースしているのかな?・・と想像しています。
このワインを一言で言ってしまうとすれば、
「ジャコモ・バラードが何を考えているか・・何となく伝わってくるワイン」
だといえるかもしれません。
ただしそれは・・他の上級ワインもある程度飲まないとハッキリはしないかもしれません。
そもそも、このボッソロットもそうですがジャコモ・バラルドの赤ワインは、グラスの写真を見て・・例えばトスカーナのワインに見えますか?・・多分、そうは見えないと思うんですね。
むしろフレンチワインに似た色彩をしている・・・と感じると思いますが、その中では最もブルゴーニュワインらしくない色彩で、ちょっとボルドー的な感じが混じっている感じ・・でしょうか。
それにはやや色の出やすいメルロやカベルネが入っているから・・でしょう。
なので、色彩的にも似ているキャンティ・クラシコと比較してみると良いかと思うんですが・・でも飲んでみますとなぜか余り似ていないと思ってしまいます。なぜって・・結構にエレガントさが前に出て来ていますし、質感が相当に感じられるんですよね。

もちろんですが、キャンティ・クラシコやトスカーナのI.G.T.の中には、相当に出来の良いものが散見されます。それらはすでに周知され、皆さんも時折飲まれているはずなんです。
でも・・ちょっと違うんですよ。それが前述の、「ジャコモ・バラルドが何を考えているか」に繋がっている・・彼の心の中にある「ブルゴーニュ」、そして「クリマ」を感じさせてくれる・・ことに繋がっているような気がします。
この5月にテイスティングさせていただいた時よりも、さらに滑らかに、伸びやかに、丸みとバランスを増大させて来たのを、つい先日、8月最終週に確認させていただきました。やはり、アイテムが変わっても味わいの方向性には全くブレがありません。
あの同僚でも有ったヴァーゼンハウスもそうです。全くブレない・・ですよね?
ヴァーゼンハウスはシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)ですから、そもそもはサンジョヴェーゼと一緒にはなりません。でも・・同じものを感じる訳です。
何より、ヴァーゼンハウスだって・・そりゃぁもう・・最初は大変でした。
「1万円以上もするドイツのピノ・ノワールやピノ・ブランを誰が買ってくれるの?」
「ワイン屋がテイスティングしても誰も買わなかったドイツワイン・・」
でしたから・・。
でも、ワインにポテンシャルが有ったからこそ、皆さんに受け入れていただけたと思っています。ですから、
「このジャコモ・バラルドもヴァーゼンハウスと同様の意思とポテンシャルを感じる」
のは間違い無いと確信しています。是非・・このリーズナブルなシエナ最南のトスカーナワイン、ジャコモ・バラルドの意思を確認していただけましたら幸いです。お勧めします!少量です!
【激旨サンジョヴェーゼ!・・25%畑内全房発酵が生み出しているに違いないシルキーなサンジョヴェーゼに驚いてください!】

ボッソロットも美味しいんですが、このイル・ボッソロはジャコモが「クリュ」だと言っているだけに、頭一つ抜けている感じがします。
本来・・内向的な性格(だと勝手に思っているだけですが)のサンジョヴェーゼですが、インポーターのM氏も言っているように「抜け感」が有って、しかもテクスチュアが滑らかなんですね。
サンジョヴェーゼはもっとテクスチュアに起伏を感じる場合が多いんですが、抜け感?・・石灰系ミネラリティがたっぷりなことが原因なのか、もしくは畑内での全房発酵発動のお陰なのかは判断付きませんが、
「自然な暖かさの中に冷涼感有り」
と言う、しかもテクスチュアが滑らかで、コアが有って一体感に満ちている・・と感じます。
そもそも畑内発酵って・・
「いつまでやるの?」
と言う部分が noisyには今のところ不明でして、畑内発酵と言うのは簡単ですが、全く理解できていません。
ですから多くは語れない・・いや、語るなと言われそうですが、ご紹介するのだから少しは判っていないと・・とも思うんですよね。

まぁ・・少なくとも醸造開始時期には畑にいらっしゃる訳ですから、
「自然酵母は元気いっぱい!」
に違い無い・・この部分は何となくですが・・飲んでいて感じることが出来ます。
そして前述しましたが、全体としては冷ややかなんだけれど、どこかに「ほんのり」と温かさを感じるんですね。
そして、ブルゴーニュワイン的にエレガントなチェリーな果実味と、単一品種ならではのエレガンスと一体感、正に自然な膨らみと美しい余韻・・。
M氏はモレ=サン=ドニ中腹と表現していましたが、noisy的にはやはりシャンボールかな・・と。ほんのり出てくる「野性味」をモレと言うことは可能かと思います。
さらには多くのサンジョヴェーゼが起伏の大きい、ややザラっとしたテクスチュアを見せるのに対し、やはり非常に滑らかです。良く出来たサンジョヴェーゼかと思います。是非飲んでみてください。お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
-----
【これはもう・・シャンボールっぽい強くて白い石灰!・・サンジョヴェーゼでこんなにテロワールの違いを楽しめるなんて!しかも「畑内発酵20%」・・今までにあったでしょうか!?】

クリュ・ボッソーロです・・。ちゃんと彼のホームページには、
「畑-->Vigna “Bossolo”」
「ワイン-->Cru “il Bossolo“ 2018 Toscana Rosso IGT」
として紹介されています。もっと萎びた感じのホームページかと思ってアクセスしてみましたら思いの外、綺麗にデザインされた美しい写真が見られるページだったのでちょっとびっくりしました。造り手紹介の部分にもリンクがありますが、このイル・ボッソロは、
https://www.giacomobaraldo.it/vini/cru-bossolo-2018-toscana-rosso-igt/
をコピー&ペーストで行けますので・・美しくて大きい写真をご覧ください。
流石にクリュを言い出す方ですから、ブルゴーニュワインについては相当にお勉強されている様子が伺えます。彼のお写真を拝見させていただくと、ジャン・アレジ氏似のイケメンなので、イタリアでもニュージーランドでもモテてモテてしょうがないんじゃないか・・などとも思ってしまいますが、
「ワインの二期作!」
を北半球と南半球でやっていたら・・とてもそんな暇は・・いや・・余力は無いかもしれません。もっともワイン造りは一人でやるものではないので、実際のことは判りませんよね・・(^^;;
このイル・ボッソロは、彼らが2009年に植え付けた畑ですので、後で購入した他の畑より相当若いです。でも、トスカーナは暑いので・・もうすでにブドウの寿命の半分くらいを生きてしまっている可能性も有ります。

この日照のすばらしさ!・・ここがヴィーニャ・ボッソロですね。シエナ県の南の端です。内陸ですが・・美しいですね。空の青と大地のやや赤く白っぽさのにじむ茶、ブドウの強い緑がこの畑を表しているかのようです。
飲んでみますと・・
「これはシャンボール村名!」
と言いたくなるようなニュアンスなんですね・・結構にライムストーンがしっかり・・です。アロマも石灰に乗って美しくたなびきます。結構にしっかりブルゴーニュらしい・・と感じてしまうんですよ。
で、おそらく・・想像でしかありませんが、その由来こそが・・
「畑内発酵!」です。
ニュージーランドあたりでは最近結構に見られる醸造方法ですが、なんと、
「畑で醸造を始めてしまう!」
と言う暴挙・・いや、新しい試みなんですね。
そうそう。これ・・です。

「・・おいっ!」
ですが、畑で発酵を行う利点も多くあるかとも思います。まぁ・・本人は嫌がるかもしれませんが、ある意味、
「究極の自然な方法」
ですよね。
当然ながら雨や天気が良くないときは出来ません。でも、それこそ迅速に、自然酵母で・・しかも温度を自然なままに置いておける訳です。
で、しかもこれをやりますと・・どうやら、
「アルコール分の上昇を適度に抑えられる」
らしいんですよね・・。
なので、もともとエレガントなサンジョヴェーゼでは在りますが、アルコール分も高くならず・・しかも単一品種ですから・・飲む方としますと、ついつい、「ピノ・ノワール」を脳裏から引っ張り出してきてしまうんじゃないかと思うんです。

しっかし、
「突っ込みどころが満載!」
なジャコモ・バラルドのイル・ボッソーロですが、
「めちゃんこ美味しい!・・エレガント系でエキス系!・・言ってみればシャンボール!」
ですから・・きっと皆さんも、
「・・おいっ!・・」
と、突っ込みを入れたくなってしまうんじゃないかと思うんですね。
しかもこのワインでさえ、
「ボトル1347本、マグナム48本」
しか無い・・(^^;;
この後にご案内予定になっている、フェルム36の矢野さんのワイン並みの数量・・です。
是非この機会に、
「畑内発酵=ヴィンヤード・ファルメンテーション」
の威力もお確かめください。非常に少ないです!お勧めします。
【ややコッテリとした肉付きの良い、旨味のある複雑な味わいです!ミネラリティもしっかり!・・流石「クリュ」の仕上がり!】

サンジョヴェーゼの持つ素朴な美味しさを最大限に「前」に配置出来た素晴らしい味わいをしているポッツォーネ2019年をご紹介させていただきます。
イル・ボッソーロの美しさも良いんですが、ポッツォーネのややコッテリと感じさせる粘性、その粘性の中の旨味、酸バランスの素晴らしさにグッと来てしまいます。
2018年ものは・・タイミングかもしれませんが、そこまでコッテリさを感じませんで、もっとスタイリッシュなシャンボール=ミュジニー的な部分を出していたと思います。
2019年ものは色彩からも・・照りが有り、グラデュエーションもハッキリ出て、いかにも美味しそう・・と言いますか、出来の良さを見ることができるような気がします。
あのヴァーゼンハウスと同期でブルゴーニュの重鎮で一緒に修行していたジャコモは、心はブルゴーニュに有ると言うだけ有って・・まぁ・・このワインはサンジョヴェーゼではありますが、彼の心のピノ・ノワールを転写しているようにも感じます。
2018年ものに有ったやや武骨な部分・・いや、熟成不足か休養不足も有ったと思いますが、そこは何とまったく感じないレベルになっています。

イル・ボッソーロが持つ温かみの中の冷ややかさは、このイル・ポッツォーネには無く、むしろ温かみの心地良さ、その温度感での旨味と複雑性、伸びやかさがとても自然です。
どうなんでしょう・・これは判っていませんが、このワインは畑内発酵をしていない・・その性でイル・ボッソーロのようにはならないのか、単に畑の個性の違いなのかは・・もう何年かお付き合いしてみないと判断できないかと思いますが、
「むしろブルゴーニュ的な・・畑の違いを楽む!」
的な面白さが感じられます。
言ってみればイル・ボッソーロとイル・ポッツォーネでは性格が似ているようで結構に異なりまして・・インターネット時代ですから、もっと情報が有れば面白いのにと・・思う訳ですね。
話しは飛びますが、このジャコモ・バラルドのインポーターのM君が、コロナ明けでフランスに行くと言うので、
「ゴープロ、持って行ったら?」
と言ってみると・・
「ゴープロって何ですか?」
と宣うので・・
「ゴープロ、知らないの?」
とちょっとビックリ。
まぁ・・手のひらサイズのアクションカメラのことなんですが、noisyとしては造り手さんが許せば扱いやすいのかな・・などとも思っていまして、散々色々な話しを外国語でしてその記録にも良いし、畑に行ったらそのままで色々なことが判ります。
でも・・判り過ぎるのもどうやら余り良く無いし、記録にずっと残るのもあまり良く無いらしく、造り手さんの中には余り良く思わないところもあるそうなんですね。
ですから、了解をいただいて畑の風景などを360度で撮影できると、そこからの進展が期待も出来るし、お客様へのプレゼンにも役立つかな・・などと思ってはいる訳です。・・中々難しいものですね・・。
と言う訳で、M氏も言っておられるように、イル・ポッツォーネ、イル・ボッソーロ、カッチャルピは個性違い・・です。是非その異なる個性の高い完成度の2019年ものを比較でお楽しみください。お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
-----
【こちらは彼の中では「クリュ・ポッツォーネ」!・・伝統的なサンジョヴェーゼ風の乾いた砂地にほんのりガレストロも?・・素晴らしいバランスをしています!】

カッチャルピがヴォーヌ=ロマネ風・・ピノ・ノワールに似たニュアンスを多く感じさせますが、こちらは当初、
「これはまさにサンジョヴェーゼ的」
と感じさせてくれました。5月の時点です。砂っぽい感じにちょっと「こってり」が混じり、結構に石灰が強めの「クリュ・ボッソロ」のシャンボール=ミュジニー風とも異なるイメージでした。
それにしてもドライで超繊細・・飲み進めるに連れ、ブルゴーニュ的に感じられる深めの粘土の粘性も出てきて・・
「・・あらら・・」
と、しっかり惑わせてくれます。
そんな訳で、
「これは・・どうプレゼンすれば良いのかなぁ?」
と、ラビリンスの輪の上をずっと回っているような感覚になってしまいまして、それがまた・・2本目のテイスティングに繋がって行ってしまった訳なんですね。

で、こちらが「ポッツォーネ」の畑です。ま~・・乾いてますね~・・ちょっと湿っぽさを感じる盆地風のヴィノ・ノビレの方とは相当に違い、
「滅茶乾いた土地のニュアンス」
が、もしかしたら砂地のような感覚を生んでいるのかもしれません。ガレストロっぽさも感じたとは言え、写真を見る限りガレストロでは無い・・ですね。最も、もっと風化していればこんな感じにもなるかもしれませんし、この下の地層がどうなっているかは・・不明です。あくまでガレストロっぽいこってりさがほんのり載った感じ・・です。
この畑も1970年から・・となっていますが、植え替えをしていないとなりますと・・
「ほんと?」
緯度が低くて気温の高い、蒸し暑い土地の多いトスカーナ近郊は、30年も経つと植え替えるのが普通ですから・・樹齢50年だとすると、
「考えられないほどのヴィエイユ・ヴィーニュ」
と言うことになるかもしれません。

ちょっとくすんだ感じの、決して濃くないサンジョヴェーゼですが、これはレ・ペルゴール・トルテと比較してみたくなる見事なバランスをしています。まぁ・・キャンティ・クラシコはだいぶ北ですから離れていますが、質感は結構に近いかと思います。最近はレ・ペルゴール・トルテは飲めてないんですけどね。昔は「エチケットの女性の絵」がヴィンテージでどう変わっているか・・なんて興味も有ったくらいですが。
で、エージェントさんは、このポッツォーネが最も豊かだとしていますが・・どうでしょうかね・・noisy 的には「カッチャルピ」の方がわずかに豊かさではうっちゃるかな?・・色はポッツォーネの方が濃いと思いますが、その辺は取り方次第かもしれません。
そして上にも書かせていただきましたが、変化の具合が凄いです。結局は「砂」から始まって「粘土」まで・・途中に片岩、凝灰岩・・石灰岩まで・・そこに金属系のニュアンスが彩を添えてくれる訳です。高貴なサンジョヴェーゼが持つ千変万化なアロマ、味わいを見せてくれます。
このポッツォーネ、本人が「クリュ」と言い出すくらいですから、相当に自信を持っていると思います。素晴らしい出来でした!今飲んでも十分・・楽しめると思います。ご検討ください!