
クリュ・ボージョレのトップをムーラン・ナ=ヴァンと争う非常に高質なモルゴンです。しかもギイ・ブルトンのモルゴンV.V.は超絶な古木由来です。
それに加え、2020年は非常に良く葡萄が熟しましたから・・ある意味、化け物に近い・・(^^;; 飲ませていただきましたが、まるでゴム毬のように要素が詰まっていて弾んでいるように感じます。ギイ・ブルトン自身の2020年ものモルゴンV.V.の印象を記載いたします。
2020年は2019年同様太陽がいっぱいの年で冬から春にかけても温暖で葡萄の成熟がとても早く、夏は酷暑と言えるほど暑く乾燥した。葡萄の成熟状態は完璧だったのでストラクチャーと熟成のポテンシャルが素晴らしい類まれなるワインになっている。フルーティな果実味が前面に出ていてフレッシュさも兼ね備えているので早くから楽しむこともできる。
1枚目のグラスの写真を見てお判りのように、ド太い涙が縦横無尽?に伝っています。非常に良く熟していますが、酸もしっかりした構成をしていますから、その分、フレッシュなニュアンスも感じられます。
黒、赤果実が凝縮していて、エキスがたっぷりです。伸びやかですが・・伸びきりません・・(^^;; 仕方が無いですよ・・ポテンシャル自体、相当高いです。栓を抜いた時のタイミングで解れて来る分の美味しさのみ・・感じられる状態です。

実はこのワイン、目の詰まった要素の余りのポテンシャルの高さに、その開き具合がいつもと・・2019年以前のモルゴンV.V.と異なり過ぎるんですね。
ですから、2019年以前ですと、ジャミーな果実が抑え込まれてスタイリッシュ..な感覚で美味しく飲めるんですが、この2020年ものは美味しくは飲めるものの、持ち合わせているポテンシャルの5~10%ほどしか使用していない感じがしました。
そのため・・この2020年モルゴンV.V.のテイスティングは・・
「2023年02月07日(2月6日の深夜)」
でして、
「まぁ・・この感じだと少なくとも半年は置いてからご案内させていただいた方が良いかなぁ・・」
と言うことで、
「・・と言うことは、少なくとも気温が上がって来て、品温が上がりやすい梅雨以降?」
と言う判断で6月後半のご案内にさせていただきました。
まぁ・・それでもポテンシャル5~10%の使用率が倍になる程度だと思います。
「ガメだから・・そこまで考えなくても良いんじゃないの?」
と思われるかもしれませんが・・いや、凄いガメが持つポテンシャルを甘く見てはいけませんよ。このワイン、完熟するには相当掛かると思います。四半世紀ほどは充分に熟成を続ける傑出したワインだと感じます。ご検討くださいませ。
以下は以前のレヴューです。
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【 It's so great ! 素晴らしいモルゴンです!2018年ものの素晴らしい凝縮感をさらに超えた!・・ジャン・フォワイヤールのキュヴェ3.14並みです!】
素晴らしい仕上がりでした・・やはり2019年ものはもう・・化け物クラスですね。
果実は凝縮感たっぷりながらまったくシツコク無く、リアルさをナチュラルに感じさせてくれます。勿論、赤を幾重にも積層させたかのような・・なんていえば良いか・・そう、
「完熟苺の先端部分だけを2ミリ厚のミルフィーユ仕立てにした感じ!」
・・あ、この表現はちょっと良いかもしれません。
しかもこの味わい、アロマが単純じゃぁ・・無いんですよね。果実から上がるほんのりとスパイシーなニュアンス、苺の先端が持つ心地良い甘み・・いや、ワインは甘くは無いんですが、
「エキスが凝縮している」
ので・・そう感じさせられる訳です。ジャン・フォワイヤールのキュヴェ3.14並み・・とは言っていますが、ギイ・ブルトンとはタイプはちょっと違いますよね。でもこの凝縮感は3.14並み・・だと思います。
「ガメって・・ちょっとさ、飲んでて途中で・・スッと薄さと言うか淡さ?・・を感じさせるでしょう?・・あれがなぁ・・」
と思われていらっしゃるかもしれませんが、これ・・全くその気が無いんですね。
やっぱり鉄よりもちょっと比重が軽い感じの・・どかんとは重く無いし、大きな塊を連想させない・・マンガンっぽいミネラリティがチリチリと舌先にスパイスを感じさせる感じで、下の上でしっかり膨らんでくれます。
2018年ものをお飲みになられた方はご存じかと思いますが、もう色合いが全然違いますよね?

この2019年ものV.V.を飲んでしまうと、2018年ものとは比較しても・・
「2018年ものはエレガントだった・・けれど、2019年ものはそのエレガンスをも内包しつつ濃密で凝縮したガメが持つ素晴らしいパフォーマンスと、モルゴンと言う比較重厚な特性を持ったテロワールと、自然派ならではのスピード感たっぷりのアロマがフカフカな畑のビジョンを目の前に見せてくれるかのように感じます。
それと・・これはフィネスさんの輸入なんですが、コンディションがすこぶる良いんですよね・・。もう栓を抜いた直後から、何とも色っぽさを持った濃い苺のニュアンスと、低域から持ち上がってくるような複雑な味わいが高域まで伸びて行くんですから・・
あ、余り書いたことは無いかな?・・と思いますので申し上げておきますが、コンディションが余り良く無いワインは、やはりミネラリティが変な場合が多いです。noisy的には、
「ミネラリティの連続性が無く壊れている」
みたいな言い方になります。
先日のトラペのワインもそうでしたが、やはりミネラリティの連続性が半端無く美しいんですね・・。飲んでいただけましたら納得していただけると思います。素晴らしい味わいでした!・・素晴らしいモルゴンV.V.2019!・・飲まない手は無いと思います。超お奨めします!
以下は以前のレヴューです。
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【高域に伸びる赤い果実、石灰、スパイスのエレガントなノーズと、ふんわり柔らかなフカフカなボディ!・・非常に美味しいです!】
随分と前に入荷していたんですが、何かと忙しくて・・すみません、随分と涼しくなってしまいました。ギイ・ブルトンの「モルゴン・ヴィエイユ・ヴィーニュ2018」です。
モルゴンは今やクリュ・ボージョレのトップと言っても過言では無いと思います。比較対象に良く選ばれるのは「ムーラン・ナヴァン」ですよね。
このクリュ・ボージョレの地域は、かのマルセル・ラピエールが頑張っていましたから、ビオの普及とともに、志を持った若者たちが集まったんですね。
それにボージョレ・ヌーヴォーを販売する地域ですから、
「早く飲んでも美味しいと思ってもらえる」
ような造りを知っている・・と言うか、まぁ、マセラシオン・カルボニックと言う醸造方法が有り、その延長上で活き活きとした軽やかさと自然味に満ちたワインを造っている・・方が結構いらっしゃる地域です。
勿論ですがマルセル・ラピエールらジャン・フィワイヤールはピカイチですし、フィリップ・パカレもまたラピエール一家の一人です。
そしてこのギイ・ブルトンもまた素晴らしいモルゴンを造っています。上級キュヴェも滅茶美味しいんですが・・流石にちょっと高価では有ります。
この2018年のモルゴンV.V.は、ギイ・ブルトンの手腕とヴィンテージの良さも相まって、非常に優れた仕上がりになっています。赤果実が適度に群生していて、高域まで素直に伸びて行くピュアでナチュラルなアロマが心地良いです。少しだけ黒っぽいスパイシーなアロマが混ざり、それがまた白っぽく柔らかなミネラリティとマッチ、複雑な味わいを構成しています。
ボディはフカフカ・・柔らかで、ふんわりとジャムっぽさを感じさせつつの終盤~余韻が非常に心地良いです。
今飲んでも美味しいですが、クリュ・ボージョレでも平気で30年・・熟成すると思います・・やってみたいですがnoisy にはちょっと無理かな・・。
脱線しますが、ボージョレ・ヌーヴォーのキャンペーンの景品で、熟成ヌーボーをプレゼントしたりしていますが、それを飲まれたお客様が時折メッセージをくれまして、
「ヌーヴォーが熟成してこんなに美味しくなるとは・・」
とか、
「リリース時に飲みましたが、こんなに・・・になるんですね・・」
など、結構反響が有ります。
それに、ボージョレやクリュ・ボージョレの古酒が見つかると、頑張って仕入れるようにしていましたが、30年もののボージョレも・・例えネゴスもののフィルターをビジバシ掛けたものでも、ガメが熟した官能的な美味しさを感じさせてくれます。
こちらはまだ新しいワインですが、熟した姿を想像しながら飲んでみて下さい。そしていつか美味しく熟したガメに出会ったら、今の記憶が蘇るかもしれません。ご検討くださいませ。