イル・パラッツィーノ
イル・パラッツィーノ
イタリア il Palazzino トスカーナ
● イル・パラッツィーノのリーズナブルなキャンティ・クラシコと、ラ・カッシーナ・ジラソーレから名称変更したロッソです。イル・パラッツィーノの冷たく赤紫の小果実、決して濃くない美しさはこのアルジェニーナにも生かされています。少し前まで、ユーロが高かった頃は、アルジェニーナもデイリーと言えないプライスになってしまいましたが、ようやっと良い感じになってきましたので再度ご紹介致します。

キャンティ地区ガイオーレの南6マイル、標高400mのところに、古くから地元で“ザ・クリュ”として別格とみなされている一角がある。イル・パラッツィーノの畑はここに広がる。
ズデルチ家は一世紀以上にわたりこの畑を所有するが、本格的なワイン生産は約30年ほど前、アレッサンドロとアンドレアがこの畑を運営するようになってから始まった。
点在していたオリーヴやブドウを植え替え、現在の畑の土台が築かれた。
素晴らしくキャンティとしては例外的に、魅力的な深いルビー色を湛えたエレガンスのあるワインを作り上げた。グリーン・ハーヴェストによる収量制限、収穫時には極めて慎重な選果をおこない、セラーでも注意深く最上のバレルだけを選んでビン詰めにする。
こうすることでほかのキアンティ・クラシコとは明らかに異なるまさにガイオーレ本来の味わいを、まるで憎らしいほど模範的な品質に高めた。すなわちフィネス、温和な優しさ、芳醇、例外的なほどの豊かなブケ(ラズベリとスミレ)であり、これぞキアンティのイリス女神という趣である。○Chianti Classico Argeninaキャンティ・クラシコ - アルジェニーナ
品種 : サンジョベーゼ 95% カナイオーロ 5%
植樹 : サンジョベーゼ 1999年、2003年カナイオーロ 1999年、2003年
畑 : 3ha、モンティ村、アルジェニーナという区画産、石灰質土壌、南、南東、南西向き斜面
醸造 : ステンレススチールタンク内で10~15日間のマセラシオン、ステンレスタンクとオーク樽(15ヘクトリットル)の併用で14ヶ月熟成、3ヶ月のビン熟
年産 : 2万本
色 : ルビーレッド
香り : フレッシュ&フルーティ、赤系ブドウとプラムを想わせる香り
味わい : フレッシュ、非常にやわらかいミディアム・ボディ、丸みがあり果実味を伴ったフィニッシュへ続く。やわらかい飲み口が特徴の優美なワインです。
● 2015 Argenina Chianti Classico
キャンティ・クラシコ・アルジェニーナ
【赤黒果実の味幅も充分に感じられる冷ややかなキャンティです!】

久しぶりのアルジェニーナです。赤黒小果実が中重位のミネラルと一緒に感じられ、充分な味幅と、やや粒々したテクスチュア、しなやかな長めの余韻を感じさせてくれる美味しいキャンティ・クラシコです。noisyにとってはガイオーレと云う言葉の響きが、そのまんまイメージ出来る様なテクスチュアです。礫(れき)と云うか、滑らかではあるんですが、少し粒々感を含むと云うか・・まあ、感覚的なものです。それに、畑の高度、ワイン自体の持つ冷たさでしょうか・・。果実の種類の違いも、育まれた環境を表していると思います。暑さと寒さの両方が存在するのも影響しているのでしょう。
また、価格もかなり下がってきましたので・・お客様にとっても嬉しい状況では有ります。2009年頃はこのワインは、2千円台後半のご案内になってしまうため、しばらく見合わせることにしていました。・・だってね・・・2千円位でご案内していたデイリー系のワインを、そこまでは上げられないですからね。良い感じの特徴を持っているのは判っていたんですが、上級のラ・ピエーヴェのみに留めていました。
皆さんもお久しぶりかと思いますので、是非飲んでみてください。輪郭の歪んだコンディションの悪いキャンティ・クラシコでは味わえない、畑由来の複雑性とエレガンスが有ります。お奨めです!
以下は以前のコラムより転載しています。
━━━━━
【上級ワインのラ・ピエーヴェと比べてしまうと..やっぱり落ちますが、価格を見れば納得してしまうでしょう..】 只今リアルワインガイドの7号が届きましたので..そこから抜粋してみましょう..(^.~
ディテールが似ている上級のラ・ピエーヴェとは決して小さくは無い質の差が確実に有るのだが、より肉感的で艶めかしいのはテロワールの差だろうか。ミネラルに包まれたスミレ、口に入れた瞬間の「ほっ」とするクリアな甘みを始め、全てがのんびり出現しつつ開放されていつの間にか受容体を埋めている。小粒でスケール感には劣るものの、コテコテの果実味では味わい得ない滋味深さが安らぎの時を与えてくれるはずだ。原道郎(04年08月試飲)
今飲んで89 ポテンシャル90 飲み頃予想2005~2020
(有)寿スタジオ リアルワインガイド 第7号 より抜粋
まあ、自分で書いてる訳ですから、ホントもウソも無いですよね。まさにピュア系のワインです。上記のラ・ピエーヴェに比較すると、幾分日照が悪いようなイメージが有ります。タンニン・酸の質、果実味の量に現れてきます。しかし、この畑の良さは「艶っぽさ」にあるような気がしたんですね。
少々口内を収斂させる所が有りますが、若いゆえ..と思ってください。時間が解決するでしょう。定番でお馴染みのレ・コルティのキャンティのような、果実味・ボディで飲ませるタイプではなく、むしろピノ・ノワールのようなエレガンス、綺麗さで勝負の味わいです。着いたら充分休養を与え、是非とも大きめのグラスでゆっくり飲んでください。ご納得いただけると思います。
● 2018 Azzero I.G.T.Toscana Rosso Edoardo Sderci
アゼッロ I.G.T.トスカーナ・ロッソ エドアルド・スデルチ
【充実したボディを持つサンジョヴェーゼ!ナチュラル感とピュアな果実、適度な濃度が嬉しい!】

少し前までの2016年ものとは、エチケッタが変更になっています。ラベルデザインで黒いラインが斜めに入っているんじゃなくて、しっかり黒いところは「ボトル」です。凝ったデザインですよね。
色合いを比べてみても・・判りますよね。結構に黒っぽさが増し、深い感じになっています。
今回の2017年ものはある意味、2016年ものの「軽やかさ」は抑え込まれ、イル・パラッツィーノの本格的なキャンティが持つ「荘厳さ」「堅牢さ」を表情に現わしている感じです。
ナチュラル感はそのまま、密度が増し、赤みが後ろに回り、黒みが前面に出ている・・と思っていただいて良いかと思います。チェリー風の果実が何ともキャンティ・クラシコ風と言うかサンジョヴェーゼ風と言うか、イル・パラッツィーノ風と言うか・・重厚さが出た2017年・・と言うことだと思います。
僅かに早いですが、でももうこの位は全然平気でしょう。飲んでいるうちに膨らみを増してくれます。美味しいです。是非ご検討くださいませ!
以下は以前のレヴューです。
━━━━━
【超純粋なサンジョヴェーゼのエキスそのものの味わいです!何んとチェリーっぽい!?そんなの飲んだこと有る?超限定の息子さんが造った無添加無清澄ワインです!】
ど~ですこの色?・・イル・パラッツィーノのキャンティ系のファンの方もいらっしゃるかと思いますが、こんな「赤中心」の鮮やかな色合いのワインじゃ無いですよね~?
もっとどっしりとしていて、やや黒味が多くて、少し熟成感の有る色合いでしょう?・・全く正反対なんですよ。それに感じられるフルーツは「チェリー」!・・それも、サンジョヴェーゼですよ。・・・有り得ん!・・などと思っちゃいました。
ピチピチと弾けるような新鮮な果実感、果皮の美味しさを存分に生かしたフレッシュな造りで、身体に入ってくる角度の優しさったら・・こんなの滅多に無いです。
そりゃぁね・・キャンティ・クラシコのグロッソ・サネーゼのような、滅茶複雑なニュアンスや、ガレストロを感じさせるようなミネラリティでは無いんです。
むしろロッソ・ディ・モンテプルチアーノのような若々しさを生かしたブルネッロ種・・のような印象のワインで、そこに「ビオ」の良い面だけをプラスして仕上げたようなニュアンスです。
つまりは、ブルネッロでも、ピノ・ノワールでも良いんですが、単一品種ならではの美味しさ、シームレスさ、一体感が有り、単一品種だからこその「しなやかな変化」が感じられるんですね。ブルゴーニュのピノ・ノワールの美味しさって、
「・・出て来るかな?・・まだかな・・出て来ないな・・」
みたいな、恋人と待ち合わせている時のウキウキした感じと、
「・・出て来ないじゃん・・」
みたいな不安な感じが入り混じったようなイメージで、出て来た時のその表情や複雑さ、美味しさも、そんなちょっと若い時のドキドキするような気持ちに似てない・・ことも・・無いような気もします。息子さんのエドアルドさんも、こんなしなやかでピュアなワインが造れるなんて、イル・パラッツィーノも安泰じゃないの?・・と思ってしまいました。
でもただし、超限定なんですよ。12本しか貰えず、しかも数ケースしか日本に入って来なかったそうで、見つけようと思ったら、
「無理!」
なワインのようです。
ワインの楽しさを素で教えてくれるような生き生きとした美味しさを持ったサンジョヴェーゼでした。お勧めします!お早めにどうぞ!
● 2015 Rosso del Palazzino
ロッソ・デル・パラッツィーノ I.G.T.
【よりナチュラルに、よりソフトに、より丸く・・でもピュアさを失わない!・・ある意味、大変身した滅茶リーズナブルなワインです!】

ちょっと驚いた味わいでした・・。そもそも「イル・パラッツィーノ」のキャンティ系ワインは、テクスチュアはやや硬く少しゴツゴツした感じでナチュラル感は奥に引っ込み気味、丸いと言うよりは多面体なイメージでしたよね?
先代から引き継いだ結果なのかもしれませんが、物凄く成長していると感じてしまいました・・これ、相当にリーズナブルだと思います。
サンジョヴェーゼと言う葡萄は、熟させ過ぎても、未熟でも結果が全くダメ・・な感じを受けます。なので、天候に恵まれない年は今までも厳しかった訳ですね。
その、時に「シミジミ系」な味わいに仕上がることの多いサンジョヴェーゼをどう仕上げに掛かるか・・が腕の見せ所になると思います。
このロッソは、しっかりと果実が乗り、酸のバランスも良く、しかも球体のパレットを描いてくれるナチュラル系の味わいながら、ナチュラル過ぎない美味しさを伝えてくれていると思います。これ、相当に「推し」です!若い世代もやってくれますよね。是非飲んでみて下さい。滅茶リーズナブルです!
以下は以前のレヴューです。
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【サンジョヴェーゼのしなやかで 優しい味わいが秀逸です!】
中身は以前のカッシーナ・ジラソーレと同様です。、優しいしなやかな味わいがとても良いです。キャンティ・クラシコシリーズはそれなりの価格でしたので、
「デイリーにはちょっとね..」
という方も多かったはずですが、この位の..2000円以下で飲めるのであればOKでしょう。
しっとりとした総体の印象を受けるサンジョヴェーゼです。実際にはカナイオーロが少し入っているかと思いますが、濡れた赤紫の小果実が、決して強く自己主張することなく存在しています。タンニンの質の良さと伸びやかさ、引き際の美しさは色っぽいです。
もっとも、
「これぞイタリアワイン!果実味充分!濃度・凝縮度が2倍、3倍!」
みたいなワインじゃありません。ワビ、サビを知り、水彩画の世界。まあ、パステル画や油絵のような派手さはありません。しかし、薄墨の濃淡や作法の習得レベルによるお手前の違いのように、微細な部分での表現と、大胆ながらも唸ってしまいそうな構図の感性がそこにあります。
キャンティ・クラシコ・アルジェニーナと比べると、構成要素の複雑さや、そのバランスの素晴らしさからの外向性の豊かさは全く追い付きません。
でもサンジョヴェーゼの持つしなやかさや、サンジョヴェーゼそのものの美味しさ、シミジミさ、エレガントさを味わうならこちらのロッソ・デル・パラッツィーノになるでしょう。綺麗系のキャンティ・クラシコ..そう思っていただいても良いでしょう。飲んでみてください。超お奨めします。
● 2017 Azzero I.G.T.Toscana Rosso Edoardo Sderci
アゼッロ I.G.T.トスカーナ・ロッソ エドアルド・スデルチ
【充実したボディを持つサンジョヴェーゼ!ナチュラル感とピュアな果実、適度な濃度が嬉しい!】

少し前までの2016年ものとは、エチケッタが変更になっています。ラベルデザインで黒いラインが斜めに入っているんじゃなくて、しっかり黒いところは「ボトル」です。凝ったデザインですよね。
色合いを比べてみても・・判りますよね。結構に黒っぽさが増し、深い感じになっています。
今回の2017年ものはある意味、2016年ものの「軽やかさ」は抑え込まれ、イル・パラッツィーノの本格的なキャンティが持つ「荘厳さ」「堅牢さ」を表情に現わしている感じです。
ナチュラル感はそのまま、密度が増し、赤みが後ろに回り、黒みが前面に出ている・・と思っていただいて良いかと思います。チェリー風の果実が何ともキャンティ・クラシコ風と言うかサンジョヴェーゼ風と言うか、イル・パラッツィーノ風と言うか・・重厚さが出た2017年・・と言うことだと思います。
僅かに早いですが、でももうこの位は全然平気でしょう。飲んでいるうちに膨らみを増してくれます。美味しいです。是非ご検討くださいませ!
以下は以前のレヴューです。
━━━━━
【超純粋なサンジョヴェーゼのエキスそのものの味わいです!何んとチェリーっぽい!?そんなの飲んだこと有る?超限定の息子さんが造った無添加無清澄ワインです!】
ど~ですこの色?・・イル・パラッツィーノのキャンティ系のファンの方もいらっしゃるかと思いますが、こんな「赤中心」の鮮やかな色合いのワインじゃ無いですよね~?
もっとどっしりとしていて、やや黒味が多くて、少し熟成感の有る色合いでしょう?・・全く正反対なんですよ。それに感じられるフルーツは「チェリー」!・・それも、サンジョヴェーゼですよ。・・・有り得ん!・・などと思っちゃいました。
ピチピチと弾けるような新鮮な果実感、果皮の美味しさを存分に生かしたフレッシュな造りで、身体に入ってくる角度の優しさったら・・こんなの滅多に無いです。
そりゃぁね・・キャンティ・クラシコのグロッソ・サネーゼのような、滅茶複雑なニュアンスや、ガレストロを感じさせるようなミネラリティでは無いんです。
むしろロッソ・ディ・モンテプルチアーノのような若々しさを生かしたブルネッロ種・・のような印象のワインで、そこに「ビオ」の良い面だけをプラスして仕上げたようなニュアンスです。
つまりは、ブルネッロでも、ピノ・ノワールでも良いんですが、単一品種ならではの美味しさ、シームレスさ、一体感が有り、単一品種だからこその「しなやかな変化」が感じられるんですね。ブルゴーニュのピノ・ノワールの美味しさって、
「・・出て来るかな?・・まだかな・・出て来ないな・・」
みたいな、恋人と待ち合わせている時のウキウキした感じと、
「・・出て来ないじゃん・・」
みたいな不安な感じが入り混じったようなイメージで、出て来た時のその表情や複雑さ、美味しさも、そんなちょっと若い時のドキドキするような気持ちに似てない・・ことも・・無いような気もします。息子さんのエドアルドさんも、こんなしなやかでピュアなワインが造れるなんて、イル・パラッツィーノも安泰じゃないの?・・と思ってしまいました。
でもただし、超限定なんですよ。12本しか貰えず、しかも数ケースしか日本に入って来なかったそうで、見つけようと思ったら、
「無理!」
なワインのようです。
ワインの楽しさを素で教えてくれるような生き生きとした美味しさを持ったサンジョヴェーゼでした。お勧めします!お早めにどうぞ!
● 2015 la Casina Girasole I.G.T.Toscana Rosso Edoardo Sderci
ラ・カッシーナ・ジラソーレ I.G.T.トスカーナ・ロッソ エドアルド・スデルチ
【リーズナブルだけど本格派!ガイオーレの冷ややかでガッチリしたミネラリティ!上級クラスに劣らない仕上がりは外向的になって再登場です!】

イル・パラッツィーノの定番、リーズナブルなのに本格派なキャンティ・クラシコ風のラ・カッシーナ・ジラソーレも、こちらのエドアルド・スデルチさんがリリースするようになりました。サンジョヴェーゼ主体と言うことで、年によりカナイオーロをブレンドするスタイルかと感じます。
イル・パラッツィーノ時代は、非常に素晴らしい仕上がりであるものの、リリース直後はやや硬く、半年から1年掛けて徐々に飲みやすくなってくる・・と言う感じでした。
エドアルド・スデルチさんのスタイルとしますと、素晴らしい「アゼッロ」を飲まれて判ると思いますが、ドライながらも「リアリティのあるディテール」と、より柔らかく、時に「固く閉ざしてる感」の有った以前のラ・カッシーナ・ジラソーレの内向きのベクトルが、やや多めの果実の風味と外向的なベクトルが、より素直な美味しさを感じさせてくれます。
上級のD.O.C.G.のキャンティ・クラシコ・アルジェニーナにも劣らぬ風格と、より外向的になったスデルチさんのスタイルから、飲み手としては大歓迎!・・な味わいになっています。
しかも、
「下級クラスだから間違いなく小柄な味わい!」
とお考えかもしれませんか、全くそんな感覚にはなりませんで、しっかりとしたボディからの押し出し、ふわっと昇る赤黒い果実のアロマのスピードも速いですし膨らみます。結果的にとてもリーズナブル!・・と感じていただけるでしょうし、肉々しいお食事との相性も良く、決して負けることのないマリアージュをお楽しみいただけるでしょう。
良いポテンシャルを持ったデイリーです。是非飲んでみてください!定番のデイリー・・作者?変更です!
以下はイル・パラッツィーノ時代のこのワインのレヴューです。
━━━━━
【これはかなり良いんじゃない? 】 久しぶりのイル・パラッツィーノでしたが、いや、良かったです。キャンティ・クラシコシリーズはそれなりの価格でしたので、
「デイリーにはちょっとね..」
という方も多かったはずですが、この位の..2000円以下で飲めるのであればOKでしょう。
しっとりとした総体の印象を受けるサンジョヴェーゼです。濡れた赤紫の小果実が、決して強く自己主張することなく存在しています。タンニンの質の良さと伸びやかさ、引き際の美しさは色っぽいです。
もっとも、
「これぞイタリアワイン!果実味充分!濃度・凝縮度が2倍、3倍!」
みたいなワインじゃありません。ワビ、サビを知り、水彩画の世界。まあ、パステル画や油絵のような派手さはありません。しかし、薄墨の濃淡や作法の習得レベルによるお手前の違いのように、微細な部分での表現と、大胆ながらも唸ってしまいそうな構図の感性がそこにあります。
綺麗系のキャンティ・クラシコ..そう思っていただいても良いでしょう。飲んでみてください。超お奨めします
● 2016 Azzero I.G.T.Toscana Rosso Edoardo Sderci
アゼッロ I.G.T.トスカーナ・ロッソ エドアルド・スデルチ
【超純粋なサンジョヴェーゼのエキスそのものの味わいです!何んとチェリーっぽい!?そんなの飲んだこと有る?超限定の息子さんが造った無添加無清澄ワインです!】

ど~ですこの色?・・イル・パラッツィーノのキャンティ系のファンの方もいらっしゃるかと思いますが、こんな「赤中心」の鮮やかな色合いのワインじゃ無いですよね~?
もっとどっしりとしていて、やや黒味が多くて、少し熟成感の有る色合いでしょう?・・全く正反対なんですよ。それに感じられるフルーツは「チェリー」!・・それも、サンジョヴェーゼですよ。・・・有り得ん!・・などと思っちゃいました。
ピチピチと弾けるような新鮮な果実感、果皮の美味しさを存分に生かしたフレッシュな造りで、身体に入ってくる角度の優しさったら・・こんなの滅多に無いです。
そりゃぁね・・キャンティ・クラシコのグロッソ・サネーゼのような、滅茶複雑なニュアンスや、ガレストロを感じさせるようなミネラリティでは無いんです。
むしろロッソ・ディ・モンテプルチアーノのような若々しさを生かしたブルネッロ種・・のような印象のワインで、そこに「ビオ」の良い面だけをプラスして仕上げたようなニュアンスです。
つまりは、ブルネッロでも、ピノ・ノワールでも良いんですが、単一品種ならではの美味しさ、シームレスさ、一体感が有り、単一品種だからこその「しなやかな変化」が感じられるんですね。ブルゴーニュのピノ・ノワールの美味しさって、
「・・出て来るかな?・・まだかな・・出て来ないな・・」
みたいな、恋人と待ち合わせている時のウキウキした感じと、
「・・出て来ないじゃん・・」
みたいな不安な感じが入り混じったようなイメージで、出て来た時のその表情や複雑さ、美味しさも、そんなちょっと若い時のドキドキするような気持ちに似てない・・ことも・・無いような気もします。息子さんのエドアルドさんも、こんなしなやかでピュアなワインが造れるなんて、イル・パラッツィーノも安泰じゃないの?・・と思ってしまいました。
でもただし、超限定なんですよ。12本しか貰えず、しかも数ケースしか日本に入って来なかったそうで、見つけようと思ったら、
「無理!」
なワインのようです。
ワインの楽しさを素で教えてくれるような生き生きとした美味しさを持ったサンジョヴェーゼでした。お勧めします!お早めにどうぞ!
● 2012 Argenina Chianti Classico
キャンティ・クラシコ・アルジェニーナ
【赤黒果実の味幅も充分に感じられる冷ややかなキャンティです!】

久しぶりのアルジェニーナです。赤黒小果実が中重位のミネラルと一緒に感じられ、充分な味幅と、やや粒々したテクスチュア、しなやかな長めの余韻を感じさせてくれる美味しいキャンティ・クラシコです。noisyにとってはガイオーレと云う言葉の響きが、そのまんまイメージ出来る様なテクスチュアです。礫(れき)と云うか、滑らかではあるんですが、少し粒々感を含むと云うか・・まあ、感覚的なものです。それに、畑の高度、ワイン自体の持つ冷たさでしょうか・・。果実の種類の違いも、育まれた環境を表していると思います。暑さと寒さの両方が存在するのも影響しているのでしょう。
また、価格もかなり下がってきましたので・・お客様にとっても嬉しい状況では有ります。2009年頃はこのワインは、2千円台後半のご案内になってしまうため、しばらく見合わせることにしていました。・・だってね・・・2千円位でご案内していたデイリー系のワインを、そこまでは上げられないですからね。良い感じの特徴を持っているのは判っていたんですが、上級のラ・ピエーヴェのみに留めていました。
皆さんもお久しぶりかと思いますので、是非飲んでみてください。輪郭の歪んだコンディションの悪いキャンティ・クラシコでは味わえない、畑由来の複雑性とエレガンスが有ります。お奨めです!
以下は以前のコラムより転載しています。
━━━━━
【上級ワインのラ・ピエーヴェと比べてしまうと..やっぱり落ちますが、価格を見れば納得してしまうでしょう..】 只今リアルワインガイドの7号が届きましたので..そこから抜粋してみましょう..(^.~
ディテールが似ている上級のラ・ピエーヴェとは決して小さくは無い質の差が確実に有るのだが、より肉感的で艶めかしいのはテロワールの差だろうか。ミネラルに包まれたスミレ、口に入れた瞬間の「ほっ」とするクリアな甘みを始め、全てがのんびり出現しつつ開放されていつの間にか受容体を埋めている。小粒でスケール感には劣るものの、コテコテの果実味では味わい得ない滋味深さが安らぎの時を与えてくれるはずだ。原道郎(04年08月試飲)
今飲んで89 ポテンシャル90 飲み頃予想2005~2020
(有)寿スタジオ リアルワインガイド 第7号 より抜粋
まあ、自分で書いてる訳ですから、ホントもウソも無いですよね。まさにピュア系のワインです。上記のラ・ピエーヴェに比較すると、幾分日照が悪いようなイメージが有ります。タンニン・酸の質、果実味の量に現れてきます。しかし、この畑の良さは「艶っぽさ」にあるような気がしたんですね。
少々口内を収斂させる所が有りますが、若いゆえ..と思ってください。時間が解決するでしょう。定番でお馴染みのレ・コルティのキャンティのような、果実味・ボディで飲ませるタイプではなく、むしろピノ・ノワールのようなエレガンス、綺麗さで勝負の味わいです。着いたら充分休養を与え、是非とも大きめのグラスでゆっくり飲んでください。ご納得いただけると思います。
● 2013 Rosso del Palazzino
ロッソ・デル・パラッツィーノ I.G.T.
【サンジョヴェーゼのしなやかで 優しい味わいが秀逸です!】

中身は以前のカッシーナ・ジラソーレと同様です。、優しいしなやかな味わいがとても良いです。キャンティ・クラシコシリーズはそれなりの価格でしたので、
「デイリーにはちょっとね..」
という方も多かったはずですが、この位の..2000円以下で飲めるのであればOKでしょう。
しっとりとした総体の印象を受けるサンジョヴェーゼです。実際にはカナイオーロが少し入っているかと思いますが、濡れた赤紫の小果実が、決して強く自己主張することなく存在しています。タンニンの質の良さと伸びやかさ、引き際の美しさは色っぽいです。
もっとも、
「これぞイタリアワイン!果実味充分!濃度・凝縮度が2倍、3倍!」
みたいなワインじゃありません。ワビ、サビを知り、水彩画の世界。まあ、パステル画や油絵のような派手さはありません。しかし、薄墨の濃淡や作法の習得レベルによるお手前の違いのように、微細な部分での表現と、大胆ながらも唸ってしまいそうな構図の感性がそこにあります。
キャンティ・クラシコ・アルジェニーナと比べると、構成要素の複雑さや、そのバランスの素晴らしさからの外向性の豊かさは全く追い付きません。
でもサンジョヴェーゼの持つしなやかさや、サンジョヴェーゼそのものの美味しさ、シミジミさ、エレガントさを味わうならこちらのロッソ・デル・パラッツィーノになるでしょう。綺麗系のキャンティ・クラシコ..そう思っていただいても良いでしょう。飲んでみてください。超お奨めします。
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