【昨年11月頃にご紹介済みですが、再度テイスティングしてみました。よりバランスが取れて来て素晴らしいです!・・ジュラのサヴァニャン入門として以上のポテンシャル!】

昨年はもう・・いや、今年に入ってからもあまり変わっていませんが、
「・・もうこれ以上のテイスティングは無理!」
と言う状況が続いていまして・・特に2023年中は余りの量に困惑、日に4本も開けたことさえ在ったと記憶しています。
まぁ・・毎日のことですからね・・体力的にも大変です。
しかしながら・・そんなことを続けていると、美味しいワイン、早いけれどポテンシャルが凄いワイン、イマイチなワイン、ダメなワイン・・みたいな分類とは別に、
「飲んだ後が心地良いワイン」---「酔い心地が素晴らしいワイン」
と言う・・何とも飲んだ後の「ある種の軽さ」「酔いはするがキツくならない感覚」がするワインに出会うことが有ります。
このジェローム・アルヌーのワインもまた、そんな分類に入るワインでして、飲み始め~飲んでいる最中に感じる So2 の存在、その量も・・
「そのことをまるで頭から消し去ってしまうワイン」
でもあるんですね。
それでいて・・ポテンシャルは半端無いですから・・飲まれた方はきっと覚えているはずです。そしてきっと、
「飲む量さえコントロールするワイン?」
であるかもしれません。
ある種のポテンシャルの高いワインは、その味わいの素晴らしさを確かめるために、身体だけでは無く・・脳をかなり使用することになると感じています。意識せずにノーズから、味蕾から、眼からの情報を取ろうとして、相当な量の情報を気付かずに分析してしまうのかと・・。

ですから、結構に脳自体は使用されて疲れているのかもしれませんが、身体は滅茶軽く、結果として脳も・・
「凄く良い感じ!」
として受け取っているのかなぁ・・などと考えている訳です。
半年ちょっと経過して、まだ在庫が有るのに気付いてのご案内でして、また開けさせていただきましたが・・
「昨年のご紹介時よりもさらにバランスして伸びて来ている!」
と感じます。
サヴァニャンの素晴らしい粘性・・そしてそれらが創り出す柑橘果実や果実のニュアンスが、より低域に在る深くどっしりとしたシャルドネのベースにより、大きな構造として仕上がっているように感じます。
キレが良いのに良く粘り、思い切りドライなのに甘いとさえ感じさせるような「錯覚」を覚えさせるようにも感じますから、この少し「蜜柑色」の入った色彩から、様々な「蜜」の感覚を幻想させられる感じです。
いや・・素晴らしい!・・この価格でこのポテンシャルは・・もう絶対に他には存在しえないでしょう。もっとも、
「好きか嫌いか、慣れているかいないか」
でも受け取り方は代わります。
もし、ジュラのサヴァニャンの産膜が動いたワインに慣れていないようでしたら、
「・・これは悪くなっているワインではないんだ!」
とご自身に言い聞かせつつ・・口内でワインを磨り潰すようにして飲んでみてください。5~10分もしますと、それまでとは全く違った景色を見ていただくことが出来ると思います。
そして産膜系のサヴァニャンに慣れていらっしゃる方も、
「・・いや、この価格でこれは無いだろ!」
と・・余りのポテンシャルの高さに驚かれ、たっぷり楽しむことが出来るでしょう。
いや~・・ジェローム・アルヌー..
「あなたは天才!」
と・・讃えたいと思います。超お薦めです!
以下は以前にご紹介させていただいた、同じヴィンテージのこのワインのレヴューです。
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【産膜系酵母の動きを高質なシャルドネで伸ばした感じ?・・で、飲みやすさ、親しみやすさを目指したジュラワイン!・・濃密で美味いです!】
良いですね~・・ほのかな・・でも確実に存在する、
「産膜酵母由来のニュアンス」
が、濃密な味わいに実によく映えていて、ポテンシャルの高い食材にもバッチリ合いますし、単独で飲んでいても非常に楽しいです。
まぁ・・酸膜酵母由来の香りが嫌いな方には、
「・・何この・・セメダインみたいな匂い・・」
「・・青カビが滅茶入ったチーズみたい・・」
なんて思われてしまうかもしれませんが、noisy 的には・・
「・・ん~・・最初はちょっと違和感が有ったとしても、いずれ慣れて・・全く気にならなくなるんじゃないかなぁ・・」
とは思っています。
この産膜酵母ですが・・補酒をしないでいると大抵・・蒸発や漏れで減った樽の上部に、「白く膜を張ったように」なり、その影響で酸化が防止される・・と言うものなんですが、産膜が動くと独特のアロマが付くんですね。ヴァン・ジョーヌやシャトー・シャロンなど・・です。シェリーっぽいのですぐ判ると思います。
あの、梅干しに稀についている白っぽいのも産膜のようですし・・まぁ・・白菜漬けなどでも白っぽいのが浮いたりするのをご存じじゃないでしょうか。白菜漬けの、あの白く浮かんでいるもの産膜だとは確かめた訳ではありませんが・・。子供の頃に、祖母が白菜を漬けるのを手伝っていまして、子供心ながらに・・
「(・・なんでこんなに酸っぱい古漬け..美味しそうに食べれるんだろう・・)」
と・・春を迎えて酸っぱくなった白菜漬けより、ちょっと漬かった位の若い方がまだ美味しいと思っていたんですね。流石に今は・・そんなことは無いですけど。

少し濃く、ほんのり酸化した色彩をしています。テクニカルを見ますと、
「サヴァニャンは小樽、シャルドネはフードルと呼ばれる大樽で2年半熟成。サヴァニャンは補酒せず。」
と有ります。
サヴァニャンはバリックで減った分を補酒せず、産膜酵母を動かしているようです。シャルドネは大樽ですから、仮に産膜酵母が動いたとしても・・大きな容量ですから、あまりその影響を強く受けることは無いでしょう。
ですので、
「産膜酵母が動いたサヴァニャン20%に、その影響の無い(少ない)綺麗な?シャルドネ80%をブレンド」
した感じだと思うんですね。テイスティングの印象も全くそのようなもので、
「ほんのりと産膜由来のニュアンスを持った濃密な白ワイン」
だと感じました。
そしてマリアージュは結構に幅広く、軽やかさも有りますからフルに産膜を付けたワイン以上に懐が深いと感じます。是非飲んでみてください。お勧めします!