
1985年のこのV.V.がとっても美味しかったのと、非常にリーズナブルだったので、1986年も仕入れちゃいました。1985年V.V.はさすがにもうドメーヌには無くなったか、プライベートストックに回したか判りませんが、オファーが有りませんでした。一応前回のコラムも掲載しておきますので、検討材料にされてください。
写真と言うのは恐ろしいもので、こんなに簡単に比較できてしまうんですね。ワインの色合い、見た目と言うのは味わいを実直に表現してしまいますから、色のニュアンスを見ただけでも有る程度の味わいを想像できます。
しかも、このように3つ写真が並んじゃいますとね・・。やはり濃いのは1985年のV.V.ですね。粘土質な感じが出てます。1989年のキュヴェ・デュ・ドメーヌはより明るくサラリとした感じも見えて・・気の性かもしれませんが・・砂質な感じですよね。
で、1986年のV.V.ですが、1989年キュヴェ・デュ・ドメーヌよりは濃いものの、同じようにサラリとした明るいガラスティックな感じを持ち、また、1985年V.V.の、少しネットリとした粘土のニュアンスが混じる・・みたいに見えないでしょうか?
飲んだ感じがですね・・これまた上記で書いたような、正に絵に描いた餅・・もとい、絵に書いたのと同じように感じられてしまうから不思議なんですよ。ちょうど1985V.V.と1986キュヴェ・デュ・ドメーヌの中間的な立ち位置そのまんまが感じられるんですね。
これは推測に過ぎませんが、1986年V.V.は、斜面の粘土質のレ・コトーと、他の砂質の2つの畑の同比率のブレンドじゃないかな・・と思います。
品温は16度位で飲まれるのがベストでしょう。それ以下だとサラッとします。セラーの温度から品温が少し上がってくると、香りも味わいも俄然元気になってきます。力技な抽出はしていませんので、疲れるタイプでは無く、綺麗に出たエキスが美味しいワインです。
先だってのご案内でもそうでしたが、noisy が「青っぽく無い」と感じるのと、ある方が「青っぽい」と感じるのがイコールの場合が有るようです。・・まぁ、そりゃぁそうです・・人それぞれ、感覚が違うんですから・・。
しかしながら、特にフランの青っぽさと言うのは、品温が低過ぎると余計に感じ易いんですね。ブルゴーニュワインの低温からの味わいの延びに慣れてしまうと、ついつい・・低い温度で飲んでしまう場合が多くなります。やはりボルドー系の良い赤ワインを13~14度では決して飲まないように、このようにリーズナブルなワインでも、しっかり適温で飲んであげたいですよね。
リーズナブルで美味しいロワールです。是非・・ご検討くださいませ!
以下は前回ご紹介時のものです。
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いや~・・こうゆうご紹介をやりたいんですよね~。・・だって・・面白いじゃないですか!・・
「サン・ニコラ・・何?ブルグイユって・・ブルゴーニュじゃないの?」
とおっしゃる方も多いかもしれませんが、ブルゴーニュじゃありませんよ。ロワール中流、「シノン」は有名かもしれませんが、その反対側の北側にあるのが「ブルグイユ」で、そこの一部が「サン・ニコラ・ド・ブルグイユ」です。白で有名な「ヴーヴレ」よりやや下流になりますが・・近所です。
で、勿論ですが・・品種はカベルネ・フランです。フランと言うと・・
「・・え~!・・青臭いの・・やだ~!」
と「一つ覚え的」な反応になっちゃいますが、少なくとも今回ご紹介のこの古酒には、そんな「ピーマン香」のような・・もしくは「ベジタブル」的なものは有りませんのでご安心を。
89年が「キュヴェ・デュ・ドメーヌ」、85年が「ヴィエイユ・ヴィーニュ」で、85年の方が価格が安く・・
「・・間違って無いか~?」
と思って伝票をチェックしても間違いじゃない・・
「・・ん~・・ここんちは確かV.V.が特醸ものだったはずなんだけど・・」

とは思ったものの、89年も非常に面白いので・・
「・・ま、いっか~!」
と言う軽いノリでそのまんまです。
まず、色合いを見てください。結構違うでしょ?・・89年も85年も、マイケル・ブロードベントさん的には4つ星で、とても良いヴィンテージです。
89年は明るく赤く、エッジにやや褐色が出ています。やや軽そうな感じがするんじゃないかと思います。
85年は紫と言うか、わずかに黒味が入ると言うか・・少し重めな印象を受けるかもしれません。
85年のV.V.は、ある意味・・ですが、非常にブルゴーニュワインに慣れた皆さんにはお勧めな味わいで、ナトリウム分が多い、また熟成によってほんのりと甘みが加わっています。複雑性も有り、重量感も有り、甘みも有り、華やかさも有り、それでいて、まだまだ熟成を続けられるポテンシャルも持っています。普通に飲んで・・旨いです!・・ちょっとピノ的です。
ところが89年のキュヴェ・デュ・ドメーヌは全く性格が違います。やや軽めでフラワリーなアロマ、少し熟して来ていますがまだまだ若いです。
こちらはとても「カベルネ的」で、華やかなんですが・・
「・・これは下手に飲むと・・???になってしまうかな?」
と言うような危険性?・・も、はらんでいるかもしれません。それは・・
「品温」
です。
ブルゴーニュワインに慣れた方々、もしくは、昨今の濃いボルドー・・もしくは右岸的メルロ、フランのワインに慣れた方々は、どうしても
「低い温度で飲み過ぎる傾向にある」
んです・・お気付きじゃないかもしれませんが、実際、ほとんどの方が15~16度くらいで飲んでいるはずです。
この1989年のサン・ニコラ・ド・ブルゴーニュは、どちらかと言うと、
「古典的なクラレット的」
な味わいをしていまして、低い温度で飲んでしまうと・・
「味も素っ気も無い・・むしろバランス悪いし香りも弱い」
結果になってしまうんですよ。ナトリウム的なミネラル感では無く、カリウム的な「カリカリっとした軽めのミネラル感」なんですね・・。そして土地の味わいでも有るのでしょう。このブルグイユは大きく分けて3タイプの畑が有り、ロワール河沿いの砂質のラ・ヴァレ、粗い砂、砂利土のラ・テラス、石灰系粘土質で斜度の強い土地のレ・コトー・・・。つまり・・おそらくですが、89年はラ・ヴァレもしくはラ・テラス、もしくはそのブレンドで有って、85V.V.はレ・コトーなんですね~・・。おそらくですよ・・おそらく。なので、89年はちょっとボルドー左岸的なニュアンスなんでしょう。それを低い温度で飲んじゃうとどうしても厳しさが出てしまうのかと。
ところがですね・・これを17~18度位に上げてあげると、俄然、旨くなっちゃうんですね~。めちゃフラワリーな、ややハイトーンでエレガントな香りがふわ~っと出てきて、ボディも適度な膨らみ・・そして、単調だった味わいが複雑性を持ってくるんです。たった2~3度と思う無かれ!・・全然違うワインになってしまうと思います。
状況によっては「デキャンタ」を使うと良いかもしれませんね。開かせる意味だけじゃなくて、品温アップのためです。これをして飲むと、このワインのポテンシャルをしっかり楽しめるんじゃ無いかと思います。
ブルゴーニュ的な85年、古典的ボルドー的な89年・・と単純にしてしまっても良いかと思います。それを四半世紀過ぎたワインで比較できるとは・・中々の趣向じゃ無いかと!・・追加は出来ませんが・・是非、ご検討くださいませ!