● ジュリア・バートラム改めバートラム・バルテスのご案内です。
2016~2017年ヴィンテージ以来、入荷が途絶えていました。どうしたのかな・・と思っていましたら、なんと・・洪水で醸造所が流されてしまった!・・とのこと・・。恐ろしいですね・・昨今は日本でも同様の異常気象が災害を引き起こしていますが、命有っての物種ですから・・。
ですが不幸中の幸いで、川沿いに有った醸造所は流され、リリース前のワインもダメになってしまったそうですが、高所にある畑は無事で・・それで何とか今回の2021~2022年ものが入って来たようです。
数量は微々たるものですが、伸びの良い・・エレガントなドイツ最北のピノ・ノワールをご紹介出来ることになりました。
なおジュリア曰く、
「まだ還元状態なので少し置いてください。」
とのこと。
確かにやや硬めでほんの僅かに還元的な感じですが、飲めなくはないです。エレガントで美味しくいただけますが、
「早いうちに飲むなら上級キュヴェから」
飲む方が、柔らかさと表情が増し美味いです。ご検討くださいませ。
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今、世界中で注目が集まっているドイツの若手生産者が3人いる・・と言われていますが、それは、前回のご紹介時に、
「在庫の数が入っているのを見たことが無いです・・」
とまで言われてしまいましたが・・(^^;; 高質で度肝を抜かれた「ヴァーゼンハウス」と、
そして、超エレガント系の「ウント・モル」
で、今回ご紹介できることになった「ジュリア・バートラム」です。

ドイツの西側の最も北寄りの産地、「アール」は、昔からドイツでは珍しい「赤ワインの産地」として有名です。マリエンターラー・クロスターガルテンと言う、ドイツでは超高級、高格付けの畑が有ります。ジュリア・バートラムと同じ、デルナウに有る畑で、ワイナリーは直線距離でも1.5KM ほどの距離です。
ライン川の支流であるアール川沿いに有り、かなり傾斜の有る畑のようです。
緯度的にはかなり北に有りまして、シャンパーニュで有名な「ランス」よりずっと北です。まぁ、パリとロンドンの中間からロンドン寄りの緯度・・ですので、フランスワインにおける「緯度感覚」だと変わり辛いかもしれません。
しかしながら、今回初めてジュリア・バートラムの2016年~2017年ものを飲ませていただきましたが、
「・・・なるほど~・・注目を集める理由もちゃんとある・・ってこと!」
が理解出来ました。
今回は村名格2アイテムとリージョナル1アイテムの計3アイテムですが、
「村名格2アイテムはブルゴーニュの村名格、もしくはそれ以上に匹敵!」
する実力を感じました。
そして、そのうちの「アールヴァイラー」の緻密で見事なエレガンス、「デルナウアー」の持つ非常に複雑な鉱物系ミネラリティ由来の表情に圧倒されました。
「・・こりゃあ・・一推しでお勧めするでべき!」
と決心した次第です。
しかも価格もまだリーズナブルです。是非コラムをお読みになり、必ず飲まれてみてください。素晴らしいです!

ジュリア・バートラムは、1989 年生まれ。アール地方の巨匠マイヤー・ネーケルの下で数年間研鑽。平?して、ガイゼンハイム大学でブドウ栽培と醸造学を修めました。その後、第64代ドイツワインクイーンに選出され、2011 年から2012 年までの一年間、ドイツワイン大使として世界各国を訪れてドイツワインのプロモーション活動に携わりました。そして、2013 年に家族から譲り受けた僅か1.3 ヘクタールの畑を元に?身のワイナリーを設立。2014 ヴィンテージから?身の名義で本格的にワイン造りをスタートさせました。ジュリアはアール地方で100 年続くワイナリーの家系で、ジュリアは5 代目になります。ドメーヌの本拠があるのはデルナウで、所有畑はマイショスからバート・ノイェンアールにかけての5つの村に28 の小さな区画に分かれて点在しています。古木のブドウ木が多く、平均樹齢は30 年です。現在の栽培面積は3.5ha で、ピノ・ノワールのみ(シュペートブルグンダーと早熟のブリューブルグンダー)を栽培しているマイクロ・ワイナリーです。今後、家族から少しずつ畑を継承してゆき、将来的には6.5ha の畑でワイン造りを?う予定です。初ヴィンテージのリリースから3 年余りのワイナリーですが、ジュリアのワインは、既にアメリカ、イタリア、スウェーデン、デンマーク、オランダ、スイスに輸出され始め、欧米のワイン業界やワイン愛好家の間で大評判になっています。また、ドイツで最も権威あるワイン評価誌『ゴーミョー』も3 房に格付けするなど、今大きな注目を集めている新進気鋭のワイナリーです。

ドメーヌの畑では除草剤や殺虫剤は一切使用していません。認証は受けていませんが、ビオロジックによる栽培を?っています。畑の植物多様性の維持とブドウとの競合を促すために畝の間にはカバークロップを生やしています。来年からは羊を放牧して雑草駆除を?うことを計画しています。ビオディナミについても現在導?に向けての研究をしているところです。畑の植樹比率は6?7.000 本。剪定方法はギヨ式です。急斜面であるため栽培作業の全てが手作業で?われます。ジュリアは、テロワールを表現した明確でニュアンスのあるワインを目指し、古木のブドウ、低収量、手摘みによるソフトで優しい収穫、過熟ではなく成熟のピークでの摘み取り、野生酵?による醸造、ポンプを使わず重?を利用して果汁とワインに負荷を掛けない醸造、樽の風味をワインに付けない熟成、無清澄による瓶詰めなど、出来る限り?然で最低限の介?によるワイン造りを?っています。ジュリアはワインの90%の品質は畑で造られ、醸造とはブドウが持っているエレガントさと複雑さを最良の方法で表現することだと考えています。ワインとはテロワールとその年一年の天候と畑での仕事の成果であり、ジュリア?身の個性がワインに投影されると考えています。また、?身のワインには、アール渓谷のテロワール、特にスレート土壌に由来する、独特なスタイルが備わっていると考えています。ジュリアのワインは、花のように非常に上品な香りとミネラルを感じさせるエレガントさ、フレッシュでジューシーな口中、酸と旨味に引き立てられた官能性、そして熟成のポテンシャルを備えているのが特徴です。
ヴィンテージについて、ジュリア自身のコメント
2017年
2017 年の3 月は比較的暖かく、ブドウは非常に早く休眠から目覚めました。4 月末には非常に寒い夜がありましたが、幸いなことに霜の被害を受けたのはごく僅かな場所だけでした。春から初夏にかけて寒さが続き、一時的にブドウの生育が止まりましたが、その後、ブドウは急速に成?しました。暑い日が続き、?分な雨もあったため、収穫は非常に早くなり、フリューブルグンダーの収穫は8 月に始まりました。これは史上最も早い収穫でした。そして10月3 日にシュペートブルグンダーの最後の収穫を終えました。総体的に2017 年は優れた熟成のポテンシャルを備えた非常にエレガントなヴィンテージです。
2016年
ブドウの生育期に雨が多く、非常にストレスを感じました。しかし、8 月下旬から10 月下旬にかけては、日中は晴れて暑く、夜間は気温が下がり雨もなく、理想的な天候が続きました。これらの天候条件はシュペートブルグンダーにとっては理想的で、アロマは新鮮さと酸を失うことなく素晴らしく発達しました。
【初の入荷です!ピノ・ノワールをブラン・ド・ノワール的に仕上げた激繊細な白じゃなくてロゼ!・・これはちょっと面白いです!先が楽しみ!】

美しいピンクのロゼ・・は、ピノ・ノワールを圧搾した時のもの・・素晴らしいですね。
結構にハッキリとした美しい色彩です。ショッキングピンクよりも明るい「ドピンク」?・・じゃなくて、やはりこれは、
「ルビー」
と言うべきなのかな・・と思っています。
ジュリア本人が言ってますが、
「やや還元的なので少し休めてから飲んで」
とのこと、なるほど・・まだ少し硬めです。
でもアルコール分が10%なので、この還元的な部分が引いて来れば一気に膨らんでくるんじゃないかと思います。現状はフレッシュな苺、赤い花、ドライなチェリーのニュアンスで若干膨らみ切らない感じが有ります。
Noisy wine でも、時折ですが・・ピノ・ノワールに限らず、高いワインに限らず、何故か十数年も残っていたとかは有るんですね。5~6年経過したデイリーワインなんぞも有りますし、ボージョレ・ヌーヴォーの古いものなども有ります。

お店にいらっしゃって・・何か面白いもの無いかなぁ・・などと言われますと、少し探してみてそのような古いものをお出ししたりする訳ですね。
人によりましては稀に顔をちょっとしかめるような感じに取れる方もおられますが、まぁ~・・ワインファンはその辺は全く大丈夫な方が多く、嬉々として・・
「・・おっ・・いいね~・・」
と・・。
しかもそういうのは価格も滅茶安いですからね・・。
で、しばらくしてまたご来店され、
「いや~・・旨かった・・ビックリした!」
と言われるのがほとんどでして・・
「・・あれ、ダメだったよ・・」
と言うパターンはまず無いんです。
もう・・2000年以前のA.C.ブルとかパスグラなんて有ったら・・最高なんですね~・・売らずにnoisy が飲みたい位です。
この美しい照りの有る見事な色彩のブラン・ド・ノワール的ロゼを、20年も放置して・・この美しい色彩がくすんで壊れ、崩壊寸前になったら・・いや、そうしたい!・・とさえ思えてしまいますが、それはきっともう・・格別な美味しさを見せると思います。
ただし!・・スクリューですので、このワインの飲み方はちょっと難しいかもしれません。20年後のためにどうされるか?・・と言いますと、立てておいて澱を下げ、クスリューを開けたら一口だけ飲み・・そこからしばらく放置。どの位かは判りませんが、急激な酸化に見舞われた古いワインは、酸素を吸収しつつ・・高い芳香を出し始める瞬間が有ると思います。そこから飲み進めるのが良いかと・・思います。まぁ・・コルクだったら待たなくて良いと思いますが・・。
北限のシュペートブルグンダー、ブラン・ド・ノワール的ロゼです。ご検討くださいませ。
【滅茶エレガントでややフレッシュ系?・・少し休ませると激変すると思います!】

入荷は3本のみ・・です。でも4年ぶりの入荷で気になって仕方が無かったので・・
「・・開けるか・・(T.T)」
と意を決して開けてみました。
ジュリア本人が、
「少し還元的な仕上がりなので、少し待ってから飲んでね・・」
と言うような意見付きで入荷したようなんですね。
確かにやや還元的で・・まぁ・・スクリューキャップであることも有ると思いますが、還元臭とまでは行かず・・すぐ飲めないことも無いです。
ですがややタイトで締まり気味ですから、助言通り・・飲むのを少し先送りしていただいた方が良いかもしれません。

何せ・・激・・激繊細・・です。「す~~っ」と入って来ます・・穏やかです。
ですが、「薄い」とは思えないんですよね・・不思議なことに10.5度の液体の、グラスの涙をご覧ください。
・・なのでエキスは濃い・・色彩は2017年ものよりも淡い・・(^^;; そして明るいです。
2本しかないので何とも言い辛いですが、これは少し放置気味に置いておく方が面白い結果になると思います。むしろ上級キュヴェのデルナウアーの方が先に美味しくなると思います。
また・・何故か今回、アールヴァイラー2021のリリースは有ったはずなんですが・・Noisy wine には割り当てが無く、またデルナウアーの格付けの畑ものも有るはずなんですが・・入りませんでした・・残念です。
激激繊細な静かでしなやかな表情を超ドライなエキスから感じさせてくれるピノ・ノワールです。毎日、花に水を与えるように育成して・・半年ほど先から飲んでみてください。非常に少ないです。
以下は以前のレヴューです。
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【唯一の2017年ものは軽量タイプ!新鮮なベリーの香るエレガント系・・では有りますが、時間が経つとこれも素晴らしいです!】
抜栓直後はMC系のアロマの漂う、まさに自然派系のワインの表情を見せます。軽めですがアロマのスピードが速く、キツさの無い柔らかなノーズです。
さすがに1年早い収穫の2016年もの村名クラスの成長ぶりとは比較になりませんが、飲み進めて行くと・・そう、20分ほど経過した頃からでしょうか、赤いベリー的な果実がいつの間にか落ち着いた色合いのプラムっぽくなってくると、味わいもしっとりと落ち着き、ボディに膨らみが出て来ます。
非常にドライですが旨味の有る酸と、やや小ぶりなボディだった当初のニュアンスは、「・・ん・?だいぶ・・変わったぞ?」と感じさせて来ます。
「ハンドウェーク」と有りますが、「手芸」「手作り」と言うような意味でしょう。造り方は上級キュヴェと同様のようですよ。畑、葡萄、そのセレクションが違うだけでしょう。ポテンシャル的に上級キュヴェとの違いは、やや若い葡萄が多いのかな?・・と言う位です。あとは2017年と言う、1年の違いでしょう。
それにしても25年ほど前のマリエンターラーでも、こんなに「濃い色」は無かったですよ。何年ものだったか忘れてしまいましたが、とあるテイスティング会でクロスターガルテンが有って、飲ませてもらったんですが、かなり濃い色になっていて・・
「えっ?これ。、マリエンターラーなの?」
と、思わず聞き返してしまったことを思い出しました。著名なワインで、その時は非常に色合いは濃く、しかし少し無理に抽出している感じがして、余り気を惹かれることは無かったです。むしろ、四半世紀前に飲んだ、驚くほど淡い色のクロスターガルテンのチャーミングな美味しさの方が記憶に残っています。
そこから言いますと、この色合いは奇跡のようにも思えてしまいます。温暖化の影響なのでしょうか・・
まぁ、ランスよりも緯度的にずっと北で、むしろロンドンが近い位の土地ですから・・日本の最北端よりもずっと北で、樺太のど真ん中位の緯度です。想像しただけでも相当に「寒い」はずですが、永久凍土がどんどん溶け出し、古代に絶滅した細菌まで復活しているかも・・などと言う話しを聞くと怖いです。
「飲むには少し早い」と言うのは、ポテンシャルから見た観点からのものです。「今飲んで美味しい」のも事実でして、その際は、「軽量級でエレガント、少しフレッシュ」と言うことになります。1年ほど寝かせますと、良い感じにボディが膨れてくるはずで、その際には、「軽・中量級でエレガントで滑らか」なワインになっているはずです。
ジュリア・バートラム。この名前は覚えておいてください。最北の地の非常に旨いピノ・ノワールです。ご検討くださいませ。
【小粒の果皮由来の深い煙のアロマが鼻をくすぐりつつ、エレガントなチェリーのニュアンスと冷ややかさが優しく伝わって来ます!今すぐ飲むならこのワイン!】

旨いです!2016年もの・・もう5ヴィンテージも前の話しになりますが、その時も北限のエレガントなシュペートブルグンダーの美味しさを見事に表現していました。
ですが・・5年の樹齢増だけでも・・相当な影響を与えているのでしょう。非常に深く、ブルゴーニュのピノ・ノワール、ピノ・ファン的な高質なアロマと、赤黒いベリー、チェリーの入り混じったニュアンスが、何とも官能感に近いものさえ感じさせてくれます。
ただし・・あくまでその訴えは穏やかでしなやかです。しかも時間で少しずつ表情を変えて行きます。noisy 的には・・
「・・なんだよ・・ブルゴーニュよりもブルゴーニュっぽいじゃん・・」
と言うような気持ちになってしまいました。
そりゃぁ・・そうなんでしょう。アルコール分は11.5%です。激・・エレガントな表情です。
アルコール分が高いと、そのボリュームの影に表情が閉じこもりがちに感じられます。逆に低いと、繊細な表情になりますから・・楽しんでいる方としては固まっている要素を分離して感じやすくなると思うんですね。

ですから、しっとりしなやかでいて、でも繊細な糸をほぐしたかのように、その1本1本の色彩が穏やかに感じられる訳です。
ジュリア本人は、
「まだ少し還元的なので、充分休めて・・」
と言うことでした。
このワインにつきましては今飲んでも繊細な味わいが心に響くと思います。
まぁ・・前にも書かせていただきましたが、この「アール」の土地は緯度的に・・
「フランスとイギリスの間のドーバー海峡とほど同じ」
位です。
ですから、シャンパーニュどころの話しじゃ無いんですね。非常に寒い地域です。その昔は・・いや、これも何度も書いてますが、
「ドイツの赤ワインだと言われて注がれたら色が無かった」
のでビックリした訳です。
この深い色彩とアルコール分の低さが生む、むしろ昔のブルゴーニュワイン的なエレガンスを是非感じてみてください。お勧めします!
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【鉱物系ミネラリティ由来の多彩な表情が見え隠れする高質な村名ピノ・ノワール!】
まぁ、余りにアールヴァイラーの現在のバランスが素晴らしいので、こちらのデルナウアーが二番目の推しになってしまったのは残念では有るんですが、
「実はポテンシャルはアールヴァイラーより確実に上!」
で有って、パワフルさもアールヴァイラーをしのぐと感じています。・・まぁ、そうは言っても超絶にエレガントな味わいです。昨今は強いピノ・ノワールしかないブルゴーニュワインと比べれば・・です。2009年のブルゴーニュ・ピノ・ノワールの中には「14.5度」なんて表示したあったワインも有りました。
「強い性格の女性は・・ちょっと・・」
などと、ひ弱なnoisy は思ってしまいますが・・いや、ワインはちゃんと判断しますけど。
色合いも美しいでしょう?・・美味しそうな色・・です。性格的にはアールヴァイラーが全方位外交の「ヴォーヌ=ロマネ・タイプ」とするなら、こちらは鉄分の豊富な、そして少し重量感のある「ジュヴレ=シャンベルタン・タイプ」です。しかも非常にエレガントです。
鉱物的要素を多分に持ち、それ由来のアロマが実に多彩でエロティックです。ポテンシャル的にはアールヴァイラーを凌ぎますが、現状はそのミネラリティが表わすはずのアロマと味わいが限定的なんですね。完全開放にはもう少し時間が掛かる・・と思ってください。ただし、現状でも美味しく飲めますよ。とてもドライで残糖的な甘みは皆無。酸のバランスの良さと旨味の有る酸形成がちゃんと出来ています。
また、到着してバランスするのに時間のかかったヴァーゼンハウスよりも判りやすいのも事実。そして、注目の3生産者の一人、「ウント・モル」の淡く超絶にエレガントな味わいだが焦点がややボヤケ気味・・な感じは、余りブルゴーニュ的では無いと感じていますが、バートラムはしっかり中心に焦点が有ります。
これ、この位の価格だったら・・みんなブルゴーニュを買わないでこっちに来ちゃうんじゃないか?・・などと危惧してしまうほどの仕上がりです。
ジュリア・バートラム・・・素晴らしいです!是非このデルナウアー、少し休めつつ飲んでみてください。ジュリア・バートラムは一推しですが、こちらは少しだけ待つ分、二推しです!
【鉱物系ミネラリティ由来の多彩な表情が見え隠れする高質な村名ピノ・ノワール!】

まぁ、余りにアールヴァイラーの現在のバランスが素晴らしいので、こちらのデルナウアーが二番目の推しになってしまったのは残念では有るんですが、
「実はポテンシャルはアールヴァイラーより確実に上!」
で有って、パワフルさもアールヴァイラーをしのぐと感じています。・・まぁ、そうは言っても超絶にエレガントな味わいです。昨今は強いピノ・ノワールしかないブルゴーニュワインと比べれば・・です。2009年のブルゴーニュ・ピノ・ノワールの中には「14.5度」なんて表示したあったワインも有りました。
「強い性格の女性は・・ちょっと・・」
などと、ひ弱なnoisy は思ってしまいますが・・いや、ワインはちゃんと判断しますけど。
色合いも美しいでしょう?・・美味しそうな色・・です。性格的にはアールヴァイラーが全方位外交の「ヴォーヌ=ロマネ・タイプ」とするなら、こちらは鉄分の豊富な、そして少し重量感のある「ジュヴレ=シャンベルタン・タイプ」です。しかも非常にエレガントです。
鉱物的要素を多分に持ち、それ由来のアロマが実に多彩でエロティックです。ポテンシャル的にはアールヴァイラーを凌ぎますが、現状はそのミネラリティが表わすはずのアロマと味わいが限定的なんですね。完全開放にはもう少し時間が掛かる・・と思ってください。ただし、現状でも美味しく飲めますよ。とてもドライで残糖的な甘みは皆無。酸のバランスの良さと旨味の有る酸形成がちゃんと出来ています。
また、到着してバランスするのに時間のかかったヴァーゼンハウスよりも判りやすいのも事実。そして、注目の3生産者の一人、「ウント・モル」の淡く超絶にエレガントな味わいだが焦点がややボヤケ気味・・な感じは、余りブルゴーニュ的では無いと感じていますが、バートラムはしっかり中心に焦点が有ります。
これ、この位の価格だったら・・みんなブルゴーニュを買わないでこっちに来ちゃうんじゃないか?・・などと危惧してしまうほどの仕上がりです。
ジュリア・バートラム・・・素晴らしいです!是非このデルナウアー、少し休めつつ飲んでみてください。ジュリア・バートラムは一推しですが、こちらは少しだけ待つ分、二推しです!
【圧巻の見事なバランス!ピノ・ノワールの持つエレガントな姿をきめ細やかに感じさせてくれます!一推し!】

今回到着したジュリア・バートラムのキュヴェでは、最も現在のバランスが取れているアイテムです。アールヴァイラーのシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)です。
いや~・・何とも・・色っぽい姿をしています。そして色っぽいのにいやらしさの無いアロマです。濃くはなく、薄くもない・・「ど真ん中」な色合いで有り、まさにブルゴーニュワイン的なエレガンスと表情を持っています。
まぁ、ドイツでマリエンターラーと言ったら高級なピノ・ノワールワインが想像されますよね。
かの「マリエンターラー・クロスターガルテン」も、大昔は滅茶苦茶に色が淡かったです・・ホント、
「これって・・赤なの?」
と、本当に訊ねたことも有ります。本当に時折・・、「天候に恵まれた時に色が付く」と言う感じで、
「ドイツのピノって、こんなに小さいんだ・・」
と思ったのを覚えています。昨今は全然そんなことはないですけどね。
で、誤解を恐れずに言ってしまえば、「ヴォーヌ=ロマネ」的なバランスです。敢えて言いますが、ブルゴーニュ的な強さまでは有りませんが、
「1990年以前のブルゴーニュワインが持っていた強さとほぼ同等の強さ」
と言う意味です。昨今のブルゴーニュ・ピノ・ノワールは味わい的にとても強いですから・・。
と言うことはですね・・むしろ、noisy 的には非常に好ましいと感じている訳ですよ。美味しいブルゴーニュ・ピノ・ノワールはとても増えました。でも、性格的にも非常に強くなったのも事実です。エレガントだとは言いながらも、比較対象となるのが自分自身であるブルゴーニュ・ピノ・ノワールの各畑しか無かった訳ですから。その他はもっと強い性格ですし。
しかし、
「ブルゴーニュ・ピノ・ノワールが失ってしまったエレガンスが、このアールの村名ワインが見せてくれたら?・・」
とお考え下さい。
例えば、ブルゴーニュのピノ・ノワールは、13.0~13.5度のアルコール分を持っていることが多いです。高い方がボディ感が有ります。こちらのジュリア・バートラムの村名格ワインは12.0度です。1度も低いんですね。
なので、「押し出し」「味乗り」「ボディ感」は強く無いがその分、「エレガント」なんですね。エレガントであるワインは、表情が見えやすい・・ストレートに出て来ます。言ってしまえば「ひ弱」なので、素性が見えやすい・・そして、何らかの外的な要素にも弱い訳です。ボトルを振り回してから開けたのでは、まさに、
「荒れてばらけた味わい」
になります。
しかし、ちゃんと飲んであげると、美しく繊細な表情が感じられるわけです。
また、これは飲むタイミングの話しですが、ヴァーゼンハウスをご紹介させていただいたときは、まだワインが落ち着いていませんでした。日本に到着して余り休めていない状況だったんですね。なので、
「届いてすぐに開けた方は、今一つピンと来ない味わい」
と思われたかもしれません。エレガント系、アルコール分が低い系のワインには良くある話しです。
でも、2カ月ほど休養させられた方は、ビックリするほど美味しくいただけたと思うんですね。
ある意味、現在のこのジュリア・バートラムのアールヴァイラーのタイミングは、とても良いです。ものすごく伝わって来ます。ヴォーヌ=ロマネ的な繊細なアロマには温かみと皮革、スパイスが混じり、プラム系の果実が香ります。強く無いがちゃんと膨らんでくれる中域がまろやかで、余韻も繊細で実に長い!非常にドライなのに旨味を持った美しい酸バランスが見事です。
そして、価格も非常にリーズナブルです!
緻密で判りやすい、タイミング的にも良いアールヴァイラーと、非常に複雑で高質ながらタイミング的には少し早いデルナウアーと思ってください。
とにかくこの1本、是非飲んでみてください。超一推しです!
【唯一の2017年ものは軽量タイプ!新鮮なベリーの香るエレガント系・・では有りますが、時間が経つとこれも素晴らしいです!】

抜栓直後はMC系のアロマの漂う、まさに自然派系のワインの表情を見せます。軽めですがアロマのスピードが速く、キツさの無い柔らかなノーズです。
さすがに1年早い収穫の2016年もの村名クラスの成長ぶりとは比較になりませんが、飲み進めて行くと・・そう、20分ほど経過した頃からでしょうか、赤いベリー的な果実がいつの間にか落ち着いた色合いのプラムっぽくなってくると、味わいもしっとりと落ち着き、ボディに膨らみが出て来ます。
非常にドライですが旨味の有る酸と、やや小ぶりなボディだった当初のニュアンスは、「・・ん・?だいぶ・・変わったぞ?」と感じさせて来ます。
「ハンドウェーク」と有りますが、「手芸」「手作り」と言うような意味でしょう。造り方は上級キュヴェと同様のようですよ。畑、葡萄、そのセレクションが違うだけでしょう。ポテンシャル的に上級キュヴェとの違いは、やや若い葡萄が多いのかな?・・と言う位です。あとは2017年と言う、1年の違いでしょう。
それにしても25年ほど前のマリエンターラーでも、こんなに「濃い色」は無かったですよ。何年ものだったか忘れてしまいましたが、とあるテイスティング会でクロスターガルテンが有って、飲ませてもらったんですが、かなり濃い色になっていて・・
「えっ?これ。、マリエンターラーなの?」
と、思わず聞き返してしまったことを思い出しました。著名なワインで、その時は非常に色合いは濃く、しかし少し無理に抽出している感じがして、余り気を惹かれることは無かったです。むしろ、四半世紀前に飲んだ、驚くほど淡い色のクロスターガルテンのチャーミングな美味しさの方が記憶に残っています。
そこから言いますと、この色合いは奇跡のようにも思えてしまいます。温暖化の影響なのでしょうか・・
まぁ、ランスよりも緯度的にずっと北で、むしろロンドンが近い位の土地ですから・・日本の最北端よりもずっと北で、樺太のど真ん中位の緯度です。想像しただけでも相当に「寒い」はずですが、永久凍土がどんどん溶け出し、古代に絶滅した細菌まで復活しているかも・・などと言う話しを聞くと怖いです。
「飲むには少し早い」と言うのは、ポテンシャルから見た観点からのものです。「今飲んで美味しい」のも事実でして、その際は、「軽量級でエレガント、少しフレッシュ」と言うことになります。1年ほど寝かせますと、良い感じにボディが膨れてくるはずで、その際には、「軽・中量級でエレガントで滑らか」なワインになっているはずです。
ジュリア・バートラム。この名前は覚えておいてください。最北の地の非常に旨いピノ・ノワールです。ご検討くださいませ。