
それなりに長くワイン屋をやっていて、しかもイタリアワインにもそれなりに長く触れていますが、正直な所、良く判らない存在だった
「リボッラ・ジャッラ(レブーラ)」
と言う白品種の本質を、ようやく少し理解させてくれたかな?・・と思える素晴らしいスロヴェニアワインでした。
今回はブラックラベル(上級ライン)はレブーラのみ、2013年と2010年の2アイテムで、おのおの12本ずつと言う割り当てです。早くから動けばもう少しいただけたのでしょうが、何しろ、
「働け~!働け~!寝ずにもっと動け~!もっと拡売しろ~!」
とばかりにエージェントさんにこき使われてますから、身体が1つしかない noisy は、時折心が勝手に反発する訳ですね。そんなもんで、たったの2csと言うことになってしまいました。販売前に飲めていればもっと仕入れを頑張っていた、そんな判断のワインです。
2010年ものは・・さすがにこの数量で1本ずつテイスティングしてしまうと利益が吹っ飛んでしまいますので・・飲まないことにし、2013年もので出来るだけ多くの情報を得ることに注力、その結果・・充分休ませることが出来たことも有りますが、
「リボッラって・・そうだったんだ・・」
と言うようなイメージを掴むことが出来ました。
あのグラヴナーのリボッラでさえも、まぁ・・特約店さんの性もあるかもしれませんが、
「・・よく判らん・・」
ですし、あのスタンコのアイテムでもnoisy はハッキリしない感じしか判りませんでした。
彼らは「リボッラ(レブーラ)」に尊敬の意思を示していますし、高質だと思っているはずです。しかしnoisy にはその辺が良く判らなかったんですね・・。
「・・そうなのか~?・・」
と。
この左の写真の色合い、良くご覧ください。反射や色彩で照りが良く判らないかもしれませんが、自然な酸化が加わったやや茶色系の色合いですが、
「見事に光り輝いている!」
のが見て取れるかもしれません。
実際、グラスに注いだ時には、アロマの上がりの速さもさることながら、余りの輝いた美しい茶系ゴールドに、
「おおっ!」
と声が出たほどです。
アロマは柑橘系が熟した、さほど線の太くないがしっかりしたものがほんのり、そして蜜のアロマがふんわりと漂います。襞の有る複雑なもので、非常に心地良いです。
ビロードのような滑らかさで口内に入り、ほんのりと粘性が舌の上で厚みを形成します。甘く無く、しかし液体の密度感がたっぷり有り、上質なフルーツのリアルさが感じられます。余韻も実に長くたなびきます。
この茶色系の色合いで、
「かなり酸化のニュアンスが強いんじゃないの?」
と思われるかもしれませんが、全く・・です。勿論、ブルゴーニュ系シャルドネ命の方がシャットアウトするために酸化のニュアンスを探した場合、
「・・無い?・・んな訳無いでしょ。有りますよ。」
と言うかもしれない。
でもそれは全体のバランスから言ったら、取り立てて言うべきほどでは無いです。それよりもナチュラル&ピュアな複雑なアロマ要素が、その酸化のニュアンスをマスキングしてしまって感じさせない・・と言う感じです。
しかもフリウーリやスロヴェニアの造り手たちが・・「高質だ」「素晴らしい葡萄だ」と言うのが充分理解できる密度感と複雑性を持っていて、さらには非常に滑らか・・クリーミーだと言いたくなるようなスムースな飲み口に感動させられました。
なるほど・・ブルゴーニュ・シャルドネとは究極の対極かもしれないが、
「これも旨いんだよなぁ・・」
と感じていただけると思います。勿論、ブルゴーニュ・シャルドネ命の方にはお勧めしませんが、弾力性の有る感性の方が躊躇しているだけなら、
「いや・・是非飲んでみるべきでしょ!」
と肩を押したいと思います。
素晴らしいレブーラでした!・・2010年も飲んでみたいと思ってしまいましたが・・思い留まっています。是非素晴らしい造り手、クメティヤ・ナンド!お見知りおきください!
以下はブルーラベル(レギュラー品)のレブーラ2015年のレヴューです。
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【これは美味しい!ピュアだしナチュラルだしドライだし、出汁味効いてアロマもバッチリです。重さを感じさせ無いミネラリティも実は膨大!】

え~・・見た感じはこんな感じです。どうでしょうね・・一般的な白ワインをイメージしていらっしゃる方にとっては、
「・・僅かに色落ちした感じ」
に見えるかもしれません。
しかしながら、僅かに茶が入ると言うより・・そう、酸化のニュアンスが強く入るのか?・・と思われるかもしれませんが、決して・・
「そこまで強い酸化の香りはしないレベル」
でして、むしろ、
「深い黄色をイメージさせられる」
と思われるような非常に軽い酸化のニュアンスです。
なので、酸化臭と言えるようなニュアンスでは有りませんが、「ブルゴーニュ・シャルドネ命!僅かな酸化臭も気になって仕方が無い・・」と言う方には、マイナスポイントになるかもしれない・・と思われます。
しかしながら、そんな低レベルな酸化防止剤の使用率・・もしくは「使ってないかも・・」と思わせるような感じですから、
「アロマのスピードは速くテクスチュアがとても柔らかく滑らか。縦伸びするアロマが心地良い」
と言えます。

また、開けたては、アロマはずんと伸びて来ますが、味わいの方が幾分拡がらない・・
「・・などと思っているとボディがぶわっと拡がり・・」
始めます。もう、早い方ならほんの数秒で気付くレベルですが、5分もしますとかなり出て来ますし、それと同時にバランスを崩さず複雑に成って来ますんで、
「・・お・・いいじゃんこれ・・」
と感じていただけるかと思います。今回の3キュヴェ全てにおいて、そんな感じです。

ヤーコットはご存知フリウラーノですね。ややグラッシーな・・透明感の高い、少し「カッチリ」したミネラリティが特徴です。畑の特徴ですかね・・安いフリウラーノは平板なことが多いですが、最初の口入で・・
「おやっ・・お前もか」
と思われたとしても、次の瞬間に、
「ほ~・・良い感じに伸びてくるじゃん!」
と褒めていただけるでしょう。フレッシュ&フルーティーなタイプでは無く、滑らかで高質さの有るものです。
マルヴァジーアはさらに面白いですよ。おそらく最初から安い葡萄で安いワインだ・・と言う頭で飲まれるでしょうから・・ね。
「・・えっ?・・そこまで行くんだ!」
と・・かなりの高質さを見せてくれます。これ、かなりお気に入りです。
レブーラも旨いです。でも本当に良く判らないのがこのレブーラ、リボッラと言う葡萄・・印象的にはユニ・ブランに近いようなイメージを持っていますが、ユニ・ブランでもめちゃんこ美味しいワインも有りますからね。
そんなレブーラはややオイリーさを持ち合わせた、結構にフルなボリュームの有る味わいで、アロマも太く、柑橘系の果実を煮詰めたようなニュアンスがとても心地良いです。それでいてドライで、決して現状で横に拡がり過ぎて破綻してしまうようなだらしない感じにならないのが素晴らしいです。
どれを飲んでも・・美味しいと言っていただけると思います。もう少し仕入れて置きたかった・・ちと読みを失敗したリーズナブルな自然派ワインでした。超お勧めします!お早めにどうぞ!