● ポルタ・ディ・ヴェルティーネで活躍したジャコモ・マストレッタさんがキャンティで醸造家として造り始めたラ・トッレ・アッレ・トルフェをご紹介します。オーナーはマニア・カステッリさん。最初の年から・・全開ですね。相当に美味しいです。

ワイナリーは敷地からもカンポ広場の鐘楼が見える、シエナからも近いトルフェ村にある。
ワイナリー【ラ・トッレ・アッレ・トルフェ(La Torre alle Tolfe)】は、8世紀に建てられた塔(Torre)を住居やオリーブ畑、ブドウ畑が囲む、大きな農園とも小さな集落ともいえるヴィッラ(貴族の郊外の別宅)だった。ヴィッラは、現オーナーであるマニア・カステッリの曽祖父に買い取られて、現在に至る。ワイン生産を稼業としてきたわけではなかったが、マニアの祖父は特にワイン造りに凝っていたそうで、13haのブドウ畑から少量だけ、自家消費用のワインを造っていた。彼女自身は2015年、レ・トルフェへと戻ってくるまではイギリスに住んでいた。現在シエナ大学に籍を置く夫のマークは、自然保護の活動に長年携わっており、子供たちを含め一家でレ・トルフェへと移り住んだ。
いっぽうジャコモはこの数年、ワイン造りをするべくワイナリーを探していた。ブルネッロやキアンティ・クラッシコのワイナリーからも話はあったようだが、中~長期間働いてみたいと思えるワイナリーはなかなかなかった。10年以上も心血を注いできた、ラ・ポルタ・ディ・ヴェルティーネが閉業してからというもの、コンサルタントでもなんでも、深くワイン造りにかかわりたいと思えるようなワイナリーは簡単には見つからない。
そんな時、当時ラ・トッレ・アッレ・トルフェで雇われていた醸造家の友人から、自分の後任にどうかという申し出を受けた。実際に訪れると、2003年からバイオロジック栽培に取り組んできたという、状態の良い畑。1900年代にヴィッラに増築されたセラーは、使い込まれたセメントタンクを中心にしたシンプルな醸造施設。マニアとマーク夫妻は、二人とも地域の歴史に関心が深く、二人の自然を尊重しようと努めるヴィッラ運営の姿勢にもジャコモは共感を持った。
コッリ・セネージのワインには、ガイオーレのように力強いタンニンと黒い果実味の印象がなく、柔らかなタンニンと、赤く明るい果実味が特徴的。そこにジャコモのワインらしい、酸味と垂直性をつよく感じる。
ジャコモがワイナリーにやってきたのは、2018年の収穫の少し前だとかで、さらに深くワイナリーとかかわっていくこれからのヴィンテージが楽しみだ。
今回は、ロザートとキアンティ・コッリ・セネージ、チリエジョーロ、カナイオーロの4キュヴェが入荷。ロザートとキアンティはほぼセメントタンク熟成だけれど、チリエジョーロとカナイオーロの2つは木樽熟成をしており、明瞭な骨格が特徴的。
【ツヤツヤのテクスチュアに美しい果実!・・思いっきりシミジミ系のコッリ・セネージでは無く、外交的な美味しさをしっかり感じさせてくれます!】
「久々にキャンティで大ヒット間違い無し!」
と言える見事な味わいでした。素晴らしいバランスをしています。
本来、キャンティ・コッリ・セネージのワインは、少し「ひなびた感」が滲み出てくるような、しんみり系のサンジョヴェーゼの味わいがほとんどを占めると思います。
が、さすがにポルタ・ディ・ヴェルティーネ醸造家、コッリ・セネージの葡萄の個性を自分のものにしている感じが伝わって来ます。しかも、
「 ラ・トッレ・アッレ・トルフェ に来たのは2018年の収穫の直前!」
とのことですから・・飲んでビックリ、聞いてビックリです。
この実に滑らかなテクスチュアは、セメント槽での発酵によるもののようです。やや襞の有るテクスチュアが特徴でもあるサンジョヴェーゼですし、コッリ・セネージは強い果実やたっぷりとしたタンニンは出にくいのでしょう。
「・・これがコッリ・セネージ!?」
と思っていただけると思いますよ。

あ、写真が見つかりましたが・・赤い果実の色合いがポルタ・ディ・ヴェルティーネのワインから感じられますよね。ある意味、非常に似ていると思いますが、コッリ・セネージの方が集中しているかもしれませんね。
素晴らしいバランスをしています。是非飲んでみてください。お勧めします!